eラーニングシステムを選ぶ前に整理したい目的
システムを比較する前に、自社が何のためにeラーニングを導入するのかを明確にしておくことが選定の出発点です。まずは目的整理の観点を確認します。
研修の目的と対象者の洗い出し
新入社員研修やコンプライアンス研修、資格取得支援など、eラーニングを活用する目的は企業によって異なります。目的が曖昧なまま製品を比較すると、機能過多で使いこなせないシステムを選んでしまう場合があります。
対象者が全社員なのか、特定部署や役職に限られるのかによっても、必要な機能や配信規模は変わります。対象者の人数や拠点の分布をあらかじめ整理しておくと、システム選定時の判断がしやすくなります。海外拠点がある場合は、多言語対応の要否もあわせて整理しておきましょう。雇用形態によって受講対象を分ける企業では、契約社員やパート従業員への配信範囲も事前に決めておくと運用がスムーズに進みやすくなります。将来的に対象者を拡大する計画があるかどうかも、あわせて整理しておくと選定の判断材料が増えます。
既存の研修運用との比較
すでに集合研修やOJTを実施している企業では、eラーニングをどの部分に組み合わせるかを検討する必要があります。すべてをオンラインに置き換えるのではなく、知識のインプットはeラーニングで行い、実践的な内容は対面で補うという組み合わせ方も考えられます。
既存の研修資料や動画コンテンツを流用できるシステムであれば、導入時の教材作成負担を抑えられる場合があります。対応しているファイル形式や、既存の学習管理の仕組みとの互換性も確認しておくとよいでしょう。紙のテキストや対面研修のスライドをそのまま流用できない場合は、電子化にかかる工数も導入計画に含めておく必要があります。既存の研修講師の知見をどう教材へ落とし込むかも、あわせて検討しておきたい課題です。
eラーニングシステムの種類ごとの特徴
eラーニングシステムには、教材配信を中心としたタイプと、研修管理まで含めたタイプがあります。特徴を理解したうえで自社に合う種類を検討しましょう。
教材配信型のシステムの特徴
教材配信型は、動画やスライド形式の教材を従業員に配信し、受講状況を管理することに主眼を置いたシステムです。既製の教材コンテンツが豊富に用意されている製品もあり、自社で一から教材を作成する負担を抑えられる場合があります。
一方で、独自の業務知識や社内ルールに関する研修は自社で教材を作成する必要があります。教材作成のしやすさや、動画編集機能の有無は、配信型システムを選ぶ際の比較ポイントの一つです。テンプレートを使って手軽にスライド教材を作成できる機能があれば、専門知識がない担当者でも教材整備を進めやすくなります。
研修管理型のシステムの特徴
研修管理型は、受講履歴の管理に加えて、研修計画の立案や集合研修の出欠管理まで一元的に扱える点が特徴です。人材育成計画全体をシステム上で管理したい企業に向いています。
機能が多い分、初期設定や運用ルールの整備に時間がかかる場合があります。自社の運用体制で使いこなせる範囲かどうかを、デモやトライアルを通じて確認しておくことが望まれます。人事評価システムなど他のシステムと連携できるかも、研修計画全体を一元管理したい企業では確認しておきたい点です。
eラーニングシステムの比較で確認したい機能
種類を絞り込んだ後は、具体的な機能面を比較していきます。受講のしやすさと管理のしやすさ、両方の観点から確認しましょう。
受講のしやすさに関わる機能
スマートフォンやタブレットからの受講に対応しているか、動画の再生速度を調整できるかなど、受講者側の使いやすさに関わる機能は受講率に影響する場合があります。すきま時間での学習を想定する企業では、モバイル対応の有無が重要な確認項目といえます。
学習の進捗を可視化する機能や、修了証を発行する機能があると、受講者のモチベーション維持につながる場合があります。操作画面が直感的に分かりやすいかどうかも、デモの際に確認しておきたい点です。パソコン操作に不慣れな従業員が多い職場では、実際に操作してもらったうえで使いやすさを判断することが望まれます。
管理者側の運用負担に関わる機能
受講状況の一覧確認や、未受講者への催促メールの自動送信機能があると、管理者の督促業務の負担を軽減できる場合があります。部署や役職ごとに受講対象者をグループ分けして管理できるかも確認したい機能です。
テスト機能やアンケート機能が搭載されていれば、研修の理解度を確認する用途にも活用できます。集計結果をレポートとして出力できるかどうかは、研修効果の報告資料を作成する際の負担に関わります。複数の管理者でアカウントを分けて運用できるかも、部署ごとに研修担当者を置いている企業では確認しておきたい機能です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でeラーニングシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入コストと料金体系の比較ポイント
eラーニングシステムの料金体系は製品によって異なるため、利用規模に応じた総費用を比較することが大切です。
従量課金と定額制の違い
利用者数に応じて費用が変動する従量課金型と、利用者数にかかわらず一定料金の定額制があります。従量課金型は少人数での利用であれば費用を抑えやすい一方、対象者が増えるほど費用も比例して増える点に注意が必要です。
定額制は利用者数が多い企業や、今後対象者を拡大する予定がある企業で費用対効果を得やすい場合があります。自社の従業員数の増減見込みも踏まえて、どちらの料金体系が合うかを検討しましょう。契約更新時に料金プランを見直せるかどうかも、長期的な利用を想定する場合は確認しておくと安心です。
教材コンテンツにかかる追加費用
既製の教材コンテンツを利用する場合、基本料金とは別に教材の利用料が発生する製品もあります。必要な教材のジャンルや本数によって、想定していた費用を上回る場合もあるため、見積もり時に含まれる範囲を確認しておくことが重要です。
自社で教材を作成する場合は、動画編集や教材作成にかかる社内工数も費用として考慮する必要があります。既製教材と自社作成教材のどちらを中心に据えるかで、総コストの見積もり方も変わります。教材の更新頻度が高い研修分野では、更新作業にかかる手間も比較材料に含めておくとよいでしょう。無料トライアル期間を設けている製品であれば、実際の操作感を確かめたうえで、契約プランをじっくりと検討することも可能です。
eラーニングの運用を軌道に乗せる工夫
システムを導入しても、受講が定着しなければ効果を得にくくなります。運用を軌道に乗せるための工夫を紹介します。
受講を促す案内と評価制度の連動
受講期限の設定や、受講状況を人事評価の一部として扱う仕組みがあると、従業員の受講意欲を保ちやすくなる場合があります。強制感が強すぎると形式的な受講にとどまるおそれもあるため、案内の伝え方には配慮が必要です。受講の目的や得られるメリットを事前に丁寧に伝えることで、受け身の姿勢になりにくくなります。
受講した内容を実務でどう活かせるかを具体的に伝えることも、受講の動機づけとして有効です。研修担当者だけでなく、現場の上長からも受講を後押しするような働きかけがあると、定着につながりやすくなります。受講完了者に対して簡単な感想共有の場を設けると、周囲の受講意欲を高めるきっかけになる場合もあります。
受講データの活用による研修改善
受講率や理解度テストの結果を定期的に確認し、内容が難しすぎる教材や、離脱率の高い教材を見直すことも運用改善の一環です。データにもとづいて教材の入れ替えを検討することで、研修全体の効果を高めやすくなります。テストの正答率が低い設問があれば、教材の説明が不足している箇所として洗い出しに活用できます。
部署ごとの受講傾向を比較することで、特定の部署で受講が進んでいない要因を把握できる場合もあります。要因を確認したうえで、案内方法や受講期限の見直しなど、部署の実情に応じた対応を検討しましょう。現場の業務繁忙期を避けて受講期間を設定するなど、運用面での工夫もあわせて検討することが望まれます。
eラーニングシステムのおすすめ製品を紹介
ここでは、機能や特徴が異なるeラーニングシステムを紹介します。自社の研修目的や運用体制に合う製品を比較検討する際の参考にしてください。
Cloud Campus
- ユーザ登録無制限・定額制
- 研修作成から履歴管理までかんたん操作
- 100種類以上のeラーニングコンテンツが見放題
株式会社サイバー大学が提供する「Cloud Campus」は、eラーニングのみで授業を行う通信制大学のノウハウをもとに開発されたシステムです。PDF資料やWebカメラ映像、既存動画を組み合わせてブラウザ上でオリジナル教材を制作できるコンテンツ制作機能を標準搭載しており、スライド同期動画やテストもあわせて作成できます。PC・スマートフォンなど複数端末から受講でき、ユーザー数が増えても料金が変わらない体系のため、組織規模の拡大にあわせて利用しやすい製品です。
Schoo for Business
- 9,000本以上の動画で社員研修から自律学習まで幅広く活用可能!
- DXやAIなど最先端の知見から、ビジネススキルまで幅広く学べる
- 専任チームが導入準備から運用、効果測定までを伴走サポート
株式会社Schooが提供する「Schoo for Business」は、「オンライン研修と自己啓発学習の掛け算で学び続ける組織を作る」をコンセプトにしたeラーニングシステムです。ビジネススキルからDX、AIまで全21カテゴリにわたる9,000本以上の動画コンテンツを日々更新しており、業界の第一線で活躍する講師陣による生放送授業も受講できます。専門家監修の研修パッケージが用意されているため、人事担当者がカリキュラムをゼロから設計する手間を削減できる点も特徴です。
manebi eラーニング
- 【運用も安心】受講者が迷わない操作性+サポートチームの伴走
- 【豊富な教材】8,000教材から選べる階層別・コンプラ研修を網羅
- 【コスパ◎】IDのオンオフ切替で無駄のない運用を実現
株式会社manebiが提供する「manebi eラーニング」は、約8,000本の見放題動画教材とAI機能を搭載した学習管理システムが一体となった人材開発プラットフォームです。AIが学習プランの設計をサポートするほか、コースマップ機能により研修内容とステップを分かりやすく示し、受講者はクリック操作だけで学習を進められます。自社教材のアップロード配信や、オンライン集合研修のオプションにも対応しており、研修運用の負荷軽減につながります。
Canvas LMS (ボウ・ネットシステムズ株式会社)
- 直感的で使いやすい画面設計により操作が容易。
- 外部ツール連携で教育環境を柔軟に拡張可能
- 授業運営や学習管理をオンラインで一元管理
ABILI Clip (ClipLine株式会社)
- 新人教育デジタル化で指導者の負担を軽減
- 法定研修の動画教材化で業務品質と効率を向上させる
- 遠隔監視で移動を削減し、複数現場の効率的な管理を実現する。
まとめ
eラーニングシステムを選ぶ際は、研修の目的や対象者を整理したうえで、システムの種類や機能、料金体系を比較することが重要です。導入後の運用体制まで見据えて選定することで、受講率の伸び悩みを防ぎやすくなります。自社の研修計画と照らし合わせながら複数の資料を比較し、無理なく運用を続けられる製品を検討していきましょう。

