eラーニングを作成する3つの方法
まず、eラーニングを作成するにはどういった方法があるのか確認しましょう。教材の作成方法は大きくわけて3つあります。
- ■アウトソースして専門業者に作成してもらう
- 一番手間をかけずにクオリティの高い教材を作ることができるので、一般的な方法といえるでしょう。作りたい教材の数が少ない場合や、大人数に配布する、または長く使い続けられるような内容であれば、費用対効果は十分にあるでしょう。
- ■eラーニング教材作成ソフトやeラーニングシステムを活用する
- 作成者のイメージに沿った教材が専門知識なしに作れる便利なツールです。教材作成をサポートするシンプルなものから、配信機能がついているものまでさまざまですので、自社の予算に合わせて利用できるでしょう。
- ■自社で作成する方法
- 専門のサポートツールを使わずに1から自作する方法で、一番費用がかからない方法です。作成者のスキルや知識量にもよりますが、PowerPointやスマホの動画編集アプリなど、手持ちのツールだけで作成することになります。
費用面や、対象の従業員の規模、内容などを鑑みて、自社に適した作り方でeラーニングを効率的に作成しましょう。
eラーニングを自作する場合の作り方
ここからはeラーニングを自作する場合の作り方を紹介します。まずは大まかな流れについて説明していきます。
1.情報を整理し、分析する
「何のために教材を作るのか(目的)」「誰をターゲットにするのか(対象者)」「学習時間をどれくらいにするか(所要時間)」「どこをゴールにするのか(目標)」「システムの利用方法(受講環境)」など、まずは教材の作成に必要な情報を検討します。これらの情報の整理を怠ってeラーニングの作成を始めてしまうと、作成中に教えたいことが膨れ上がってしまうなど伝えたいことが明確化せず、学習効果の低い教材が完成してしまう可能性もあります。
2.教材を設計する
1のプロセスで分析した情報をもとに、「教材の仕様書」「学習内容の骨子」「開発スケジュール」などを作成していく段階です。特に仕様書は以下のようなメリットがあるため、できるだけ詳しく書きましょう。
- ●設計者と現場の作成者が違う場合に情報を正しく共有できる
- ●法改定などで改訂が必要となった場合、前任者がいなくても情報が引き継ぎできる
- ●複数名で設計した場合、誰がいつどの部分を編集したのかわかると修正がスムーズ
3.教材を開発、作成する
仕様書や骨子をもとにして、教材を実際に作っていく段階です。配布資料と確認テスト問題を作成するほか、音声データや動画などの編集が必要となります。eラーニング教材作成ソフトを利用すると、PowerPointなどで作った資料をeラーニングコンテンツへ自動変換してくれるので、このフェーズの作業が楽になります。それぞれの素材が完成した時点で第三者にわかりやすさや使いやすさなどを確認してもらい、仕様書から外れた内容になっていないかなどをチェックしておくと修正作業がスムーズです。
4.eラーニングの実施と評価
完成した教材を学習システムに登録して運用します。一定の期間運用したのち、受講者の受講履歴やアンケート結果をもとにして学習者の傾向を把握し、当初の目的が達成できているかを分析する段階です。これらの情報は、教育内容の見直しの際に有益なデータとなります。
eラーニングの実施と評価が終わったら、その評価内容をもって再度情報分析のステップに戻ります。この積み重ねは、作成された教材をより質のいいものへと変えるだけでなく、別の新たな教材を作るのにも役立ちます。
eラーニングを自作する場合に心がけたいこと
教材の作り方がわかったところで、ここからは、eラーニングを自作する際のポイントを紹介します。
わかりやすい教材づくり
文字は端的に、イラストや写真、動画を用いるなどして、1枚のスライドに載せる情報はなるべくシンプルにしておきます。ぱっと見ただけで内容を把握できるような工夫が必要です。
また、対象者の立場や年齢層などに合わせてイラストの種類を選定する、見やすいフォントにするといった配慮もあるとなお良いでしょう。
学習効果を高めるような仕組みづくり
わかりやすいだけでなく、知識が定着しやすいような機能や、受講者のモチベーションを維持するような仕組みづくりも重要です。分析や設計の段階で以下のような要素や機能についても検討しておくことをおすすめします。
- ●どのような流れで学ばせるか
- ●確認テストの実施頻度をどうするか
- ●進捗状況や正答率の閲覧機能
- ●合格ラインをどこに設定するか
更新のしやすさ
コンテンツをリリースした後も、利用している制度の変更や改訂、不具合の検出といった問題が起こり得ます。いつでもすぐに更新の対応ができるように、事前に教材ファイルの場所を決めて整理と管理を行い、これまでの更新や修正の記録も徹底しておきましょう。
eラーニング教材を効率的に作成するツール
eラーニングを自作するには、前述したようにさまざまな方法やサポートツールがあります。よく使われている2つのサポートツールについて紹介します。
eラーニングコンテンツ作成サービス
自社で撮影した動画や、作成した資料、またはこれまで使っていた既存の資料から簡単にeラーニングコンテンツを作成してくれるほか、ソフト上で簡単に教材作成が行えるのが特徴です。穴埋め式の確認テストを作ってくれるものやVRコンテンツに対応したものなど、製品によってかなり機能が異なります。
コンテンツ作成サービスの選び方や話題の製品を比較した記事は、こちらからご覧いただけます。
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eラーニングシステム
eラーニングシステムとは、パソコンやスマートフォンなどからインターネット上で学習が行えるシステムです。教材の配信だけでなく、作成をサポートしてくれる製品も多くあります。eラーニングの実施経験が少ないうちはこうした教材作成から運営、学習管理全般までサポートしてくれるツールに頼るのも効率的でしょう。
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eラーニングを成功させるポイント
ここまでで、eラーニング教材の自作方法や作成時のポイントをまとめてご紹介しました。次に、eラーニングを実施する際のポイントについて解説していきます。
モチベーションが持続する工夫をする
せっかくeラーニングを導入したとしても、受講率が上がらなければ意味がありません。しかしながら、eラーニングは「個人学習」がベースになるため、どうしてもモチベーションの維持がしづらいという弱点を抱えています。これを解決、緩和させるためには、たとえば以下のような手段をとるとよいでしょう。
- ●受講者が楽しめるコンテンツの研究・作成
- ●業務に直結する内容をメインにする
- ●学習の各課程ごとに復習テスト・確認テストを設ける
- ●どうしても分からない内容について質問できる場を設ける
- ●ご褒美企画を実施する
- ●目標と目的を明らかにしておく
- ●定期的なアンケートの実施
つまらない教材は誰も見ようとしません。楽しく学べる工夫をしましょう。
従業員のモチベーション管理のポイントについてまとめた記事がこちらからご覧いただけます。ぜひ参考にしてください。
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ティーチングからラーニングへ意識誘導する
先述の通り、eラーニングは「個人学習」がメインになります。そのため、eラーニング教材をうまく活用していくためには、自らが能動的に学ぶ「ラーニング(Learning)」の姿勢へと受講者の意識を誘導していくことが重要になります。
一方、研修など座学などを通じて知識を学んでいくことを「ティーチング(Teaching)」と言います。こちらには強制力があるため、受講者へ確実に知識を届けられるというメリットがあります。しかしながら、受動的な姿勢になってしまうため、知識の定着にばらつきが出てしまうのが難点です。
eラーニング内製化で社内教育をスムーズに
eラーニングを自作する際は、管理者側の自己満足で終わってはいけません。受講者のモチベーションを高め、かつ知識の定着を効率的に進められる教材を提供することが重要です。そのためには、常に受講者の声に耳を傾け、絶えず内容のアップデートを検討していく必要があります。
社内教育をスムーズに進めるために、eラーニングコンテンツ作成サービスやeラーニングシステムなどのサポートツールも利用しながら、より良い教材づくりを目指していきましょう。