マイクロラーニングとは
マイクロラーニングとは、1~5分程度の短時間で学習を行うスタイルを指します。eラーニングにおける学習形態の一種として注目されています。ATD(Association for Talent Development)という人材開発組織の会長トニー・ビンガム氏が紹介したことで注目されるようになりました。
マイクロラーニングはあくまで短時間における学習全般を指す言葉であるため、特定の学習方法を指すわけではありません。数分の動画視聴による学習やクイズ形式の勉強など、その形態は多種多様です。
マイクロラーニングが登場した背景
マイクロラーニングはどのような背景で登場したのでしょうか。
eラーニングにおける学習頻度・効果の低下
従来のeラーニングでは、一度にまとまった分量を学習するのが当たり前になっていました。オフィスのパソコンを使って学ぶスタイルが一般的だったのがその原因といえます。
ところが、この形態には主に2つの難点がありました。1つはまとまった時間の確保が難しいという点です。忙しいビジネスパーソンにとっては1時間を捻出するのも一苦労です。また、なんとか一通り学習できても復習までは手が回らず、学んだことが定着しないのも問題でした。
もう1つは、まとまった時間での学習が非効率的なことです。一般的に、人間の集中力は長くても40分程度で切れると言われています。そのため、せっかくまとまった学習時間を捻出しても、それを充分に学習に活かしきれないケースが少なくありませんでした。
これらを解決するために登場したのがマイクロラーニングです。1度の学習に5分程度しかかからないため時間を捻出する必要がなく、集中力の維持も簡単です。
志向やシステム環境の変化
世代による志向やシステム環境の違いも、マイクロラーニングが注目を浴びる原因となっています。
主にパソコンを使う従来のeラーニングは、ジェネレーションX世代(1965~1980年ごろ)に向いていた形式です。パソコンが普及した時期に育ったため、パソコンを使った学習形態に馴染みがあります。
一方、現代の労働力の高い割合を占めているのは、その後のミレニアル世代(1981~1990年ごろ)に生まれた人々です。この世代の人々はモバイルデバイスが普及した時期に育ったため、それらを使ったマイクロラーニングとの相性が良いのです。
マイクロラーニング活用のメリット
マイクロラーニングの活用には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
柔軟に学習させやすい
マイクロラーニングは、1回の学習に時間があまりかからないので、スケジュールに柔軟に組み込めます。
たとえば、通勤電車の中で学習することができます。本人に意欲があれば、昼休みや業務と業務の隙間時間なども活用できるでしょう。1度の学習に必要な労力も大きくないため、あまり億劫に思わずに取り組めるのも魅力です。
学習内容を定着させやすい
学習内容の定着において重要なのは、高頻度の復習です。1度に時間をかけて復習するより、短時間での復習を繰り返した方が効果的であることはよく知られています。この点においてマイクロラーニングはたいへん優れた学習形態です。モバイルデバイスは基本的に常に持ち歩いているため、いつでも復習できます。
また、理解度を確認しやすいのもメリットです。クイズ形式の学習などを取り入れれば、自分が知識を習得できたかどうかをテストできます。
つまり、インプットとアウトプットの両面で手軽に学習でき、学習内容の定着を図れるのが魅力ということです。昔から受験生はよく英単語カードなどを持ち歩いていましたが、それの現代版がマイクロラーニングといえるでしょう。
学習教材を作成・修正しやすい
1度の学習内容がコンパクトであることは、教材を作成する側にもメリットをもたらします。作成や修正に要する手間が少なく済むからです。
特に、法律など頻繁に変化する分野の学習においては大きなメリットとなります。学習すべき内容が変化するたびに教材を更新しなければなりませんが、それらの負担を軽減できるからです。
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マイクロラーニングのデメリット
マイクロラーニングにはデメリットもあります。2つ見ていきましょう。
複雑な知識や対人スキルの学習が困難
マイクロラーニングでできるのは、簡単な知識の習得に限られます。逆に、複雑な知識の習得や対人スキルの獲得には向いていません。
具体的には、語学や資格取得における筆記試験の勉強などをするのには向いています。しかし、営業における顧客対応スキルの獲得や、ディスカッションを通じた経営課題の抽出・解決などは困難です。
システムを準備するためのコストが発生
マイクロラーニングを導入するには、そのためのシステムを準備しなければなりません。また、一度準備して終わりではなく、システムの管理や教材の更新など、運用にもコストがかかります。
これらを自社で行う場合は多くの人手が必要になるでしょう。それが非現実的であれば外部に委託する方法がありますが、その場合もコストがかかるのは間違いありません。したがって、コストに見合う成果が得られないのであれば、マイクロラーニングを導入しないほうが良いことになります。
マイクロラーニングの導入事例
最後に、実際にマイクロラーニングを導入した企業の事例を2つ紹介します。
事例1:商品知識や技術をコンテンツ化し、属人化を解消
ある企業では、商品知識の教育や技術継承に課題を抱えていました。これらを継承するための研修は行っていたものの、単発的・属人的になっていました。そこで、この企業は知識・技術を体系的に管理・継承する体制作りを目指します。
そこで目を付けたのがマイクロラーニングです。「6分程度」「内容が分かりやすい」「興味を引きやすい」といったことに注意し、教材の作成に乗り出します。また、教材や履歴の管理をシステム上に一元化したり各部門で教材作成トレーニングを行ったりと、全社的に課題解決に取り組みました。
事例2:短い商品動画を作成し、多忙な社員へ学習環境を提供
ある製薬会社は、5000人以上のMR(営業)に200もの医薬品知識を習得させる必要に迫られていました。そこでマイクロラーニングの活用に踏み切ります。薬剤ごとに数分単位の学習カリキュラムを作成。ドクターからの質問を基に作成したクイズも実施し、知識の定着を目指しました。
結果として、この企業はコース終了率98%を達成しました。隙間時間を活用できるマイクロラーニングは、移動時間が多い営業職と相性が良かったのも今回の成果に寄与したようです。
マイクロラーニングについて知り、最適な学習環境を提供!
マイクロラーニングとは、モバイルデバイスを使って短時間の学習を行う方法です。従来のeラーニングと違い、以下のメリットがあります。
- ■柔軟な学習を実現できる
- ■学習内容を定着させられる
- ■教材の作成・修正が容易にできる
一方、以下のデメリットもあります。
- ■複雑な知識や対人スキルの習得は困難
- ■システムの準備・運用にコストが発生
以上を踏まえて、自社に最適な学習環境を整えましょう。