【教材編】eラーニング運用を成功させるコツ
eラーニングの運用を成功させるためには、どのようにして教材を作成すればよいのでしょうか。
学習の方向性を明確にする
学習の方向性を明確にすることで、eラーニングの運用目的が定まり学習効率が向上します。学習の方向が不明確だと、eラーニングの運用目的が曖昧になり、研修後に必要なスキルも身につきません。後から大幅な修正が必要となるため、かえってコストがかさみます。
eラーニングを運用する際は受講者の役職や適性に応じて、学習目的に沿った教材を作りましょう。
例えばマネージャー候補生を対象とする場合、マネジメントに必要なスキルを明確にし、それに適した学習メニューを組みます。営業担当者には、成約を勝ち取るためのプロセスを効率的に伝えられる教材を作りましょう。
学習内容に合わせて提供方法を選択する
eラーニングコンテンツの提供方法は、以下の3種類です。
- 【自主制作】
- 受講者の興味関心を引くオリジナル教材を作れます。ただしコストがかかるため、資金に余裕のある企業におすすめです。
- 【既存教材】
- 自主制作より低コストで提供できるeラーニング教材です。弁護士などの監修を受けているため、品質的にも問題ありません。ただしオリジナリティがなく、講義内容が自社にマッチしない場合もあります。
- 【複合教材】
- 自主制作と既存教材を合わせたコンテンツです。質の高い既存教材を用いつつ、必要に応じてオリジナリティも出せます。受講者の興味関心を引くコンテンツを低コストで作成できるため、コスパ的にも優秀です。
- ただしカスタマイズ性が高く、作成者によって品質に差が出ます。
社員の反応に合わせて継続的に改善する
eラーニングを運用する際は、社員の反応に合わせて教材を改善しましょう。「物事を長期間かけてコツコツ学ぶ人」と「短期集中型で一気に学ぶ人」の受講割合をみて、受講期間・教材ボリューム・講義数などを最適化します。
たとえば隙間時間に学習する人が多い場合は、短くまとめられているコンテンツを多くするのがよいでしょう。
ただし教材が多すぎると、目的の講義を見つけにくくなるので注意してください。スキルをプロセスごとに分け、受講者が見つけやすい構成にすることが大切です。講義を見つけるのに時間がかかりすぎると、学習以外のところでストレスが増大します。
また、スキルの習得度を把握するために、明確な合格基準を設定しましょう。合格基準は、難しすぎず易しすぎないラインにするのがおすすめです。一定の基準に到達しないと、次の講義に進めないようにするのもよいでしょう。
集中して学習してもらいたい場合は、テスト回数に制限をつけると効果的です。
【システム・設計編】eラーニング運用を成功させるコツ
eラーニングの運用を成功させるには、どのようなシステムや体制を構築すればよいのでしょうか。
アクセス環境を整備する
eラーニングを運用する時は、社内PCと私物端末の利便性を最大限活用できるようにアクセス環境を整備します。社内PCと私物端末の長所と短所を把握することが大切です。
たとえば社内PCは自由にアクセス制限を行えるため高いセキュリティを維持できますが、持ち運びができないため利便性に欠けます。
一方私物端末は持ち運びが自由で好きな時に学習できますが、アクセス制限ができないのでセキュリティ面で不安です。アクセス環境を整備する時は、上記のような利便性とセキュリティのバランスを考えましょう。
eラーニングをマルチデバイス対応にすることで、講義を受けられる場所が増え、アルバイトやパートなどにも学習機会を与えられます。受講者をいくつかのグループに分けたとしても、すべての人が同時並行で学習を進められるでしょう。
外出先からでも使えるため、受講者の負担も大幅に減ります。
コミュニケーション体制を構築する
コミュニケーション体制を構築することで、受講者が学習しやすい環境を整えます。コミュニケーション機能の具体例は、以下のとおりです。
- ■システムやコンテンツの内容について質問、回答できる
- ■学習頻度が低い受講者に催促メッセージを送れる
- ■受講者の解答に対してフィードバックできる
コミュニケーション体制を構築して、受講側・提供側双方のアプローチを増やすことは、受講者のモチベーションアップにつながります。結果的に学習効率を上げるため、eラーニングの運用成功には欠かせません。
ユーザー情報を適切に管理する
ユーザー情報とは、受講者名・属性・役職・アクセス数・受講数・受講時間・完了数・アクセス元などのことです。特にアクセス数や受講数などは、コンテンツが適正かどうか判断するために重要なファクターとなります。
受講者数が少ないコンテンツがあれば、内容や提供方法を変えるなどの対策を行いましょう。検証・改善を繰り返して、コンテンツを最適化していきます。
このように、得たデータは統合・分析を行うことで、コンテンツの改善に役立ちます。既存の問題点を解消するのはもちろんのこと、次回のコンテンツ作成にも活かせるでしょう。情報をうまく統合できれば、学習開始前に受講者が知りたい情報を伝えられます。
氏名とIDをシステム上で置換できるようにしておくと、作業スピードも向上するでしょう。
eラーニングの運用に成功した事例
ある飲食店では、新人研修にOJTを採用していました。しかし何も分からない新人にとって、マニュアルの知識だけで実際に行動するのは、容易ではありません。そのため新人研修を行っても、満足のいく成果が得られませんでした。
そこでVR機器による仮想現実システムを導入したところ、現場に近い環境で訓練を行えるようになりました。仮想現実空間は 声の大きさやお辞儀の角度などを厳しく指定できます。そのため従業員達は、ゲーム感覚で仕事を覚えられようになりました。
これはVR機器をeラーニングに応用した好例です。
またある通信会社では、「入社年月日」を登録するだけで、必要な受講科目や期間が分かるシステムを作りました。これにより入社日が異なる非正規社員であっても、平等に必要なスキルを習得できるようになりました。
研修開始後はシステム上で進行状況を確認できるため、担当者の負担も軽減しています。
eラーニングの運用を成功させ、教育の質を向上させよう!
eラーニングの運用を成功させるには、学習の方向性を明確にしましょう。方向性が決まったら最適な方法で教材を提供し、社員の反応をフィードバックします。
アクセス環境やコミュニケーション体制を整え、学びやすい環境を作ることも重要です。ユーザー情報を適切に管理し検証・改善を繰り返すことで、教材の内容を最適化していきましょう。
eラーニングの運用を成功させて、社内研修の質を向上させてください。