介護職向けeラーニングシステムとは
eラーニングシステム(LMS)は、インターネットを利用して学習・研修を行うためのシステムです。eラーニングシステムを活用することで、職員は時間や場所を問わずに研修の受講が可能になり、柔軟な学習スタイルを実現できます。ほかにも、経営者側はシステムを通じて学習資料や研修動画を配布したり、学習進度を管理したりすることも可能です。
介護職には、法定研修と呼ばれる必須科目や、各介護サービス特有の実務者研修が存在します。研修内容は多岐にわたり、各事業所・施設で実施するものもあります。介護職員は年間研修計画を立てて受講する必要があるため、研修の定期的な開催と参加は経営者と職員双方にとって大きな負担といえるでしょう。
介護職向けeラーニングシステムでは、介護職の研修に適したコンテンツを配信しています。コンテンツそのものを研修に活用できるため、導入することで研修の実施や職員の受講状況の管理効率化が可能になるでしょう。2024年に義務化された認知症介護基礎研修でもeラーニングシステムが活用され、介護業界で注目を集めるシステムの一つといえます。
参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項について|厚生労働省
介護職向けeラーニングシステムで学べること
介護職向けのeラーニングシステムでは、介護職の基礎知識をはじめ、実際の介護現場で必要とされる技術やケア方法に関する学習が可能です。具体的な学習内容は、以下のとおりです。
- ■介護に関する基礎知識
- 人の身体の仕組みや介護食、認知症・感染症など介護に関わる疾患の基礎知識
- ■介護現場向けの実務知識
- 基本的な介護ケア・補助の手順やアセスメント方法、レクリエーションの実施方法など
- ●経営に必要な知識
- 介護報酬改定の解説や人材マネジメントなど、介護施設の運営に関わる内容
ほかにも、BCP(事業継続計画)や介護報酬の仕組みなど、介護業界の運営に関わる知識をeラーニングで学べる製品もあります。
さっそく介護職向けeラーニングシステムを比較したい方は、以下のリンクをクリックしてください。
▼介護職向けeラーニングシステムの比較表へジャンプ!
介護職向けeラーニングシステムの機能
介護職向けeラーニングシステムには以下のような機能があり、研修の実施・学習状況の管理を効率化します。
- ■動画の視聴やアップロード
- システムを活用し、パソコンやスマホなどで研修用動画の視聴ができます。製品によっては、自社で制作した動画のアップロードが可能です。特定のテーマだけではなく、自社に必要な知識・技術や情報の共有も行えます。
- ■研修内容の更新や追加
- 介護報酬改定や法定研修のカリキュラム改正などにあわせ、研修内容の更新や新しいコンテンツの追加を容易に行えます。システムの活用によって迅速な研修内容の更新や新しい情報の共有が実現できるでしょう。
- ■ユーザーの学習管理
- 職員の受講状況を一元管理できるため、学習進捗をリアルタイムで確認し、必要に応じて個別のアプローチが可能です。
受講状況を分析することで、研修計画の改善や個々のニーズに応じたカスタマイズにも対応しやすくなるでしょう。
- テストや個別学習
- 各コンテンツの受講後にテストを実施し、職員の理解度を測ります。結果をもとに個別のフィードバックやレベルに応じた学習設計が行えるため、学習効果の最大化が期待できます。研修内容の改善や追加学習の必要性も把握しやすくなるでしょう。
以下の記事では、eラーニングシステムでユーザーの学習進捗や教材を管理する「LMS(学習管理システム)」について詳しく解説しています。LMSについて理解を深めたい方は、あわせてご覧ください。
介護職向けeラーニングシステムのメリット
介護職向けeラーニングシステムのメリットは、研修の受講・実施にかかる手間を削減できることです。
職員はeラーニングシステムを活用することで、時間や場所を選ばずに研修の受講が可能になります。自身の業務状況やスケジュールにあわせて受講できるため、研修の開催にあわせてシフトや人員を調整する必要がありません。また、経営者側は研修の実施が最低限で済むようになり、準備や計画・シフト調整などの手間が省けます。職員の学習状況もシステムで確認が可能なため、研修受講状況の管理も効率化するでしょう。
介護施設は職員の勤務時間がバラバラだったり、人手不足で研修のために現場を抜けるのが難しかったりと、対面研修の実施・研修の受講が困難なケースも少なくありません。eラーニングシステムを導入することで、このような課題を解決し、研修の受講・実施を効率化します。
介護職向けeラーニングシステムの選定ポイント
eラーニングシステムを選ぶ際は、以下のポイントを考慮し自社のニーズにあったものを選びましょう。
- ●介護向けコンテンツ量が豊富か
- ●料金が予算に適しているか
- ●最新の教育プログラムが受けられるか
- ●試験対策ができるか
- ●サポート体制が充実しているか
各ポイントについて、詳しく解説します。
介護職向けコンテンツが豊富か
介護職向けeラーニングシステムでは、さまざまな学習ニーズに対応するために、多様なコンテンツがあらかじめ用意されています。提供されるコンテンツは、初学者から上級者までのレベル別コースや、特定のスキル習得を目的とした用途別コースなど製品によってさまざまです。
システムを選ぶ際は、コンテンツ内容が職員の学習ニーズや導入目的に合致しているかを事前に確認しましょう。また、スキマ時間に学習しやすい長さであることや、内容がわかりやすいことも重要です。
料金が予算に適しているか
介護職向けeラーニングシステムの料金体系も、製品によってさまざまです。利用者数に応じて料金が加算される体系や、管理者IDと受講者IDで算出方法を分けたり、パッケージプランの提供により料金が加算されたりするなど、サービスごとに異なります。
システムを選定する際は、各社製品の料金体系を比較してみるとよいでしょう。また、システムで配信されている介護向けコンテンツの数や機能もあわせて、費用対効果が見合っているかも重要なポイントです。
最新の教育プログラムが受けられるか
介護業界では、法定研修の内容がたびたび改訂されるため、情報の更新・共有には迅速に対応する必要があります。eラーニングシステムを選ぶ際は更新頻度が高く、新しい法定研修やその他教育プログラムに迅速に対応しているものが望ましいでしょう。
また、最新の内容を網羅しているシステムを選ぶことで、職員は常に最新の知識と技術を身につけられるため、より質の高い介護サービスを提供できるでしょう。
試験対策ができるか
介護職向けeラーニングシステムには、資格取得を目指す人に向けた対策カリキュラムを提供しているサービスもあります。例えば、過去問題や模擬試験をWeb上で解くことが可能です。
試験対策ができるサービスを利用すれば、業務の合間や自分の都合にあわせて効率よく学習を進められます。資格試験対策機能を有したeラーニングシステムは、職員のキャリアアップをサポートし、職場全体のスキルレベル向上にも貢献するでしょう。
サポート体制が充実しているか
eラーニングシステムを導入する際や運用中には、不明点や操作方法に関する問題が生じる場合もあります。その際、サポート担当者に迅速に質問ができ、的確なサポートを受けられるかは非常に重要です。
サポート体制が充実しているシステムを選べば、問題発生時の迅速な解決を望め、システムの利用効率をさらに向上させられるでしょう。
介護職向けeラーニングシステムのタイプ
介護職向けeラーニングシステムには、以下の2つのタイプがあります。
- ●介護職向けの教材を提供しているタイプ
- ●オリジナル教材を配信できるタイプ
介護職向けの教材を提供しているタイプのeラーニングシステムは、介護の基礎知識・技術や資格取得に関するコンテンツが含まれている製品です。自社でコンテンツを制作する必要がなく、導入後すぐに研修に活用できます。
オリジナル教材を配信できるタイプのeラーニングシステムは、自社でコンテンツを制作するための機能を搭載しています。一般的な基礎知識や技術の習得だけではなく、自社の課題や施設内のルールにあわせたコンテンツで介護研修を行いたい場合に適しているでしょう。
【比較表】おすすめ介護職向けeラーニングシステム
ここでは、ITトレンド編集部がおすすめする介護職向けeラーニングシステムを比較表で紹介します。製品の詳細はのちほど解説しているので、気になる製品をチェックしてみてください。
介護職向け教材を提供しているeラーニングシステム
ここでは、介護職向けの動画・テキストなどのコンテンツを提供しているeラーニングシステムを紹介します。
学研介護サポート
株式会社学研メディカルサポートが提供する「学研介護サポート」は、介護業向けに新人から管理者まで学習に役立つコンテンツを配信しています。介護基礎・実践や施設マネジメント、施設全体研修など、幅広く活用が可能です。講義資料にくわえ、テスト問題やワークシートなどのダウンロードもできます。
ジョブメドレーアカデミー
株式会社メドレーが提供する「ジョブメドレーアカデミー」は、介護・障害福祉や在宅医療などに特化したオンライン動画研修サービスです。研修計画に沿ってユーザーに動画を割り当てることで、研修が行えるようになります。特定事業所加算取得・維持のサポートを受けられることも特徴です。
ABILI Clip
ClipLine株式会社が提供する「ABILI Clip」は、介護技術・サービスから社会人マナーなど幅広いコンテンツを配信している動画型実行支援システムです。行政対策で定められている10項目の法定研修をコンテンツ化し、受講状況やテスト・アンケート配信で理解度チェックもできます。スタッフの取り組みやレクリエーションの優良事例の共有も可能です。
オリジナル教材を配信できるeラーニングシステム
ここでは、自社でオリジナル教材を作成し配信できるeラーニングシステムを紹介します。ITトレンド編集部がおすすめする製品のなかから、人気の製品を掲載しています。
《SAKU-SAKU Testing》のPOINT
- 年間取引社数 約250社、累計1,500社以上の導入実績
- マニュアル要らずの簡単操作で運用がラク
- スマホでもタブレットでもサクサク動く
株式会社イー・コミュニケーションズが提供する「SAKU-SAKU Testing」は、搭載されているコンテンツと独自で作成したコンテンツを併用できるeラーニングです。エクセルファイルをアップロードするだけで、テストや受講者の一括登録が可能です。テスト機能では、択一や複数選択、記述など出題方法や合格基準の設定ができるため、受講者にあわせた出題がしやすいでしょう。また、オリジナル動画コンテンツのアップロードにも対応しているため、介護など専門的な映像の配信もおすすめです。
《AirCourse》のPOINT
- 650コース4000本以上の動画研修(階層別・テーマ別)が受け放題
- 自社オリジナルコースを誰でもカンタンに作成・配信可能
- 初期費用0円&月額200円/名~の圧倒的コストパフォーマンス
「AirCourse」はKIYOラーニング株式会社が提供しており、動画研修とオリジナル教材を併用できるeラーニングシステムです。パワーポイントを使用した独自の教材で、介護福祉士やケアマネジャーへの研修に活用する事例もあります。大容量の動画やさまざまな拡張子もアップロード対応している点も特徴です。コンプライアンスやハラスメントなどの汎用的な研修コンテンツも豊富なため、介護分野以外の研修にも活用できます。
《etudes(エチュード)》のPOINT
- ★コンテンツ(教材)アップロード無制限!その他多く機能を搭載!
- ★100コース以上の階層別・テーマ別受け放題を用意!
- ★初期費用・追加開発不要!大手企業や省庁への導入多数!
アルー株式会社が提供する「etudes」は、人材育成の課題などをヒアリングし、コンサルタントが最適な独自の研修教材を設計するeラーニングシステムです。職員が自主的に学び、学習効果を向上させるコンテンツを作成します。動画撮影やアニメーション、ナレーション収録など多彩な方法で、現場のリアルな研修をデジタル化します。初期費用無料で1名から使用できるため、小規模な研修での運用にも適しているでしょう。
《Smart Boarding》のPOINT
- 満足度94% 70,000人利用中 動画研修+ライブレッスン受け放題
- 新入社員|管理職|コンプライアンス|ビジネスマナー等 幅広い内容
- 多機能LMS 学習管理 テスト レポート 自社用コース作成も簡単
「Smart Boarding」は、株式会社FCEトレーニング・カンパニーが提供する研修会社提供の社員教育プラットフォームです。用意されたコンテンツにオリジナル動画を組み込んだ自社独自のコース作成にも対応しています。短時間動画とオンライントレーニングの実施が可能で、インプットとアウトプットによる自己成長につながるでしょう。専任担当制のコンサルティングサポートも充実しており、人材育成の課題や求める人物像をふまえた教育制度の作成も支援します。
《学びばこ》のPOINT
- 自社教材が利用できる簡単操作のeラーニングシステムです。
- ユーザー登録数無制限!クラウド版・オンプレミス版あり!
- 安心サポート付き◎ 導入後も電話/メールでの問合せOK!
株式会社テクノカルチャーが提供する「学びばこ」は、パワーポイントやPDF、エクセル、mp4などさまざま形式のデータを教材として利用できます。教材だけの配信はもちろん、テストのみ、アンケートのみも対応しており、気軽に導入しやすいでしょう。Zoom連携オプションでは、ライブ研修やディスカッションなどで活用しやすく、複数拠点の研修にも適しています。なお、教材の作成代行や修正、編集も可能です。
さらに多くのeラーニングシステムについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。オリジナルの教材を配信できるeラーニングシステムを中心に、おすすめ製品を幅広く紹介しています。
自社のニーズにあったeラーニングシステムを導入しよう
介護職向けeラーニングシステムを導入することで、職員は自身のスケジュールにあわせて研修を受講できます。経営者側は何度も対面研修を開催する必要がないため、負担や手間の軽減につながるでしょう。
自社に適したeラーニングシステムを導入するために、まずは各社製品にどのような特徴や機能があるか詳しく知ることからはじめるとよいでしょう。この記事から各社製品の資料を一括請求ができるので、eラーニングシステムの比較検討にぜひお役立てください。