ES調査サービスの導入で想定とずれる背景
ES調査とは、従業員が職場や仕事に対してどう感じているかを把握するための調査です。サービスの導入で軽くなる工程と、そうでない工程を分けて把握しておきましょう。
仕組みで解決できる範囲を確認する
サービスによって軽くなりやすいのは、回答の収集、集計、グラフの作成、前回との比較といった定型的な作業です。一方、設問の設計、結果の解釈、改善策の検討は、業務や組織の状況を踏まえた判断が必要になります。
導入前に、現在かかっている時間を工程ごとに把握しておきましょう。収集と集計に多くの時間を使っているなら効果を見込めますが、分析と検討が中心なら別の対策も必要です。工程ごとの時間を記録しておくと、導入後の比較にも使えます。前回の実施を担当した人が残っていれば、実際にかかった日数を聞き取っておきましょう。
関係者の期待をそろえる
導入の目的が関係者の間で異なると、完了後の評価も分かれます。人事は集計の負担軽減を、経営層は課題の把握を、現場の管理者は自部門の状況把握を期待しているという状態は珍しくありません。
着手の段階で、解決したい課題と、完了時に確認する項目を文書にしておきましょう。集計にかかる日数、報告までの期間、回答率、改善策が実施された件数といった項目が候補です。数値で示せると、次年度の進め方を検討する際の説明にも使えます。
分析業務の属人化が残る理由
サービスを導入しても、分析の内容を特定の担当者しか説明できない状態が続くことがあります。
分析の手順が記録されていない場合
どの項目をどう組み合わせて見たか、どの区分で比較したかという判断は、担当者の頭の中にとどまりやすい部分です。記録がないと、担当者が変わった際に同じ観点で読み取れなくなります。
対策としては、分析の観点を様式にまとめる方法があります。全社で毎回確認する項目、部門別に見る項目、前回と比較する項目を決めて記載しておきましょう。サービスを選ぶ際は、集計の条件を保存して次回も同じ形で出力できるか、作成した資料の様式を再利用できるかを確認してください。
解釈の基準が共有されていない場合
数値をどう評価するかという基準がないと、担当者ごとに読み取りが変わります。前回より数値が下がった項目をどう扱うか、どの水準を課題と見なすかは、あらかじめ決めておくと判断がそろいます。
基準は、社内の過去の推移や、調査を提供する事業者が示す比較の目安を参考に設定できます。ただし、比較の目安は対象とする企業の範囲や調査方法によって条件が異なるため、算出の前提を確認したうえで参考としてください。決めた基準は文書に残し、報告資料にも記載しておくと、受け取る側の理解も進みます。
紙のアンケートから切り替える際の課題
紙による調査から画面での回答へ移行する過程では、回答者と運営の双方に変化が生じます。
回答できる環境がそろわない場合
業務用の端末を持たない従業員がいる職場では、画面での回答へ切り替えるだけでは回答できない人が出る可能性があります。共有端末の設置場所や利用できる時間帯も、回答率に影響します。
移行の前に、対象者の勤務形態と使える端末を確認しておきましょう。個人の端末から回答してもらう場合は、その扱いについて社内の方針を確認する必要があります。当面は紙による回答を併用する方法もありますが、その場合は集計をどう合わせるかを決めておきましょう。
運営の手順を作り直していない場合
紙の時代の手順をそのまま持ち込むと、サービスの機能を活かせない場合があります。例えば、集計後に手作業で資料を作り直す工程が残ると、削減できるはずの時間が減りません。
移行を機に、実施から報告までの手順を書き出して見直しましょう。どの工程がサービス側で完結するか、どこから人が判断するかを整理します。手順は文書にまとめ、複数の担当者が参照できる場所に保管してください。初年度は想定どおりに進まない部分も出るため、実施後に振り返って手順を更新する機会を設けておくとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でES調査サービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
回収率が伸びない理由
回答が集まらない背景には、複数の要因が考えられます。順に確認していきましょう。
回答の負担と時期の要因
設問が多いと、途中で離脱する回答者が出る可能性があります。所要時間の目安を案内に記載し、途中で保存して再開できる仕組みがあるかを確認しましょう。回答の期間が繁忙期と重なっている場合も、回答率へ影響します。
設問を見直す際は、毎回必ず聞く項目と、その回だけ聞く項目を分けて整理します。前回と比較したい項目は残す必要があるため、追加する分だけを調整する形が現実的です。実施の時期についても、部門ごとの繁忙期を確認したうえで設定してください。前回の回答状況を期間別に確認できると、離脱が起きやすい設問の位置も見えてきます。
目的と結果の使い道が伝わっていない要因
回答しても何も変わらないという受け止めがあると、回答への意欲は下がります。前回の結果を受けて何が変わったかが共有されていないと、この状態が続く可能性があります。
対応としては、調査の案内に目的と結果の使い道を明記し、前回実施後の取り組みをあわせて伝える方法があります。匿名で扱う範囲についても、案内の中ではっきり示しておきましょう。回答内容が誰に見られるのかが分からない状態では、率直な回答を得にくくなります。実施後の報告時期も、案内の段階で示しておくと信頼につながります。改善の取り組みが進んでいる途中であれば、その経過を伝えるだけでも受け止め方は変わります。
回答が集中する時期の処理
締め切り前後に回答が集まると、集計や画面の表示に時間がかかる場合があります。
集中を見込んだ確認
回答は締め切り直前に集まる傾向があるため、その時間帯の処理について確認しておきましょう。想定する対象者数と、回答期間の長さを伝えて、対応の考え方を聞いておくと見通しが立ちます。
あわせて、回答状況を確認する画面の更新頻度も見ておきましょう。集計結果が即時に反映される仕組みか、決められた頻度で更新される仕組みかによって、締め切り直前の状況把握の仕方が変わります。稼働状況の公開方法と、問題が生じた際の連絡手段も確認しておくと安心です。締め切りを延長する必要が生じた場合の手順も、あらかじめ決めておきましょう。
運用側で分散させる工夫
締め切りへの集中を和らげるには、案内の出し方を工夫する方法があります。回答期間を十分に取り、期間の途中で複数回の案内を送ると、回答の時期を分散できる場合があります。
部門ごとに回答期間をずらす方法もありますが、期間の差が回答内容へ影響しないかは検討が必要です。未回答者だけへ案内を送る機能があるかも確認しておきましょう。全員へ繰り返し案内を送ると、すでに回答した人にとって負担となる可能性があります。未回答者を特定できる仕組みが匿名の扱いとどう両立しているかも、選定時にあわせて確認しておきましょう。
紙からの切り替えを進めたい従業員満足度調査サービス
回答の集め方や集計の手順を作り直す際は、対応できる回答手段を確認しておきたいところです。移行を検討したいサービスを紹介します。
ラフールサーベイ
- 導入アカウント数累計350,000!
- 自社の課題に合わせた豊富な対策パッケージ!
- 使い慣れない方にも安心の徹底サポート!
株式会社ラフールが提供する「ラフールサーベイ」は、従業員の状態や職場の環境を把握するための調査サービスです。回答の収集から集計、結果の確認までをサービス上で進められるため、紙で実施していた工程を置き換える検討ができます。対応している回答手段と、集計の様式を事前に確かめておきましょう。
Wevox
- 月額9万円〜全機能利用可能!初期費用・契約期間の縛りなし。
- AIサポートや他社比較など、データの分析に役立つ機能が豊富。
- 実名閲覧やセキュリティ設定、活用支援...多様なオプションあり
株式会社アトラエが提供する「Wevox」は、従業員の状態を短い設問で定期的に把握するための調査サービスです。設問数を抑えた形での実施を想定した作りのため、回答の負担を減らしたい場合の材料になります。実施の頻度と回答率の見方を、運用の設計とあわせて確認しましょう。
モチベーションクラウド
- 13,460社、589万人以上国内最大級のデータベース
- 組織の「現状把握」から「成果改善」までを伴走支援
- 経営と現場をつなぐオールインワンのサービス
株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」は、従業員の意識や組織の状態を把握し、改善の検討につなげるためのサービスです。調査の実施と結果の確認を一つのサービスで扱えます。実施後の進め方まで含めて相談したい場合の選択肢になります。
従業員エンゲージメント調査代行サービス (株式会社東海共同印刷)
- Webと紙で実施可能、PC環境に左右されず意見を収集。
- データ化で部署や世代の課題を見える化。
- 調査・改善提案・フォロー、ギャップ考慮の施策をサポート。
ES調査に関するFAQ
ES調査サービスの導入でつまずきやすい点について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 分析まで自動で行えますか?
- 集計やグラフの作成は自動化しやすい工程です。一方、結果の解釈や改善策の検討は組織の状況を踏まえた判断が必要になるため、観点や基準を様式にまとめておくとよいでしょう。
- Q2: 紙の回答と画面の回答を併用できますか?
- 対応の可否はサービスによって異なります。併用する場合は、紙の回答をどう取り込み、集計をどう合わせるかを事前に決めておきましょう。
- Q3: 回収率を上げるにはどうすればよいですか?
- 設問数と所要時間の見直し、実施時期の調整、目的と結果の使い道の周知が考えられます。前回の結果を受けた取り組みをあわせて伝えると、回答への理解を得やすくなります。
- Q4: 締め切り前に回答が集中しても問題ありませんか?
- 想定する対象者数と回答期間を伝えて、対応の考え方を確認しておきましょう。期間の途中で案内を送り、回答の時期を分散させる工夫もあわせて検討してください。
まとめ
ES調査サービスの導入が想定とずれる背景には、仕組みで解決できる範囲の認識、分析の観点と基準の記録、回答できる環境の整備、案内の内容という要素があります。属人化を避けるには集計条件の保存と観点の様式化、回収率には設問量と周知の見直しが有効です。導入前の数値を記録しておくと効果の確認もしやすくなります。自社の状況を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。


