ロードバランサの信頼性を判断する材料の整理
信頼性への不安は、何を確かめればよいかが見えないことから生じる場合があります。不安の種類ごとに、確認できる情報源と見るべき点を整理すると、判断の手順が明確になります。ここでは、確認の材料を4つの不安に分けて示します。
| 不安の種類 | 確認できる情報源 | 見る点 |
|---|---|---|
| 障害 | 稼働状況の公開ページ、障害の報告、契約書 | 復旧までの対応、品質保証の条件 |
| 情報漏えい | 脆弱性情報、提供元の発表 | 修正の方針、自社での設定と運用 |
| サービス終了 | 提供期間やサポート期間の案内 | 終了の告知方法、移行の支援 |
| 実績や口コミ | 公開資料、レビューサイト | 数字の根拠、投稿者の環境 |
信頼性を可用性や継続性などに分けて考える
信頼性は、止まりにくさを示す可用性、情報を守る安全性、長く使い続けられる継続性といった要素に分けて考えられます。どれを重視するかは、利用目的によって異なります。
例えば、止められないサービスの前段に置くなら可用性が、個人情報を扱う通信を通すなら安全性が重要です。自社の優先順位を先に決めておくと、製品を比較するときの軸がぶれません。要素ごとに確認する項目が異なるため、分けて整理しておくと、質問の抜けを減らせます。
公開されている情報と非公開の情報を区別する
障害の履歴や不具合の情報は、すべてが公開されているとは限りません。提供元が公開している情報、契約後に開示される情報、公開されていない情報を区別して把握しましょう。
非公開の情報は、ベンダーへの質問で確かめられる場合があります。質問に対する回答の内容や速さも、提供元の姿勢を知る手がかりです。
回答は書面で受け取り、社内で共有して判断の根拠にしましょう。確認できなかった項目は空欄にせず、未確認として残しておくと安心です。
確認結果を記録して比較できる形にする
確認した内容は、製品ごとに同じ項目で記録しましょう。項目がそろっていないと、情報が多い製品が良く見えるなど、比較にゆがみが生じる場合があります。
確認の日付と情報源も、あわせて残しましょう。情報は更新されるため、いつ時点の内容かが分かると、あとから見直す際に役立ちます。
社内の稟議や説明の資料にも、そのまま使えます。記録の様式を社内で統一しておけば、担当者が代わっても、同じ水準で比較を続けられます。
障害履歴から信頼性を見極める方法
障害の履歴は、信頼性を判断する材料の一つです。ただし、障害が起きたかどうかだけでなく、起きたときの対応や公表の姿勢を見ることが、判断の精度を高めます。確認の流れを整理します。障害の履歴は、探し方と見方の2段階で確かめましょう。
- ■公開情報の確認
- 稼働状況のページや障害の報告が公開されているかを調べる
- ■対応内容の確認
- 原因、復旧までの経緯、再発の防止策が示されているかを見る
- ■契約条件の確認
- 品質保証の内容と、対象外となる条件を確かめる
- ■自社側の備えの確認
- 冗長構成や切り戻しの手順を用意できるかを検討する
公開情報から障害履歴を探す方法
クラウド型の場合は、提供元が稼働状況のページを公開している場合があります。過去の障害の報告が確認できるか、検索しやすい形で残されているかを調べましょう。
機器やソフトウェアの場合は、不具合の情報や更新の履歴が、提供元の資料で確認できる場合があります。公開情報が見つからないときは、ベンダーに問い合わせ、どの範囲の情報が開示されるかを確かめましょう。探した範囲と結果を記録しておくと、あとで同じ調査を繰り返さずに済みます。
障害の件数より対応の内容を見る観点
どの製品やサービスでも、障害が起こる可能性はゼロではありません。そのため、件数だけを比べるよりも、起きたときにどう対応したかを見るほうが、判断の助けになります。
原因が具体的に説明されているか、復旧にかかった時間が示されているか、再発を防ぐ取り組みが公表されているかが基準です。情報が少ないこと自体は、すぐに問題を意味しませんが、質問して確かめておきましょう。回答の具体性も、提供元の姿勢を知る手がかりとなります。
品質保証の条件と自社側の備え
稼働率などの品質保証が契約に示されている場合は、数値の算出方法と、対象外となる条件を確認しましょう。計画された保守の時間が除外されるなど、条件は契約によって異なります。
保証があっても、障害の発生そのものをなくせるわけではありません。自社の側でも、ロードバランサを冗長構成にする、障害時の連絡先と手順を決めておくといった備えが必要です。
保証の内容と備えを組み合わせて考えましょう。障害時の手順は、定期的に見直して、関係者に共有しておくと安心です。
顧客データの漏えいに備えたセキュリティの確認
ロードバランサは、利用者とサーバーのあいだの通信を扱う機器です。漏えいの事例の有無を探すだけでなく、脆弱性への対応方針と、自社での設定や運用を確認することが、備えにつながります。確認の観点を3つに分けて見ていきます。
脆弱性情報や注意喚起を調べる
脆弱性とは、悪用される可能性のある、ソフトウェアや機器の弱点のことです。国内では、JPCERT/CCとIPAが運営する脆弱性情報のデータベースなど、公的な機関が情報を公開しています。
利用を検討する製品名で検索し、過去の脆弱性の情報と、修正の対応を確認しましょう。脆弱性が見つかること自体は、どの製品でもありえます。修正プログラムが提供されているか、告知が迅速かといった対応の内容が重要です。
通信を扱う機器としてのリスクを理解する
ロードバランサが暗号化通信の終端を担う場合、通信の内容は機器の内部で復号されます。そのため、機器の管理者権限や、ログに残る情報の扱いに注意が必要です。
管理画面へのアクセスを限定する、操作の履歴を残す、ログに個人情報が含まれないよう設定するといった対策があります。自社の個人情報の取り扱い方針とあわせて、設定を確認しましょう。
判断が難しい場合は、情報システム部門に相談してください。設定の変更には、複数の担当者による確認を取り入れると、誤りに気づきやすくなります。
提供元の対応方針と自社の運用を確認する
提供元には、脆弱性の連絡窓口や、修正プログラムの提供方針、更新情報の通知方法を確認します。サポートの期間中に、セキュリティ更新が提供されるかも重要な点です。連絡窓口が日本語で対応できるか、受付時間が自社の運用時間にあうかも、あわせて確かめましょう。
自社側では、更新を適用する担当と手順を決めておきましょう。更新を放置すると、公開された脆弱性への備えが不十分になる場合があります。定期的に更新情報を確認する運用を、あらかじめ整えておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でロードバランサの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
サービス終了に備える継続性の確認ポイント
製品やサービスには、提供やサポートの終了が設けられている場合があります。終了の事例を探すよりも、終了の方針をどう告知し、移行をどう支援するかを確認すると、継続性を判断しやすくなります。
| 用語 | 意味 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 販売終了 | 新規の販売を終える | 既存の利用者への影響 |
| サポート終了 | 修正や問い合わせ対応を終える | 期限と、延長の有無 |
| サービス終了 | クラウドなどの提供自体を終える | 告知の時期、データの扱い |
提供期間とサポート期間の確認
機器やソフトウェアには、販売を終える時期と、サポートを終える時期が別に設けられている場合があります。購入の時点で、サポートがいつまで受けられるかを確認しましょう。
クラウド型の場合は、サービスの提供期間や、終了時の告知の時期が契約に示されているかを見ます。後継の製品がある場合は、移行の方法と費用の考え方も、あわせて聞いておくと安心です。確認した期限は、社内の管理表に登録し、更新の計画に反映しておきましょう。
設定情報の保管と移行計画の備え
終了や乗り換えに備えて、設定情報を書き出して保管しておきましょう。設定の一覧や構成図があれば、別の製品へ移行するときにも、再現すべき内容を把握できます。
設定をファイルとして書き出せるか、他の製品でも使える形式かも確認したい点です。移行にかかる期間の目安を持っておくと、終了の告知を受けたときも、計画を立てやすくなります。
保管した設定情報は、変更のたびに更新し、最新の状態を保ちましょう。保管場所の権限管理にも注意が必要です。
乗り換えやすさを左右する要素
製品独自の機能やスクリプトに多く依存していると、別の製品へ移行するときの作業が増える場合があります。標準的な機能を中心に設定すると、移行の負担を抑えやすくなります。
契約の解約条件や、最低利用期間、解約時のデータの扱いも確認しておきましょう。契約書の内容は、法務や購買の担当者にも確認してもらうと、見落としを減らせます。乗り換えの可能性は低くても、選定の段階で確認しておくと、将来の選択肢を広げられます。
導入実績の数字と口コミの読み方
導入実績の数字や口コミは参考になりますが、そのまま信頼性の証拠とは限りません。数字の意味や、投稿者の環境を確認し、自社の条件に照らして読むことが、判断の精度を高めます。ここでは、数字の見方と口コミの活用方法を整理します。
導入実績の数字が何を示すか確かめる
導入実績の数字には、契約した企業の数、出荷した台数、利用中のアカウント数など、さまざまな意味があります。何を数えた数字なのか、いつ時点なのかを確認しましょう。
数字の出典や集計の方法が示されているかも、根拠を判断する材料です。示されていない場合は、ベンダーに質問できます。
数字の大きさより、自社と似た条件の利用例があるかに注目すると、参考にしやすくなります。回答は、他の製品に尋ねた内容と同じ項目で比べると、判断しやすくなります。
口コミを投稿者の環境とあわせて読む
口コミは、投稿者の使い方や環境、製品のバージョン、投稿の時期によって、内容が大きく変わります。評価の高低だけでなく、どのような条件での感想かを確認しましょう。同じ製品でも、構成や設定によって評価が分かれる場合があります。
少数の意見だけで判断せず、複数の情報源を見比べることが大切です。投稿が古い場合は、現在の製品では改善されている場合もあります。内容を操作性、サポート、費用、連携などの項目に分けて整理すると、見比べやすくなります。
口コミで挙がった点を自社で検証する
口コミで気になる点があれば、そのままにせず、自社の条件で確かめましょう。ベンダーへの質問や、デモ、試用を通じて、実際の挙動を確認できます。
確認の結果は、口コミの内容とあわせて記録します。懸念が自社の環境で当てはまるかを判断できれば、不安を具体的な判断材料に変えられます。
導入後の運用でも、確認した項目を見直しの基準として活用できます。検証の結果を関係者で共有すれば、導入の判断にも説得力が出ます。
信頼性の確認材料をそろえる製品
信頼性は、公開情報や資料で確かめることが重要です。ここでは、提供形態やサポート内容を確認できる製品を紹介します。
ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応。
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、UTMにロードバランサ機能を持たせた製品です。運用監視、オンサイト保守、設定変更に対応する体制が案内されており、障害の検知や切り分け、復旧対応までのサポート内容を確認できます。ロードバランサ機能はバランシングとSSLオフロードに対応しています。品質保証の条件や対応時間、対応の範囲は、契約前に書面で確かめましょう。
KempLoadMaster (プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社)
- FIPS 140-2レベル1およびコモンクライテリア認定取得
- Web UIとAPIによるシンプルなアプリ配信管理
- ダッシュボードで詳細な分析情報とテレメトリを提供
Azure Load Balancer (日本マイクロソフト株式会社)
- 自動スケーリングによる高い可用性
- リージョンを冗長化しアップタイムを延長
- 750時間分を無料で利用可能
BIG-IP Local Traffic Manager(LTM) (エフファイブ・ネットワークス・ジャパン合同会社)
- トラフィックをリアルタイムに監視
- TCPとコンテンツオフロードでページ読み込み時間を大幅短縮
- クラウドやハードウェアなど複数の導入形態に対応
ロードバランサに関するよくある質問
ロードバランサの信頼性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:信頼性の確認は、導入のどの段階で行うべきですか?
- A:製品を比較する段階で、公開情報やベンダーへの質問を通じて確認するのが基本です。契約前に、品質保証やサポートの条件を書面で確かめておきましょう。
- ■Q2:信頼性を高めるために、自社でできる備えはありますか?
- A:冗長構成の検討、障害時の連絡先と手順の整備、設定情報の定期的な保管などがあります。提供元の保証だけに頼らず、自社の運用も整えましょう。
- ■Q3:ベンダーに信頼性を問い合わせるとき、何を質問しますか?
- A:障害時の対応の流れ、情報の公開方針、修正プログラムの提供方針、サポート期間の案内などを質問しましょう。回答は書面で受け取り、製品間で比較できるよう同じ項目で記録します。
- ■Q4:導入後も信頼性を保つには、何を続ければよいですか?
- A:更新情報の確認、設定の記録の見直し、障害時の対応手順の訓練などを継続しましょう。担当者が代わっても続けられるよう、役割を複数人で共有します。
まとめ
ロードバランサの信頼性に不安があるときは、障害履歴、セキュリティ、継続性、導入実績と口コミの順に、確認できる材料をそろえましょう。件数や評価の高低だけで判断せず、対応の内容や根拠、自社の条件との合致を見ることが大切です。確認した内容を記録しておくと、製品の比較にも役立ちます。複数の製品の資料請求から、比較を始めてみてください。

