ロードバランサが使いやすいと感じる条件
使いやすさは担当者の経験や運用の体制によって感じ方が変わるため、評価の基準をそろえることが大切です。ここでは、使いやすさを分ける観点と、シンプルさとの関係を整理します。最初に基準を決めておくと、製品ごとの違いを比べやすくなります。
- ■操作
- 管理画面で設定や確認を迷わず行えるか
- ■設定
- 初期設定や変更の手順が少なく、手順書を用意しやすいか
- ■運用
- 状態の確認や障害時の対応を、担当者が続けやすいか
使いやすさを分ける3つの基準
使いやすさは、操作、設定、運用の3つに分けると評価しやすくなります。操作は管理画面の見やすさ、設定は手順の少なさ、運用は日々の確認や障害が起きたときの対処のしやすさを指します。
この3つを基準にすると、「使いやすい」という感覚的な言葉を、確認できる項目に置き換えられます。また、基準ごとに重みをつけると、自社が重視する点が明確になります。製品を比較するときも、同じ基準で質問や試用を行えば、結果を並べて見られます。
担当者の経験で変わる使いやすさ
ネットワークに詳しい担当者は、コマンドで細かく設定できる製品を好む場合があります。一方、サーバーやネットワークの経験が少ない担当者は、画面で手順を追える製品のほうが続けやすい傾向です。
そのため、誰が日常の運用を担うのかを先に決めておく必要があります。担当者のスキルと、異動や退職があった場合の引き継ぎも想定し、特定の人にしか扱えない状態を避ける観点が重要です。研修の機会や、分かりやすい資料の有無も確認材料です。
機能の多さと簡単さの関係
機能が多い製品は、設定できる項目も多くなり、画面や手順が複雑になる場合があります。反対に機能を絞った製品は、設定が少なく迷いにくい一方で、将来の要件に対応できない場合があります。
簡単さだけで選ぶと、あとから機能が不足する恐れがあります。今必要な機能と、数年内に必要になりそうな機能を分けて整理し、そのどちらも満たす範囲でシンプルな製品を探しましょう。判断に迷う場合は、ベンダーに将来の拡張性を質問します。
シンプルで使いやすいロードバランサの条件
シンプルなロードバランサとは、自社で必要な機能に絞られ、設定の項目が少ない製品を指します。必要な機能の絞り込み方、提供形態による運用の手間、振り分け方式の選び方を解説します。迷ったときは、自社の要件から逆算して考えましょう。
必要な機能の絞り込み
ロードバランサには、L4とL7という2つの振り分けの考え方があります。L4はIPアドレスとポート番号をもとに振り分ける方式で、L7はURLやヘッダーなど通信の中身を見て振り分ける方式です。
アクセスを均等に振り分けるだけなら、L4で足りる場合があり、設定も少なくなります。URLごとに振り分け先を変えたい場合は、L7に対応した製品が必要です。
まず自社の要件を書き出しましょう。要件が定まれば、不要な機能への費用も抑えられます。
提供形態ごとの運用の手間
ハードウェア型は専用機器で、設置や配線、機器の保守の手間がかかります。ソフトウェア型はサーバーに導入するため、動作させる環境の構築と、更新作業を自社で担う必要があります。
クラウド型は機器の管理を事業者に任せられるため、運用の手間を抑えやすい場合があります。ただし、設定できる項目や連携できる範囲は異なります。
担当者の人数と作業時間にあわせて、形態を選びましょう。あわせて、保守や更新が誰の作業になるかも確かめます。
負荷分散方式の選びやすさ
負荷分散方式とは、アクセスをどのサーバーへ振り分けるかを決めるルールです。順番に振り分けるラウンドロビンや、接続数が少ないサーバーへ振り分ける最小接続数方式などがあります。ほかにも、サーバーの性能差に応じて割合を変える方式があります。
初めて導入する場合は、既定の方式で運用を始められるかが確認点です。方式の変更が画面から簡単に行え、変更前後の挙動を確認できると、運用しながら調整しやすくなります。選択肢の説明が分かりやすいかも見ておきましょう。
操作が簡単かを見極める管理画面の確認点
ロードバランサの操作が簡単かどうかは、管理画面で多くが決まります。画面の形式、設定内容の確認や修正のしやすさ、状態の見え方を、実際の画面で確かめましょう。カタログの表記だけでは分からない部分のため、試用でも確かめたい点です。
画面操作とコマンド操作の違い
管理画面には、ブラウザで操作するGUIと、文字で命令を入力するCLIがあります。GUIは項目を選びながら進められるため、経験が少ない担当者でも手順を追いやすくなります。初めて扱う担当者には特に大切な点です。
CLIは、同じ操作を繰り返したり、まとめて設定したりする場面で便利です。製品によって、片方のみ対応する場合と両方に対応する場合があります。自社の担当者が使い慣れた方法を、先に確認しておきましょう。
設定の確認と修正のしやすさ
設定を間違えたときに、変更の履歴を確認できるか、元の状態に戻せるかは、安心して運用するための条件です。変更した日時や担当者が残る製品は、原因の調査にも役立ちます。履歴は、監査や社内への報告の際にも使えます。
設定内容を一覧で見られるか、設定をファイルとして保存して複製できるかも比較したい点です。誤った変更をすると通信に影響が出る場合があるため、変更前に確認画面が表示されたり、試験的に反映できたりする仕組みがあると安心です。
状態の見える化と通知
ダッシュボード(状況を一画面にまとめた画面)で、振り分け先の稼働状況や接続数をひと目で確認できると、日常の運用が楽になります。異常があったときに、メールなどで通知される機能も確認しましょう。
見たい項目を自社で選べるか、画面が日本語に対応しているかも、使いやすさに影響します。画面の項目が多すぎると、かえって異常に気づきにくくなる場合があります。画面の表示は、カタログだけでは判断しにくいため、デモや試用で実際に操作して確かめましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でロードバランサの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
初心者でも使いやすい初期設定の確認点
初期設定は、導入の最初の壁になりやすい作業です。初心者の担当者でも進められるかを、設定の流れ、手順を助ける仕組み、事前に用意する情報の3点から確かめましょう。担当者の経験にも左右されるため、事前に用意する情報もあわせて確認します。
初期設定で行う作業の流れ
初期設定では、一般にネットワークの設定、振り分け先サーバーの登録、振り分け方式の選択、ヘルスチェックの設定などを行います。こうした作業の数は、構成の複雑さによって変わります。ヘルスチェックとは、サーバーが正常に応答するかを定期的に確かめる機能です。
暗号化通信を扱う場合は、SSL証明書の登録も必要です。作業の数と順番を事前に把握しておくと、進め方を計画できます。製品ごとに必要な作業が異なるため、手順書の分量も比べてみましょう。
手順を助けるウィザードやテンプレート
ウィザードとは、画面の案内にしたがって項目を入力していくと設定が完了する仕組みです。手順書を読み込む時間も短縮できる場合があります。よくある構成のテンプレートが用意されていれば、一から設定する手間を減らせます。
ただし、案内に対応するのは製品が想定する構成に限られる場合があります。自社の構成が当てはまるか、当てはまらない場合にどこまで手作業になるかを、ベンダーに確認しましょう。テンプレートの内容を、あとから編集できるかも見ておきます。
導入前に用意しておく情報
初期設定を円滑に進めるには、事前に情報を集めておくことが有効です。サーバーのIPアドレスやポート番号、公開するサイトの名称、証明書のファイル、通知先のメールアドレスなどが該当します。
情報が不足していると、作業が途中で止まる場合があります。ネットワークの構成図を最新の状態にしておき、他部署や委託先が管理する情報は、早めに依頼しておきましょう。作業の前に、確認すべき項目の一覧を作ると進めやすくなります。
サポートが手厚いかを見極める方法
サポートが手厚いかどうかは、言葉だけでは判断できません。どの範囲を、どの時間帯に、どの方法で対応してもらえるかという基準で比べましょう。サポートの範囲を切り分けた表を示します。契約前に範囲を明確にしておくことが、導入後のトラブルの防止につながります。
| サポートの種類 | 内容 | 確認する点 |
|---|---|---|
| マニュアルの提供 | 設定方法や仕様を文書で確認できる | 日本語か、更新されているか |
| 問い合わせ窓口 | 疑問や不具合を相談できる | 対応時間と連絡手段 |
| 初期設定の支援 | 設定の進め方を案内してもらえる | 案内のみか、作業の代行も含むか |
| 運用の支援 | 障害時や変更時に対応を依頼できる | 追加費用の有無 |
サポート範囲の切り分け
「サポートが手厚い」という表現は、何を指すかが曖昧です。マニュアルの閲覧、問い合わせ窓口、初期設定の案内、設定作業の代行は別の内容であり、提供される範囲は製品や契約によって異なります。
初期設定の案内と、作業の代行は別のサービスです。自社の担当者が自分で設定する前提なのか、事業者に任せたいのかを決めたうえで、必要な範囲が契約に含まれているかを確かめましょう。追加費用が発生する場合もあるため、見積もりで確認します。
対応時間と連絡手段の確認
障害は、業務時間外に起こる場合もあります。問い合わせの受付時間が平日の日中のみか、夜間や休日も対応するかは、サービスの内容によって異なります。緊急度の高い障害の場合に、受付時間外でも連絡できる窓口があるかを確認します。
連絡手段が電話、メール、専用の問い合わせ画面のどれかも確認しましょう。緊急時と通常時で窓口が分かれているか、回答までの目安が示されているかも比較したい点です。海外の事業者の場合は、日本語での対応時間も確かめましょう。
試用やデモで確かめる手順
使いやすさは、実際に触れて確かめるのが確実です。試用環境やデモが用意されている製品なら、初期設定、振り分け先の追加、設定の変更といった日常の操作を試しましょう。試用の期間や、利用できる機能の範囲もあわせて確認します。
操作を担当者自身が行うと、画面の分かりにくい箇所が見つかります。試用中にサポートへ質問し、回答の速さや分かりやすさも確かめると、導入後の対応を想像できます。結果は比較表に記録しておきましょう。
運用の負担を抑えたい場合に比べる製品
担当者の負担を抑えたい場合を想定し、運用や保守の範囲、機能の構成を比較したい製品を紹介します。
ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応。
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、UTMにロードバランサ機能を持たせた製品です。UTMとは、複数のセキュリティ機能を1台にまとめた機器を指します。ロードバランサ機能は、バランシングとSSLオフロードに対応しています。導入から運用、保守までを一括して依頼でき、運用監視やオンサイト保守、設定変更の対応も用意されているため、専任の担当者を置きにくい場合の選択肢です。
Thunder® ADC (A10ネットワークス株式会社)
- 仮想アプライアンスやベアメタルなど多様な構成に適応
- SSL/TLS暗号処理を高速化し円滑にコンテンツを配信
- Harmony Controllerで全体を俯瞰的に管理
Load Balancer ADC Load Balancer ADC (バラクーダネットワークスジャパン株式会社)
- わずか1時間程度でセットアップ完了
- 複数の負荷分散方式に対応
- アクセラレーション機能によりロード速度を向上
ロードバランサに関するよくある質問
ロードバランサの使いやすさについてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:専門知識が少ない担当者でも、ロードバランサを運用できますか?
- A:画面で手順を追える製品や、設定のテンプレートがある製品であれば、経験が少ない担当者でも進めやすくなる場合があります。ただし、障害時の切り分けには一定の知識が必要です。サポートの範囲もあわせて確認しましょう。
- ■Q2:管理画面の使いやすさは、資料請求だけで判断できますか?
- A:カタログや資料だけでは、画面の操作感までは分かりにくい場合があります。デモや試用環境で、初期設定や設定変更といった日常の操作を試すと、実際の使い勝手を確かめられます。
- ■Q3:サポートが手厚い製品なら、設定の代行も受けられますか?
- A:サポートの内容は、マニュアルの提供、問い合わせ窓口、初期設定の案内、設定作業の代行など製品や契約によって異なります。代行が含まれるかどうかを、契約の前に文書で確認しましょう。
- ■Q4:機能が少なくシンプルな製品を選ぶと、あとで困りませんか?
- A:将来必要になる機能が不足する場合があります。今必要な機能と、数年内に必要になりそうな機能を分けて整理し、拡張の手段があるかをベンダーに確認すると、判断しやすくなります。
まとめ
使いやすいロードバランサは、操作、設定、運用という基準で見極められます。必要な機能に絞ったシンプルな製品か、管理画面は担当者にあうか、初期設定の手順は無理がないか、サポートの範囲が必要な内容を満たすかを確認してください。どの製品にも得意な点と注意すべき点があるため、自社の担当者が無理なく続けられるかを判断の軸にしましょう。複数の製品の資料を請求し、同じ基準で比較してみてください。

