ロードバランサの導入条件で不安が生じやすい点の整理
ロードバランサの導入条件は、ネットワーク環境、性能、社内の要件など複数の観点にまたがります。不安の多くは、確認すべき項目が見えていないことから生じるため、条件を先に洗い出しておくことが重要です。
環境とネットワークの前提を確認する
ロードバランサを設置するには、ネットワークの構成や設置場所、IPアドレスの割り当てなどの前提を確認する必要があります。ハードウェア型は機器を置く場所や電源、ソフトウェア型は動作する環境が条件になります。
クラウド型の場合は、利用中のクラウドとの相性や、通信の経路が条件に加わります。自社の構成図をベンダーに共有し、導入に必要な変更点を一覧にしてもらうと、見落としを減らせます。専門的な判断は、情報システム部門にも相談しましょう。
性能と冗長化の条件を整理する
同時接続数や通信量の上限、障害時の切り替えといった条件も確認が必要です。冗長化とは、機器を複数用意し、一方が停止してももう一方で処理を続けられるようにする構成です。
止められない時間帯や、許容できる停止時間を先に決めておくと、必要な構成を判断しやすくなります。提供形態によって、冗長化の費用や作業の負担が異なる点にも注意しましょう。将来のアクセス増加も見込み、台数を増やして拡張できるかも、あわせて聞いておくと安心です。
社内の要件を事前に整理する
セキュリティの基準、監査への対応、運用を担当する人員など、社内で決まっている要件も導入条件に含まれます。製品の仕様だけを見て選ぶと、あとから社内の基準を満たせないと分かる場合があります。
要件は、必須のものと、あれば望ましいものに分けて書き出しましょう。優先順位が明確になれば、ベンダーとの打ち合わせでも質問が整理されます。
この一覧が、以降の4つの不安を確認する土台です。関係部門の意見も、この段階で集めておきましょう。
国産ロードバランサでも対応が遅いと感じる場合の確認点
国産であることと、対応の速さが直接結びつくとは限りません。サポート体制や契約内容など複数の要素が関係するため、導入前に具体的な項目を確認して、不安を減らしましょう。確認項目を表にまとめます。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 問い合わせ窓口 | 電話、メール、専用の画面など、利用できる手段 |
| 受付時間 | 平日のみか、夜間や休日にも対応するか |
| 応答の目安 | 初回の返答までの時間が契約に明記されているか |
| 対応の範囲 | 設定の案内か、障害の調査か、作業の代行か |
| 販売経路 | 提供元に直接か、販売代理店を経由するか |
対応の速さを左右する要素
対応の速さは、提供元の国よりも、サポートの人員体制、受付時間、販売代理店を経由するかどうかなどに左右されます。国産か海外製かだけで判断することは避け、契約ごとの内容で確かめましょう。
代理店を経由する場合は、提供元への確認に時間がかかる可能性もあります。窓口が1か所か複数かも、事前に聞いておきましょう。障害時にどこへ連絡するかを、あらかじめ運用の手順に書いておくと、迷わずに動けます。
問い合わせ窓口と応答時間の確認
契約前に、問い合わせの手段と受付時間、初回の返答までの目安を確認しましょう。目安の時間が約款や契約書に明記されているか、努力目標にとどまるかも、確かめたい点です。
障害の重大度に応じて、対応の優先順位が決まっている場合もあります。自社の業務が止まる状況でどの程度の対応が受けられるかを、具体的な場面を想定して質問すると、回答を比較しやすくなります。回答は書面で受け取り、社内で共有しておきましょう。
修正プログラムと更新情報の扱い
不具合や脆弱性が見つかったときに、修正プログラムをどのような方針で提供するかも確認が必要です。脆弱性とは、悪用される可能性のある、ソフトウェアの弱点のことです。
更新情報の通知方法や、更新を適用する際の作業の分担も確かめましょう。自社で適用するのか、提供元が行うのかで、運用の負担が変わります。
更新の頻度と、停止を伴うかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。過去の更新の履歴を見せてもらうのも、参考になります。
ISMS対応の記載と導入条件の確かめ方
ロードバランサの紹介にISMS対応と書かれていても、その意味は文脈によって異なります。何が認証の対象なのかを分けて確認すると、導入条件との照らし合わせがしやすくなります。確認の流れは次のとおりです。
- ■認証の主体
- 提供する事業者が取得しているのか、製品に対する評価なのか
- ■認証の範囲
- 対象の拠点、部門、サービスに自社が利用するものが含まれるか
- ■認証の有効性
- 登録の状況や、更新の時期を確認できるか
- ■自社の要件
- 求められる基準が、認証の有無で満たされるのか
ISMS認証が対象とするものを理解する
ISMSとは、情報セキュリティマネジメントシステムの略で、組織が情報を守るための管理の仕組みを指します。国際規格のISO/IEC 27001にもとづく認証があり、組織の運用体制が審査されます。
この認証は、製品そのものの機能や安全性を保証するものではありません。ロードバランサの機能面のセキュリティは、別の観点で確認が必要です。認証の取得が、製品の仕様全体を示すわけではない点に注意しましょう。
認証の範囲を提供事業者に確認する
ISMS認証には、対象となる組織や拠点、サービスの範囲が定められています。ロードバランサの開発や運用、サポートの部門が、その範囲に含まれているかを確認しましょう。
認証の範囲は、事業者の公開情報や認証書の記載で確かめられる場合があります。確認できないときは、ベンダーに範囲の資料を請求しましょう。
クラウド型の場合は、クラウドサービス向けの規格に対応しているかも、質問の候補です。回答は、社内の確認資料として保存しておきましょう。
製品の機能要件は別に確かめる
社内の基準で求められるのは、組織の認証だけでなく、製品の機能であることも少なくありません。通信の暗号化、アクセスの制限、操作の記録といった機能が、要件を満たしているかを個別に確認します。
確認の際は、仕様書や管理画面の画面例で、機能の有無と設定方法を確かめましょう。ログの保存期間や、管理者の権限を分けられるかも、監査への対応で問われやすい点です。不明な点は書面で回答を得ておくと、後の確認に役立ちます。
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API必須の環境で導入条件として確認したい範囲
設定の自動化や他システムとの連携でAPIが必須の環境では、ロードバランサ側で使える範囲に制限がある場合があります。APIとは、外部のプログラムから機能を操作するための窓口のことです。導入前に確認したい項目を整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 操作の範囲 | 管理画面で行える設定が、APIでも実行できるか |
| 認証の方式 | 自社のシステムが対応できる認証方法か |
| 利用の制限 | 呼び出し回数や同時実行数に上限があるか |
| 仕様の変更 | 変更の事前通知や、旧版の提供期間があるか |
APIで操作できる範囲を確かめる
管理画面で行える設定のすべてが、APIで実行できるとは限りません。サーバーの登録や削除は可能でも、細かな振り分けルールの変更は画面からのみ、という場合があります。
自動化したい作業を先に書き出し、それぞれがAPIで実行できるかをベンダーに確認しましょう。仕様書が公開されている場合は、事前に自社で読み込み、必要な操作が含まれているかを見ておくと、確認が早く進みます。不足する操作があれば、代替の方法も相談しましょう。
認証方式と利用の制限を確かめる
APIを利用するには、認証の仕組みが必要です。トークンや証明書など、方式は製品によって異なります。自社の連携先システムが、その方式に対応しているかを確認しましょう。
呼び出し回数や同時に処理できる件数に上限がある製品もあります。自動化の頻度を見積もったうえで、上限に収まるかを確かめます。
上限に達したときの動作や、緩和の申請ができるかも、あわせて聞いておくと安心です。検証用の環境で実際に接続を試すと、課題を早く見つけられます。
仕様変更の告知と検証環境の有無を確認する
APIの仕様は、更新に伴って変わる場合があります。変更が事前に告知されるか、旧版がいつまで使えるかは、自動化の運用を続けるうえで重要な条件です。
変更の影響を確かめられる検証環境が用意されているかも確認しましょう。本番の設定を変えずに試せれば、自動化の処理を安全に見直せます。
検証用のライセンスや費用の考え方も、導入前に確認しておくとよいでしょう。確認の結果は、担当者が代わっても分かるよう記録しましょう。
カスタマイズを前提にした導入の不安への備え
独自の振り分けルールや処理を加えるカスタマイズを前提に導入すると、保守や更新で課題が生じる場合があります。標準機能で実現できる範囲を見極め、カスタマイズの扱いを事前に確認しておくことが大切です。
標準機能で実現できる範囲の見極め
やりたいことを標準の設定で実現できるのであれば、カスタマイズは不要です。まず、要件を一つずつ標準機能と照らし合わせ、実現できるものとできないものに分けましょう。
標準機能で足りない部分だけを、カスタマイズの候補にします。作り込みが増えるほど、検証や保守の負担も大きくなる傾向があります。
ベンダーに相談すれば、別の方法で目的を満たせると分かる場合もあります。要件を見直すだけで、カスタマイズを減らせる例も見つかるかもしれません。
カスタマイズが保守の対象になるかの確認
独自に追加したスクリプトや設定が、サポートや保守の対象に含まれるかは、製品や契約によって異なります。対象外の場合、不具合が起きたときに自社で調査する必要が生じます。
契約前に、カスタマイズ部分の相談がどこまで可能かを書面で確認しましょう。作成者以外も内容を理解できるよう、設計の意図や動作を文書に残しておくことも大切です。
属人化を避ける備えにもなります。口頭の回答だけでなく、契約書や仕様書の記載も確認しましょう。
バージョンアップ時の影響の整理
ロードバランサのバージョンアップで、カスタマイズ部分が動かなくなる可能性もあります。更新の前に、変更内容の資料を確認し、影響の有無を洗い出しましょう。
更新の際は、検証環境で動作を確かめてから本番に適用します。カスタマイズが多いほど確認の項目も増えるため、更新にかかる期間を見込んでおくと安心です。
更新の頻度と作業量を、運用の計画に含めましょう。更新の通知を誰が受け取るかも、決めておきましょう。
導入条件の確認に使いたい製品
導入条件を照らし合わせる材料として、提供形態や運用面の対応範囲が分かる製品を取り上げます。自社の要件とあわせて確認してください。
ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応。
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、UTMにロードバランサ機能を持たせた、オンプレミスのハードウェアとして提供される製品です。設置場所や既存の機器との関係は導入条件として事前に確認したい点で、ロードバランサ機能はバランシングとSSLオフロードに対応しています。運用監視やオンサイト保守、設定変更まで含めて依頼できるため、運用体制に不安がある場合の確認材料になります。APIやカスタマイズの対応範囲は、個別に確認しましょう。
KempLoadMaster (プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社)
- FIPS 140-2レベル1およびコモンクライテリア認定取得
- Web UIとAPIによるシンプルなアプリ配信管理
- ダッシュボードで詳細な分析情報とテレメトリを提供
NGINX Plus (エフファイブ・ネットワークス・ジャパン合同会社)
- HTTP・TCP・UDPのトラフィックをロードバランシング
- コンテンツキャッシュによる負荷軽減・可用性向上
- 30日間の無料トライアルが提供
BIG-IPLocalTrafficManager (エフファイブ・ネットワークス・ジャパン合同会社)
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- 通信保護と性能向上を実現。
- 詳細ログと分析機能でトラフィック状況を可視化。
ロードバランサに関するよくある質問
ロードバランサの導入条件についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:導入条件の確認は、どの部署と進めればよいですか?
- A:ネットワークやセキュリティを担当する情報システム部門に加え、運用を担う部門や購買部門と進めると抜けが減ります。社内の基準が関わる項目は、早い段階で共有しましょう。
- ■Q2:ベンダーに確認した内容は、どう残せばよいですか?
- A:質問と回答を書面やメールで残し、確認した日付も記録しましょう。口頭の回答だけだと、後から食い違いが生じる場合があります。
- ■Q3:導入条件を満たせない項目が見つかったらどうしますか?
- A:代替の方法がないか、ベンダーに相談しましょう。要件の優先順位を見直す、別の提供形態を検討するなどの選択肢もあります。
- ■Q4:試用や検証の環境は、導入条件の確認に役立ちますか?
- A:役立つ場合があります。自社の構成に近い環境で操作や連携を試すと、資料だけでは分からない制約に気づけます。試用の範囲や期間は、ベンダーに確認しましょう。
まとめ
ロードバランサの導入条件で不安を感じたときは、環境や性能、社内要件を整理したうえで、4つの不安を順に確認しましょう。国産製品の対応はサポート体制を、ISMS対応は認証の範囲を、APIは操作範囲と制限を、カスタマイズは保守の対象を見ると確かめられます。不明点は書面で回答を得るのが安心です。まずは複数の製品の資料請求から、条件を比較してみてください。

