メール誤送信が起こる背景
対策を見る前に、なぜ起こるのかを押さえておきましょう。要因が分かると、どの方式が自社に合うかも判断しやすくなります。
誤送信が生じる要因
宛先の入力補助によって、似た名前の別人が候補として表示され、そのまま選んでしまう場合があります。返信の操作で意図せず関係者全員に送ってしまう、複数の相手に一斉送信する際に宛先の設定を誤るといった状況も起こり得ます。
添付ファイルの取り違えも要因の一つです。似たファイル名の資料が複数ある、更新前の版を選んでしまうといった形で生じます。いずれも意図的な行為ではなく、手順の中で確認が抜け落ちることによって起こる点が共通しています。
注意喚起だけでは防ぎにくい理由
確認を徹底するよう呼びかける取り組みは行われていても、それだけで防ぎきることは難しい領域です。繁忙期や急ぎの連絡が重なる場面では、確認の工程が省略されやすくなります。
担当者の経験によっても差が生じます。新任者は宛先の候補を見分けにくく、慣れた担当者は操作が速い分だけ確認が形骸化することもあります。人の注意力だけに頼らず、手順の中に確認の工程を組み込む考え方が求められます。
対策方式から見た導入場面
事例で採用されている方式は、大きく三つに分かれます。それぞれで業務への影響が異なります。
送信前に確認画面を挟む方式
送信の操作をした時点で、宛先や添付ファイル、本文の一部を一覧で示し、確認のうえで送信させる方式です。社外の宛先を色分けして示す、添付ファイルの名称を大きく表示するといった工夫が施された製品もあります。
送信までの時間はほとんど変わらないため、業務への影響を抑えやすい方式です。一方で、画面が表示されることに慣れると、内容を見ずに次へ進んでしまう可能性もあります。社外宛や添付付きに限って表示するなど、対象を絞って重みを持たせる運用が採られることもあります。
一定時間送信を保留する方式
送信の操作をした後、決めた時間だけ実際の送信を待ち、その間であれば取り消せる方式です。送信直後に気づいた場合に、自分で対処できる点が特徴です。
保留の時間をどう設定するかが検討点になります。長くすれば取り消せる余地が広がりますが、急ぎの連絡が遅れる要因にもなります。数分程度に設定し、緊急時は即時送信できる例外を用意する構成が採られる場合もあります。相手先との連絡の速さが求められる部署では、影響を確認したうえで設定しましょう。
上長の承認を求める方式
送信の前に上長が内容を確認し、承認された後に送信される方式です。第三者の目が入るため、本人が気づきにくい誤りにも対処できる可能性があります。
一方で、承認者の負担が大きくなり、承認までの待ち時間も生じます。すべてのメールを対象にすると業務が滞るため、機密情報を扱う部署や、社外への一斉送信に限って適用する運用が採られます。承認者が不在の際に代理を立てられるかも、確認しておきたい項目です。
部門から見た適用の考え方
同じ製品でも、どの範囲に適用するかで現場の受け止めが変わります。二つの考え方を確認します。
全社に一律で適用する場合
全従業員を対象に同じ設定を適用する形です。運用がそろうため管理が分かりやすく、部署による対応の差も生じません。周知も一度で済みます。
一方で、業務の性質が異なる部署にも同じ制約がかかります。取引先とのやり取りが速さを求められる部署では、保留や承認の工程が負担になる場合があります。導入前に各部署の業務の流れを確認し、影響が大きい部署がないかを見ておきましょう。
部門や条件を絞って適用する場合
機密情報を扱う部署から始める、社外宛や添付付きに限って適用するといった形です。影響を抑えながら、必要な範囲に対策を届けられます。
設定が部署ごとに分かれるため、管理の手間は増えます。誰がどの設定になっているかを把握できる仕組みが必要です。まず一部の部署で試し、運用の課題を整理してから範囲を広げる進め方も、事例では多く採られています。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でメール誤送信対策ソフトの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入事例を読み解く際の着眼点
公開されている事例をそのまま自社に当てはめると、想定と異なる結果になることがあります。読む際に確認したい点を二つ挙げます。
業務への影響と現場の受け止め
事例では効果が中心に語られますが、現場でどのような調整を行ったかまで書かれているとは限りません。保留の時間をどう決めたか、承認の対象をどこまでにしたかといった設定は、業務の負担に直結します。
自社と比べる際は、メールの送信件数、社外とのやり取りの頻度、求められる連絡の速さを照らし合わせましょう。同じ設定でも、業務の性質が異なれば受け止め方は変わります。可能であれば、一部の部署で試用して実際の影響を確かめる進め方が確実です。
効果の測り方と前提
誤送信が減ったという記述があっても、何をもって測っているかは事例によって異なります。実際に送ってしまった件数なのか、送信前に取り消した件数なのかで意味が変わります。
取り消した件数は、対策が働いた回数として捉えられます。一方、報告されていない事案が含まれていない可能性もあります。導入前の状況を記録しておくと比較しやすくなります。どの指標で確認するかは、導入の目的に沿って決めましょう。
自社に当てはめる進め方
事例を踏まえて検討を進める際の手順を整理します。対象と方式を決めるところから始めましょう。
対象範囲と方式の選定
最初に、どの範囲を対象とするかを決めます。全社か、機密情報を扱う部署か、社外宛や添付付きに限るかによって、選ぶ方式が変わります。過去に起きた事案があれば、その内容を踏まえて優先順位を付けましょう。
方式は一つに絞る必要はありません。確認画面と保留を組み合わせる、特定の条件でのみ承認を求めるといった構成も選べます。設定を後から変更できるか、部署ごとに分けられるかを確認しておくと、運用しながら調整できます。
既存メール環境との適合性
現在利用しているメール環境と組み合わせられるかを確認します。クラウドのメールサービスを使っている場合、対応の可否や必要な設定変更は製品によって異なります。
利用者が使うメールソフトや、スマートフォンからの送信にも対応するかもあわせて確かめておきましょう。一部の環境で対策が働かない状態では、抜け道が残ります。実際の業務環境で試用し、想定どおりに動作するかを確認してから決めることをおすすめします。
費用とサポート範囲の確認
料金は、利用者数に応じた月額制、機能ごとのプラン分け、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。対象を段階的に広げる計画であれば、追加時の費用も確認しておきましょう。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。管理者向けの窓口のみか、利用者からの問い合わせにも応じるのかは製品ごとに差があります。導入直後は操作に関する質問が集中しやすいため、その時期の対応体制も確認しておくと安心です。
方式別に選べるメール誤送信対策製品
送信前の確認や送信後の取り消しなど、対策方式にあわせて検討できる製品を紹介します。
Active! gate SS
- ビジネスの利用シーンに合った最適な機能を選択可能!
- クラウド型なので豊富な機能を高品質・低コストで実現!
- PPAP問題を根本的に解決する新機能「TLS確認機能」を搭載!
株式会社クオリティアが提供する「Active! gate SS」は、送信前の宛先確認と一時保留を扱うメール誤送信対策製品です。送信操作の後に一定時間の保留を設ける構成に対応しており、宛先違いに気付いた際の取り消しにつなげられます。既存のメール環境に組み合わせて導入できます。
CipherCraft/Mail(サイファークラフトメール)
- メール誤送信防止市場18年連続シェアNo.1※ 官公庁等の実績多数!
- 様々なメールソフトに対応し、メール環境を変えずに利用可能
- きめ細やかな管理設定で部署単位などの運用も可能
NTTテクノクロス株式会社が提供する「CipherCraft/Mail(サイファークラフトメール)」は、添付ファイルの暗号化と送信確認を扱う製品です。社外への送信時に上長の承認を経る運用に対応しており、部門ごとに異なる承認フローを設定できる構成になっています。
IIJセキュアMXサービス
- 宛先ミスのメールも一定時間なら取り消し可能
- 様々なフィルタで送信メールの条件を制御
- 誤送信対策と脅威対策をまとめて実現
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJセキュアMXサービス」は、迷惑メール対策とあわせて誤送信対策の機能を備えたクラウド型のサービスです。既存のメール環境に組み合わせて利用できる構成に対応しており、受信側・送信側の両方の対策を進めやすくなります。
Outlook Okan (株式会社のらねこ)
- 送信前の確認で誤送信を防止する機能
- ホワイトリスト等の設定により、柔軟な制御が可能です。
- ソース公開により自由な改変や機能追加、再配布が可能です。
MAILSCREEN (株式会社JSecurity)
- 自動BCC変換や送信遅延でメール誤送信を防止。
- 個人情報を検出し、自動で暗号化や送信遮断を実行。
- アプライアンス・クラウド対応の柔軟な導入形態。
メール誤送信対策に関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: どの方式から始めるとよいですか?
- 業務への影響を抑えたい場合は、送信前の確認画面から始める進め方が採られやすい傾向があります。過去に起きた事案の内容によっては、保留や承認が適する場合もあります。現在の課題と業務の速さの要件を整理して判断しましょう。
- Q2: 導入すれば誤送信はなくなりますか?
- 確認の工程が加わることで発生を抑えやすくなりますが、完全になくなるわけではありません。画面の確認が形骸化する可能性もあります。設定の見直しや、事案が起きた際の報告の流れとあわせて整えることが望まれます。
- Q3: 現場から反発が出ないか心配です。
- 導入の目的が監視ではなく、担当者自身を守ることにもある点を事前に説明すると理解を得やすくなります。一部の部署で試用し、実際の負担を確認したうえで設定を調整する進め方も有効です。運用開始後も声を聞いて見直しましょう。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象範囲と既存メール環境との関係によって幅があります。標準機能を一部の部署に適用する場合は短期間で始められる一方、全社展開や承認の流れの設計を伴う場合は準備に時間を要します。試用期間を設けた計画を立てましょう。
まとめ
メール誤送信対策の導入事例では、送信前の確認画面、一定時間の保留、上長の承認という三つの方式が使われ、それぞれ業務への影響が異なります。適用範囲も、全社一律とするか部門や条件を絞るかで現場の受け止めが変わります。事例を読む際は、設定の内容と業務への影響、効果をどう測っているかを確認しましょう。対象範囲と方式を整理したうえで、既存環境との適合性や費用を比べて選ぶことをおすすめします。


