アルバイトのマイナンバー管理が必要な場面は?
アルバイトのマイナンバー管理が必要となる場面を解説します。
雇用保険加入時
厚生労働省は、以下の2つの条件を満たす従業員の雇用保険への加入を義務付けています。
- ■31日以上の雇用見込みがあること
- ■1週間の所定労働時間が20時間以上あること
また、30日以下の雇用を想定していたが31日以上の雇用を見込む場合も、その時点から雇用保険が適用されます。
労災保険加入時
企業は従業員を1人でも雇用した場合、労災保険に加入しなければいけません。また雇用保険と異なり、労災保険加入に必要な一定条件はないため、アルバイト・パートも加入対象です。
労災保険の諸手続きの際は、書類にマイナンバーを記載しなければいけません。そのためアルバイト・パートを問わず、全従業員にマイナンバーを提出してもらう必要があります。
年末調整時
企業が従業員に支払った給与や源泉徴収した所得税の再計算をするのが年末調整になります。必要書類を税務署に提出する際にマイナンバーの記入が必要です。源泉徴収票など金銭の支払いに係る法定調書は、マイナンバーを記載して提出することが法律で義務付けられています。
アルバイトのマイナンバー収集手順は?
アルバイトからマイナンバーを収集する手順を解説します。
利用目的を明示してマイナンバーの提供依頼を行う
マイナンバーの取扱いは法律で厳格に定められています。そのため法律で定める目的以外、マイナンバーの提供を求めて収集してはいけません。
アルバイトにマイナンバーの提供を求める場合、利用目的の明示が必要になります。明示方法は、口頭・文書のどちらでも構いません。状況に応じた適切な方法で明示しましょう。法律上、企業に認められているマイナンバーの主な利用目的は以下のとおりです。
- ■雇用保険、健康保険、厚生年金などの事務
- ■給与所得や退職所得の源泉徴収票に関する事務
- ■入退社などの手続きに関する事務
- ■地方税に関連する事務
マイナンバー受領時に本人確認および番号確認を行う
マイナンバーの番号だけを控えるのではなく、通知カードで番号確認を、運転免許証やパスポートで本人確認をしましょう。マイナンバーカードを提出する場合は番号確認と本人確認がまとめて行えるため、別途本人確認書類を用意する必要はありません。
以前からアルバイトをしているなどの理由で本人確認が不要なケースもあります。また、高校生や学生など、マイナンバーカードを所有していない場合もあるでしょう。その場合は、通知カードかマイナンバーが記載された住民票を、本人確認書類と併せて受領します。
また所得税の申告で、扶養控除や配偶者控除など家族の所得控除を受ける場合もあります。その時は従業員だけでなく扶養家族のマイナンバーが必要になります。
アルバイトがマイナンバーの提出を拒否する原因は?
アルバイトにマイナンバー提出を拒否されることがあります。どのような原因があるのでしょうか。
悪用されたり副業がばれないかなどが心配
アルバイトの中には、マイナンバーの提出に関する知識がない人も多いでしょう。そのため、悪用されることを心配をしたり、副業が会社にばれてるのでは?と思い、提出を拒否することがあります。
実際は、業務外でマイナンバーを利用することは禁じられているため、悪用される可能性は低いです。また、マイナンバーが副業の事実を証明するわけではありません。これは内閣府のホームページでも掲載されています。
これらの正しい情報を、アルバイトにしっかりと理解してもらい、マイナンバー提出を促すことが必要です。
アルバイトはマイナンバーの提出が義務ではない
アルバイトがマイナンバーの提出を拒否しても罰則規定はなく、クビになりません。しかし、行政機関に提出する各種書類にマイナンバーの記載は必要不可欠です。
マイナンバー対応が企業にとって義務であるのに対し、従業員にとっては任意であるため、提出の必要性を理解できていない可能性が大いにあります。企業の責任を果たすため、従業員に説明をしてマイナンバーに対する理解を深めてもらうことが大切でしょう。
マイナンバーが提出されなかった際の対応は?
マイナンバーが提出されなかった場合の対応を解説します。
マイナンバーを取得する理由について丁寧に説明する
アルバイトを含む従業員は、マイナンバーの利用目的を具体的に知る権利があります。たとえば「源泉徴収票作成事務」や「健康保険届出事務」など、利用目的を特定し通知・公表を行えば、従業員からの理解が得られるはずです。
マイナンバーのスムーズな収集のため、目的や趣旨を具体的に示すなど、従業員から協力を得やすい方法を検討しましょう。
拒否の記録や書類を提出してもらう
企業側がマイナンバーの取得理由を説明しても、提出を拒否する従業員はいるものです。提出を拒否された場合、以下の内容を記録します。
- ■提供を求めた経過
- ■説明をした日時
- ■従業員の回答
- ■拒否する理由
法定調書へのマイナンバー記入は企業の義務のため、未記入の場合は義務違反とみなされる可能性が高くなります。しかし、拒否の記録を残すことで義務違反とみなされる可能性を低くすることができます。そして、拒否の記録を「拒否確認書」と呼ばれる書類に残すことが大切です。
企業から説明を受けたにも関わらず拒否をする場合、従業員に拒否確認書への署名・押印を求め、提出してもらいましょう。拒否の記録を書類として残すことは、企業のリスク軽減につながります。
マイナンバーを空欄にしたまま各種帳票を提出する
マイナンバーの記載が必要な各種書類は、空欄のままでも罰則は課せられません。しかし、マイナンバー記載は法律上の義務であることを従業員へ説明しましょう。
それでも提出を拒否された場合は、提供を求めた経過を書類に残します。書類に残すことで義務違反ではないと示すことができます。
アルバイトのマイナンバー管理を適切に行おう!
アルバイトのマイナンバー管理は、各種保険加入時や年末調整時に必要です。マイナンバー提供を求める際は目的の明示を行い、受領時は番号確認と本人確認を行いましょう。
しかし悪用や副業がバレることを恐れ、また義務はないからと提出を拒否する従業員もいます。企業は目的を明示し提供を求め、それでも拒否された時は拒否の記録を残して空欄で書類を提出します。
ちょっとしたミスで会社の信用を失わないためにも、マイナンバー管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。