マイナンバー提供を拒否されてしまう理由は?
まずは、マイナンバー提供を拒否されてしまう理由を見ていきましょう。
従業員のマイナンバーに対する理解不足
従業員からマイナンバーの提供を拒否される最大の理由は、従業員のマイナンバーに関する理解が不足していることです。多くの従業員は「マイナンバー=重大な個人情報」という認識にとどまり、どのように活用されているのか理解していません。
国や自治体からマイナンバー利用に関する十分な説明を受けていないケースもあるため、「退職する可能性がある企業に自分の重大な情報を渡したくない」という考え方に発展します。
現実には個人でマイナンバーを有効に活用できる機会が少なく、従業員のマイナンバーに対する理解を深めることが当面の課題でしょう。
個人情報の流出を懸念
マイナンバーを使えば多くの情報が得られるため、個人情報の流出を懸念していることが提出拒否の潜在的な理由です。マイナンバーの内容をあまり理解していない人でも、住所のほか所得・税金などの個人情報の照会に使われることは知っているでしょう。
そのため、安全に管理できるか分からない企業にマイナンバーの提供を躊躇してしまうのです。また、マイナンバーに紐づく情報は今後も拡大していくため、悪用への懸念も増えていくでしょう。
提供を拒否されてしまった際の対応方法は?
つづいて、マイナンバーの提供を拒否された場合の対応方法を見ていきましょう。
法定調書へのマイナンバー記載は義務であることを再度伝える
従業員からマイナンバーの提供を拒否された場合は、法定調書へマイナンバーを記載する義務があることを再度伝えることが大切です。
例えば、年末調整の書類にはマイナンバーを記載しなければなりません。法定書類にはマイナンバーの記載が義務であることを理解してもらえるよう従業員に促します。それでもマイナンバーの提供を拒否される場合は、該当書類の提出先の機関の指示に従ってください。
マイナンバー提供依頼の経過を記録する
マイナンバー提供を何度依頼しても拒否される場合は、従業員に提供するよう求めた旨を記録してください。企業が行うべきことは従業員のマイナンバーの収集と管理になります。そのため、会社側が提供を求めている事実があれば単なる義務違反でないことを証明できます。
マイナンバーを記載せずに手続きを行う
マイナンバーをどうしても収集できなかった場合は、マイナンバーを記載せずに書類手続きを行うのも1つの手段です。
このような場合には、マイナンバーが手続き上必要である旨を伝えた経緯を記録し、行政機関に説明します。その後は、行政機関に指示を仰ぎ、手続きを進めてください。無記入で提出する場合は、提出はできるものの手続きがスムーズにいかないことが多いので注意しましょう。
従業員から提供を拒否されないよう適切な管理を行うには?
最後に、従業員からマイナンバーの提供を拒否されないよう、適切に管理を行う方法を見ていきましょう。
マイナンバー管理システムを導入する
マイナンバーを適切に管理するためには、マイナンバー管理システムの導入が有効です。
専用システムを使えば、クラウド上でマイナンバーの収集・利用・管理・破棄まで行えます。また、法律に則った適切な管理が可能です。さらに堅牢なセキュリティ体制のデータセンターにサーバが保管されていれば、自社内でデータを管理するよりも安全です。
全てシステム化するため管理の効率が良くなり、ペーパーレスで保管場所に悩まされることもありません。マイナンバー管理システムは管理側にもメリットが多いでしょう。
専門業者へ委託を行う
マイナンバーを適切に管理するためには、専門業者を利用するのも手です。自社でマイナンバーの管理を行おうとすれば、システム導入など運用体制を整えなければなりません。
そこで専門業者へ委託すれば、自社の業務負担や情報漏洩などのセキュリティリスクを軽減でき、マイナンバーを適切に管理できます。また、マイナンバー管理は第三者機関への委託を法律でも認めています。
システム導入などでマイナンバーの適切な管理を!
マイナンバーは企業で社保や税の手続きを行う際に必要なため、従業員から収集しなければなりません。しかし、マイナンバーの提供を拒否されることも少なくないため、適切な方法を取る必要があります。
まずは法定調書にマイナンバーの記載義務があることを説明しましょう。提供に応じない場合は、従業員に提供を依頼した旨の履歴を残すことが大切です。さらにマイナンバーの管理体制を万全にするためにも、専用システムの導入を行いましょう。