OSSのネットワーク監視ツール比較10選(3月5日時点)
ここでは、OSSのネットワーク監視ツールを10製品ご紹介いたします。
Zabbix
元は銀行システムの監視ツールとして開発されたもので、現在ではIT業界から航空宇宙産業まで幅広い分野で導入されています。すべての機能がライセンスフリーで公開されており、障害発生時の自動復旧の仕組みまで低価格で開発できるのが魅力です。
MySQLやPostgreSQL、SQLite、Oracle 、IBM Db2などのRDBMSが利用できます。また、Zabbix認定講師から機能についてのレクチャーが受けられるのも魅力です(有料)。
Cacti
RDD Toolでデータを収集し、CPU使用率やサーバのネットワークトラフィックなどをグラフに起こせるツールです。監視システムとして利用する場合は、Cacti Users提供のプラグインをインストールする必要があります。
非常にシンプルなUIが特徴的な製品で、設定をWebブラウザ上で行えるのが魅力です。ツールはPHPで駆動します。
Nagios
拡張性が高いのが魅力で、プラグインが豊富に用意されており、監視ツールとしての機能には困りません。なお監視ツールとして利用する場合は、プラグインを別途インストールする必要があります。
ただし、項目設定はテキストファイルで行うため、運用には知識を備えた人材の確保が必須なのが少々難点かもしれません。
Icinga
すべての接続をSSLで保護された状態で行え、より安全にツールを運用用できるのが魅力です。監視対象となるノードやサービスなどの設定はREST APIで更新できます。
また、IcingaはNagiosからフォークしたツールです。そのため、Nagios上の設定やプラグインなどを読み込むことも可能です。
munin
インストールしたサーバ上のさまざまな情報をグラフとして可視化できるツールです。
記録は自動で行われ、グラフは日、週、月、年単位での表示が可能です。さらに高い効果を発揮させるためには、異常発生時に通知してくれる機能が搭載された監視ツールと併用するとよいでしょう。
システムは基本的にPerlで書かれていますが、ノードはについてはPerl以外にC、Python、Shellが用意されています。
Hinemos
日本製のOSSであるため、国内で求められる統合運用管理に合わせて作られているのが魅力です。運用目的ごとに複数のコンピュータをグループ分けでき、監視・ファイル配布・起動・停止などをグループ一括で指示できます。
またシステムはもちろん、クラウド環境も管理できるのも魅力です。
Pandora FMS
システムはLinuxやUNIXで駆動します。監視対象はハードウエア・ソフトウエアからオペレーションシステムまで多岐にわたります。異常発生時には通知してくれるほか、監視した情報は蓄積されるため、グラフとして可視化することも可能です。
オープンソース版のほか、機能を追加したエンタープライズ版も用意されています。
Xymon
監視対象は、メールサーバやWebサーバ(HTTP/HTTPS)、アプリケーションのログなどです。中央サーバはUnix/Linuxホスト上で動作します。
監視状況が色アイコンで表示されるUIになっており、一目で現状を把握できるのが魅力です。また、すべての設定データは1つの場所に保存できるため、集中管理を行えます。
Prometheus
時系列データの監視・記録に特化しているツールで、数千のサーバからデータを収集し視覚化できます。また、Google社出身のエンジニアが開発したツールであるため、Google式の監視ツールを作りたいという方におすすめです。
なお、監視対象は随時設定ファイルに書き込まなければならない点には注意しましょう。ツールはGo言語で開発されています。
JobScheduler
ビジネスプロセスおよびワークフローの統合や自動化に特化したツールです。LinuxとWindowsに標準対応していますが、SolarisやAIX、HP-UX対応版も別途用意されています。ジョブ監視機能も搭載されており、ジョブ統計レポートやエラー発生時のメール通知などが可能です。
OSSのネットワーク監視ツールの特徴
ここでは、ネットワーク監視ツールであるOSSの特徴を2つに分けて解説します。
コストが抑えられるが技術力が求められる
OSSの特徴その1として、「コストが抑えられる一方で技術力が求められる」点が挙げられます。OSSは基本ライセンスフリーで利用できます。そのため、商用ソフトに比べ監視システム構築のためのコストを低く抑えられるのが魅力です。
しかし実際に運用するためには、OSSに関する知識や技術を持つ人材が必須である点が難点と言えます。また利用するOSSの知識以外に、併用するApacheやMySQLなどの知識が必要な点にも注意しておきましょう。
必要に応じて商用サポートを選択できる
OSSの特徴その2が、必要に応じてサポートの有無を選択できる点が挙げられます。OSSは言うなれば「利用者が好きに使ってよいツール」であるため、開発元のサポートが提供されていないのが基本です。
しかし近年では、商用サポートが受けられる製品も多くなってきています。そのため、最初はコミュニティ版を利用し、必要に応じて商用版を導入することも可能です。
また有名なOSSのなかには、コミュニティ版でもサポートが充実しているものもあります。導入する製品を選ぶ際には、どのサポートが受けられるのかを調べておきましょう。
OSSのネットワーク監視ツールの注意点
ここでは、OSSのネットワーク監視ツールを利用するうえでの注意点を3つ挙げます。
日本語非対応のマニュアルが多い
多くのOSSのマニュアルは、日本語非対応の場合が多いのが実情です。
ネットワーク監視ツールのOSSとして公開されている製品の大半は、海外で開発されたものです。そのため、公式サイトHPやマニュアルが日本語に対応していないものが多くあります。ゆえに、ネットワーク監視システムを構築する際に不自由を感じることがあるかもしれません。
しかし、リリース当初は日本語非対応でも、今後の更新で対応する可能性もあります。そのため、単に「言葉の壁」だけで導入を断念するのはもったいないと言えるでしょう。
最低限のライセンス規約は守らなければならない
OSSにもライセンス規約はあるため、最低限のルールは守らなければなりません。OSSの多くはライセンスフリーで公開されていますが、権利を放棄したものではないので注意しましょう。オープンソースの主なライセンス契約について、たとえば以下のものが挙げられます。
- GPL
- 著作権表示部分の保持は必須。制作物はGPLライセンスで公開。
- LGPL
- GPLの下位版。動作リンクとして利用する場合、ライセンス適応必要なし。
- BSD
- 再配布時に著作権表示必須。あとは自由。
- MPL
- 再配布時に著作権表示必須。ソースコード変更時はMPLのライセンスで公開。
- MIT
- 再配布時に著作権表示必須。あとは自由。
万が一条件や規約に違反してしまった場合、訴訟問題に発展してしまう可能性があります。そのため、定められたルールは必ず把握したうえで開発を進めるようにしましょう。
開発元に不具合の責任はない
OSSには不具合はつきものですが、開発元に責任は発生しません。サポートを提供しているOSSであったとしても、バグ発生についての責任は問えないので注意しましょう。
しかし、システムに精通した人材が社内にいた場合、不具合を自社で修正することが可能です。不具合を修正して自社好みの形に変えていけるのは、見方を変えればメリットにもなるでしょう。
ネットワーク監視ツールの選定ポイント
ここでは、自社に合ったネットワーク監視ツールを選ぶ際に見ておくべきポイントを2つご紹介します。
監視対象・範囲を明確にする
ネットワーク監視ツールの導入を検討する際、まずは「何を監視したいのか」を明確にしておきましょう。
ネットワーク監視ツールは、監視対象や範囲によって適切な製品が異なります。たとえばリソースの使用状況に特化した製品から、システム全体の統合管理が可能な製品まで、大小ざまざまなものがあります。使わない機能があるほど無駄なコストの発生が避けられません。
今後監視対象が変化する可能性がある場合は、拡張性が高いものや他ツールとの連携が可能な製品を選びましょう。
ツールの拡張性があるか確認する
ネットワーク監視ツールは、拡張性があるものを選んでおくとよいです。
監視ツールを導入し運用したとしても、業務内容や規模の変化によって監視の範囲を変更せざるを得ないこともあります。拡張性のあるものを選んでおけば、機能をあとで追加することが可能です。その結果、監視システムを丸ごと入れ替えるよりもコストを安く抑えられます。
OSSのネットワーク監視ツール以外も検討してみましょう
ネットワーク監視ツールに関しては、OSS以外の製品も多くあります。例えばライセンス版であれば、その多くには手厚いサポートが標準搭載されています。そのため、ネットワーク監視ツールをの導入を検討する場合には、OSS以外のものも必ず検討しておきましょう。
監視システムは、現代の社会には欠かせないプログラムの1つです。数ある製品の中から自社にあったものを選び、自社に最適化されたシステムを構築しましょう。