大企業・大規模ネットワークの最新動向
通信事業者やサービスプロバイダでは、ネットワークの多層構造が見られ、多角的な監視が求められるようになっています。
大企業や大規模ネットワークの最新動向をご紹介ます。
ユーザーの体感品質を可視化・分析
大規模ネットワーク構築業者に見られるユニークな視点を紹介しましょう。
従来、ネットワーク監視は、故障や障害監視、サービスの品質監視、パフォーマンス監視の3つが中心でした。しかし、ここに至って、監視対象をユーザーの体感品質を可視化・分析する範囲まで拡大する方向が見られます。これは、業務効率化に伴って設けられた機能ですが、コールセンターにおけるお客様対応にまで応用できるのではないかと検討されています。
監視ツールから情報収集
これも大規模ネットワークシステムに見られる新しいチャレンジです。
大規模化し、複数の監視ツールが入り乱れる状況に対応し、監視対象デバイスや監視ツールからネットワーク監視データを収集し、状況をモニタリングするツールが登場しました。そのツール本体には監視機能がなく、既存の監視専用のツールから監視データを収集し、形式を統合し提供します。これにより、現場運用負荷を大幅に軽減できます。
中小企業・中小規模ネットワークの最新動向
中小企業を対象とした中小規模ネットワークの通信事業者は、手ごろな価格で必要とされる機能を的確に提供する役割が求められています。
その最新動向をご紹介します。
コスト適正化と無償版の用意
クラウド化によってコストの適正化と導入期間の短縮化が可能となっています。さらに、限られたクライアント数であれば無償で提供するサービスも見られるようになっています。中には監視項目が100個以下であれば無償で提供するという製品もあります。これらで操作性などを確認してから実際に購入することで、導入の失敗を防ぐことができます。
ネットワーク使用率の傾向分析
季節ごとや新サービスのリリースに応じて帯域を変更し、さらにきめ細かく対応するサービスも見られるようになっています。クラウドではこのような帯域変更が容易なため、傾向分析までも提供する事業者もあります。
セキュリティ監視の強化
ネットワークを流れる情報を監視し、情報漏えいを防止するサービスも提供されています。ファイル容量の増加からマルウェア感染を検知する機能も搭載されています。ネットワーク監視ツールと専用のセキュリティツールとの連携も見られます。事業者の間では、中小企業向けのセキュリティサービスの需要が期待できるという声も聞かれます。
M2Mへのビジネス拡大
M2MとはMachine to Machineの略で、機械と機械がネットワークを介してデータをやり取りすることにより、有用な情報に変換したり、自律的に制御したりすることです。IoT(Internet of Things)も同様に、センサーなどの機械からネットワーク介してデータを収集する仕組みです。
たとえば、戸建住宅などで使用されているプロパンガスボンベにセンサーを取り付け、ガスがなくなる前に担当者が訪問できるようにするサービスや、店舗に設置した監視カメラの画像解析のデータからスタッフに重要顧客の来店を知らせるサービスなどが考えられます。
これらM2M/IoT分野でもベンチャ企業の挑戦が見られ、ネットワーク監視の重要性が増していくと期待されます。
まとめ ~ 技術革新が続くネットワークの世界 ~
ここでは紹介できませんでしたが、SDN(Software-Defined Networking)も大きな注目を集めています。これまで1個の装置で行っていたネットワーク制御を分離し、1台の制御マシンで複数のネットワーク装置を設定したり変更したりできます。データセンター全体の仮想化を可能とします。ネットワーク分野は新技術がめじろ押しです。今後も最新動向に注目しましょう