物流管理システムの導入条件の整理手順
物流管理システムは、入出荷や在庫、配送の情報をまとめて管理する仕組みです。関わる部署が多いため、条件を集める段階で整理の枠組みを決めておくと、後の比較が進めやすくなります。
必須条件と希望条件の切り分け
集めた要望をそのまま一覧にすると、どれも重要に見えて絞り込めません。まず「これがないと業務が回らない」条件と、「あると助かる」条件に分けることから始めましょう。
必須条件は、法令や取引先との取り決めで求められるもの、現在の業務を継続するために欠かせないものが中心です。希望条件は運用の効率に関わるもので、後から追加できる場合もあります。この切り分けをしておくと、候補が絞れないときにどこを譲れるかを判断できます。関係者と合意した内容は記録に残しておきましょう。
関係部署からの要件の集め方
物流管理には、倉庫の現場、配送の手配、受発注、経理といった複数の部署が関わります。一部の部署だけで条件を決めると、導入後に業務が回らない箇所が出る可能性があります。
要件を集める際は、各部署で「今どの作業に時間がかかっているか」「どの情報を他部署へ渡しているか」を具体的に聞き取りましょう。作業の流れを図に書き出すと、システムでつなぐべき箇所が見えてきます。現場の担当者に検討へ加わってもらうと、実際の運用に近い条件を洗い出せます。
提供体制と対応範囲に関する条件
国内で開発や提供が行われている製品を求める声はよく聞かれます。ただし提供元の所在だけで性能や使い勝手が決まるわけではないため、求めている実質的な条件に置き換えて確認しましょう。
国内提供の製品を求める背景の整理
国内の提供元を希望する背景には、日本語での問い合わせ対応、国内の商習慣への対応、法令や帳票の様式への対応、時差のないサポートといった要望が含まれていることがあります。これらは提供元の所在とは別に確認できる項目です。
条件を伝える際は「国産であること」ではなく、「日本語での電話問い合わせに対応していること」「国内の配送会社の送り状に対応していること」のように、確認できる形に置き換えましょう。この形にすると、海外の提供元であっても条件を満たす製品を候補に含められ、比較の幅が広がります。
サポート体制で確認したい範囲
サポートという言葉が指す範囲は、製品によって異なります。マニュアルの提供、問い合わせ窓口での操作案内、初期設定の進め方の案内、設定作業の代行、運用設計の相談では、必要な費用も対応の深さも変わります。
自社に情報システムの担当者がいない場合は、どこまで作業を任せられるのかを契約前に確認しておきましょう。あわせて、受付時間、問い合わせの手段、回答までの目安時間も確かめておくと、繁忙期に対応を待つ状況を避けやすくなります。書面での確認をおすすめします。
セキュリティ要件と認証に関する条件
物流管理システムは、取引先の情報や出荷先の住所を扱います。社内の基準を満たしているかを確認する必要がありますが、まずは自社が求める水準を言葉にすることから始めましょう。
自社の基準の言語化
「セキュリティ要件が厳しい」という表現のままでは、ベンダーも何を回答すればよいか判断できません。社内規程や取引先との契約で求められている内容を、確認できる項目に分解しておきましょう。
例えば、通信の暗号化、アクセス権限の細かさ、操作記録の保存期間、多要素認証への対応、接続元のIPアドレスによる制限といった項目が挙げられます。これらを一覧にして各社へ同じ内容で質問すると、回答を並べて比較できます。判断が難しい項目は情報システム部門へ相談しましょう。
認証の取得状況の確認
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、組織が情報を管理する仕組みを整えていることを示す認証制度です。取得の有無は判断材料の一つになりますが、認証だけで自社の要件を満たすとは限りません。
確認したいのは、認証の対象範囲と有効期限です。組織全体を対象としているのか、特定のサービスに限られるのかで意味は変わります。取引先から認証の取得を求められている場合は、必要な認証の種類を確かめたうえで、該当するかをベンダーへ質問しましょう。
データの保存場所と権限設定
クラウド型の製品では、データがどこに保存されるかを確認しておく必要があります。保存先の国や地域が社内規程や取引先との取り決めに影響する場合があるためです。
あわせて、社内の誰がどの情報を見られるかを設定できる範囲も確かめておきましょう。拠点ごと、担当業務ごとに閲覧範囲を分けられるか、退職者のアカウントを速やかに停止できるかは運用に関わります。契約終了後のデータの扱いについても、契約前に書面で確認しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で物流管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
連携とカスタマイズに関する条件
物流管理システムは単体で完結せず、受発注や会計、倉庫の仕組みとつながって使われます。連携の条件は、導入後の作業量に直結するため具体的に確認しておきましょう。
API連携が必須の場合の確認事項
API(外部システムから機能やデータを呼び出すための接続窓口)による連携が必要な場合、どこまでの操作が公開されているかを確認します。データの取得だけができるのか、登録や更新まで行えるのかで実現できる範囲が変わります。
仕様書を契約前に確認できるか、認証の方式が自社の基準を満たすか、一定時間あたりの呼び出し回数に上限があるかも確認しておきましょう。あわせて、連携が止まった場合に管理者へ通知されるか、失敗した処理を再実行できるかを確かめておくと、運用開始後の対応を想定できます。
自社フローへの適合の確かめ方
物流の進め方は企業ごとに異なり、標準の機能だけでは合わない部分が出る場合があります。設定画面から変更できる範囲と、開発が必要な範囲を分けて確認しましょう。
項目名の変更、入力必須の切り替え、承認の段階数、帳票の様式の調整などは、設定で対応できる製品もあります。デモの際に自社の実際の流れを提示し、どこまで設定で対応できるかを確かめておくと判断しやすくなります。合わない部分は運用側を見直す選択肢もあわせて検討しましょう。
カスタマイズの費用と保守の範囲
個別の開発を行う場合、初回の費用だけでなくその後の保守も検討の対象になります。製品側が更新された際に、追加した処理の調整が必要になる場合があるためです。
見積もりの段階で、開発費用、保守費用、製品更新時の対応の扱いを分けて提示してもらいましょう。カスタマイズの範囲が広いほど、後の変更に手間がかかる傾向があります。標準機能の範囲で運用できる部分は標準にそろえるという方針も、長期の負担を抑える選択肢になります。
海外拠点や輸出入業務に関する条件
海外に拠点がある場合や、輸出入業務を扱う場合は、国内向けの条件に加えて確認する項目が増えます。対応範囲は製品によって差が大きいため、必要な業務を具体的に伝えて確かめましょう。
多言語と多通貨への対応範囲
多言語対応と案内されていても、対応する範囲は製品によって異なります。画面表示のみが対応しているのか、帳票や通知メールまで対応しているのかで、現地での使い勝手は変わります。
押さえておきたいのは、対応している言語の一覧、切り替えの方法、現地の担当者が自分で言語を選べるかという点です。通貨についても、複数の通貨で金額を扱えるか、為替の換算をどう処理するかを確かめておきましょう。現地の担当者に試してもらう機会をつくると、実際の使い勝手を把握できます。
輸出入業務で必要になる対応
輸出入を伴う業務では、通関に関わる書類の作成や、輸送手段ごとの情報管理が発生します。これらの業務にどこまで対応しているかは製品によって差があるため、自社の業務内容を具体的に伝えて確認しましょう。
あわせて、海外の物流事業者や通関業者の仕組みと情報をやり取りする方法も確かめておきます。連携が用意されていない場合は、書類の出力形式や入力の手間を確認し、運用でどこまで対応できるかを検討します。専門的な判断が必要な部分は、通関業者や社内の貿易担当と相談しながら進めることをおすすめします。
導入条件の整理に役立つ物流管理システム
ここまで整理してきた提供体制や連携、海外対応といった条件に照らして、対応範囲を確認しやすい物流管理システムを紹介します。自社の必須条件と照らし合わせながらご覧ください。
LMS-GLOBAL
- 輸出入手続きの標準化で属人化解消
- 可視化・省力化で作業時間が短縮可能
- 輸出入にかかるコストの可視化で収支管理が簡単
株式会社セイノー情報サービスが提供する「LMS-GLOBAL」は、輸出入から国内物流までを一気通貫で管理する物流管理システムです。基幹システムや倉庫管理、船社、輸配送管理システムに分散した情報をハブ機能で一元管理し、海外を含む各拠点の在庫や輸送中の在庫を可視化できます。インボイスやパッキングリスト、輸出許可証といった書類の作成・管理に対応し、シッピングスケジュールやブッキングの管理も行えます。現地の運送費や倉庫費、通関費用の単価管理とコスト計算にも対応しています。
LMS
- 物流情報を計画・進捗管理・分析します
- 入出荷業務・配送業務の予実を管理します
- 庫内作業の平準化・新規顧客の早期対応
株式会社セイノー情報サービスが提供する「LMS」は、社内の各システムに点在する物流情報を一元管理する統合物流管理システムです。出荷計画や輸配送計画を立てる物流プランニング、複数拠点の在庫をリアルタイムに把握する在庫統合管理、倉庫作業から配達完了までを追える物流進捗管理を備えています。輸配送費や倉庫料の自動計算に加え、誤出荷率や欠品率といったサービスレベルの指標化、作業生産性や物流コストの指標化にも対応します。倉庫管理システムや輸配送管理システムと連携して進捗情報を収集する構成です。
W3 mimosa
- 『高機能』業種別テンプレートをはじめ150以上の機能を標準搭載
- 『使いやすい』表計算ソフトに近いデザインを導入、使いやすいUI
- 『各種システム連携』既存システムやECカート、OMSとも連携可能
株式会社ダイアログが提供する「W3 mimosa」は、クラウドで利用する倉庫在庫管理システムです。荷姿やロケーション、ロットの管理、消費期限や賞味期限の管理、入荷から検品や梱包、出荷、棚卸までの機能を標準で備え、ハンディターミナルの利用にも対応します。複数拠点の在庫を拠点別と全拠点の両方で参照でき、ダッシュボードで作業の予実や人別の生産性を確認できます。ノンカスタマイズでの導入を前提とし、月単位での契約に対応している点も、導入条件を検討する際の材料になります。
「Medyus2」(医薬品) (株式会社メディアス)
- オンラインで発注と納品を一元管理できる
- ロット・期限管理で在庫状況を把握
- ハンディ端末活用で棚卸や業務負担を軽減
「Medyus2」(医療材料) (株式会社メディアス)
- 医療材料の一元管理で在庫適正化を支援。
- 複数の発注方式と定数管理で発注業務を効率化。
- クラウドと院内サーバの両環境に対応
まとめ
物流管理システムの導入条件は、提供体制とサポート範囲、セキュリティ要件、連携とカスタマイズ、海外対応という区分に分けると整理できます。「国産」「セキュリティが厳しい」といった言葉のままにせず、確認できる項目へ置き換えて各社へ同じ内容で質問することが比較の近道です。まずは資料請求で対応範囲を確かめ、比較検討を進めてみてください。


