物流業務におけるリスクとは?
まずは、物流業務にはどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
災害のリスク
物流業界におけるリスクの中でももっとも影響度が高いものが地震などによる災害リスクです。日本は世界的に見ても地震が多い地域。災害リスクが比較的高いため、対策は必要になります。
製造業・小売業の場合、災害が発生して材料が到着しなかったり、製品を配送することができないとビジネスもストップしてしまいます。
地震などの災害はいつ起こるか分からないため、常に対策を講じなければなりません。一般的には、災害時にも対応できる物流網やネットワークを確立します。これにより、被災していないエリアからの必要物資調達・作業要員の送り込みが可能となります。
事故のリスク
物流ではトラックの利用が一般的になっており、輸送中に事故のリスクがあります。災害リスクと比較して事故によるリスクは限定的なものになりますが、発生する確率は災害より高くなります。
また、事故を起こしてしまえば到着遅延や貨物が損傷するだけでなく、社会的な信用が損なわれる可能性もあります。事故に巻き込まれた場合の対策だけでなく、事故を予防しなければならないため、トラックを保有している台数が多い企業は注意が必要です。
情報セキュリティのリスク
近年の物流業界はシステム化が進んでおり、顧客の情報や取引先の情報、社員の個人情報を多く保有しています。
これらの情報を管理するシステムがサイバー攻撃を受けると、情報漏えいを起こすリスクがあります。他にも、情報の不正操作やインフラとなるサービスに障害が発生する可能性もでてきます。
事故のリスクと同様、情報漏えいを起こしてしまえば損害賠償請求され社会的な信用を失ってしまうでしょう。システムの利用により業務の効率化を図れますが、適切なセキュリティ対策を行わなければなりません。
国際物流特有のリスクとは?
海外の取引先・顧客と貿易・物流を行う場合は、国際物流特有のリスクがあります。国際物流では固有の業務が発生し、輸出出荷計画などの貿易書類を作成しなければなりません。他にも商品を船積みし、輸出入の通関手続きを行います。
このように、国際物流では手続きが煩雑になり時間がかかるため、輸送が遅延するリスクもあります。また、梱包を頑丈にしなければ国内物流よりも商品が破損するリスクが高くなります。
さらに遠い国であれば大きな時差が発生するため、商品が届いてから連絡があるまで時間がかかる可能性も考慮しなければなりません。
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物流業務における最適なリスクマネジメント方法とは?
最後に、物流業務における最適なリスクマネジメント方法を見ていきましょう。
BCP(事業継続計画)を策定する
BCPとは「Business Continuity Planning」の略であり、災害などが発生したときの対策を指します。通常、地震などの災害が発生すると事業を継続できないので、損害を最小限に抑え継続し復旧を図るために計画します。
事業を継続するには、計画書を作成するだけでなく、必要な備品を日頃から揃えておくことが大切です。他にも、会社のデータのバックアップや、倉庫を耐震・免震構造にするなどの対策が考えられます。
リスクアセスメントを実施する
リスクアセスメントとは、想定される物流リスクを特定、分析、評価するプロセスのことです。優先順位を決め、リスクが生じたときに素早く適切に対応できるように対策します。事前に起こり得るリスクを発見することにも繋がるので、実施をおすすめします。
具体的なリスクアセスメントの手順は以下のとおりです。
- 1.特定したいリスクに関する作業手順書やヒヤリハットの事例などを入手する
- 2.業務単位のリスクや有害性を特定する
- 3.リスクの被害額を見積もり、評価する
- 4.業務の手順を見直し、改善の方法を考える
サプライチェーン全体のセキュリティを確かめる
自社のシステムのセキュリティ対策を万全に行うだけではなく、サプライチェーン全体の対策も確認しましょう。サプライチェーンのシステムに脆弱性があれば、サイバー攻撃を受けるリスクがあります。
特に小規模の事業者はセキュリティが低いことが多く、攻撃を受けやすいです。サプライチェーンに関するインフラサービスの各種業務を抽出・分析・把握しましょう。
適切な物流リスクマネジメントで、事故や損失を防ごう!
物流におけるリスクは大きく、被害額も膨らみやすいので適切にリスクマネジメントをしなければなりません。
注意すべきリスクには大きく分けて災害のリスク・事故のリスク・情報セキュリティのリスクの3つがあります。国際物流は固有の業務が発生し、輸送遅延や手間がかかるので注意してください。
BCP対策やリスクアセスメントを実施し、適切なマネジメントで事故や被害を最小限にしましょう。