物流の効率化が必要になっている背景
まずは、物流の効率化が必要になっている背景を見ていきましょう。現状の課題がわかると、自社がどのように対応すべきか見えてくるはずです。
ドライバーの高齢化と人材不足
物流業界の最大の課題はドライバーの高齢化と人材不足であり、特に若手人材の確保が上手くできていません。
これは、少子高齢化の影響による人口減少だけが要因ではなく、若い世代にとって物流業界は肉体労働・激務といったイメージが根強くあり、人が集まりにくいという課題が深刻化しています。
今後は、多くの中高年層のドライバーが定年になって退職を迎えるので、人手不足がより加速していくでしょう。物流業務を効率化して、人手不足に対応できる体制を整えることが求められてます。
EC市場の成長による配達量の増加
現在の物流業界ではEC市場の成長に伴って配達量が増加しており、ドライバー1人当たりの負担が大きくなっています。そこに人手不足という課題がのしかかっているため、物流業界全体がさらに激務化していくといえるでしょう。
大手のECサイトでは配送料を無料に設定しているサイトもあり、契約している運送業者が負担している場合が多くあります。そのため、激務にも関わらず賃金が上がりにくい労働条件になることがあり、人材確保が難しくなっています。
このような悪循環によって物流業界の課題は深刻になっており、効率化をすることで人手不足を解消する必要があるのです。
国土交通省で推奨されている効率化
つづいて、国土交通省推奨の、物流を効率化する取り組みについて見ていきましょう。
モーダルシフトの推奨
モーダルシフトとは、トラックによる長距離輸送の幹線部分を鉄道や船を使って輸送することです。この方法では、トラックだけで長距離輸送するよりも、多くの荷物を運ぶことができ、排気ガスを抑えられるためエネルギー効率も良くなります。物流業界の課題を解決する有効な方法として注目されています。
共同配送の取り組み
共同配送とは、2社以上が連携して共通の保管庫や輸送手段を使うことです。例えば、倉庫や物流センターを共同施設として利用することで効率化を図れます。
今までは同じ配送先でもそれぞれの業者がトラックで輸送していました。そこで共同倉庫に複数の業者が商品を保管すれば、同じ配送先に1台のトラックで輸送できます。共同配送はドライバー不足に対応するだけでなく、積載率を向上できるのでコストカットにも繋がるでしょう。
輸送網の集約
輸送網の集約とは、今まで散在していた輸送ルートを集約して効率化する方法です。この方法では、輸送ルートの中央に輸送連携型倉庫を設置し、一度物品を集めてから輸送します。
今まで、複数の荷主から預かった荷物を、複数の倉庫に保管後、複数の納品先に納める必要がありました。この場合、「或る荷主から複数の倉庫まで」と「複数の倉庫から或る納品先まで」を輸送するので複数台トラックが必要でした。
集約後は、倉庫が1つになったため、必要なトラックの台数が減らすことができました。共同配送と同様、複数社で提携して大型の倉庫を利用すれば、より効率化を実現できるでしょう。
物流現場の業務を効率化する方法
最後に、自社だけでも可能な物流業務を効率化する方法を見ていきましょう。
現場作業を単純にする
人材不足の企業であればドライバーが倉庫内業務を兼任することも少なくありません。このような場合は、現場作業を効率化するように考えましょう。
例えば、ピッキング作業はミスが起きやすく、非効率な業務の代名詞です。ピッキング作業で箱に入れた商品を、梱包担当に引き継ぐ際に別の箱に入れることもあります。このような長年習慣になっている作業は見直しがされにくく不要な工程を踏んでいる場合があるため、作業を見直し単純化を行いましょう。
現場の動線管理を最適化する
倉庫内のレイアウトを改善し、動線を最適化することも有効です。現場の動線を改善し、無駄がない最短ルートを選択できるようになれば、作業時間を短縮できます。
また、倉庫内のロケーション管理を徹底して行うことで、どこに何があるか明確になるでしょう。倉庫内を移動する時間を短縮できれば、少ない人数でも対応できるようになります。
WMSなどのシステムを導入する
費用は発生しますが、WMS(倉庫管理システム)などのIT技術を活用することもおすすめです。
ハンディスキャナと連動したシステムを利用すれば、商品コードをスキャンするだけでピッキングできます。各商品の状態もリアルタイムで反映され、在庫を把握しやすいでしょう。
他にも、トラックに積む荷物の組み合わせや配送ルートも自動で最適化できるので、トラック輸送の無駄を削減できます。
関連記事
watch_later
2020.11.19
物流管理システム比較5選!クラウド・オンプレミス・パッケージ、おすすめは?
続きを読む ≫
物流業務を効率化して負担を軽減しよう
現在、多くの物流企業で人手不足が課題になっており、業務の効率化が求められています。EC市場発展による配送量の増加や、ドライバーの高齢化が進み、人手不足の加速化が懸念されています。
国土交通省が推奨している効率化の施策を実施できるよう、他社と連携することも考えましょう。また、倉庫内業務を単純化し、動線を最適化することも必要です。物流業務を効率化して人手不足に対応しましょう。