CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)とは
CCPMは、プロジェクトのタスクの納期を可能な範囲で短縮し、バッファを設けるプロジェクト管理手法です。「Critical Chain Project Management」の略で、クリティカルチェーンマネジメントとも呼ばれます。クリティカルチェーンとは、もっとも長く時間がかかると想定される作業の流れのことです。
この手法では、各タスクのバッファを一元管理します。たとえば、プロジェクトの期間が30日あり、同程度の時間を要する3ステップのタスクが必要だとします。この場合、普通は10日ずつの配分になるでしょう。しかし、これを7日ずつで終わらせられれば、全体として9日分のバッファが生じます。
このバッファは、遅延が生じたタスクへの割り当てや、プロジェクト全体の進捗把握に利用します。
納期の遅延を最小限にとどめるために必要
CCPMは納期の遅延を最小限に抑えるための手法です。
各タスクには、ある程度のバッファが含まれています。しかし、個別にタスクに含まれているバッファはどのくらい余裕があるのか分かりにくく、浪費してしまいがちです。余裕があると思って、作業を後回しにするメンバーもいるでしょう。
CCPMでは各タスクのバッファを取り除き、一元的に管理します。これにより、各タスクは時間的余裕がないため、着手を渋る心理的な働きを阻止できます。
CCPMのメリット
CCPMのメリットを3つ紹介します。
スケジュールを可視化できる
CCPMにより、スケジュールを可視化できます。
個々のタスクにバッファが存在しないため、タスクに対してどのくらいの時間をかければよいのか分かりやすくなります。日々の作業量が明確になることは、メンバーのモチベーション維持にもつながるでしょう。
また、一元管理したバッファは、どのくらい残っているのか一目でわかります。そのため、プロジェクトに遅延が発生した場合に、遅延の速度や程度を把握しやすいのが特徴です。早期に対策を打てるため、プロジェクトを成功に導きやすくなるでしょう。
作業の優先順位を判断できる
作業の優先順位を明確にするうえでも有効です。タスクの進捗状況が分かりやすいため、遅延部分を明らかにできます。そういった対策が必要な部分に優先的にリソースを配分するなどの対策が可能です。
また、プロジェクトのメンバーで全体の進捗状況を共有できるため、優先順位に対して不満が生じにくいのもメリットといえるでしょう。
チーム全体の協力体制を確立できる
チーム全体の協力体制を確立するうえでも有効です。CCPMでは全体の進捗状況が分かりやすいため、メンバーは自分のタスクだけでなく、プロジェクト全体を意識できます。
そのため、プロジェクト遅延の原因となっているタスクがあれば、自分のタスクでなくても解決しようという意識が働きます。結果的に、協力体制を築きやすい環境ができるでしょう。
CCPMのデメリット
CCPMのデメリットを2つ紹介します。
部署間の協力がないと意味がない
CCPMは部署間の協力がないと機能しません。CCPMはプロジェクト全体を俯瞰できるのが強みです。その結果として、全体のバランスを考慮したリソース配分や、ほかの部署への協力体制が実現しやすくなります。
しかし、これらのメリットは、各部署が自らのタスク以外に協力しようという意識がなければ成立しません。もともと部署間の交流が少ない場合は、メリットを活かしにくいといえます。
また、バッファが共有であるために、かえって浪費される恐れがあります。各タスクが出し合ったバッファを、すべて自分の部署で消費してしまおうと考えるメンバーもいるかもしれません。
短期プロジェクトには向かない
CCPMは短期プロジェクトには向いていません。短期プロジェクトであればもともと各タスクのバッファがあまり多くないためです。
メンバーにとっては、非常に期限の迫った状態で作業をさせられることになるため、不満が生じやすくなります。また、そもそもバッファを確保することが困難な場合もあります。
チーム内に不満が生じないように、全体のバッファは消費しても良いという考えを浸透させることが大切です。各タスクの余裕を全体のバッファとして一元管理する以上、CCPMでは遅延を前提と考えなければいけません。
バッファは使わずにとっておくものではなく、それが0にならないよう全体の状況を把握するための指標として用いましょう。
CCPM実施のポイント
CCPM実施のポイントを2つ紹介します。
バッファの捻出を工夫
バッファの捻出を工夫しましょう。以下のような手順でバッファを計算できます。
- 1.WBSでタスクを整理する
- 2.通常の所要時間を計算する
- 3.1~2割をバッファとして取り除く
WBS(Work Breakdown Structure)とは、各タスクを作業レベルまで分解したものです。細分化することにより、タスクの所要時間を正確に見積もれます。その所要時間のうち、1~2割をバッファとして取り除きましょう。残りの8~9割が、CCPMにおける各タスクの納期となります。
ここではバッファを1~2割としていますが、これは計算が難しい部分です。一律で2割削るケースもあれば、作業内容を考慮して個別に計算することもあります。基本的には、何も問題がなければ時間内に完了する程度にバッファをとりましょう。
バッファの残量を管理
バッファの残量管理を意識しましょう。問題がなければ時間内に終わるように所要時間を設定しても、すべてがスムーズに終わることは稀です。そのため、マネージャーはバッファの残量を常に監視し、プロジェクトが期限内に終わるか意識しておかなければなりません。
バッファ管理には以下のような方法があります。
- タスクごとの管理
- どのタスクでどのくらいのバッファを消費したのかを整理する方法です。タスクを行、予定や実績を列にとって表を作成すると分かりやすいでしょう。タスクごとの所要時間が分かるため、次に似たプロジェクトを計画する際の見積もりに活かせます。
- バッファートレンドグラフ
- 横軸に進捗率、縦軸にバッファ消費率をとったグラフで管理する方法です。定期的にグラフに点を取ることで、プロジェクトの流れを意識しやすくなります。視覚的に分かりやすいため、バッファ減少時に危機感が生じやすいのも特長です。
バッファの残量管理に役立つツールについては以下の記事をご覧ください。
クリティカルパスを明確にする
スケジュールにおけるバッファ管理ではクリティカルパスを考慮しなければなりません。クリティカルパスとは、プロジェクトを進めていく上でスケジュールに影響が出る作業経路のことです。言い換えると、他の工程を短縮してもクリティカルパスが短縮しなければ作業が終わらない経路を指します。
クリティカルパスにおける作業が遅れた場合、設定したバッファを取り崩さなければなりません。そのためスケジュールのCCPMを考える際には、どの工程がクリティカルパスであるのかを把握しておく必要があります。
クリティカルパスを算出するためには、アローダイアグラムを使用するのが一般的です。アローダイアグラムとはプロジェクトなどの日程管理で使用されるフローチャートです。PERT(Program Evaluation and Review Technique)とも呼ばれます。
作業の数だけ存在する丸印を結合点、イベントまたはノードと呼びます。丸印から丸印へと伸びる矢印を作業、またはアクティビティと呼びます。その矢印の近くに所要時間・日数を書くことで完成します。必要な作業の順序を図解でき、作業の関連性や前後関係を明らかにすることで、作業の最短ルートであるクリティカルパスを算出できます。
CCPMの運用にはプロジェクト管理ツールの活用が有効
CCPMを効果的に運用するには、タスクの進捗状況やバッファの残量を継続的に把握する必要があります。Excelや紙で管理することも可能ですが、更新漏れや共有漏れが発生すると、遅延リスクの発見が遅れる可能性があります。
プロジェクト管理ツールを活用すれば、タスクの担当者・期限・進捗状況を一元管理できます。ガントチャートやWBS、カンバン、通知機能などを用いることで、どの作業が遅れているのか、どの程度バッファを消費しているのかを可視化しやすくなります。
また、関係者全員が同じ情報をリアルタイムで確認できるため、優先順位の判断やリソース配分もしやすくなります。CCPMではチーム全体でバッファを共有するため、進捗状況を正確に把握し、早めに対策を講じられる体制づくりが重要です。
自社に合うプロジェクト管理ツールを整理したい方は、無料診断もご活用ください。
CCPMに関するよくある質問
CCPMを導入・運用する際には、クリティカルパス法との違いやバッファの管理方法、どのようなプロジェクトに向いているのかを理解しておくことが大切です。ここでは、CCPMに関するよくある質問に回答します。
CCPMとクリティカルパス法の違いは何ですか?
クリティカルパス法は、プロジェクト全体のなかで最も時間がかかり、遅延すると納期に影響する作業経路を明らかにする手法です。一方、CCPMはクリティカルパスの考え方に加えて、リソースの制約やバッファ管理を重視します。各タスクの余裕を全体のバッファとして一元管理し、納期遅延を防ぐ点が特徴です。
CCPMはどのようなプロジェクトに向いていますか?
CCPMは、複数のタスクや担当者が関わり、納期遅延のリスクがあるプロジェクトに向いています。特に、部署をまたいで進行するプロジェクトや、作業の依存関係が複雑なプロジェクトでは、バッファを一元管理することで進捗状況を把握しやすくなります。一方で、短期間で完了する単純なプロジェクトには向かない場合があります。
CCPMを導入する際の注意点はありますか?
CCPMを導入する際は、チーム全体でバッファを共有する考え方を浸透させることが重要です。各タスクの余裕を削るだけでは、メンバーに過度な負担がかかる可能性があります。バッファは「使ってはいけない余裕」ではなく、プロジェクト全体の遅延リスクを管理するための指標として活用しましょう。
CCPMのバッファはどのように管理すればよいですか?
CCPMのバッファは、プロジェクト全体の進捗率とバッファ消費率を確認しながら管理します。バッファの消費が進捗に対して大きい場合は、納期遅延のリスクが高まっている状態です。タスクごとの消費状況を記録したり、バッファートレンドグラフを活用したりすることで、遅延の兆候を早期に把握できます。
CCPMの運用にプロジェクト管理ツールは必要ですか?
CCPMはExcelや紙でも運用できますが、タスク数や関係者が多い場合はプロジェクト管理ツールの活用が有効です。ツールを使えば、タスクの担当者・期限・進捗状況を一元管理でき、遅延箇所やバッファの消費状況を把握しやすくなります。情報共有の手間を減らし、優先順位の判断やリソース配分をスムーズに行えるでしょう。
CCPMを用いて納期までにプロジェクトを達成しましょう
CCPMはタスクの納期をぎりぎりに設定し、プロジェクト全体でバッファを確保する方法です。CCPMのメリットには、スケジュールの可視化や優先順位設定の円滑化などがあります。またデメリットには協力意識が不可欠である点や、短期的なプロジェクトには向いていない点が挙げられます。CCPM実施のポイントと併せて、プロジェクトのスムーズな達成の参考にしてください。




