導入条件を整理する視点
製品を比べる前に、自社が何を求めるのかを明確にしましょう。条件があいまいなまま比較を始めると、判断の軸がぶれてしまいます。まずは条件を洗い出し、優先度をつける手順を押さえます。
まず自社の前提条件を書き出す
導入条件は、自社の環境や要件から導かれます。使用しているシステム、扱うデータの機密性、利用する部門や拠点の範囲などを、あらかじめ書き出しておきましょう。前提を整理することで、製品に求める要件がはっきりします。
この作業を飛ばすと、営業担当の説明に流されて選んでしまいがちです。自社の状況を言語化しておけば、各製品が自社に合うかを冷静に判断できます。関係部門にも確認し、要件の抜け漏れを防ぐことが大切です。
譲れない条件と望ましい条件を分ける
洗い出した条件は、すべてが同じ重みではありません。「これがないと導入できない」譲れない条件と、「あればうれしい」望ましい条件に分けて整理しましょう。優先順位がつくと、候補を効率よく絞り込めます。
例えば、金融機関であれば高いセキュリティは譲れない条件です。一方、多言語対応は海外展開の予定がなければ優先度が下がります。自社にとって何が必須かを見極めることが、製品選びの土台になります。
国産ツールとセキュリティの条件
導入条件の中でも重視されやすいのが、日本語での使いやすさとセキュリティです。国産ツールの適性や、厳しいセキュリティ要件への対応、認証の確認について見ていきましょう。
国産RPAが向く場面
国産のRPAツールは、日本語の操作画面やマニュアルが整い、国内で広く使われる業務アプリとの相性が良い傾向があります。WinActorやロボパット、RoboTANGOなどが国産ツールの代表例です。日本語でのサポートを受けられるため、社内にIT専門人材が少なくても運用しやすい点が魅力です。
国内の商習慣に合わせた機能や、日本語特有の帳票への対応も、国産ならではの強みといえます。海外製の高機能なツールに比べ、学習や運用の負担を抑えやすいのも利点です。日本語環境での使いやすさを重視するなら、国産ツールが有力な選択肢といえます。
金融機関など厳しいセキュリティ要件への対応
金融機関のように機密性の高いデータを扱う企業では、セキュリティ要件が厳格です。ロボットがアクセスできる範囲を制限できるか、操作ログを記録・監査できるか、といった管理機能の有無が導入条件になります。情報が外部に漏れない仕組みかを、細かく確認する必要があります。
クラウド型かオンプレミス型かも、セキュリティの観点で重要です。閉じたネットワーク内で運用したい場合は、自社サーバーに設置できる形式が求められます。自社のセキュリティポリシーに照らし、要件を満たす製品を選びましょう。
ISMSなど認証・管理体制の確認
ISMSとは、情報セキュリティを組織的に管理する仕組みで、ISO27001という国際規格の認証で示されます。提供元がこうした認証を取得しているかは、セキュリティ体制を見極める一つの目安です。認証の有無を公式情報で確認しておきましょう。
ただし、認証があれば万全というわけではなく、実際の運用でどこまで管理されるかも重要です。データの保管場所やアクセス管理の方針まで、具体的に確認することをおすすめします。認証と運用の両面から、信頼できる提供元かを判断してください。
連携とカスタマイズの条件
既存システムとどうつなぐかも、重要な導入条件です。API連携が必須の場合や、独自のレガシーシステムを抱える場合の見極め方を整理します。自社のシステム環境に照らして確認しましょう。
API連携が必須の場合の見極め
APIとは、システム同士がデータをやり取りするための決まりごとです。基幹システムやクラウドサービスとの連携が欠かせない場合は、必要なAPIに対応しているかが導入の前提になります。画面操作だけでなく、API経由で安定してデータをつなげるかを確認しましょう。
API連携に強い製品なら、システムの画面が変わっても影響を受けにくく、安定した自動化が期待できます。自社が連携したいシステムを具体的に挙げ、対応可否を問い合わせるのが確実です。連携の実績があるかもあわせて確かめておきましょう。
レガシーシステムへの柔軟な連携
長年使ってきた独自のシステム、いわゆるレガシーシステムとの連携は、RPA導入の難所になりがちです。標準の連携メニューでは対応できず、個別のカスタマイズが必要になる場合があります。柔軟にカスタマイズできる製品かどうかが問われます。
ただし、無理なカスタマイズは保守を難しくし、後の運用で負担になることもあります。どこまで標準機能で対応でき、どこからカスタマイズが要るかを事前に見極めましょう。自社のレガシー環境を伝え、現実的な連携方法を相談することが大切です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でRPAツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
多言語・海外拠点への対応条件
海外に拠点を持つ企業では、言語や地域への対応も導入条件に加わります。多言語対応の確認点と、海外拠点がある場合の選び方を整理しました。グローバルに使う予定があるなら押さえておきましょう。
多言語対応の確認ポイント
海外の担当者も使う場合、操作画面やマニュアルが複数の言語に対応しているかが重要です。日本語だけの製品では、現地スタッフが扱いにくく、運用が広がりません。必要な言語に対応しているかを、導入前に確認しましょう。
あわせて、現地のサポートを受けられるかも確かめたい点です。時差や言語の壁があると、トラブル対応が滞ります。海外での利用を見据えるなら、多言語対応とサポート体制の両方を条件に含めてください。
海外拠点がある場合の選び方
海外拠点で使うなら、その国のシステムや業務環境に対応できるかが問われます。世界的に導入されている海外製ツールは、多言語やグローバルな運用に強い傾向があります。拠点をまたいでロボットを統一的に管理できるかも確認しましょう。
一方、国内中心の運用に海外拠点が少し加わる程度なら、国産ツールで対応できる場合もあります。海外展開の規模と、現地でどこまで自動化するかによって最適な選択は変わります。将来の展開も見据えて、条件を整理してください。
- ■日本語・国産対応
- 日本語UIやマニュアル、国内の業務アプリとの相性
- ■セキュリティ要件
- アクセス制限、操作ログ、オンプレミス対応、ISMS認証の有無
- ■連携条件
- 必須のAPI連携やレガシーシステムへのカスタマイズ対応
- ■多言語・海外
- 必要な言語への対応と海外拠点でのサポート体制
導入条件から選ぶRPAツール
ここでは、日本語環境での使いやすさや国内サポートに強い国産のRPAツールを中心に紹介します。あわせて海外製の選択肢も挙げるので、自社の導入条件に合うか資料で確かめてみてください。
WinActor
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
スターティアテクノス株式会社が提供する「WinActor」は、NTTグループで開発された純国産のRPAツールです。完全日本語化されており、日本語のマニュアルやサポート体制が整っているため、国内の業務環境で扱いやすい点が特徴です。管理ツール「WinDirector」を組み合わせることで、パソコン単位のデスクトップ型からサーバー型まで運用形態を広げられます。日本語での使いやすさや国内サポートを重視し、規模の拡大も見据えたい企業に向いた製品といえます。
ロボパットAI
- 現場で作成するために開発されたRPAであり作成が容易
- 導入企業には専属の担当者がつき、個別にサポート
- コスト削減だけでなく、DX推進サービスを提供
株式会社FCEが提供する「ロボパットAI」は、プログラミング不要で使える純国産のRPAツールです。日本語のUIで操作でき、導入企業には専任の担当者が付いて無償で伴走支援を受けられるため、社内にIT専門人材が少ない企業でも運用しやすい点が特徴です。画像認識を使い、現場の担当者だけでロボットを作成できます。国内サポートの手厚さを重視し、現場主導で自動化を進めたい企業に向いた製品です。
RoboTANGO(ロボタンゴ)
- 録画機能でパソコン上で操作するだけで簡単にRPAの作成が可能
- 低価格なのに1ライセンス複数のPCで利用できる。
- Excel、基幹システム、チャット・メールへの転記に強い
「RoboTANGO(ロボタンゴ)」は、スターティアテクノス株式会社が提供する国産のデスクトップ型RPAツールです。低価格で、日本語のUIと録画による操作記録により、専門知識がなくてもロボットを作成できます。1ライセンスを複数のパソコンで共有できるフローティングライセンスに対応し、導入前後のサポートにも力を入れています。国産の使いやすさとコストの両立を重視し、小さく始めたい企業に向いた製品といえます。
PowerAutomate (日本マイクロソフト株式会社)
- プログラミング知識なしに自動化フロー構築可能。
- 複数手法に対応し、クラウド連携も豊富。
- AI統合により高度で動的な自動化が可能
Automation Anywhere (オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社)
- Gartner RPAリーダーに7年連続選出
- 業界初のプロセス推論エンジン(PRE)搭載
- Community Editionは全機能無料。
RPAツールの導入条件に関するFAQ
RPAツールの導入条件についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:国産と海外製はどちらを選ぶべきですか?
- 日本語環境での使いやすさや国内サポートを重視するなら国産、多言語対応やグローバルな運用が必要なら海外製が向きます。自社が国内中心か海外展開があるかで、優先すべき条件が変わります。
- Q2:金融機関でも使えるRPAツールはありますか?
- アクセス制限や操作ログ、オンプレミス対応など、厳しいセキュリティ要件に応える製品はあります。自社のセキュリティポリシーに照らし、管理機能や認証の有無を細かく確認してから選ぶことが大切です。
- Q3:ISMS認証があれば安心ですか?
- 認証は情報セキュリティ体制の一つの目安になりますが、それだけで万全とはいえません。データの保管場所やアクセス管理の実際の運用まで確認し、認証と運用の両面から判断することをおすすめします。
- Q4:既存のレガシーシステムとも連携できますか?
- 柔軟にカスタマイズできる製品なら連携は可能ですが、個別対応が必要な場合があります。無理なカスタマイズは保守の負担になるため、標準機能でどこまで対応できるかを事前に相談しておくとよいでしょう。
まとめ
RPAツールの導入条件は、国産か海外製か、セキュリティ要件の厳しさ、API連携やレガシー対応の必要性、多言語や海外拠点への対応によって変わります。大切なのは、自社の前提条件を書き出し、譲れない条件と望ましい条件を分けて優先度をつけることです。条件が明確になれば、候補を効率よく絞り込めます。要件を整理したうえで、資料請求から各製品が自社の条件を満たすかを見比べてみてください。


