RPAとRBAとは
業務を自動化できるツールとして、RPAとRBAという言葉を最近よく耳にします。まずはこれら2つの言葉の意味を確認しましょう。
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは単純な定型業務を自動化できるシステムのことです。企業においては、請求書処理や顧客情報の入力、簡易的なメール配信などの定型的な業務が数多く存在します。RPAに処理手順を指示すれば、これらの定型業務を人の手を介さずに自動で処理することができるのです。
RPAは主に情報システム部門以外の、ITリテラシーのあまり高くないユーザーが使用することを想定したシステムです。プログラミング言語不要で、必要な機能をマウスクリックで選択するだけでRPAに業務の処理手順を指示することができます。
使いやすさにこだわった製品が増えつつあり、操作方法が直感的に分かるようなシンプルな画面デザインのものが多いのが特徴です。
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RBAとは
RBA(Run Book Automation)とはITシステムの運用管理を自動化できるシステムのことです。企業の情報システム部門では担当者がさまざまな運用管理ツールを活用し、適宜判断しながらITシステムを運用しています。企業規模や管理しているシステムの種類にもよりますが、一般的にシステムの運用管理には工数や人件費などの企業負担がかかります。
RBAはこの一連の運用管理プロセスを自動化することができ、システム障害発生時などの対応工数を大幅に削減することができます。主に情報システム部門のユーザーが使うことを想定しているため、高度な機能が搭載されている製品も多くあります。
RPAとRBAとの違いは?
RPAとRBAの概要を確認できたところで、2つの違いを具体的に見ていきましよう。
1.GUI操作の自動化の可否
GUIとはGraphical User Interface(グラフィカルユーザーインターフェース)の略で、クリックやドラッグといったマウス操作のことを指します。
RPAはGUI操作を自動化できるため、例えば「新規作成ボタンをクリック→顧客情報を入力→保存ボタンをクリック」という作業を、実際に人間が行う操作手順のまま記憶させ自動化することができます。一方でRBAはGUI操作の自動化はできず、システムに理解できるようにプログラミング言語で業務手順を記述する必要があります。
2.自動化できる業務の対象範囲
RPAとRBAはどちらも業務を自動化するという点は共通していますが、対象となる業務範囲が異なります。RPAは製品によって多少の差はありますが、基本的に定型作業であればどんな種類のシステムであっても連携して自動化することができます。
それに対してRBAは情報システム部門が利用するようなITの運用管理システムのみが対象であり、SFAやCRMなどのシステムは対象外となっています。
3.想定される使用ユーザーの属性
RPAはITシステムの操作や難解な専門用語に慣れていないユーザーが利用することを想定しているため、シンプルで直感的な操作ができる製品が多いのが特徴です。
しかしRBAを利用するのは情報システム部門の担当者が大半を占めるため、ハイスペックな機能を搭載する分、操作は複雑になりがちです。RPAとRBAは似た言葉ですが、それぞれを使用するユーザー像は大きく異なると言えるでしょう。
RPAとRBAはどちらを導入するべきか
自動化したいと考えている業務が情報システム部門の運用管理業務ならばRBAを、それ以外の業務ならばRPAの導入を検討しましょう。この2つは言葉や用途は似ていますが、細部に注目すれば全く異なるシステムであると言えます。一方がもう一方の代わりになったり、全く同じ働きをすることは難しいと言えるでしょう。
自動化したい業務の内容に合わせてどちらを導入するか決め、その上で実際の製品をチェックするのがおすすめです。
RPAを導入するメリット
多くの企業で導入が増えているのがRPAです。RPAを導入するとどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
1.人件費を削減できる
RPAを導入することで定型的な単純業務を自動化することができます。データの入力作業などは派遣やアルバイトに任せている企業もあると思いますが、RPAで自動化することによってこれらの人件費を削減することができます。
2.24時間365日稼働できる
RPAはITシステムであるため、24時間365日稼働し続けることができます。業務の処理スピードがアップすることでスケジュールの短縮に繋がり、残業時間の削減を実現できた事例もあります。
3.付加価値の高い業務に専念できる
多くの企業はデータ入力といった単純作業よりも、企画立案などの付加価値の高い業務に時間を割くべきと考えています。単純業務をRPAに任せて空いた時間を活用すれば、企業にとってより重要な業務に注力することができるでしょう。
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RPA導入における注意点
ここからはRPA導入における注意点を解説していきます。
1.自動化したい業務手順の洗い出しが必要となる
RPA導入を検討するということは、社内に自動化したい業務があるということです。自動化の際はRPAに作業手順を登録する必要があり、現状の業務手順を整理する必要があります。
RPAの導入は現場主導で進むことも多いですが、普段の業務が多すぎて手順の洗い出しがなかなか進まず導入までたどり着けない場合もあるようです。
2.システム変更の度にメンテナンスが発生する
RPAでは複数のシステムをまたいだ一連の操作を自動化することができます。非常に便利である一方で、連携されたシステムの一つをアップデートして画面デザインが変更になっただけでも、作業手順の登録し直しが必要になる場合があり、その分メンテナンス工数がかかることになります。
RPAを運用する際は定期的なメンテナンス工数がかかることを覚えておきましょう。
3.セキュリティ対策の見直しが必須となる
RPAには業務遂行上必要となるシステムログイン用のパスワードを記憶させたり、重要なファイルへのアクセス権限を与える場合があります。
万が一、社内ネットワークに悪意のある第三者が侵入してRPAが乗っ取られた場合は、社内の機密情報が漏洩してしまうことになります。RPA導入に合わせて今一度社内のセキュリティ対策を強化する必要があるでしょう。
RPAとRBAの違いを知り自社に合った製品を導入しよう
RPAとRBAについて解説してきました。この2つは共通点もありますが全く異なるシステムです。両者の違いを正しく理解して自社に必要な方を導入することが必要です。
RPA製品の導入を検討したい場合は、以下の記事で製品紹介を行っているため是非ご覧ください。
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