RPAでできること
RPAはどんなことができるのか見ていきましょう。
単純な定型業務
RPAの得意分野は、手順が決まっている単純な定型業務です。事前に指定されたルール通りに作業することで完了する業務であれば、比較的容易にRPAに代替させることができます。
例えば請求書や経費の処理、発注・納品処理などが挙げられるでしょう。もちろんこれら全てが無条件に代替できるわけではなく、あくまでも決められた手順に則って行う場合のみ効率化が可能という話です。 状況に応じた臨機応変な判断を要するプロセスが入っている場合、RPAで対応するのは難しくなってしまいます。
電話・メール対応のサポート業務
RPAを活用すれば、電話やメール対応などのサポート業務の効率化が可能です。メール内容が定型的なものであれば事前に設定した文章を送付することにより対応できます。
また、電話対応に関してもさまざまな面での効率化が考えられます。一例として、かかってきた番号を参照してデータベースから顧客情報を取り出し、オペレーターに提示するという使い方が挙げられるでしょう。 詳しくは後述しますが、RPAを活用して圧倒的な効率化を図ったコールセンターも存在します。
データの収集・分析業務
RPAは定型的な反復処理を得意とするため、データの収集・分析業務に活用することもできます。ルーチンワークとはいえデータの収集や分析にはそれなりの時間がかかりますが、RPAを活用すれば自動処理によって時間の短縮が可能です。
一例として、既に記載されている会社名からオフィシャルサイトにアクセスし、必要な情報を自動的に取得するといったものが挙げられます。問い合わせを受けたと同時に会社のデータを取得し、問い合わせ内容に詳細情報を添えて担当者に提示する使い方もできるでしょう。
RPAでできないこと
このように、RPAは人間の代わりにさまざまな業務を自動化してくれます。しかしRPAに任せることができないこともあります。それは「イレギュラーな事象に対して自ら考えること」です。RPAは事前に設定された手順通りに作業することはできますが、通常とは異なる事象が発生したときにどのように処理すべきか自ら考えて行動することができません。
例えば顧客台帳の入力業務において、半角数字しか入力できない電話番号欄に誤って漢字の氏名が入力されていたとします。人間が入力していれば、漢字氏名は本来入力すべき氏名欄に入力し、電話番号は不明として担当営業に確認依頼をすることができます。
しかしRPAの場合は電話番号欄に読み取った漢字氏名をそのまま入力しようとするため、エラーが起き作業がストップしてしまうのです。
これを回避するためには、「半角数字以外の文字列が入力されていた場合は、後に回して次のデータの処理に進む」「RPAの担当者に対してアラートを出す」などのイレギュラーな事象が発生した際の処理手順を事前に設定しておくことが必要です。逆に言えば、設定さえしておけばイレギュラーな事象に対して対応させることは可能と言えるでしょう。
RPAの活用事例
続いてRPAの得意分野を生かした実際の活用事例について解説します。RPAを活用することで、どのような業務が効率化され生産性の向上に繋がったのでしょうか。
1.経理部門の入金消込作業を効率化
1つめの事例として、経理部門の入金消込作業の自動化が挙げられます。入金消込とは、売上が発生した時点で計上される「売掛金」を実際の入金で消し込むことです。この作業は従来人力で行うことが当たり前でした。
しかし入金消込作業は単純な定型ルーチン業務のため、RPAを活用すれば大きく工数を削減することができるでしょう。実際の現場では、ツールを用いて自動化し工数を20日から2日に短縮した事例もあります。このような定型ルーチン業務を短縮できれば、人は柔軟な判断を必要とする業務に集中することができるでしょう。
2.コールセンターのオペレーター業務を効率化
RPAを利用することでコールセンター業務の効率化に繋がる例もあります。コールセンターは顧客対応を行う部署であり、人的な判断を要する機会が多いためRPAにそぐわないと考える人も多いかもしれません。
確かに顧客との折衝をRPAに代替させることはできません。しかし、顧客情報の照会やデータベースへの反映などの単純作業であればRPAの活躍が期待できます。
例えば顧客情報参照のための画面遷移に時間がかかっていたところ、RPAを使って数回の処理に短縮させることができた例が挙げられます。その結果、熟練スタッフ10名が行う業務を新人スタッフ1名が行えるようになり、圧倒的な業務効率化を果たしました。
3.ECサイトのマーケティング業務を効率化
RPAを活用し、ECサイトのマーケティング業務を効率化した事例を紹介します。自社ブランドに興味を持って訪れたユーザーを、各販売サイトに誘導するために比較サイトを作成。しかし価格や在庫といった情報はリアルタイムで更新されるため、それらを全て人力で取得するのは大変な工数がかかることが想定できます。
そこでRPAを使って情報を自動取得することにより、工数の削減を実現。ユーザビリティの向上からECサイトへのトラフィックが増加し、売上増という結果を得ることができました。RPAによる情報収集を行えば時間の短縮に繋がり、戦略的な立案に充てる時間を増やすことができます。
RPAのメリットとデメリット
RPAを活用することで業務の効率化に繋がることが分かりました。改めてRPAのメリットとデメリットについて確認していきましょう。
メリット:業務効率化・生産性向上が期待できる
RPAを用いることで、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。繰り返しになりますが、RPAはルールが明確に定まっている提携業務を自動化することに長けたツールです。 仕事の上では人的な判断を要する面も多いですが、手を動かすだけのいわゆる「作業」も多いのではないでしょうか。
そのような作業を優先的にRPAに代替させることにより、従業員を人的な判断が要求される業務に集中させることができます。限られたリソースを必要なところに集めれば、自ずと業務効率化や生産性の向上、そして作業品質のアップが見込めます。
メリット:低コスト・短期間で導入可能
RPAは比較的低コスト・短期間で導入可能です。いくら業務に良い影響があるシステムでも、導入が容易でないものをすぐに活用することはできません。一般的にゼロからシステムを開発するよりは、既にリリースされているソフトウェアを活用した方が導入までの期間は短くなります。
RPAは既に多くのサービスがリリースされているため、ユーザーは自分に適したものを自由に選ぶことができるでしょう。 主な提供形態としてオンプレミス型とクラウド型の2種類がありますが、現在は低コストかつ短納期なクラウド型が選ばれる傾向にあります。
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デメリット:急な業務変更への対応は難しい
RPAは定型ルーチンへの対応を得意としていますが、反面、柔軟な処理は苦手分野です。そのため急な業務変更への対応は難しいといったデメリットがあります。
業務変更や仕様変更があった際には新たにルールを決め直す必要があり、場合によっては手間が増えてしまうでしょう。一例として、情報を取得していたシステムの外観や内部構造の変更が挙げられます。
RPAを活用する際には、多少の業務変更や仕様変更にも対応できるようにしておくと後々の不便を避けられます。ルーチンを組む際には少ない箇所の変更で多くのシーンに対応できるようにするなど、なるべく柔軟性を高い設定をするようにしましょう。
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RPAは単純な定型処理の自動化を得意とするツールです。仕事を行う上でルーチンワークは欠かせませんが、それらをRPAに代替してもらうことによって人は柔軟な判断を要する業務に集中できるでしょう。
一方で、RPAは例外的な処理や急な業務変更への対応は難しいことも覚えておく必要があります。RPAにできることとできないことを正しく把握した上で自社の業務に適したRPA製品を導入し、業務効率化と生産性の向上を目指しましょう。
以下の記事ではRPA製品の紹介をしていますので、自社に導入する製品を探している場合は是非ご覧ください。
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