RPAの日本での市場規模
RPAの市場規模は年々拡大しています。要因としては、IT技術とAIの発展によって人間にしかできない仕事をロボットでもできるようになったことが挙げられます。今後も技術が進歩するたびにロボットでもできることが増えていき、同時にRPA市場も拡大していくと予想されています。
ここからは日本のRPA市場規模について説明していきます。
日本では2021年までに10倍の規模に成長する予想
日本国内のRPA市場は急成長を続けており、2015年の売上金額は2億円でしたが、2016年には8億円と前年比の4倍となる成長を遂げました。2017年には20億円まで成長し、2018年の売上金額は44億円で落ち着くと予想されています。
また将来的には2021年の市場規模は80億円に達するといわれており、RPAが認知され始めた2016年の10倍の規模まで成長する見込みです。製品以外のコンサルティングやSIも含めたRPAソリューション全体の市場規模は、2018年度実績395億円(対前年比215.8%)まで成長し、2019度見込みでは689億円(対前年比174.3%)となっており、関心の高さが伺える数字となっています。
導入コストが高い点が課題として挙げられることもありますが、安価な製品も増えつつあり、手軽にRPAを導入できるようになったと言えるでしょう。導入のハードルは低くなり、市場規模も拡大していくと見込まれています。
出典:
ITR「2017年度のRPA市場売上金額は35億円、前年度比4.4倍と急成長、2022年度には400億円に達すると予測 ITRがRPA市場規模推移および予測を発表」
ミック経済研究所「驚異的な拡大続くRPAソリューションの市場動向 2019年度版」
RPAの市場規模が拡大している背景
RPAの市場は年々拡大していますが、その背景には何があるのか説明していきます。
金融業界が注目することで導入が促進された
RPAを導入するメリットの1つに事務作業の自動化があります。人間ではなくロボットが作業するため、24時間365日休むことなく稼働できます。また人間よりも処理スピードが早いため、業務の効率化や人件費の削減に繋がります。
このRPAによる効率化に注目している業界が「金融業」です。金融機関では事務処理の量が多く、人為的なミスが発生しやすいという課題がありますが、ロボットは与えられた指示通りに業務を行うためアウトプットが正確です。
単純作業にかける時間を削減することで、人間は企画立案などの人間にしかできない仕事に集中することが可能です。RPAの導入効果が予想しやすい金融機関では、他業界よりも導入が進んでいるようです。
AIとの連携
RPA製品は搭載された機能のスペックによってランクがあります。低いランクの製品は定義されたルールに従ってデータを処理することしかできませんが、ランクが高いハイスペックな製品はAI連携によって「判断力」と「自己学習能力」を持つものもあります。
RPAというと業務を自動化するのみというイメージがありますが、中には経営に必要な意思決定を行うRPAツールもあります。このようにAIと連携したRPAを使うことで社内に蓄積している膨大な量の情報(ビッグデータ)を分析し、業務改善だけでなく経営戦略を立てる参考になります。
RPAが必要とされる理由
RPAを活用することで得られるメリットは、大きく分けて「コストダウン」「アウトプットの正確さ」「高付加価値業務へのリソース増強」「リソース追加の簡便さ」の4つがあります。このようなメリットを求めてRPAを必要とする企業が増えています。
ここからはRPAが必要とされる理由を具体的に説明していきます。
生産性が上がり顧客満足につながる
RPAを活用することで業務の処理速度が上がり、ミスの少ない正確な処理が実現できます。例えば受注した商品を納品する場合を考えてみましょう。届いた注文票を確認して在庫を調べ、出荷指示を出すという複雑な手順がありますが、RPAに処理を任せれば作業スピードの向上と正確な出荷を両立することができます。
RPAの活用は自社の業務効率化だけでなく、取引先とのトラブルを減らし、顧客満足度の向上にも繋がるのです。
ヒューマンエラーを防ぎ従業員の負担を減らす
RPAは定義されたルールに従って正確に処理を行うため、ヒューマンエラーによるミスを低減することが可能です。ミスが発生すると、カバーするための時間や人員が余計にかかることになりますが、RPAで作業を自動化することでミス自体を減らし従業員の負担を軽減できるでしょう。
BPO(Business Process Outsourcing)を活用していた場合も、業務を行うのが人間であれば人為的なミスが発生しトラブルに繋がることがありますが、RPAであればこのような問題も起きなくなります。
属人化・人材不足・コスト問題が解消する
これまで人手不足解消や業務の効率化の手段として、BPOの活用が大きな割合を占めていました。外部企業に委託することで時間を有効活用し、自社のキャパシティを超える業務を処理できたからです。
しかしRPAはBPOよりもトータルコストが安く済み、人材育成の時間がかかりません。最初に作業内容を指示するときに業務マニュアルを作成すれば、RPAの担当者が変更になった後に業務がブラックボックス化することも防ぐことができます。
RPA導入時に確認すべきポイント
RPAを導入する際は、機能や使い方を正しく理解し自社に合った製品を選択することが求められます。ここからはRPA導入の注意点を説明していきます。
導入の目的・自動化する業務内容は何なのか
RPAを導入する前に、RPAを活用する目的とRPAを使って自動化する業務を明確にすることが重要です。具体的にどの業務を自動化したいのか洗い出し、その業務を正確かつ素早く処理できるスペックを持った製品を選ぶ必要があります。
また、そもそもRPAを導入してまで効率化すべき業務があるのかも確認しましょう。
既存システムと連携ができるか
導入予定のRPAが自動化したい業務で使用するシステムと連携できるかは必ず確認しましょう。例えば、専門的な業務を効率化する特化型RPA製品は高いパフォーマンスを発揮しますが、対応できるシステムが限られます。
既存製品での対応が難しい場合は、ゼロから自社仕様に開発する必要もあるでしょう。
セキュリティ対策は十分か
RPAには業務処理に必要な社内システムのパスワードを記憶させたり、データベースへのアクセス権限を与えます。セキュリティ機能が不十分なRPA製品の場合、悪意のある第三者からセキュリティ攻撃を受けた際にそれらが漏洩してしまう恐れがあります。
製品自体のセキュリティ機能もそうですが、自社の社内ネットワーク環境においても十分なセキュリティ対策をすることが必要です。
ベンダーのサポート体制は十分か
製品を選ぶ際は販売元であるベンダーのサポート体制を必ず確認しましょう。どんなに機能的に優れている製品であっても、使い方が不明であったり予期せぬトラブルが発生したときに十分なサポートが受けられなければ、最大限活用できているとは言えません。
電話やメールによるサポート以外に、無料で参加できるセミナーを開催しているベンダーもあります。
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業務効率化のため、RPAの導入を検討しましょう!
今回はRPAの市場規模を中心に紹介してきました。業務の効率化や品質向上など、さまざまな導入メリットがあるRPA。年々導入する企業が増えつつあります。
自社での導入を決める際は、何のために導入するのか、どの業務を自動化したいのかなどを良く検討しましょう。その上で自社に最適な製品を選ぶことが大切です。
RPA製品を探している場合は、以下の記事で製品紹介をしているため是非ご覧ください。
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