RPAツールの選び方とは
多種多様なRPAツールがあるなかで自社に最適な製品を選ぶためには、以下のポイントに着目してみましょう。
- ●自社の規模や導入目的にあった機能・価格か
- ●自社向けにカスタマイズする必要はあるか
- ●継続的に運用できるか
- ●提供形態は適しているか
- ●デスクトップ型かサーバ型か
一つひとつ具体的に解説します。
自社の規模や導入目的にあった機能・価格か
RPAは、ツールによって対象規模が異なります。大規模導入に適したものもあれば、パソコン1台からのスモールスタートに対応可能な製品もあります。
一般的には規模に比例して導入コストも上がるため、自動化したい業務を洗い出し、導入目的やRPAの適用範囲を定めることでコストの無駄を省けるでしょう。さらに目的が明確化されると必要機能が浮き彫りになり、製品選定しやすくなります。
自社向けにカスタマイズする必要はあるか
RPAツールにはカスタマイズ性が高い「汎用型」と、人事や経理など特定の事務作業を効率化させる「特化型」があります。汎用型のRPAツールはさまざまな業務に対応し、カスタマイズ次第では自社の業務を効率よく自動化できます。対応可能な作業は多いですが、有効活用するためには専門的な知識や技術が必要になる場合もあるでしょう。
一方特化型は、カスタマイズ性は低いものの専門性が高く、特定の分野に関しては導入時の設定のまま十分に活用できます。しかし対応可能な範囲は狭いため、社内全体業務を自動化するには複数のロボットが必要になりコストが増加する可能性もあるでしょう。
継続的に運用できるか
RPAツールは、定期的にメンテナンスを実施する必要があります。新たに自動化したい作業がある場合に設定が容易か、不具合が発生した際に細かい調整を行えるかが重要です。
一度設定が完了し自動化した業務であっても、変更点があればあわせて対応する必要があります。場合によってはRPAツールについての専門的な知識や技術が必要なこともあるため、継続的に運用できるかが重要なポイントです。またRPAツールのなかには海外製も多く、サポートも含め英語表記の製品があるため注意が必要です。無料セミナーを提供しているものや、ロボット作成支援を行っているもの、運用代行可能なものなどサポートもさまざまなので、運用に不安がある場合はベンダーに問いあわせてみましょう。
提供形態は適しているか
RPAツールの提供形態には、ベンダーのサーバを借りてブラウザ上で操作を行う「クラウド型」と社内にシステムを構築する「オンプレミス型」の2種類があります。
クラウド型のRPAツール
クラウド型のRPAツールは、RPAサービスを提供している事業者のソフトウェアロボットにインターネットを介してアクセスし、Webブラウザ上の作業を自動化します。特徴は以下のとおりです。
- ●導入コストを抑え、短期間で利用を開始できる
- ●Webブラウザ上の作業のみを自動化されるため、対象業務が限定される
- ●クラウドサービス以外のシステムと連携できない可能性がある
クラウド型RPAツールは、現在利用しているクラウドサービスの業務を自動化したい場合に有効でしょう。
オンプレミス型のRPAツール
オンプレミス型RPAツールは、自社にサーバを設置しシステムを構築する方法です。機密性の高い情報を扱う場合には、オンプレミス型を選択するケースもあります。特徴は以下のとおりです。
- ●専門知識と技術があれば自社でカスタマイズできる
- ●自動化可能な作業幅は広く、柔軟に対応できる
- ●必要な設備を自社で用意するため、導入コストが高くなる
- ●有効活用するためには専門的な知識や技術が必要となる
以下の記事ではおすすめのクラウド型RPAについて、オンプレミス型との違いを踏まえて詳しく解説しています。おすすめの製品も紹介しているので、ぜひご覧ください。
デスクトップ型かサーバ型か
前述したオンプレミス型のRPAは、さらに細かく分類すると「サーバ型」と「デスクトップ型」に分けられます。
サーバ型RPAとは、自社のサーバ内でロボットを稼働させるタイプです。大量データやルールの管理など業務を横断した処理が得意なため、大規模に導入したい企業に適しているでしょう。
一方デスクトップ型RPAは、個人のPCにインストールしそれぞれの作業を自動化させるため、スモールスタートしたい場合におすすめです。しかし個人のPC内の作業単位でしか稼働できないため、複数のシステムを横断した一連の作業は自動化しづらいこともあります。
以下の記事では、最新のおすすめRPAを規模やタイプに分けて、比較紹介しています。あわせてご覧ください。
RPAツールの導入手順
RPAの選び方を踏まえて、導入前から導入後までの実際の手順を解説します。スムーズに導入するためには、以下のステップを押さえておきましょう。
- 1.RPAツールの利用目的を確認する
- 2.RPAツールで自動化の適用範囲を決定する
- 3.既存システムとの連携性を確認する
- 4.イレギュラーが発生したときの処理手順を検討する
- 5.自社のセキュリティ管理体制を確認する
- 6.システム障害時の対策を決めておく
- 7.運用定着を目指して導入前研修を実施する
1.RPAツールの利用目的を確認する
RPAツール製品には用途や規模別にさまざまな種類があるため、適切な製品導入には目的の明確化が重要です。
まずは自社の業務状況を分析し、負担が大きい作業や高い正確性が求められる作業、スケジュール短縮を図りたい作業などを洗い出しましょう。目的に沿った機能が搭載されているかどうかが製品選定時に重要なポイントとなります。
2.RPAツールで自動化の適用範囲を決定する
基本的にRPAツールは、データ入力などの単純作業を自動化するものです。なかにはAIを搭載したRPAロボットもあり、高度な分析ができたり、複雑な意思決定ができたりするなど自動化の範囲を広げて活用できます。
ただしAI搭載型は導入金額が高くなるため、シンプルに単純業務のみの自動化でよいのか、より高度な処理を求めるのかを導入前に決定しましょう。自動化する範囲とコストのバランスを考えることが大切です。
3.既存システムとの連携性を確認する
RPAで自動化できる作業はエクセルなどのOfficeソフトだけでなく、業務システムも含まれます。しかしRPAツールによって対応可能なシステムは異なるため、導入前に必ず既存システムとの連携性を確認しましょう。
RPAの導入目的と適用範囲を定め、既存システムとの連携性が確認できたら、これらの条件を満たす製品を選定します。まずは各社製品の資料を複数取り寄せて、比較することをおすすめします。
4.イレギュラーが発生したときの処理手順を検討する
製品導入後、まずは作業シナリオを作成します。その際、設定の一つとして作業中にイレギュラーが発生したときの処理手順を登録する必要があります。RPAはシステムであるためヒューマンエラーのようなミスは起きませんが、シナリオを超えた事象が発生すると動作が停止し、その後の作業が進まないケースがあります。
シナリオ以外の事象が発生したらアラートを出したり、後回しにして次の作業に取り掛かったりといった設定を事前にしておけば、作業が完全停止することはありません。イレギュラー発生を回避するために、定期的にRPAに登録した処理手順を見直しましょう。
5.自社のセキュリティ管理体制を確認する
クラウド型RPAツールのようにネット環境下で利用する場合は、自社のセキュリティ対策が不十分であれば、情報漏えいや不正アクセスなどの危険性があります。
例えば既存システムと連携してRPAを活用する際、システムログインに必要なIDやパスワード情報をRPAに登録しておくケースが多いでしょう。通信データを盗聴されることでログイン情報が漏れてしまえば、セキュリティ事故を招く恐れがあります。ロボットは部署ごとに分け、権限は必要最低限に抑えたり、ID・パスワードを暗号化したりするなど、セキュリティ管理は万全に行いましょう。
6.システム障害時の対策を決めておく
システム障害が発生したときの対策をあらかじめ決めておきましょう。RPAによって自動化された業務量が多ければ多いほど、障害が発生したときのダメージが広範囲に及ぶためです。
またシステム停止などの深刻なエラー以外にも、RPAツールと連携しているシステムがアップデートによって仕様が変わり、不具合を誘発するケースもあります。トラブルを未然に防ぐ対策や事後対応方法について、検討しておく必要があるでしょう。
7.運用定着を目指して導入前研修を実施する
RPA製品の多くは、ITリテラシーが低い人でも扱いやすいようなシンプルな操作性になっています。しかし慣れるまでに時間がかかる人や、新しいツールの利用を面倒に感じる人もいるでしょう。
運用を定着させるためには、導入前から使い方研修を実施し、社員が継続的にRPAを使用できる環境を整えることが大切です。セミナーを実施しているベンダーもあるため、積極的に活用することをおすすめします。
なお選定ポイントや手順を押さえたら、さっそく資料請求して各社製品を比較してみましょう。さまざまな特徴をもつRPAは、以下のボタンから一括資料請求も可能です。ぜひご利用ください。
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RPAツールの活用イメージ
近年RPAは、さまざまな分野で利用されています。具体的な活用事例やAIと連携したRPAツールの事例を紹介するので、実際の活用イメージを膨らませてみましょう。
コールセンター業務
RPAはコールセンターや問い合わせ窓口において、データの収集や登録作業などで活用されています。例えば自社サイトに寄せられた問い合わせフォームから、顧客の氏名や住所などの情報をCRM(顧客管理システム)へ転記可能です。
またAIを搭載したタイプであれば、CRMと連携して相手の行動を分析したりメールで資料を自動送信したりできます。さらに顧客から入電があれば自動音声で応答し、リアルタイムでの応対を支援します。
発注業務
発注業務では商品在庫の減少にあわせて人間の手で必要数を注文しますが、作業量が多い場合、発注漏れのリスクがあります。RPAによって、発注内容における先月分と今月分との差分をリスト化すれば発注ロスを防げるでしょう。
さらにAIを組み込んだRPAツールであれば、これまでの発注データをもとに必要な数量を分析し、発注作業の自動化まで対応可能な場合もあります。
医療現場における判断業務
RPAは医療現場でも活躍しています。例えば、電子カルテの取り込みや振り分け作業、レセプト(診断報酬明細書)のデータ入力などに活用されています。
またAI搭載タイプであれば、事前に機械学習でさまざまなCT画像を記憶させておき、新たに撮影したCT画像から考えられる病状を瞬時に判断し医師に提案可能です。このようにAIを活用することで、医師の判断時間を大幅に短縮できるでしょう。
RPAツール資料請求数ランキングTOP3
ここからはITトレンドで2023年上半期、資料請求数の最も多かったTOP3の製品を紹介します。上位には、ノーコードで利用可能なものや手軽に導入できるもの、UIや操作性のよい製品などがランクインしています。
以下で、TOP3の製品について特徴を詳しく紹介します。
《Power Automate Desktop》のPOINT
- 学習不要?!いつもの業務を自動記録!レコーダー機能搭載
- 操作の流れが一目瞭然!専門用語最小限の日本語ベースの編集画面
- Microsoft365やその他クラウドサービスとも簡単に連携可能!
ITトレンド上半期ランキング2023(RPAツール)1位
株式会社アシスタントが提供する「Power Automate Desktop」は、Microsoft純正のRPAです。体験セミナーや実用操作研修、人材育成などRPAを活用するためのサービスが充実しています。SAPやWebサイト、レガシ端末、メインフレームなど構築済み操作を利用するため、高速なフロー作成が可能です。さらに実行ごとの詳細情報にくわえ、エラーのスクリーンショットなどを用いてログを一元管理するため、作業フローの監視もしやすいでしょう。
《WinActor》のPOINT
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
ITトレンド上半期ランキング2023(RPAツール)3位
スターティアレイズ株式会社が代理店として提供する純国産RPA「WinActor」は、中小企業での利用を想定して開発しており、情報システム部門やエンジニア主導におすすめのツールです。パソコン1台から部分的に導入でき、コストを必要最小限に抑えられるのもポイントです。あらかじめ用意されたコマンドを活用し、業務フローを視覚的に組み立てながらロボットを作成できるのでプログラミングの知識がない場合でも活用しやすいでしょう。
ITトレンドでは、このほかにも多数のRPAツールを取り扱っています。4位以降のツールは、以下のボタンからチェックできます。
RPAツールを正しく選んで効果的に運用しよう
RPAは、自社の予算や活用方法、導入規模によって最適な製品は異なります。自社の課題や導入範囲を明確にし、各社製品の機能や特徴、カスタマイズ性などと照らし合わせてみましょう。まずは資料を取り寄せ、自社に合う製品の比較をしてみてはいかがでしょうか。費用の相場観などもつかめます。