RPAツールの連携方式を理解する
どのシステムとつなぐかの前に、どうつなぐかを押さえましょう。RPAの連携には大きく2つの方式があり、安定性に差があります。まずこの違いを理解しておくと、製品選びの軸が定まります。
画面操作による自動化とその弱点
RPAの基本は、人が行う画面操作を再現してシステムを動かす方式です。相手のシステムに専用の連携機能がなくても、画面さえあれば自動化できる手軽さがあります。多くの業務がこの方式で対応できます。
一方で、この方式は連携先の画面レイアウトが変わると動かなくなる弱点があります。システムの更新でボタンの位置が変わると、ロボットの修正が必要になります。画面操作に頼る場合は、こうしたメンテナンスの手間も見込んでおきましょう。
API連携で安定してつなぐ
APIとは、システム同士がデータを直接やり取りするための決まりごとです。API連携なら、画面を介さずにデータをつなげるため、画面変更の影響を受けにくく安定します。連携先がAPIを備えている場合は、こちらの方式が望ましいといえます。
API連携に対応した製品を選べば、会計ソフトやクラウドサービスと確実につなげます。ただし、連携相手もAPIに対応している必要があります。自社がつなぎたいシステムがAPIを持つかを確認し、対応する製品を選ぶことが安定運用の鍵です。
業務システムとの連携ポイント
ここからは、RPAと組み合わせることの多いシステムを取り上げます。それぞれで連携によって何ができ、何を確認すべきかを見ていきましょう。自社が使うシステムに当てはめて読んでください。
AI-OCRと連携して紙書類を自動入力する
AI-OCRは、紙の文字を読み取ってデータに変換する技術です。RPAと連携させれば、紙の請求書を読み取り、その内容をシステムへ自動入力する流れを組めます。手入力に頼っていた紙書類の処理を、大幅に効率化できます。
連携で確認したいのは、AI-OCRが読み取ったデータをRPAが正しく受け取れるかです。読み取り精度には限界があるため、内容を確認する工程をどう設けるかも考えておきましょう。対応するAI-OCRの種類とあわせて、連携のしやすさを確かめてください。
会計ソフトとの連携
会計ソフトとの連携は、経理業務の自動化で需要が高い分野です。売上データの入力や、仕訳の転記などを自動化できれば、月次の作業負担を減らせます。自社が使う会計ソフトと安定してつなげるかが重要になります。
会計データは正確さが求められるため、連携の安定性が特に問われます。画面操作での連携か、API連携かによって、修正の手間も変わります。自社の会計ソフトとの連携実績があるかを、事前に確認しておくと安心です。
SalesforceなどSaaSとの連携
SalesforceをはじめとするSaaSは、多くの企業で使われるクラウドサービスです。SaaSはインターネット経由で使うソフトを指します。RPAと連携すれば、SaaS上のデータを取り込んだり、別システムへ転記したりする作業を自動化できます。
SaaSとの連携では、APIが用意されていることが多く、安定したつなぎ込みが期待できます。ただし、SaaS側の仕様変更で連携に影響が出る場合もあります。各種SaaSとのAPI連携に対応した製品を選び、対応範囲を確認しましょう。
大規模システムと通知の連携
連携の対象は、基幹システムや社内のコミュニケーションツールにも広がります。大規模ERPとの連携と、チャットへの通知を取り上げます。運用の広がりを見据えて確認しておきましょう。
大規模ERPとの連携
ERPは、会計や販売、在庫などを統合的に扱う基幹システムです。大規模なERPとの連携では、扱うデータ量が多く、処理の正確さと安定性が強く求められます。大量の処理に耐えられる製品かどうかが問われます。
基幹システムとの連携は、標準メニューがあるか個別対応かで負担が変わります。自社のERPの製品名を伝え、連携実績があるかを確認するのが確実です。大規模運用を支える管理機能まで含めて、製品を見極めましょう。
TeamsやSlackへのチャット通知
ロボットの処理が終わったときやエラーが起きたときに、TeamsやSlackへ自動で通知できると、運用が格段に楽になります。担当者は画面を見張らずに済み、異常にもすぐ気づけます。無人で動かす夜間処理では、特にこの通知が役立ちます。
通知の連携に対応していれば、トラブルへの初動が早まり、被害の拡大を防げます。どのチャットツールに通知できるか、通知の内容を柔軟に設定できるかを確認しましょう。運用中の見守りを支える機能として押さえておきたい点です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でRPAツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
連携性を見極める確認事項
連携の考え方がわかったら、選定でどこを見るかに落とし込みます。連携方式や対応先、安定性の確認ポイントを整理しました。資料請求や商談での質問リストとしても使えます。
連携方式と対応先を確認する
まず確認したいのは、自社がつなぎたいシステムに対応しているかです。会計ソフトやSaaS、ERPなど、具体的な製品名を挙げて連携できるかを尋ねましょう。画面操作での連携か、API連携かによって、安定性が変わる点も押さえておきます。
API連携に対応していれば、画面変更の影響を受けにくく安定します。ただし相手システムの対応も前提になります。自社の環境を伝え、どの方式でどこまでつなげるかを具体的に確認することが大切です。
連携の安定性とメンテナンス性
連携は、つないで終わりではなく、使い続けられることが重要です。連携先の画面や仕様が変わったとき、修正がどれだけ手軽にできるかを確認しましょう。メンテナンスが難しいと、変更のたびに運用が止まってしまいます。
連携実績が豊富な製品なら、変更への対応ノウハウも蓄積されています。トラブル時にサポートを受けられるかもあわせて確かめておきましょう。安定して長く使える連携かどうかを、実績とサポートの両面から見極めてください。
- ■連携方式
- 画面操作かAPI連携か、安定性を重視するならAPI対応を確認
- ■対応システム
- AI-OCR、会計ソフト、SaaS、ERPなど自社の利用製品に対応するか
- ■通知連携
- TeamsやSlackへ処理結果やエラーを通知できるか
- ■メンテナンス性
- 連携先の仕様変更に手軽に対応でき、サポートを受けられるか
連携を活かせるRPAツール
ここでは、AI-OCRや他システムとの連携を活かしやすいRPAツールを紹介します。自社がつなぎたいシステムに対応しているか、資料で確かめてみてください。
pengu
- シンプルUIとマンツーマン育成で、現場でもすぐ使えるRPA
- ETLとOCRもセットで複雑なExcel集計作業や紙帳票読取りも自動化
- スモールスタートから部門まるごとまで柔軟な料金プラン
「pengu」は、オムロン株式会社が提供する業務自動化サービスです。データ収集のOCR、データ集計のETL、パソコン作業のRPAを一つにまとめています。別々のOCRを連携させる手間なく、紙書類の読み取りからデータ集計、システムへの入力までを一つのプラットフォームで扱える点が特徴です。シンプルなUIとマンツーマンの教育で、現場の社員が自ら使いこなせます。紙の請求書などのデータ化と入力をまとめて自動化したい企業に向いた製品といえます。
WinActor
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
「WinActor」は、スターティアテクノス株式会社が提供する純国産のRPAツールです。Excelやブラウザー、各種業務システムなどWindows上のアプリケーションを横断して操作を自動化できます。画面操作による自動化を軸に、幅広いシステムと組み合わせて使える点が特徴です。多くの導入現場で使われてきた実績があり、連携に関する情報やノウハウを得やすいのも利点といえます。既存のさまざまな業務システムとつないで自動化を進めたい企業に向いた製品です。
ロボパットAI
- 現場で作成するために開発されたRPAであり作成が容易
- 導入企業には専属の担当者がつき、個別にサポート
- コスト削減だけでなく、DX推進サービスを提供
「ロボパットAI」は、株式会社FCEが提供する純国産のRPAツールです。高度な画像認識を使って、さまざまなアプリやシステムの画面を操作できます。専用の連携機能がないシステムでも、画面さえあれば操作を自動化しやすい点が特徴です。プログラミング不要で現場の担当者だけでロボットを作れるため、連携させたい業務を現場主導で自動化できます。専任担当の伴走支援も受けられます。手元の複数システムをつないで自動化したい企業に向いた製品です。
PowerAutomate (日本マイクロソフト株式会社)
- プログラミング知識なしに自動化フロー構築可能。
- 複数手法に対応し、クラウド連携も豊富。
- AI統合により高度で動的な自動化が可能
RPAツールの連携に関するFAQ
RPAツールの連携についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:紙の請求書もRPAで自動入力できますか?
- RPA単体では扱えませんが、AI-OCRと連携すれば、紙の文字を読み取ってシステムへ自動入力できます。読み取り精度には限界があるため、内容を確認する工程をどう設けるかもあわせて検討してください。
- Q2:画面操作とAPI連携はどちらが安定しますか?
- API連携のほうが、画面変更の影響を受けにくく安定します。連携先がAPIに対応していれば、こちらが望ましい方式です。対応していない場合は画面操作になり、レイアウト変更時の修正を見込んでおく必要があります。
- Q3:Salesforceと連携できるRPAツールはありますか?
- 各種SaaSとのAPI連携に対応した製品なら、Salesforceとも安定してつなげます。ただしSaaS側の仕様変更で影響が出る場合もあるため、対応範囲と連携実績を確認してから選ぶとよいでしょう。
- Q4:エラー時に通知を受け取れますか?
- TeamsやSlackへの通知に対応した製品なら、処理完了やエラー発生を自動で知らせてくれます。夜間の無人実行でも異常にすぐ気づけます。通知先や内容を柔軟に設定できるかも確認しておきましょう。
まとめ
RPAツールの連携性は、画面操作かAPIかという方式の違いと、AI-OCRや会計ソフト、Salesforce、ERPといったシステムへの対応で決まります。安定した運用を目指すなら、API連携への対応や、連携先の仕様変更に手軽に対応できるメンテナンス性が重要です。つなぎたいシステムを具体的に挙げ、対応方式と実績、サポートを確認しましょう。連携要件を整理したうえで、資料請求から各製品の連携範囲を見比べてみてください。


