連携失敗の共通パターン
個別の失敗を見る前に、共通する原因を押さえましょう。連携の失敗は、データの受け渡しと相手システムの制約という二つの側面から起こりがちです。まずこの構図を理解しておきます。
データの受け渡しでつまずく
連携失敗の典型は、システム間でデータを渡すときに起こります。渡すデータの形式が合わない、項目がずれる、文字が正しく変換されないといった不具合で、処理が止まったり誤ったデータが登録されたりします。つなぐこと自体はできても、中身の受け渡しでつまずくのです。
これを防ぐには、どんな形式でデータをやり取りするかを事前に確認することが欠かせません。連携する両システムのデータの作りを把握し、変換が必要なら組み込んでおきましょう。受け渡しの検証を怠ると、後で不具合が噴出します。
相手システムの制約に阻まれる
連携は自社だけで完結せず、相手システムの仕様に左右されます。API連携でも、呼び出せる回数に上限があったり、仕様が予告なく変わったりします。相手側の制約を知らずに設計すると、途中で連携が止まってしまいます。
連携を検討する際は、相手システムにどんな制約があるかを調べておくことが大切です。制限の範囲内で設計できるか、仕様変更にどう備えるかを考えましょう。自社の都合だけでなく、相手の条件まで踏まえることが安定連携の前提です。
AI-OCR・SaaS連携の失敗
ここからは、具体的な連携先ごとの失敗を見ていきます。まずはAI-OCRとSaaSです。それぞれで起きやすい不具合と、その背景を確認しましょう。
AI-OCRの読み取り結果の受け渡し不具合
紙書類をデータ化するAI-OCRとRPAを連携させる際、読み取った結果がうまく渡らない不具合が起こることがあります。AI-OCRの読み取り精度には限界があり、誤って認識した文字がそのままRPAに渡ると、誤ったデータが登録されてしまいます。
対策として、読み取り結果を確認する工程を連携の中に組み込むことが有効です。一定の条件を満たさないデータは人が確認する、といった仕組みにすれば、誤りの流入を防げます。AI-OCRとの相性や、確認工程の作りやすさを事前に確かめておきましょう。
Salesforceなどとの連携エラー
SalesforceをはじめとするSaaSとの連携では、ログインの仕組みや画面の作りが原因でエラーが起きることがあります。SaaSは頻繁に画面や仕様が更新されるため、それに連携が追いつかないと、動かなくなる場合があります。
安定させるには、画面操作に頼らずAPI連携を使う方法が有効です。API連携なら、画面変更の影響を受けにくくなります。連携したいSaaSがAPIに対応しているか、RPA側がそのAPIに対応しているかを確認し、安定した方式を選びましょう。
API制限と会計ソフト連携の壁
続いて、API連携そのものの制約と、会計ソフトとの連携でよくある壁を取り上げます。安定した連携を阻む要因を理解し、対策につなげましょう。
API呼び出し回数の制限
API連携は安定した方式ですが、多くのサービスでは一定時間内に呼び出せる回数に上限が設けられています。大量のデータを一度に処理しようとすると、この制限を超えてエラーになることがあります。制限の存在を知らずに設計すると、思わぬところで止まります。
対策として、処理を分割したり、呼び出す間隔を調整したりして、制限の範囲内に収める設計が必要です。連携先のAPIにどんな制限があるかを事前に調べておきましょう。制限を踏まえた作りにすることで、安定した連携を保てます。
会計ソフト連携で手作業が残る
会計ソフトと連携したのに、結局は手作業の修正が残る、という失敗もよくあります。自動化の範囲が中途半端だと、一部のデータは自動で入るものの、例外的なケースは人が直す必要が生じます。これでは、期待した効率化に届きません。
手作業を残さないには、例外的なパターンまで含めて自動化の設計をすることが大切です。どんなデータが例外になるかを洗い出し、その処理まで組み込みましょう。すべてを自動化できない場合も、どこまで自動化しどこを人が担うかを、あらかじめ明確にしておくことが重要です。
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連携失敗を防ぐ進め方
ここまでの失敗は、進め方の工夫で防げます。事前検証と連携方式の見極め、手作業を残さない設計とサポートについて整理しました。連携を成功させるための実践ポイントとして役立ててください。
事前検証と連携方式の見極め
連携失敗を避ける最も確実な方法は、契約前に自社の環境で試すことです。トライアルで、実際に連携したいシステムとつなぎ、データが正しく渡るかを検証しましょう。カタログ上は連携可能でも、自社の環境では不具合が出ることがあります。
あわせて、画面操作かAPI連携かという方式の見極めも重要です。安定性を重視するなら、画面変更に強いAPI連携が望ましい選択です。連携先の対応状況を確認し、自社に合う方式で安定してつなげる製品を選びましょう。
手作業を残さない設計とサポート
連携の効果を最大にするには、例外まで含めて自動化を設計することが欠かせません。どこまで自動化し、どこを人が担うかを明確にし、中途半端な自動化を避けましょう。手作業が残ると、効率化の効果が薄れてしまいます。
連携の設定は専門知識を要する場面もあるため、サポート体制の確認も大切です。不具合が起きたときに相談でき、仕様変更にも対応してもらえるかを確かめましょう。設計とサポートの両面から、手戻りのない連携を目指してください。
- ■事前検証
- トライアルで実際の連携先とつなぎ、データが正しく渡るか確認
- ■連携方式
- 画面変更に強いAPI連携に対応しているか
- ■API制限の把握
- 呼び出し回数の上限を調べ、制限内に収める設計にする
- ■自動化の範囲
- 例外まで含めて設計し、手作業が残らないようにする
連携でつまずきにくいRPAツール
ここでは、AI-OCRとの受け渡しや他システムとの連携でつまずきにくいRPAツールを紹介します。自社がつなぎたいシステムと安定して連携できるか、資料やトライアルで確かめてみてください。
pengu
- シンプルUIとマンツーマン育成で、現場でもすぐ使えるRPA
- ETLとOCRもセットで複雑なExcel集計作業や紙帳票読取りも自動化
- スモールスタートから部門まるごとまで柔軟な料金プラン
「pengu」は、オムロン株式会社が提供する業務自動化サービスです。データ収集のOCR、データ集計のETL、パソコン作業のRPAを一つのプラットフォームにまとめています。OCRとRPAが同じサービス内で連携するため、別々のツールをつなぐ際に起こりがちなデータの受け渡し不具合を避けやすい点が特徴です。シンプルなUIとマンツーマンの教育で、現場の社員が自ら扱えます。紙書類の読み取りから入力までを一貫して自動化したい企業に向いた製品といえます。
ロボパットAI
- 現場で作成するために開発されたRPAであり作成が容易
- 導入企業には専属の担当者がつき、個別にサポート
- コスト削減だけでなく、DX推進サービスを提供
「ロボパットAI」は、株式会社FCEが提供する純国産のRPAツールです。高度な画像認識で、さまざまなアプリやシステムの画面を操作できます。専用の連携機能がないシステムでも、画面を通じて操作を自動化しやすい点が特徴です。プログラミング不要で現場が自ら設定でき、専任担当の伴走支援を受けながら、連携がうまくいくかを確かめられます。トライアルで自社のシステムとの連携を試してから導入したい企業に向いた製品です。
WinActor
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
「WinActor」は、スターティアテクノス株式会社が提供する純国産のRPAツールです。Excelやブラウザー、各種業務システムを横断して操作を自動化できます。多くの導入現場で使われてきた実績があり、さまざまなシステムとの連携に関する情報やノウハウを得やすい点が特徴です。日本語のサポート体制も整い、連携でつまずいたときに相談しやすくなっています。既存の複数システムとつなぐ自動化を、情報とサポートを頼りに進めたい企業に向いた製品です。
PowerAutomate (日本マイクロソフト株式会社)
- プログラミング知識なしに自動化フロー構築可能。
- 複数手法に対応し、クラウド連携も豊富。
- AI統合により高度で動的な自動化が可能
RPAツールの連携失敗に関するFAQ
RPAツールの連携失敗についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:AI-OCRとの連携で誤ったデータが登録されます。
- AI-OCRの読み取り精度には限界があるため、誤認識がそのまま渡ると起こります。読み取り結果を確認する工程を連携に組み込み、一定の条件を満たさないデータは人が確認する仕組みにすると防げます。
- Q2:Salesforceとの連携でエラーが出ます。
- SaaSは画面や仕様の更新が頻繁で、画面操作の連携では追いつかないことがあります。画面変更の影響を受けにくいAPI連携を使う方法が有効です。連携先とRPA側の双方がAPIに対応しているかを確認しましょう。
- Q3:API連携で処理が途中で止まります。
- APIには一定時間内の呼び出し回数に上限があることが多く、大量処理で制限を超えると止まります。処理を分割したり間隔を調整したりして、制限の範囲内に収める設計にすることで安定します。
- Q4:会計ソフトと連携しても手作業が残ります。
- 自動化の範囲が中途半端だと、例外的なケースの手直しが残ります。どんなデータが例外になるかを洗い出し、その処理まで設計に含めましょう。難しい場合も、自動と手作業の分担を明確にすることが大切です。
まとめ
RPAツールの連携失敗は、データの受け渡しの不具合や、相手システムの制約に起因することがほとんどです。AI-OCRの受け渡し、SaaSのエラー、API制限、会計ソフトの手作業残りなど、いずれも事前検証と設計で防げます。トライアルで実際につないで確かめ、画面変更に強いAPI連携を選び、例外まで含めて自動化を設計しましょう。サポート体制もあわせて確認することが大切です。資料請求から各製品の連携力を見比べてみてください。


