目標管理システムの信頼性を判断する基本
信頼性は、1つの指標だけで判断できません。何に不安があるのかを具体的な項目に分けると、公開情報や提供会社への質問で確かめやすくなります。確認の順序を決めておけば、判断の抜けを防げるでしょう。不安の種類ごとに、確認方法を示します。
| 不安の種類 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 障害や停止 | 稼働状況の公開、障害時の通知と復旧の流れ |
| 情報漏えい | 権限設定、認証、第三者認証、事案時の対応 |
| サービス終了 | 契約条件、データの返還、移行の支援 |
| 実績や口コミ | 数字の根拠、条件の近さ、評価の基準 |
信頼性を構成する要素を整理する
システムの信頼性は、安定して動くこと、情報が守られること、長く使い続けられることの3つに分けて考えられます。加えて、困ったときに相談できるサポートの有無も重要です。
目標管理システムは、評価や処遇にかかわる情報を扱うため、特に情報の保護と稼働の安定が求められます。不安の中心がどこにあるのかを、社内の担当者と話し合って整理しておきましょう。不安が複数ある場合は、優先順位もつけておくと進めやすくなります。
公開情報で確かめられる範囲を知る
提供会社の公式サイトや資料には、稼働状況、セキュリティの取り組み、取得している認証などが掲載されている場合があります。まず、これらの公開情報から確認できる範囲を把握しましょう。
公開されていない内容は、提供会社に問い合わせて回答を得ます。口頭の説明だけでなく、資料や契約書の記載として確認できるかも重要です。
確認した結果は、日付とあわせて社内で共有しておきましょう。担当者が代わっても、判断の経緯をたどれます。
不安を具体的な質問に置き換える
「なんとなく不安」という状態では、判断が先に進みません。例えば、停止時間の目安は示されているか、データを取り出せるか、といった確認できる質問に置き換えましょう。
質問を一覧にして複数の製品に同じ内容を尋ねると、回答の違いから比較できます。社内の関係者にも質問案を見てもらうと、抜けを防げます。
回答があいまいな点や、答えられないとされた点も、判断の材料として記録しておくと役立ちます。質問への対応の丁寧さも、提供会社の姿勢を知る手がかりです。
障害やサーバーダウンへの備えを確認する
クラウド型のシステムは、提供会社のサーバーで動くため、障害やメンテナンスで利用できない時間が生じる場合があります。備えの状況を確かめる方法を整理します。復旧や備えの状況は、契約前に確かめておきたい項目です。
稼働状況や障害情報の公開を確かめる
提供会社によっては、稼働状況を確認できるページを公開しています。過去の障害の履歴や、メンテナンスの予定が掲載されていれば、情報を開示する姿勢の判断材料の一つです。
公開されていない場合は、障害の発生時にどのような方法で知らせてもらえるかを確認しましょう。メールや管理画面の通知など、連絡の手段と、連絡までの目安を聞いておくと安心です。契約前に、通知の宛先を複数人に設定でき、休日や夜間の障害にも連絡が届くかも見ておきましょう。
障害発生時の通知と復旧の流れを聞く
障害は、システムの不具合、通信の問題、外部サービスの影響など、複数の要因で起こる場合があります。どの要因でも、原因の調査と復旧の手順が定められているかが重要です。
復旧までの目安を示す品質保証の取り決め(SLA)があるか、障害の報告書を受け取れるかも確認しましょう。評価の入力期限の直前に使えなくなる場合を想定して、代替の手段も社内で決めておきましょう。障害の後に、データが失われていないかを確かめる手順も用意すると安心です。
バックアップとデータ復元を考える
万一の障害に備えて、データがどの頻度でバックアップされるかを確認します。保管する場所や期間、復元にかかる時間の目安も、提供会社に尋ねたい項目です。
自社でも、評価結果などの重要なデータを定期的に出力しておくと、より安心です。出力できる項目や形式は製品ごとに異なるため、必要な情報を取り出せるかを導入前に確かめましょう。保管期間の定めや、復元を依頼する場合の手順と費用、対応にかかる日数の目安も、あわせて尋ねておきましょう。
情報漏えいへの不安と評価データの守り方
目標や評価の情報は、従業員の処遇にかかわる機微な情報です。漏えいへの不安に対しては、起こりうる経路を把握し、提供会社と自社の両方の対策を確認しましょう。不安を和らげるには、事実の確認が欠かせません。
情報漏えいが起こる経路を整理する
情報漏えいは、システムへの不正アクセスだけでなく、権限設定の誤り、アカウントの管理不足、メールや出力ファイルの誤送付など、利用者側の要因でも起こる場合があります。
そのため、提供会社の対策だけで防げるとは限りません。提供会社が行う対策と、自社で行う運用の対策を分けて整理し、どちらが何を担うのかを明確にしておくことが大切です。責任の範囲は契約書でも確認しておくと、万一のときの対応が滞りにくくなります。
評価データを守る設定と運用を確認する
提供側の対策では、通信の暗号化、アクセスの記録、第三者認証の取得状況などが確認項目です。ISMS(ISO/IEC 27001)などの認証は、対象範囲もあわせて確かめましょう。
自社側では、閲覧権限の設定、退職者のアカウント停止、多要素認証などの認証強化が基本です。誰が評価情報を見られるかを定期的に点検し、不要な権限を残さない運用にしましょう。評価情報を出力したファイルの保管場所や、共有の範囲も決めておくと安心です。
事案が公表された場合の見方を持つ
過去に漏えいなどの事案があったかどうかは、提供会社の発表や報道、公的機関の情報などで確認できる場合があります。個人情報保護法では、個人データの一定の漏えい等が生じた場合に、個人情報保護委員会に報告し、本人にも通知することが求められています。
事案の有無だけでなく、原因の公表、再発防止策、利用者への連絡の速さを見ることが大切です。公表された内容をそのまま受け取らず、複数の情報源で確かめて判断しましょう。確認の結果は、社内の情報管理の担当者とも共有しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で目標管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
サービス終了や提供会社の継続性への備え
長く使うシステムだからこそ、提供が続くかどうかも信頼性の一部です。サービス終了の可能性を否定できないため、契約とデータの面から備えを確認します。事前に備えておけば、慌てずに対応できます。契約の見直しにも役立つ内容です。
サービス終了時の通知と契約条件を確認する
サービスが終了する場合、事前にどの程度の期間で通知されるのかは、契約書や利用規約に定められている場合があります。契約前に該当する条項を確認しましょう。不明な点は、書面で回答をもらうと後から確かめられます。
利用料金の返金の有無や、終了までの期間中に受けられるサポートの範囲も確認点です。提供会社の都合による変更や終了に、どう対応するかが明記されているかを見ておくと安心です。事前の通知がない場合の対応も、あわせて尋ねておきましょう。
データの返還と他製品への移行を想定する
サービスが終了する場合や、乗り換えを検討する場合に備え、蓄積したデータを取り出せるかを確認します。出力できる項目、形式、取り出しにかかる手間は製品によって異なります。
過去の目標と評価の履歴は、従業員の処遇の根拠にもなる情報です。特定の製品にしか読み込めない形式でしか出力できない場合は、移行時の負担が大きくなる場合があります。
出力したデータが読み取れる形式かを、契約前に試しておきましょう。他製品への取り込みが可能かも尋ねておくと安心です。
提供会社の事業の継続性を見極める
提供会社の継続性は、公開されている会社情報や、サービスの更新状況から推測できる場合があります。機能の追加やメンテナンスが続いているかは、一つの材料です。更新の履歴は、公式サイトのお知らせで確認できます。
ただし、こうした情報だけで将来を判断することはできません。運営体制や保守の方針を提供会社に尋ね、万一の場合の対応を契約で確認する、という複数の方法を組み合わせましょう。運用が続く期間の見通しは、定期的に見直すのも有効です。
導入実績や口コミから信頼性を読み解く方法
導入実績や口コミは参考になる一方で、見方を誤ると判断を誤らせる場合があります。数字の根拠と、口コミの内容を読み解くポイントを整理します。数字や評判だけで決めず、自社の条件にあうかを確かめましょう。
- ■実績の数字
- 何を数えた数字か、いつ時点か、定義が示されているか
- ■口コミの内容
- 投稿者の立場や利用規模が、自社に近いか
- ■自社での確認
- デモやトライアルで、自社の条件を試したか
導入実績の数字の根拠を確かめる
導入実績の数字は、契約した企業の数なのか、利用者のアカウント数なのか、定義によって意味が変わります。集計の時点や対象の範囲が示されているかを確認しましょう。根拠が示されない数字は、参考程度にとどめるのが安全です。
数字が大きいことは、自社にあうことを保証するものではありません。自社と近い規模や業種での利用の事例があるかを、提供会社に尋ね、可能であれば事例の資料を請求しましょう。実績の数字の背景を知る手がかりです。
口コミは内容と立場を見て読む
口コミには、操作画面の見やすさ、サポートの対応、機能の不足など、さまざまな意見があります。投稿者の立場や利用規模、評価の背景が書かれているかを確かめて読みましょう。
評価が低い口コミも、使い方や設定に原因がある場合があります。内容が自社の使い方に当てはまるかを見極め、同じ不満が複数の口コミに共通するかどうかも判断の材料にしてください。
投稿の時期も確かめましょう。投稿された時期が古い場合は、現在の機能と異なる可能性もあります。
自社の条件で試して確かめる
実績や口コミは、あくまで他社の経験にもとづく情報です。最終的には、自社の評価制度や運用の条件で試し、判断することが重要です。条件が違えば、同じ製品でも結果は変わる場合があります。
デモやトライアルで、目標を入力してから評価が確定するまでの流れを、実際の担当者が試しましょう。気づいた不安や疑問は、そのまま提供会社への質問にして回答を記録しておくと、比較の根拠として使えます。試した結果は、導入可否を話し合う社内の会議でも活用できます。
情報管理の取り組みを確認したい製品の例
認証の取得状況や、公開範囲の設定、サポート体制に関する記載がある製品を、製品ページの情報から取り上げました。認証の対象範囲は提供会社に確認しましょう。
SmartHR
- 目標管理やOKRなど、制度に合わせたフローを柔軟に作成可能
- 進捗管理と自動リマインドで、設定〜回収までをスピードアップ
- パソコンを持たない従業員でもスキマ時間に目標入力・確認が可能
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、人事・労務の従業員データを一元管理できるクラウド型のサービスで、人事評価の機能も提供しています。製品ページには、ISO/IEC 27001とSOC 2が記載されています。目標の修正履歴が残るため期中の変更箇所を把握でき、設定した目標や評価の履歴は従業員ごとの人材データにまとめて蓄積される点が特徴です。コメント機能で、マネージャーとメンバー間のフィードバックや申し送りも残せます。
HRBrain
- 人事評価をクラウドで効率化!プロセスの透明化で納得度も向上
- 管理者・現場メンバーともに使いやすいシンプルなUI
- 専任のサポートが導入から運用定着化までを手厚くサポート
株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、クラウド型の人事評価・タレントマネジメントシステムです。ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27017、プライバシーマークの認証を取得しています。目標や評価の公開範囲を設定でき、デリケートな情報の扱いを運用にあわせて調整できます。企業ごとに専任のカスタマーサクセス担当者が付き、導入時の初期設定から運用までの相談に対応し、評価の集計は自動で行われます。
カオナビ
- 目標管理から評価運用まで一元管理
- OKRやMBOなど独自の評価項目もそのままシステム上に再現
- 過去の目標や達成状況もすべて記録
株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、目標管理から評価運用までを一元管理できるクラウド型のシステムです。製品ページには、ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27017、JIS Q 15001、プライバシーマーク、ISMAPの認証が記載されています。過去の目標や達成状況が記録され、面談記録などから取り組み内容を振り返って評価に活かせる点が特徴です。目標と日常業務を結びつけて運用する仕組みも案内されています。
Wistant (株式会社フルート)
- AIで1on1運用を自動化し、継続的な管理をサポート。
- マネジメントの可視化で組織課題を発見し改善を促進。
- 従業員の意欲を高め、生産性と顧客満足度の向上を図る。
Weekdone (Weekdone)
- OKRだけでなく、日次・週次の進捗を自動レポートで可視化。
- 目標ツリー表示とダッシュボードで組織全体の動きを俯瞰。
- 14日間の無料トライアルと3ユーザーまで無料プランあり。
目標管理システムに関するよくある質問
目標管理システムの信頼性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:障害の履歴は、どこで確認できますか?
- A:提供会社の公式サイトで、稼働状況や障害の履歴、メンテナンスの予定を公開している場合があります。公開されていない場合は、通知の方法や復旧の流れを提供会社に問い合わせましょう。
- ■Q2:情報漏えいの事案があったかは、どう調べればよいですか?
- A:提供会社の発表や報道、公的機関の情報などで確認できる場合があります。事案の有無だけでなく、原因の公表や再発防止策、利用者への連絡の対応もあわせて確認しましょう。
- ■Q3:サービスが終了したとき、データはどうなりますか?
- A:対応は契約や利用規約の内容によって異なります。終了の通知時期、データの返還、出力できる形式を契約前に確認し、定期的に自社でも出力しておくと安心です。
- ■Q4:導入実績の数字は、そのまま信頼してよいですか?
- A:数字の定義や集計の時点が示されているかを確認しましょう。数字が大きいことは自社にあうことを意味しないため、自社に近い規模や業種の事例があるかも尋ねてみてください。
まとめ
目標管理システムの信頼性に対する不安は、障害への備え、情報の守り方、サービス終了時の対応、実績や口コミの読み解きという4つの観点で確かめられます。不安を具体的な質問に置き換え、複数の製品に同じ内容を尋ねることが大切です。まずは複数の製品の資料を請求し、同じ基準で比較してみてください。

