MBOとはどのような考え方か
目的を見る前に、何を指す言葉なのかを押さえておきましょう。
MBOの基本的な考え方
MBOとは、目標による管理と訳される考え方で、経営学者のピーター・ドラッカーが示した概念として知られています。上司が一方的に指示するのではなく、本人が目標の設定に関わり、その達成に向けて自ら管理していくという進め方です。
組織の目標を分解して個人へ落とし込む過程で、本人と上司が話し合い、内容に合意します。期の途中で進み具合を確認し、期末に結果を振り返るという流れで運用されます。似た仕組みとしてOKRがありますが、こちらは高い目標を掲げて挑戦を促す性格が強く、評価との結び付け方も異なります。
一方的に目標を割り当てる運用との違い
組織の数値をそのまま人数で割り、個人へ配分する運用でも、形式としては目標が設定されます。ただし、本人が納得していなければ、達成に向けた工夫は生まれにくくなります。
MBOでは、本人が自分の役割と組織の目標を結び付けて考える過程を重視します。何をどこまで達成するかを本人が言葉にすることで、日々の判断の基準にもなります。話し合いの過程そのものが、この考え方の中心にあるといえます。
MBOが目指す目的
この仕組みが何のために行われるのかを、三つに分けて確認します。
組織の目標と個人の行動をつなぐ
組織全体の方針が示されても、自分の業務とどう関係するかが分からなければ、日々の行動は変わりません。部署の目標へ、さらに個人の目標へと分解する過程で、この結び付きが明確になります。
本人にとっては、自分の取り組みが何に貢献するのかを理解できます。管理する立場では、部署の目標が個人に行き渡っているかを確認できます。分解の過程で、担い手がいない領域が見つかることもあり、役割分担の見直しにもつながります。
本人の納得と主体性を引き出す
目標の設定に本人が関わることで、達成に向けた進め方も自分で考えるようになります。上司から指示されたことをこなす姿勢と、自分で決めた目標に向かう姿勢では、工夫の生まれ方が変わります。
ただし、本人に任せきりにすると、達成しやすい内容に偏る場合があります。組織として期待する水準を伝えたうえで、本人の考えと擦り合わせる過程が必要です。この対話の質が、仕組みの効果を左右します。
評価の根拠を明確にする
期初に何を目指すかを合意しておけば、期末の評価もその内容に沿って行えます。評価する側とされる側で認識がそろい、結果への納得を得やすくなります。
ただし、目標の達成度だけで評価を決めると、数値化しやすい業務に偏る懸念があります。目標に含まれない貢献をどう扱うか、想定外の状況が生じた場合にどう考慮するかを、あらかじめ整理しておくことが望まれます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で目標管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
運用の流れ
実際にどのような手順で進めるのかを、二つの段階に分けて確認します。
目標の設定と合意
期の初めに、組織の方針を踏まえて本人が目標の案を作り、上司と話し合って内容を確定します。何をどの水準まで達成するのか、どう測るのかを具体的に定めておきます。
測り方が曖昧だと、期末に評価が分かれる要因になります。数値で測れる業務ばかりではないため、行動や成果物といった形で確認できる基準を設ける工夫も必要です。期初は通常業務も立て込みやすいため、いつまでに何を行うかの日程をあらかじめ示しておくと進めやすくなります。上司との面談の時間も、この段階で確保しておきましょう。面談では、目標の内容だけでなく達成に向けた進め方まで話し合えると効果的です。
期中の確認と振り返り
期の途中で進み具合を確認し、状況の変化に応じて内容を調整します。前提が変わったまま当初の目標を追い続けると、実態に合わない取り組みになります。
期末には、結果とその過程を振り返ります。達成できた要因、できなかった要因を整理し、次の期の目標につなげる流れです。この振り返りが形式的になると、仕組み全体が手続きとして受け止められる要因になります。
運用でつまずきやすい点
実際に運用するなかで生じやすい課題を二つ挙げます。
目標が形式的になる場合
期初に提出することが目的化すると、内容が抽象的になったり、前年と同じ表現が繰り返されたりします。日々の業務と結び付いていない目標は、期中に参照されることもありません。
対策としては、記入の例を示す、上司が確認する観点を共有する、期中に見返す機会を設けるといった方法があります。管理職が目標設定の進め方を理解していることも前提になります。研修や手引きの整備とあわせて取り組むことが望まれます。
評価との結び付け方
達成度がそのまま評価や処遇に直結する運用では、達成しやすい目標を設定しようとする力が働きます。挑戦的な取り組みが選ばれにくくなり、本来の狙いから離れる可能性があります。
目標の難易度をどう考慮するか、達成度以外の要素をどう評価に含めるかを、制度として整理しておく必要があります。評価の仕組みは処遇に関わるため、変更する際は労務の担当と相談しながら進めましょう。
目標管理システムの選び方
運用を支える仕組みを検討する際の確認事項を整理します。
対象人数と運用の頻度の整理
最初に、対象となる従業員数と、目標を設定する周期を整理します。半期ごとなのか四半期ごとなのか、期中の確認をどのくらいの頻度で行うかによって、必要な機能が変わります。
あわせて、階層の構造も確認しておきましょう。組織の目標から部署、個人へと分解する過程を仕組みの上で表現したい場合は、その対応が可能かを確かめる必要があります。人数に応じた料金体系を採る製品が多いため、規模の想定は費用に直結します。
必要な機能と既存システムとの連携
目標の登録と承認、進み具合の記録、面談の記録、評価の集計といった機能のうち、必要なものを整理します。すべてを備えた製品は費用も上がるため、実際に使う範囲に絞って比較しましょう。
人事システムとの連携も確認点です。従業員情報を手作業で登録し直す運用は、異動のたびに負担が生じます。評価の結果を処遇へつなげる場合は、その受け渡しの方法もあわせて確かめておきましょう。
費用とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制、機能ごとのプラン分け、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。無料で使える範囲を設けた製品もあるため、まず試す進め方も選べます。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、目標設定の様式や評価の仕組みの設計を相談できるのかは製品ごとに差があります。制度の見直しを伴う場合は、この支援の内容も判断材料になります。
MBOの運用に活用できる目標管理システム
目標設定から評価までの流れにあわせて検討できるシステムを紹介します。
HRBrain
- 人事評価をクラウドで効率化!プロセスの透明化で納得度も向上
- 管理者・現場メンバーともに使いやすいシンプルなUI
- 専任のサポートが導入から運用定着化までを手厚くサポート
株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、目標管理と人事評価をあわせて扱えるシステムです。目標設定シートをクラウド上で作成・共有できる機能を備えており、上司と部下の間での目標のすり合わせや進捗確認をオンラインで進めやすくなります。
あしたのクラウドHR
- 導入4,000社でシェアNo.1※評価制度がなくてもゼロから構築可能
- Excel管理からの脱却。質の高い目標・評価を実現する機能多数
- 評価から給与・賞与のシミュレーションまで一貫して対応可能
株式会社あしたのチームが提供する「あしたのクラウドHR」は、目標管理と人事評価制度の運用を支援するシステムです。評価基準の設計から運用まで一貫して支援するサービスがあわせて提供されており、MBOの運用が定着しにくい企業での活用が想定されています。
SmartHR
- 目標管理やOKRなど、制度に合わせたフローを柔軟に作成可能
- 進捗管理と自動リマインドで、設定〜回収までをスピードアップ
- パソコンを持たない従業員でもスキマ時間に目標入力・確認が可能
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、人事評価機能を備えたクラウド型の人事労務システムです。目標管理シートのテンプレートを用意しており、評価制度の運用を人事労務データと一元管理する構成に対応しています。
Wistant (株式会社フルート)
- AIで1on1運用を自動化し、継続的な管理をサポート。
- マネジメントの可視化で組織課題を発見し改善を促進。
- 従業員の意欲を高め、生産性と顧客満足度の向上を図る。
MBOに関するよくある質問
運用を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: OKRとどう使い分けますか?
- MBOは個人の目標と評価を結び付けて運用されることが多く、OKRは高い目標を掲げて挑戦を促す性格が強い仕組みです。評価との結び付け方も異なります。組織で何を促したいかを整理したうえで、どちらの考え方が合うかを判断しましょう。
- Q2: 数値で測れない業務はどう扱えばよいですか?
- 行動の内容や成果物といった形で、確認できる基準を設ける方法があります。期初にどうなれば達成とみなすかを本人と合意しておくことが重要です。曖昧なまま進めると、期末の評価で認識が分かれる要因になります。
- Q3: 目標が形式的になってしまいます。
- 記入の例を示す、上司が確認する観点を共有する、期中に見返す機会を設けるといった対策が考えられます。管理職が設定の進め方を理解していることも前提になるため、研修や手引きの整備とあわせて取り組みましょう。
- Q4: システムを導入すれば運用は定着しますか?
- 登録や集計の手間は減らせますが、目標の内容や対話の質までは変わりません。運用のルールと管理職の理解を整えたうえで、その負担を軽くする手段として位置づけることが望まれます。
まとめ
MBOの目的は、組織の目標と個人の行動を結び付け、本人が納得したうえで取り組める状態を作ることにあります。評価の根拠を明確にする効果もありますが、達成度だけで評価を決めると挑戦が選ばれにくくなる点には注意が必要です。目標の設定と合意、期中の確認と振り返りという流れを形式で終わらせないことが、運用の要点になります。対象人数と運用の頻度を整理したうえで、支える仕組みを比べて選びましょう。

