KPI管理ツールとは
KPI管理ツールは、企業の重要業績評価指標(Key Performance Indicators)を効率的に追跡、分析、可視化するためのソフトウェアです。これらのツールは、組織全体のパフォーマンスを一元管理し、データドリブンな意思決定を支援します。
複数の部門や業務のKPIを統合し、リアルタイムでデータを更新・表示することで、経営者やマネージャーが迅速かつ的確な判断を下せるようになります。
KPI管理ツールの主な機能
KPI管理ツールには、次のような機能が備わっているのが一般的です。
機能 |
活用ポイント |
KPI設計の補助 |
ユーザーが効果的なKPIを設定できるよう、業界標準やベストプラクティスを提案してくれる機能です。業種別に異なるKPIの定義や計算方法のテンプレートを提供しているツールもあります。 |
KPIの一元管理 |
複数の部門や事業単位のKPIを一箇所で管理する機能です。階層構造や関連性を視覚化し、全体像が把握しやすくなります。 |
アラート設定 |
KPIが特定のしきい値を超えた場合や、異常値を示した際に自動で通知する機能です。進捗の遅れといった問題の早期発見と対応を支援できます。 |
データの集約 |
社内システム、外部データベースといったさまざまなソースから、自動的にデータを収集し統合する機能です。集約したデータをもとに、KPI設定の算出が行えます。 |
レポート作成 |
カスタマイズ可能なダッシュボードやグラフを用いて、直感的でわかりやすいレポートを自動生成する機能です。定期的な報告や臨時の分析に対応しやすくなります。 |
外部ツール連携 |
CRM、ERPなどの既存システムや、データ分析ツール、BIツールとの連携を行うための機能です。KPIに関係するデータをもつツールと連携することで、より高度な分析を実現します。 |
KPI管理ツール導入のメリット
KPI管理ツールの導入により、データの一元管理と抽出が可能です。異なる部門や系統からのデータを単一のプラットフォームに統合し、必要な情報を迅速かつ正確に取り出せるようになります。全体像を把握でき、データ間の関連性や傾向を見出しやすくなるでしょう。
また、データが可視化されることで、複雑な情報を直感的に理解できるようになります。KPI管理ツールであればグラフ、チャート、ダッシュボードなどの視覚的要素により、数値の羅列だけでは見えにくかった傾向や異常値を瞬時に認識できます。さらに、可視化したデータは共有性も高く、部門間の垣根を超えた情報交換も促進されるでしょう。結果として、全社的な目標達成に向けた協力体制が強化されるといえます。
KPI管理を無料で行う方法
定めたKPIを達成するためには、適切なKPI管理が欠かせません。KPI管理は一般的に専用のツールを使用して行われますが、予算に制約がある場合でも、効果的にKPI管理を行う方法はあります。
次に、コストをかけずにKPI管理を実施するための2つのアプローチを紹介します。
Excelやスプレッドシートで管理する
ExcelやGoogle スプレッドシートなどの表計算ソフトは、KPI管理にも活用できます。これらのツールを用いたKPI管理のメリットとして挙げられるのはカスタマイズ性の高さです。自由にシート設計できるため、企業独自のKPI管理も容易です。また、関数によるKPI自動算出機能やグラフ機能などにより、手軽にデータ分析が行えるのも利点の一つです。
ExcelやGoogle スプレッドシートはすでに利用している企業も多いため、導入障壁が低く、すぐに活用をはじめられるのも魅力です。
無料のKPI管理ツールを使う
KPI管理ツールには、基本機能を無料で提供しているものがあります。専用ツールを利用することで、Excelやスプレッドシートより高度なKPI管理機能を活用可能です。
多くのKPI管理ツールには、ダッシュボードやデータの自動収集、レポート自動生成など、分析作業の効率化に貢献する機能が備わっています。サービスによって無料利用の範囲はさまざまですが、あまりにも複雑なKPI管理でなければ、無料の範囲内で十分に活用できるでしょう。もちろん、使い勝手がよく費用対効果が見込めるのであれば、将来的な有料版への移行も考慮しておくとよいでしょう。
KPI管理ツールの選び方
KPI管理ツールを有効活用するためには、自社の利用用途に適したサービスの導入が重要です。製品を検討する際のポイントは次のとおりです。
- ●KPIとして管理できる指標は何か
- ●必要な機能が揃っているか
- ●既存システムとの連携が可能か
KPI管理ツールの選定ポイントを詳しく解説します。
KPIとして管理できる指標は何か
KPI管理ツールを選ぶ際に最も重要な点は、自社が重視する指標を適切に管理できるかどうかです。業界や企業によって重要視されるKPIは異なるため、ツールがそれらの指標に対応しているかを確認する必要があります。
例えば、eコマース企業(EC業者)であれば顧客獲得コストや平均注文額、SaaS企業であれば月間経常収益(MRR)や顧客生涯価値(LTV)など、業種特有の指標に対応していることが望ましいでしょう。カスタムKPIの設定が可能かどうかも確認できると、なおよいでしょう。
必要な機能が揃っているか
KPI管理ツールに求められる機能は、企業の規模や業種、管理の目的によって異なります。例えばデータの自動収集と更新機能は、手作業の削減と最新情報の維持に欠かせません。直感的に理解できるダッシュボードやグラフ作成機能は、データの可視化とトレンドの把握に役立ちます。レポート作成機能があれば、定期的な報告書の作成が容易になります。
自社のニーズにあわせた機能をもつKPI管理ツールを導入しましょう。
既存システムとの連携が可能か
KPI管理ツールを効果的に活用するために、既存のシステムやデータソースと連携できるかどうかも確認しておきましょう。多くの企業では、すでにCRM、ERP、会計ソフトウェアなど、さまざまなシステムを導入・運用しているでしょう。KPI管理ツールがこれらのシステムと円滑に連携できるかどうかは、導入の成否を左右する重要なポイントです。
もし連携が可能であれば、データの手動入力や転記の手間が大幅に削減され、リアルタイムでの情報更新が実現しやすくなります。また、データの整合性も保たれ、より正確な分析が可能になります。API連携やデータインポート機能、各種クラウドサービスとの連携オプションなどを確認しましょう。
【無料あり】おすすめのKPI管理ツール比較
次に、おすすめのKPI管理ツールを紹介します。それぞれの特徴を把握し、自社にあうツールを選ぶための参考にしてください。
《Sactona》のPOINT
- 費用対効果に優れ、短期間で導入可能!
- エクセルだから誰でも自由にデータ分析ができる!
- 既存の報告書をそのままの形で活用可能!
《Loglass 経営管理》のPOINT
- 予実管理の生産性を改善する 経営企画向けのクラウドシステム
- 表計算ソフトと連携し、事業部横断での予算策定をスムーズに
- 予算・実績・見込を自由に並べてワンクリックで比較
《Tableau Desktop》のPOINT
- スプレッドシートやAWSなどさまざまなソースと接続
- 統計的処理もドラッグアンドドロップで可能
- マッピング機能でデータを地図上に表示
《MotionBoard》のPOINT
- Excelやシステム、DB、IoTなど、さまざまなデータと連携・可視化
- データの可視化だけでなく、ダッシュボードからデータを入力可能
- 国産メーカーならではの充実したサポートで、導入後も安心
Goalous(ゴーラス)
株式会社Colorkrewが提供する「Goalous(ゴーラス)」は、目標や業務を可視化することでエンゲージメントを活性化させるKPI管理ツールです。日々の業務や社内に向けての連絡事項といった情報がSNS形式で投稿・集約され、スムーズな情報共有が実現します。設定した目標の進捗状況はグラフでも確認でき、日々の振り返りにも活用可能です。KPI管理ツールとしてだけでなく、OKR管理ツールとしての役割も担っています。
mieru(ミエル)
アルサーガパートナーズ株式会社が提供する「mieru(ミエル)」は、 KPIを可視化することで、会社業績の向上を目指すKPI管理ツールです。KPI数値の入力、データ集計、推移確認まですべてワンクリックで完了できるのが特徴です。圧倒的な見やすさと使いやすさをセールスポイントにしており、チームメンバー全員がKPIの数値をひと目で確認できます。進捗状況の把握も容易なため、日報作成にかかる手間も削減可能です。
Wistant(ウィスタント)
株式会社フルートが提供する「Wistant(ウィスタント)」は、目標管理、1on1、フィードバックなど、ピープルマネジメントに必要な機能をオールインワンで提供するビジネスツールです。現場のメンバーの使いやすさに配慮したUI/UXが特徴です。リモートワークで直接的なコミュニケーションが減少するなか、1on1を通じてマネジメントの課題を解決したい企業や、人事制度の運用力を向上させたい企業など、さまざまなニーズに対応できます。
まとめ
経営管理を行うために欠かせないKPI設定ですが、ただKPIを設定するだけでは意味がありません。KPI管理ツールを用いてKPIを効率的に追跡し、可視化することで、データドリブンな意思決定ができるようになります。
多くのKPI管理ツールは無料トライアル期間を設けているため、実際に使用感を確かめてから導入を決められます。まずは気になるツールの資料請求をし、トライアル版で自社のニーズにあうか検証することからはじめてみましょう。