業績評価とは?
業績評価とは、一定期間の業務の成果や結果によって人材を評価することです。業績により人事評価を行う場合、昇進や昇格、人事異動などに影響します。業績は経営上の利益につながるものであるため、業績は質の高い成果を上げ、売上高や成果に対しての貢献度により評価されます。
業績評価の流れ
業績評価は以下の流れで行われます。
目標の設定
業績評価は目標管理制度(※1)との組合せでの運用が望ましいとされています。
設定は、まず個人やチームでの目標値を設定します。目標値は組織目標を踏まえる必要があり、組織目標が決定後、チームや個人の目標値を設定します。目標値は、すぐに達成できるレベルではなく、ある程度の努力が必要なレベルでの目標値を設定する必要があります。
(※1):業績の目標を個人で決定し、目標の達成状況や達成度を個人自ら管理する制度。上司や人事も目標値の設定に関わり、評価を行います。
業務遂行・期中の見直し
目標値決定後は、目標を達成できるよう業務に臨みます。
この目標は、期中であっても達成状況についての評価をします。例えば、想定外の外的な要因により組織目標が変更される場合があります。個人の目標値は組織目標を踏まえる必要があるため、個人目標を変更する可能性も出てくるかもしれません。しかし、組織目標が下方修正された場合に個人目標も下げるかどうかは慎重な検討が必要でしょう。
目標達成の評価
評価期間終了後、目標値の達成状況や達成度を評価します。基本的には自己評価を踏まえた上、上司が評価を行います。最終的な評価を決定する前に面談を行い、面談結果が最終評価となります。
この時、自己評価と上司の評価内容が乖離している場合、「360度評価」と呼ばれる複数の評価者による多面的な評価を行い、被評価者の納得感を高めるようにしましょう。納得感を感じることができなければ、仕事への意欲、やる気の低下につながる恐れがあります。
業績評価のメリット
業績評価には以下のメリットがありますので解説します。
労働意欲の向上
業績は直接経営の利益につながります。業績を上げ目標を達成することで、昇進や給与のアップといった評価の対象となれば、社員の労働意欲は向上し、労働意欲の向上は企業の利益にもつながります。
人件費削減
業績評価は、業務の成果に応じて評価される制度であり、成果を出せなければ評価を受けることができず、昇進や給与のアップを臨むことはできません。業績評価を導入することで、これまでの企業に多くみられた年功序列制度からの脱却を図ることが可能です。
成果を上げることができない勤続年数の長い社員にも高額な給与を支払っていましたが、成果が上がらなければ現状維持、もしくは減給といった措置をとることができます。
業績評価と能力評価の違いは?
業績評価と能力評価の違いは、業績評価は一定期間の業務の成果により人材を評価する制度です。
一方で能力評価は、社員が持つスキルや能力、また、職務を通じて身につけた能力や職務に臨む意欲など、業績には関係のない項目で評価されます。また、突発的な事態に対して適切な対応がとれるかなども評価の対象です。
プロセス評価との関係
プロセス評価は、目標を達成するまでのプロセスを評価します。成果だけを重視せず、成果に至るまでにとった行動や努力などを重視します。業績評価とプロセス評価の関係は、職位が上であることが多い職歴の長い社員に対しては業績評価に重点をおき、新入社員に対してはプロセス評価に重点をおく必要があります。
人事担当者は、どちらか一方の制度だけを利用するのではなく、自社に適したバランスのとれた評価制度を整備することが大切です。
業績評価の評価例
業績評価を具体的にどう評価に役立てていけば良いのでしょうか。例を挙げて紹介します。
目標設定例
業績評価を行う上で、各社員に目標を設定することは大切です。目標を設定することで評価の判断材料になります。また、目標を達成するための行動が社員の能力開発につながり、また、モチベーションを高くもって仕事に臨むことが可能です。
目標の設定例は以下になります。
- 組織目標や上司の目標と絡めた具体的な目標。
- 簡単に達成可能な目標ではなく、努力をすることで達成できる目標。
- 目先の目標だけではなく、中長期的な目標も組み込んだ目標。
- 高いモチベーションを維持できるような目標。
可能であれば具体的な数値や期間など、目標に組み込むようにしましょう。
業績評価におけるコメント例
業績評価において、目標が達成・未達成である場合のコメントのポイントをいくつか紹介します。
目標達成(部下からのコメント)
目標の達成状況について具体的な数字を明記することで、コメントに客観性を持たせることが可能です。なぜ、達成できたのかを自己分析し、改善点があれば記載することも大切です。来期の目標達成に向けての改善点を明記するようにしましょう。
目標達成(上司からのコメント)
大切なのは、保有している実力を褒めることです。そして、他の社員と比較するコメントは避けましょう。部下の経験や在籍年数、そして役職に考慮したコメントを心がける必要があります。たとえ目標が達成していても改善点があるのであれば激励としてコメントし、サポートしましょう。
目標未達成(部下からのコメント)
目標が未達成の場合、達成するために最善を尽くした点や、目標が未達成になってしまった原因などを自己分析し、改善点を明記するようにしましょう。
次回への意気込み、そして具体的な活動方針を掲げることが大切です。
目標未達成(上司からのコメント)
部下が目標を達成するために起こした行動に対して的確なコメントをする必要があります。コメント内容としては、日々の営業活動に対しての指導や、必要であれば具体的なアドバイスをすると良いでしょう。改善点を指摘する際には、理論立てて説明することが大切です。
業績評価を行う際に気をつけること
業績評価を行う上で、特に気をつけるべき部分をピックアップしました。実際に評価を行われるときにはこれらのことに気をつけて行うと良い評価をすることができるでしょう。
目標に対しての振り返り
目標達成の場合でも未達の場合でも、そこに至るまでのプロセスがどうだったのかを具体的に振り返るようにしましょう。進捗に対しての理解が浅ければ、業績評価は効果を発揮しづらくなります。自己評価を具体的に行うことで、新たな気付きが得られるはずです。
業績評価と昇進は別で評価する
業績評価で決まるのは、主にボーナスなどの評価となります。したがって、昇進、昇給に直接的に結びつく指標ではありません。業績評価が悪いと被評価者は昇進に影響するのではないかと考えてしまいます。モチベーション維持のためにも、評価対象が異なることを理解してもらうようにしましょう。
公務員・国家公務員の業績評価
業績評価は公務員、特に国家公務員でも行われています。一般企業とはどのような違いがあるのかを解説していきます。
公務員職の評価点
平成21年から公務員職に人事評価制度が導入されました。これにより国家公務員・地方公務員のどちらも、業績評価を年2回、能力評価を年1回行います。
人事評価で評価されるポイントは下記になります。
業績評価
職員がその職務を遂行するに当たり挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価。
能力評価
職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力を把握した上で行われる勤務成績の評価。職員の任免や給与の決定に業績・能力評価は活用されます。採用年次や試験の種類は、任免や給与の決定には反映されません。
公務員に業績評価は合ってない?
公務員、特に国家公務員は業績評価では正しい評価ができないというマイナスな意見も見受けられます。公務員の公務が企業の業務とは職務の本質が少し異なることに理由があります。
企業は売上や成果が重視されますが、公務員の場合、成果が求められる公務もありますが、成果が全ての公務ばかりではありません。多少のリスクを伴っても処理をしなければいけない公務であったり、迅速な処理を控え慎重な判断を要する公務であったりとさまざまです。公務の内容次第では成果や目標の達成として判断できかねるものもあるため、公務員に業績評価の制度を当てはめることは難しいといえます。
人事評価の概要は下記の記事で解説しています。合わせてご覧ください。
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2021.01.12
人事評価制度とは?その目的や作り方、失敗しないコツをご紹介
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業績評価を正しく使用しよう!
人事評価、その中でも業績評価は、その名の通り業績、つまり実力が評価されるものです。評価というのは公平に見ることがとても大事であり、今後の仕事にも影響が出てしまう重要な評価です。評価をつける際はどこを評価するのかをしっかり押さえておくことが大事だといえるでしょう。