360度評価でコメントする際のコツ
360度評価を行う際には、点数だけでなくコメントを入れることも重要です。では、一体どういったコメントを付けるのが好ましいのでしょうか。まずは、360度評価でコメントを付ける際のポイントをご紹介します。
360度評価について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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2019.12.16
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問題点や改善点は明確に記載する
360度評価を行う際には被評価者の良いところだけでなく、悪いところを書くこともあるかと思いますが、その際は問題点や改善点を明確に記載しましょう。「このような点が良くない」というだけでは単に批判しただけなので、被評価者の気分を害すだけでなく、解決への指針が不明確になってしまいます。
誹謗中傷や過剰評価、過小評価は控える
360度評価のコメントを書く際には、被評価者への誹謗中傷や過剰評価、過小評価は控えましょう。360度評価は、あくまでも複数人で評価を行うことにより、被評価者の仕事ぶりや成果を公平に判断することが目的です。
それにも関わらず誹謗中傷や過剰・過小評価に終始してしまうと、本来の目的から大きく外れてしまうでしょう。自身の感情を混じえず、客観的にコメントすることが大切です。
上司に対してはマネジメント力を評価する
上司に対して評価するのは少々やりにくさもありますが、マネジメント力を評価の対象とするよう心がけましょう。マネジメント力というのは「上司が部下を管理する能力」のことであり、もう少し具体的に言うと「部下が仕事をしやすい環境を整える能力」です。
マネジメント力に優れた上司は部下の動かし方や育成方法に長けており、結果的にチーム内に良い雰囲気が生まれ、成果も上がる傾向があります。自分の上司がしっかりとマネジメントを行っているか、またチーム全体を見ているかについて日頃から注視しておきましょう。
部下に対してはスキルや仕事への熱意を評価する
上司から部下に対して評価を行う際は、部下の持つスキルや仕事への熱意を評価対象にします。部下の持つスキルは容易に掴むことができますが、仕事に対する熱意は普段から部下をしっかりと観察していないと見抜くことはできません。
本人は「やる気があります!」と言っていても、実際は手を抜いて仕事をしているというケースもあるものです。逆に、一見やる気がなさそうに見えても自分の責任はしっかりと果たし、見えない部分でチームの根幹を支えているような人もいるのではないでしょうか。
上司である以上、そういった部下の見えづらい一面もしっかりと評価の対象に加えなければなりません。そうでないと不公平な評価につながり、被評価者のやる気に水を差してしまいます。
【職種別】360度評価のコメント例
ここでは、職種別に360度評価のコメント例を紹介します。なお、紹介するのは一般的な例文なので、実際にコメントする際はアレンジを加えてみましょう。
対人・営業職関連のコメント例
対人・営業職における評価のコメント例は、以下のとおりです。
営業職における「部下自身」の評価コメント例
「営業成績が前年比120%を達成した。これは、営業チームの連携強化を行ったことが大きく影響している。具体的にはミーティングの密度を濃くしたり、情報共有を徹底したりしたことが挙げられる。」
接客業における「部下自身」の評価コメント例
「アンケートによる顧客満足度が前年を大きく上回った。従業員間で挨拶を行うことを推進し、チーム内で良い関係を築いたことによる連携が功を奏したのがその理由である。」
営業職における「上司から」の評価コメント例
「顧客第一主義を掲げ、常に顧客に意識を向けた営業活動を行っている。顧客から『彼は頼りになる』という評価を受けたこともあり、顧客との関係性は非常に良好である。」
接客業における「上司から」の評価コメント例
「お客様が来店されたときには必ず笑顔で挨拶し、お客様に気分良く過ごしてもらうことを意識して仕事に励んでいる。常に店内を観察し、お客様のニーズを察知することで、いち早い対応を行っている。」
営業職の評価は基本的に数字を用い、客観的な指標で評価するようにしましょう。また、なぜそのような結果になったのかを分析することも大切です。
接客業の場合、営業職ほど明確な数値は出ないかもしれませんが、被評価者がどのような仕事ぶりをしているのかという点をよく観察しておきましょう。お客様からの評価を参考にするのもよいやり方です。
管理職関連のコメント例
管理職における評価コメント例は、以下のとおりです。
管理職における「自分自身」の評価コメント例
「管理職に就いてからチーム内の関係づくりと業務効率化を意識的に行い、売上を前年より20%向上させた。具体的には、メンバーに一人で仕事をさせるのではなく、チームを作って仕事をしてもらうように心がけた。」
管理者に対する「部下から」の評価コメント例
「現在どのメンバーがどのような仕事を行っているかをしっかりと把握してくれている。おかげで仕事の相談をする際にも話が早く、業務効率化に繋がっている。」
「部下の立場として、非常に仕事がしやすく助かっている。具体的には、ネガティブな報告も嫌な顔ひとつせずに傾聴してくれ、即座に明確かつ的確な対応指示を出してくれる。」
「ミーティング中に業務に関係のない雑談が行われることもあるが、マネージャーとしてチームの雰囲気を良くしようと努めており、以前よりメンバーと他愛もない会話をするようになった。」
管理職として自己評価する場合は、数値で成果を記載しましょう。それが難しいのであれば、現在どのような目標を立てており、それがどの程度の達成率かを記載すると良いです。
部下として上司を評価する場合、上司がチームを良くするためにどのような行動を取っているかを具体的にコメントしましょう。その際に改善点や問題点を指摘するのであれば、誹謗中傷や悪口にならないようにすることが重要です。
企画・クリエイティブ・エンジニア職関連のコメント例
企画・クリエイティブ・エンジニア職における評価のコメント例は、以下のとおりです。
企画職における「部下自身」の評価コメント例
「○○という企画の反響が大きく、平均して他の企画より150%の売上を達成した。企画発案者だからといって情報を溜め込まず、チームに共有したことが功を奏したのではないかと思う。」
クリエイティブ職における「部下自身」の評価コメント例
「今年度に行ったデザイン案件は○○件だった。前年に自分が行った案件数と比べると1.5倍以上の消化率で、業務効率化に寄与したと自負している。」
エンジニア職における「部下自身」の評価コメント例
「業務効率化を促進するために、専用のツールを開発した。活用することで1〜2割程度の時間短縮に繋がり、チームメンバーにも喜ばれた。」
企画職における「上司からの」評価コメント例
「企画のアイデア出しには大変貢献しているものの、実務が少々苦手なように感じる。企画は形にしてこそ意味が生じるため、最後まで意欲を持って取り組んでほしい。」
クリエイティブ・エンジニア職における「上司から」の評価例
「資格の取得には意欲的だが、実務にそれを活かそうという気持ちが不足しているように感じる。資格で得た知識を実務に活かせば、より一層のスキルアップに繋がるため、ぜひとも意欲的に取り組んでほしい。」
企画・クリエイティブ・エンジニア職は、特に個人の能力が厳しく評価される仕事でもありますが、やはりチームメンバーとの連携も欠かせません。自己評価する際は、独りよがりな評価にならないよう、メンバーと協調して仕事を進める意欲も合わせて表明しましょう。
【評価種目別】360度評価のコメント例
続いて、360度評価の評価種目別コメント例をご紹介します。360度評価にはいくつかの評価種目が設けられているため、それぞれに応じた評価を行う必要があります。
成果評価のコメント例
成果評価のコメント例は、以下のとおりです。
成果における「部下自身」の評価コメント例1
「今月は先月に比べ150%の売上を上げることができ、新規顧客も3社獲得できた。個人的な新規アプローチのノルマを設けており、それが形になってきたように感じる。」
成果における「部下自身」の評価コメント例2
「今月は先月に比べ20%の売上減となった。理由としては、商談の途中キャンセルが複数件あったことが挙げられる。今後は顧客とのコミュニケーションを疎かにせず、最低でも月2回以上は訪問することを目標とする。」
成果における「上司から」の評価コメント例1
「日々やるべきことをリスト化し漏れなく取り組んでいるため、無事売上目標を達成した。ToDoリストにしっかりと柔軟性をもたせ、今後も意欲的に仕事に取り組んでもらいたい。」
成果における「上司から」の評価コメント例2
「売上目標に対し80%の達成率だった。他のメンバーは全員100%達成していたため、努力不足や認識の甘さが原因のように感じる。今後は顧客情報にしっかりと目を通し、アプローチすべき顧客とそうでない顧客をしっかりと分けてほしい。
しかし、チームメンバーとしっかり連携を取り営業活動に励んでいた点は評価に値する。自分の担当ではない顧客の折衝にも手を抜かず行っており、それ故に時間が上手く使えず達成率が悪かった面もあるだろう。」
成果評価は数字で表すことができるため、評価の指針が定まりやすいのではないでしょうか。しかし、達成したら賞賛、未達成なら改善点を記載するというのは少々単純すぎるため、特に未達成の場合はモチベーション維持のために良い点を明記することを忘れないようにしましょう。
能力評価のコメント例
能力評価のコメント例は、以下のとおりです。
能力における「部下自身」の評価コメント例1
「今期はチーム内での情報共有をテーマとし、改善に努めた。具体的には既存システムの再活用や、些細なことでも言い合える関係づくりに注力した。その甲斐あってか、顧客に関する詳しい情報を各メンバーが共有でき、顧客満足度の向上に繋がっている。」
能力における「部下自身」の評価コメント例2
「自分の強みである『コミュニケーション力の高さ』を活かして業務に取り組んでいる。チーム内の潤滑油としてメンバーの間を取り持ったり、顧客のクレームを先読みして対処することで顧客満足度の向上に繋げている。」
能力における「上司から」の評価コメント例1
「論理的な思考力、物事をフラットに見る視点を活かし、実現性の高い企画を次々と提案してくれている。成果も上々であり周囲の評価も良いが、より斬新なアイデアを出せるようになれば一皮も二皮もむけるだろう。」
能力における「上司から」の評価コメント例2
「チーム内でいまいち個性や能力が発揮できていないように見受けられる。シャイな性格のせいか、なかなかコミュニケーションを図れないようだが、ユニークなキャラクターを持っていると思うため、もっと自信をもって周囲と接してほしい。」
能力評価は必ずしも数値で表せるものではありませんが、客観的な指標があればそれを用いましょう。また、能力評価はどうしても主観的になりがちなものですが、「結果としてどうなったか」を記載することにより、それを防げます。
意欲評価のコメント例
意欲評価のコメント例は、以下のとおりです。
意欲における「部下自身」の評価コメント例1
「スキルアップを図るために〇〇についての勉強を始めた。実務でも積極的に〇〇の知識を活かせるプロジェクトに志願し、経験を積んでいる。〇〇に関するスキルが十分に身についたら、次は△△の勉強を始めようと考えている。」
意欲における「部下自身」の評価コメント例2
「仕事に対するモチベーションを維持するために、休日の過ごし方を意識している。具体的には、オンオフの切り替えを明確にするために週に一日だけは仕事に関する情報を一切見ないようにしている。」
意欲における「上司から」の評価コメント例1
「積極的に改善提案を行ったり、プロジェクトへの参加表明をしたり、仕事に対する意欲が十分漲っているように感じる。積極性は何よりの武器になるため、その強みを活かして今後とも活躍してほしい。」
意欲における「上司から」の評価コメント例2
「仕事に対する姿勢が消極的で、意欲に欠けているように見える。それではせっかくの能力の高さを活かすことができず勿体なく感じるため、モチベーション管理を重視してほしい。」
意欲における「上司から」の評価コメント例3
「会社で受講しているセミナーだけではなく、プライベートでも積極的に知識を吸収すべく勉強に励んでいるように見受けられる。しかし、熱意があるあまりに体調を崩して仕事を欠席することもあったため、体調管理には気を配って頑張ってほしい。」
意欲評価もともすれば主体的なコメントになりがちですが、具体的事実を添えて客観的に評価することでそれを防げます。自身の評価に対しては、今現在取り組んでいることをアピールするのも好ましいやり方になるでしょう。
傾聴・伝達評価のコメント例
傾聴・伝達評価のコメント例は、以下のとおりです。
傾聴・伝達における「上司自身」の評価コメント例
「部下の話はたとえ業務中でも手を止めて傾聴するように心がけている。仕事をしながらでも話の内容はしっかりと頭に入ってくるが、それだと部下の話を軽視しているように見えてしまうため、なるべく避けるようにしている。」
傾聴・伝達における「部下自身」の評価コメント例
「情報の伝達を確実にするために、口頭で伝えたことはなるべくメモを取り、相手に文章で送るようにしている。そうすることで後のトラブルを避けることができ、互いの信頼関係を深める効果もあるだろう。」
傾聴・伝達における「部下から」の評価コメント例1
「部下の話にしっかりと耳を傾けてくれていることが伝わってくる。こちらがネガティブな報告をしても嫌な顔一つせず冷静に聞いてくれるため、部下の立場としても安心して報連相を行うことができる。」
傾聴・伝達における「部下から」の評価コメント例2
「チーム内の情報伝達の手法に問題を感じている。全ての情報が一度上司に集められ、そこからトップダウンで各メンバーに共有されるため、内容の齟齬や情報伝達の遅さが見受けられる。専用システムの導入などを検討し、改善してほしい。」
傾聴・伝達評価は人の話をしっかりと聞いているか、また聞く気があるかが評価の対象です。組織内のコミュニケーションが滞ってしまうと多くの弊害が生まれるため、適正に評価しましょう。
自他ともに満足度の高い人事評価の実現へ
360度評価を用いることで、自己評価だけではなく同僚や部下、上司からの評価が行われます。他人から評価され、また自分も評価することは今後の仕事を円滑に進めるためにも重要です。
そのためには、評価するポイントを押さえ、公平にコメントすることが大事になるのではないでしょうか。誹謗中傷や悪口は控えて、問題点や改善点は明確にコメントし、良い面は素直に褒めるよう心がけましょう。
また、今回は触れませんでしたが、人事評価の非効率性や不公平感などの課題があれば、「人事評価システム」の導入を検討しましょう。継続的に成果を残す企業体制を構築するためには、従業員の満足感の高い人事評価制度を構築することは必要不可欠といえるでしょう。以下のページより、まずは気になる製品の資料を請求することをおすすめします。
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