定性評価とは
定性評価とは、売上や件数のような数値だけでは捉えにくい、従業員の能力・行動・姿勢などを評価する方法です。例えば、協調性や積極性、責任感、業務への取り組み方などが評価対象になります。
営業職であれば「周囲と連携しながら提案を進められているか」、事務職であれば「業務改善に向けて主体的に行動しているか」といった観点で評価します。数値として現れた成果だけではなく、成果につながる行動やプロセスも評価できるのが特徴です。
一方で、定性評価は評価者の主観が入りやすいため、評価項目だけでなく「どのような状態なら高く評価するのか」という具体的な評価基準を定めておくことが重要です。
定量評価との違い
定性評価と定量評価の大きな違いは、数値だけでは捉えにくい行動や能力を評価するか、数値で表せる成果を評価するかという点です。それぞれの違いを以下にまとめました。
| 比較項目 | 定性評価 | 定量評価 |
|---|---|---|
| 主な評価対象 | 能力・行動・姿勢・プロセスなど | 売上・件数・達成率など |
| 評価例 | 協調性、積極性、責任性、創意工夫など | 売上500万円、受注10件、目標達成率120%など |
| 特徴 | 数値に表れにくい貢献を評価できる | 客観的な基準を設けやすい |
| 注意点 | 評価者の主観が入りやすい | 行動やプロセスを評価しにくい |
例えば営業社員を評価する場合、売上や受注件数は定量評価に適しています。一方、「顧客の課題を深く理解して提案した」「チーム内で積極的に情報共有した」といった行動は、定性評価で判断します。
定量評価と定性評価のどちらか一方に偏るのではなく、両方を組み合わせることで、成果とプロセスを多面的に評価できます。従業員の納得感を高めるためにも、職種や役割に応じて適切に組み合わせましょう。
人事における定性評価の項目と具体例
定性評価では、職種や役割にあわせて評価項目を設定します。代表的な項目として、協調性や積極性、責任性、創意工夫などが挙げられます。評価者による判断のばらつきを抑えるため、項目名だけでなく、どのような行動を評価するのかまで具体化することが重要です。
| 評価項目 | 評価基準の具体例 |
|---|---|
| スピード | 指示された業務を期限内に処理し、報告・連絡・相談を迅速に行えているか |
| 創意工夫 | 業務上の課題を発見し、改善案や新たな取り組みを提案できているか |
| 知識 | 業務や製品、取引先について必要な知識を身につけ、実務に活用できているか |
| 規律性 | 社内ルールを守り、身だしなみや整理整頓など基本的な行動を適切に行えているか |
| 責任性 | 担当業務を最後まで遂行し、問題発生時にも責任をもって対応できているか |
| 積極性 | 指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけて主体的に行動できているか |
| 協調性 | 周囲と適切に情報共有し、チームの目標達成に向けて協力できているか |
評価項目はすべての従業員で一律にするのではなく、営業職や管理職、事務職など、それぞれの役割や求められる行動に応じて設定するとよいでしょう。
定性評価の方法・評価基準の決め方
定性評価では、評価者の感覚だけで判断すると評価にばらつきが生じます。公平性を高めるためには、評価項目を決め、具体的な行動基準を設定したうえで評価・フィードバックを行うことが重要です。ここでは、基本的な進め方を3つのステップで解説します。
1.評価項目と目標を設定する
はじめに、組織や職種ごとに求める行動や能力を整理し、評価項目を設定します。例えば営業職であれば「顧客対応力」「積極性」「協調性」、管理職であれば「マネジメント力」「人材育成力」などが考えられます。
さらに、それぞれの項目について「どのような行動を期待するのか」を明確にします。組織目標や職位ごとの役割と結びつけることで、従業員も評価されるポイントを理解しやすくなります。
2.具体的な評価基準を設定する
評価項目を決めたら、評価者によって判断が大きく変わらないよう、具体的な評価基準を設定します。例えば「協調性」を5段階で評価する場合、以下のような基準が考えられます。
| 評価 | 評価基準の例 |
|---|---|
| 5 | 他部署も巻き込み、チーム全体の成果向上に貢献している |
| 4 | 周囲と積極的に連携し、円滑に業務を進めている |
| 3 | 必要な情報共有や協力を適切に行っている |
| 2 | 情報共有や周囲との協力が不足する場面がある |
| 1 | 周囲との連携に継続的な課題がみられる |
このように点数ごとに具体的な行動を定義すると、評価者の主観によるばらつきを抑えやすくなります。
3.評価結果をフィードバックする
評価後は、点数だけを伝えるのではなく、評価の根拠となった具体的な行動を本人にフィードバックします。「積極性が3点だった」と伝えるだけではなく、「会議では意見を出せているが、業務改善の提案までできるとさらに評価が高まる」など、改善につながる内容を伝えましょう。
定性評価を従業員の成長につなげるためには、評価結果を次の目標設定や行動改善に活用することが重要です。
定性評価のメリット・デメリット
定性評価のメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・数値では成果が測れない業務に従事する従業員を評価できる
- ・従業員のモチベーション維持や向上
定量評価では評価が難しい間接部門の従業員や、新入社員に対しても正当な評価を下せます。また数字だけでなく、勤務態度や業務への取り組み方などの行動を評価してもらえるため、従業員のモチベーション向上も期待できます。
一方、デメリットは以下のとおりです。
- ・評価が難しい
- ・不満が出やすい
評価基準が明確な定量評価と違い、評価難易度が高いのが最大のデメリットでしょう。評価者の主観が入りやすく、評価に対する不満が生じやすいため、評価基準のすりあわせが必要です。
人事で定性評価を行う際のポイント
定性評価する際には、評価者の主観の排除方法や考課者訓練についても理解しておくとよいでしょう。
多面評価を実施する
定性評価において難しいのは、評価者の主観を排除することです。定量評価と比べて明瞭な基準を設けにくいため、どうしても考課者の主観が入るおそれがあります。
リスクを下げるために有効なのが多面評価です。多面評価では、上司だけでなく部下や顧客、被評価者本人などが評価に参加します。さまざまな人の視点から多面的に見ることで、客観的な評価を実現する方法と言えるでしょう。被評価者は「上司からどう見られているか」ではなく「周りからどう見られているか」を把握できるため、評価を真摯に受け止められます。
多面評価は多くの人が評価に携わらなければならない分、負担が大きい方法ですが、人事評価システムの活用によって解決可能です。一括回答機能やレポート機能など、多面評価を支援する機能を備えた製品が多くあります。人事評価システムに興味がある方は、ぜひ以下の記事も一読ください。人気製品を多数紹介しており、価格や対応機能、口コミなどをチェックできます。
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考課者訓練を実施する
定性評価では人事考課エラーが発生しがちです。人事考課エラーとは、評価が不適切に偏ってしまうことです。具体的には、以下のようなエラーがあります。
- ハロー効果
- ある一点が優れていると、別の点も優れているように感じる
- 第一印象効果
- 評価が第一印象に左右される
- 近時点効果
- 直近の評価が一定期間の評価や最終評価に強く影響する
- 先入観
- 評価が性別や学歴などに対する先入観に影響される
上記は無意識に生じる偏りのため、完全な排除は困難です。しかし、適切な訓練によりある程度排除できます。考課者訓練を実施し、ロールプレイングなどを通じて、考課者に人事考課エラーに対する理解を促しましょう。
人事で定性評価を実施し、公平性を向上させよう!
人事における定性評価とは、数値化できないものを評価することです。定量評価との組み合わせにより、適切な評価が実現します。ただし、定性評価は考課者の主観に左右されがちです。評価項目の設定に留意し、多面評価や考課者訓練などを取り入れることで、適切な定性評価を実施しましょう。



