職種別の人事考課コメント例文
人事考課は基本的に業務に対しての評価であるため、業務内容が異なれば評価する方法や項目、コメント内容も異なります。ここからは職業別の人事考課のコメント例を紹介します。
営業職・販売職
■書き方のポイント
営業職や販売職の人事考課は、ほかの業務よりも結果が数字で表れるため、客観的に評価がしやすいでしょう。業績による数字以外に、外的要因や状況も把握します。
- 営業職(販売職)における「部下」(被評価者)のコメント例
- 今年度は前年度比で120%を達成できた。勝因としては、PDCAを的確にまわし、顧客分析を徹底したうえで戦略を立ててアプローチできたことが大きい。来期は売上単価アップを目指し、新規顧客開拓に励みたい。
- 営業職(販売職)における「上司」(評価者)のコメント例
- 個人の営業目標を120%達成した。結果、営業部全体の目標達成に大きく貢献してくれた。今回の勝因を明確にして、自己記録を更新できるよう業務に取り組んでほしい
事務職
■書き方のポイント
事務職は具体的な成果が見えにくい仕事です。仕事内容もほとんど変化がなく、達成基準もあいまいになりがちです。そのため業務改善率を数値化するなど、目標の定量化によって評価がしやすくなるでしょう。
- 事務職における「部下」(被評価者)のコメント例
- 書類のダブルチェックにより、前年度より書類の不備が30%減少した。さらに備品の購入を精査し、前年度比で消耗費の5%削減を実現できた。
- 事務職における「上司」(評価者)のコメント例
- 部署内の課題でもあった書類の不備に対していち早く対応し、問題を解消してくれた。経費削減についても積極的に実践し、会社全体の利益を考える姿勢が見受けられる。
企画・マーケティング職
■書き方のポイント
担当するプロジェクトや製品の結果を数値化できる場合は、具体的に記載しましょう。数値化がむずかしい場合は、プロジェクトでの役割や尽力した業務内容についてコメント・評価します。表面化しにくいサポート業務などにも目を向けましょう。
- 企画・マーケティング職における「部下」(被評価者)のコメント例
- 不振が続いた〇〇(製品名)について、アンケートや口コミ結果を分析し、メインターゲットの変更をしたうえで、販促を企画実行。前年度比150%で目標を大幅に達成できた。現在進行中のプロジェクトについては、データ収集・分析、資料作成を担当し、プロジェクトに尽力している。
- 企画・マーケティング職おける「上司」(評価者)のコメント例
- 〇〇(製品名)のプロジェクト企画については、ターゲットの見直し・深掘りを行い、前年度比150%につなげた手腕は評価に値する。データ収集・分析能力が高いため、今後はスキルやノウハウをメンバーに共有するなど、人材育成にも取り組んでほしい。
技術・エンジニア職
■書き方のポイント
企業の課題に対して、いかに技術貢献できたかを具体的にコメントしましょう。例えば、質の向上や製造工程の効率化なども、成果をあげたポイントとして該当します。評価の際は、業績として判断しにくい面があるため、コストダウンや作業の効率化などあらかじめ評価基準を設け、貢献度で判断します。
- 技術・エンジニア職における「部下」(被評価者)のコメント例
- 品質低下の一因であった、テスト工程におけるテスト項目漏れや確認不足を解決すべく、テスト項目やテスト手法を見直した。検証をもとに中間テスト工程を追加したことで、バグ検出率が20%向上。後工程での手戻りが削減され、品質向上に加え、作業工数の削減も実現した。
- 技術・エンジニア職おける「上司」(評価者)のコメント例
- 品質低下の要因を突き止め、工程改善のための検証を迅速に実行した点が素晴らしい。テスト工程でのバグ検出率の20%向上に加え、工数削減による生産性向上も実現したことは評価に値する。
看護師・介護職の人事考課コメント
■書き方のポイント
看護師・介護職の仕事は、基本的に毎日決まった業務を行います。しかし、突発的な事態が発生するため、不測の事態にも迅速かつ柔軟に対応できる能力も評価の対象となるでしょう。
- 看護師・介護職における「部下」(被評価者)のコメント例
- 日頃から患者さんと積極的にコミュニケーションを図ることで不安に寄り添い、問題の解消を手助けできた。患者さんとのやりとりで気づいた点はこまめに記録し、ほかの看護師との共有によってチームとして連携しながら満足度の高い看護を実現できた。
- 看護師・介護職における「上司」(評価者)のコメント例
- 日々の業務を一つひとつ丁寧かつ正確に行っている姿勢は評価に値する。緊急時の対応も冷静でありながら、周囲に適切な指示を出すことで無事解決できている。今後もよりよい対応ができるように業務を行ってほしい。
保育士の人事考課コメント
■書き方のポイント
保育士の評価ポイントは、子どもたちが安全で健康に過ごせる環境作りができたかという点です。さらに事故が起こりそうになった場合、どのように状況を改善したのかも重要な評価対象となるでしょう。
- 保育士における「部下」(被評価者)のコメント例
- 子どもたち一人ひとりの様子を毎日こまめにメモして、ささいな変化にも気づけるよう努めた。保護者に対しては、お迎えの際に保育園での過ごし方や気づいた点を細かく伝え、連絡帳を通しても密なコミュニケーションを図った。
- 保育士における「上司」(評価者)のコメント例
- 子どもたちの小さな変化に気づき、一人ひとりにあわせた臨機応変な対応ができている。普段から保護者としっかりコミュニケーションが取れており、保護者アンケートでも保護者の満足度が高く、周りからの信頼も厚い。
公務員
■書き方のポイント
公務員の業務は多岐にわたり、数値化できるものとできない業務があります。数値化できる場合は具体的な数字で表し、数値化しにくい業務は、作業効率の改善やミス防止など、取り組みと成果について記述しましょう。評価には「業績評価」と「能力評価」を用います。あらかじめ設定した目標に対する達成度、発揮した能力で評価しましょう。
- 公務員における「部下」(被評価者)のコメント例
- 法改正に伴い変更となった業務をミスなく円滑に進めるために、独自の業務マニュアルやチェックリストを作成。業務効率を低下させることなく、業務遂行上のミスも発生しなかった。その後、部署内で共有し部署全体の作業品質向上にも貢献できた。
- 公務員おける「上司」(評価者)のコメント例
- 業務内容の変更にも迅速に対応し、先頭に立って改善策を提案した。ドキュメント作成能力を生かし、自らマニュアルやチェックリストを作成し、部署全体の業務効率化やナレッジ共有につなげた。期首の目標「リーダーシップの発揮」を十分に達成したと判断できる。
書き方のポイントを理解しつつ、多くても年に4回のこと。「前回の人事考課ではどんなことを書き、どんな評価コメントを貰ったか?」覚えている人はなかなかいないでしょう。そんなときに「人事評価システム」が役に立ちます。
人事評価システムは、目標設定や実績管理といった人事評価の一連の流れをシステムで管理するものです。評価が見える化され、過去のコメントを参照することも可能です。興味がある方は、ぜひ最新のランキングもあわせてご覧ください。
評価基準別の人事考課コメント例文<評価者向け>
人事考課の評価項目は大きく分けて「成果評価」「能力評価」「情意評価」の3つがあります。人事考課を行う上司(評価者)は、各評価項目に則した評価と的確なコメントが求められます。
ここからは、評価者における人事考課のコメント例と注意点を解説します。
成果評価
「成果評価」とは、評価期間中に被評価者が出した成果・業績を評価することです。評価の根拠となる数値の明確化が必要です。
- 【コメント記入例】
- 目標に対して150%の業務を行った。直近5年間においてトップの数字であり、ほかの社員にとっても手本となる数字である。今後は成功事例を部署内で共有し、全体のパフォーマンスを底上げしてほしい。
書き方のポイント
成果評価で重要になるポイントは数字です。数字を基準にコメントしましょう。
部下が目標を達成した場合は、評価を具体的に数値化し、数値がどれくらい基準を上回っているかを伝えます。評価を具体的にイメージできるため、部下のモチベーションアップにつながるでしょう。
目標に対して未達であった場合は、未達の原因を明確に伝え、改善ポイントをより具体的に説明します。数値化しにくい業務の場合は事前に目標を設定し、評価基準を明確にしましょう。
能力評価
「能力評価」とは被評価者の「企画力」「実行力」「改善力」の能力を評価するものです。評価期間内に能力をどれだけ業務に活かせたのかを評価します。
- 【コメント記入例】
- 評価期間中、10回開催された企画会議のうち、5回に渡り有効な企画を立案できた。この企画により全社の売上も向上し、会社に貢献した。
書き方のポイント
能力評価は数値化しにくいため、客観的な評価が難しいです。客観的な評価を行うには固定した評価基準を用いるのではなく、評価期間に対応する基準を事前に設定して共有することが重要です。
情意評価
「情意評価」とは、業務に対する勤務態度や姿勢を評価するものです。具体的には「責任感」「協調性」「積極性」などが情意評価の対象です。情意評価も数値化が難しいため、仕事への取り組み方を注意深く見て、評価しましょう。
- 【コメント記入例】
- 勤怠に関しては問題なく、自ら進んで業務に取り組む姿勢は手本となるところである。業務の進め方も部署内のスタッフに相談して確実に進めているため、評価できる。
書き方のポイント
情意評価を適切に行うには、被評価者と積極的にコミュニケーションを図る必要があります。勤怠だけでなく、業務に対する積極性も情意評価の一つとして重要です。
なお被評価者の仕事ぶりを細かく確認するには、部署内でさまざまな人から話を聞いて公平な視点を取り入れましょう。
人事考課におけるNGコメント
人事考課にふさわしくないコメントは、人事考課の目的を達成できないだけでなく、部下の信頼喪失につながります。人事考課のコメントで避けるべき点について説明します。
人格を否定するコメント
人事考課で評価する対象は「業務」です。「情意項目」のように評価が数値化しにくく評価に主観が入りやすい項目は、コメントの書き方に注意が必要です。被評価者の性格や人柄、身体的特徴などを否定するようなコメントは必ず避けましょう。
他者と比較するコメント
優秀な同期や先輩社員と比較するような内容は、ありがちなNGコメントです。優秀な社員をお手本にしたり、アドバイスを聞くように促したりする内容であれば問題ありません。しかし、他者と比較して貶めるコメントは避けるべきです。
人事考課や人事評価の際には、評価の公平さや透明性が求められます。評価には時間がかかるうえ、心理的負担も大きいでしょう。人事考課の業務効率化や公平性を高めたい方は、ぜひ以下の記事も役立ててください。課題解決のヒントが得られます。
書き方のコツがつかめたら人事評価システムでさらに効率化を
人事考課は実績を数値化して評価するだけでなく、働くモチベーションやキャリアアップに大きく影響します。客観的かつ公平に、そしてシステムでシームレスに完結すれば、毎回の人事考課がよりポジティブなものになるでしょう。