テキストマイニングの形態素解析とは?
テキストデータを単語の出現頻度や傾向で分析するテキストマイニングには、形態素解析という分析技術があります。形態素分析とは、文章を単語や文節で区切ることです。形態素解析は、類似度計算や文書検索に必要で、テキストマイニングの事前処理として利用されます。類似度計算とは、文書と別の文書がどれほど類似しているかを計算することで、文書検索はキーワードから文書を検索することです。
文章のままだと意味が似ているか判断しづらく、単語に区切らなければ成立しません。日本語は英語のように単語同士の間にスペースが挟まれていないため、区切る箇所の判断を機械的に実施するのが困難です。そのため形態素解析は、重要な役割といえるでしょう。
「昨晩カレーを食べました。」という文章を形態素解析すると以下のように区切られます。
昨晩/カレー/を/食べ/ました/。
文章を最小単位で区切って記したものを「分かち書き」と呼びます。形態素解析では分かち書きをした各要素における品詞の特定が必要です。上の例では、「昨晩」は時相名詞、「食べました」は動詞で基本形は「食べる」であると特定されます。
形態素解析の注意点
テキストマイニングには、形態素解析は重要な役割をもちます。そのため、適切な形態素分析の実施が必要なため、注意すべき点の把握が大切です。ここでは、形態素解析の注意点を紹介します。
意味を取り違えることがある
日本語は、曖昧さを含んでいるといえます。同じ意味でも言葉が異なる場合や、同じ言葉でも意味が異なる可能性もあるでしょう。単語の意味を取り違えてしまう代表的なケースは以下のとおりです。
- ■方言や敬語
- 「来る」の尊敬語には「お越しになる」「いらっしゃる」「お見えになる」「来られる」などがあります。すべてが同じ意味だと機械的な判断は困難といえるでしょう。
- ■複数の意味に解釈できる
- 区切る位置によっては別の意味に解釈できる文章が存在します。正しい区切り方ができない可能性もあります。ひらがなで記述されている場合は、意味の判別がさらに困難なため、要注意です。
解析ツールの辞書機能によって分析精度が左右される
形態素解析は辞書の情報をもとに実施されます。ところが、すべての辞書における情報が同じとは限りません。品詞が辞書によって異なる場合もあれば、特定の単語が掲載されていないケースもあります。
地名や商品名などの固有名詞は、とくに注意が必要です。日々新しい言葉が生まれているため、定期的な辞書情報の更新が求められるでしょう。
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形態素解析の流れ
形態素解析は、文章を単語や文節に区切り、単語のグラフ化と単語の並びを探します。ここでは、形態素解析の流れについてくわしく解説します。
1.文章から単語にわける
文章から単語にわける際に、区切る場所が重要です。形態素解析では、辞書(単語帳)を利用して文章を区切ります。例えば、「かれはやくしょにきょうようがある」という文章を区切る場合で確認しましょう。文章の意味を考えずに単語として実施すると、以下のとおりに区切られます。
- ■枯葉/役所/に/今日/用/が/ある
- ■彼/早く/書/に/教養/が/ある
考えられる区切り方をすべて列挙するのが、形態素解析の最初の段階です。
2.候補の単語をグラフ化する
前のステップで区切った単語をグラフ化します。「かれはやくしょにきょうようがある」を区切ってラティス構造にしたものは、以下のとおりです。
要素を枝状に分岐させ、ラティス構造につなぎ、「形態素ラティス」を作成します。
3.最適な単語の並びを探す
ラティス構造から最適な単語の並びを探します。上述したラティス構造を例にすると、考えられる並びの候補は以下の4パターンです。
- ■彼は役所に教養がある
- ■彼早く書に教養がある
- ■彼は役所に今日用がある
- ■彼早く書に今日用がある
最適なものを選びだすために用いられる方法を「最小コスト法」といいます。各候補のコストを計算し、最小なものを最適な並びとします。この場合のコストとは、以下の2つです。
- 【連接コスト】
- 2つの単語のつながりにくさ
- 【生起コスト】
- 1つの単語の出現しにくさ
上記の例では、「早く」と「書」は連接コストが高いといえます。「書」の生起コストも高いといえるでしょう。また、「に」と「教養」は連接コストが高いといえますが、「に」と「今日」「用」ならば低いでしょう。計算した結果、コストが最小な並びとして「彼は役所に今日用がある」が選び出されます。
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形態素解析ができるツール
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形態素解析の活用でマイニングの精度をあげよう
形態素解析とは文章を分かち書きにすることで、テキストマイニングの事前処理として実施されます。形態素解析の注意点は、意味の取り違えや解析ツールの精度に左右される点です。形態素解析の流れは、文章から単語にわけ、単語をグラフ化し、最適な単語の並びを探します。
形態素解析は、形態素解析エンジンやテキストマイニングツールで実施が可能です。ツールにより精度が異なるため、自社で活用しやすい製品を導入しましょう。形態素解析を理解して、テキスト分析に役立ててください。