テキストマイニングとは
テキストマイニングとは、「自然言語処理」と呼ばれる解析手法を用いて、企業にとって有益な情報を抽出することです。自然言語処理では、コンピュータが自然言語(日常生活において使われている言葉)を分析できる言葉に変換します。
テキストマイニングは、文章を単語や助詞などの文節で区切り、解析する手法です。しかし、日本語において文章を区切る手法は、英語のような「スペース」がないため、単語ごとの切り分けが困難といえるでしょう。さらに、同音異義語や表記ゆれなどの特徴があります。
そのためテキストマイニングは、全体像や特徴の把握を目的とした大まかな分析との相性がよいといえるでしょう。また、全体像の場合は単語の出現頻度を、特徴把握の場合は単語の種類の増加数などを解析します。一定の条件下で抽出しているため、分析精度は高くないことに留意してください。
テキストマイニングとデータマイニングの違い
テキストマイニングは、文字列を単語ごとに分解し、有益な情報を抽出します。一方データマイニングは、膨大なデータの中から有益な情報を探す手法の総称であり、統計学や人工知能などの技術を利用する手法です。
テキストマイニングは、SNSや記述式アンケートなどで実施し、顧客の意見やサービスの課題などを把握できます。データマイニングは、売上情報などで実施すると、時間帯ごとの商品が売れる相関関係などの分析が可能です。
テキストマイニングは文字列を対象とし、データマイニングはすべてのデータを対象としています。データマイニングはテキストマイニングよりも対象範囲が広く、テキストマイニングの上位区分といえるでしょう。
データマイニングについてさらに知りたい方は、以下のページをご覧ください。
関連記事
watch_later
2023.07.26
データマイニングとは?基本の考え方から分析手法、仕組みを解説
続きを読む ≫
テキストマイニングの目的
テキストマイニングを実施する目的は、顧客のニーズや課題の把握、ビッグデータの分析で予測をするためなどが挙げられます。テキストマイニングの予測について、詳しく解説します。
顧客のニーズを把握
問い合わせ内容やアンケートをテキストマイニングすると、年齢・意見の種類・性別など多面的な視点で顧客の声を把握できるため、ニーズを明確化できるでしょう。人の目で確認すると、主観の入った分析になる場合もありますが、テキストマイニングにより、数値で分析が可能です。また、商品やサービスの売上が悪い場合も、顧客の意見から原因究明に役立ちます。
業務の課題に対する改善策を発見
社内データも、テキストマイニングの実施は可能です。営業日報や作業報告書、レポートなどをテキストマイニングすれば、抽出したデータはナレッジとして共有できます。業務の課題点の見える化ができ、属人化の解消や営業成績が優秀な従業員のナレッジでスキル標準化などが実現するでしょう。
将来を予測
SNSのコメントは膨大な有益情報を含むため、ビッグデータとして活用できます。例えばコメントを解析し、インフルエンザの流行を予測できれば、マスクの仕入れ量を増加させるなどの準備が可能です。テキストマイニングを活用し、仕入量のコントロールなどの企業運営ができるため、効果的な経営戦略に役立つでしょう。
テキストデータの有効活用には、目的にあったテキストマイニングツールの導入が重要です。以下のボタンより、無料でテキストマイニングツールの資料請求ができるので、ぜひご覧ください。
\ テキストマイニングツール の製品を調べて比較 /
製品をまとめて資料請求!
資料請求フォームはこちら
資料請求した製品の比較表が無料で作成できます
テキストマイニングの活用シーン
テキストマイニングは、コールセンターにおける顧客とオペレーターの対応記録などでも活用されています。コールセンターの対応記録から、よくある問い合わせを分析し、Webサイトで解決できるようにすることで、問い合わせ件数の減少につながるでしょう。さらに、経験が多いオペレーターの対応内容をナレッジとして共有すれば、新人研修にも役立ちます。
また、SNSやWebの書込みにおいてテキストマイニングを実施すると、新規開発や商品改善に活用できます。市場動向や消費者意識など有益な情報を有効活用できるため、効果的な経営戦略につながるでしょう。
テキストマイニングを無料で実施するには
自社の業務における改善を図りたいけれど、効果的な運用ができるか不安な方は、まずは費用をかけないでテキストマイニングを実施するのがおすすめです。エクセルを用いれば、ほぼ費用がかからずテキストマイニングの実施ができます。しかしエクセルでテキストマイニングを実施するには、関数の知識が必要です。また、膨大なデータ量の場合処理できない場合もあるでしょう。
テキストマイニングツールには、無料ブラウザでサービスを提供しているものもあり、簡単に操作できます。また、無料プランのあるテキストマイニングツールや無料トライアルを実施している製品もあるため、本格導入前に試しに操作ができます。
以下のページでは、無料で利用できるテキストマイニングを紹介しているため、ぜひご覧ください。
関連記事
watch_later
2023.08.21
【2023年版】無料のおすすめテキストマイニングツール比較!
続きを読む ≫
テキストマイニングの手法
テキストマイニングには、センチメント・共起・対応・主成分の分析方法があります。分析方法を理解して、目的にあわせた手法を用いるのが大切です。ここでは、分析手法について活用方法とあわせて解説します。
センチメント分析
センチメント分析とは、商品やサービスを利用した際に顧客がどのような感情をもっているのか評価する方法です。テキストマイニングの代表的な手法として知られています。顧客の感情を表す種類は、「肯定的」「否定的」「中立的」の3つで評価するのが基本です。
年代によっては異なる感情を意味する単語もあります。例えば「やばい」は代表的な単語で、若い世代では肯定的な意味をもちますが、年配世代では否定的な意味で利用されるケースが多いといえるでしょう。曖昧な意味をもつ単語などは、対象によっては解釈が異なる場合もあります。
共起分析
共起分析とは、文章中にふたつの単語が同時に使用されている度合いから、商品やサービスなどについて分析する方法です。例えば、化粧品に対して調査する場合「口紅」に対して「潤う」「ガサガサ」などを組みあわせ分析します。「口紅」と同時に出てくる単語の共起率を調査し、商品に対してどのような感想をもっているか読み取れるでしょう。
対応分析
対応分析は、コレスポンデンス分析とも呼ばれる分析手法です。設問をかけあわせて作成する「クロス集計」や、編集・集計前の「ローデータ」を散布図で表現します。アンケートなどはクロス集計を用いることが多くありますが、項目が多岐に渡ると結果の把握が困難です。項目が多岐に渡る際に、散布図にすると項目の関係性が可視化されるため、適切に対象データの比較ができます。対応分析は、企画書やブランドのイメージ分析に活用されることが多い傾向にあるでしょう。
主成分分析
主成分分析とは、多くのデータ項目を少数の項目に置き換える手法のため、ビッグデータなど、膨大なデータを分析する際に活用されます。膨大なデータには、多くのデータ項目が存在するため、分析の妨げとなる場合もあるでしょう。項目数を削減し分析るするため、ビッグデータの分析に最適です。しかし主成分分析は、一部のデータを切り捨てるため、すべての情報を確認できません。切り捨てたデータに重要な情報が含まれる場合もあり、慎重な判断が求められます。
さまざまな分析方法を用いてテキストマイニングを実施するには、ツールがおすすめです。以下のページでは、テキストマイニングツールの特徴を比較しているので、ぜひご覧ください。
関連記事
テキストマイニングのやり方
効果的なテキストマイニングのやり方は、データ集めから前処理、構造化データへの変換をして分析します。効果的なテキストマイニングは、最適な手順で実施するのが大切です。ここでは、テキストマイニングのやり方について解説します。
1.データを集める
まず、テキストマイニングにおいて分析したい対象データを収集します。SNSやWebページなどの情報を使用する場合は、APIを取得しましょう。電子メールやアンケート、問い合わせ履歴など、テキストマイニングの目的を明確にしデータを選定します。
2.収集したデータの前処理
収集したデータの前処理を実施し、適切な分析ができるようにします。英語のようなスペースがない日本語は、テキストマイニングが困難です。品詞で分解し、単語の修正や不要な文字の削除などを実施しましょう。前処理が適切ではないと、効果的な分析ができません。無料のツールなどを利用する際は、精度に左右されるため注意が求められます。
3.非構造化データから構造化データへ変換
構造化データとは、列と行という構造をもつデータのことで、それ以外のデータは非構造化データと呼びます。企業がもつテキストデータは、大半を「非構造化データ」が占めているといわれており、そのままだと分析の実行が困難です。分析・可視化するために、非構造化データを構造化データに変換する必要があります。
4.分析
データを分析し、グラフやカラム・チャートなどダッシュボードで可視化します。テキストマイニングの目的にあった方法を選択し、結果や考察を把握しやすい形で作成しましょう。頻度や相関値、トレンドや時系列などさまざまなポイントで分析できます。
おすすめテキストマイニング3選
適切なデータ収集や前処理、構造化データへの変換をして目的にあった分析を実施するには、テキストマイニングツールの導入がおすすめです。ここでは、ITトレンドがおすすめするテキストマイニングツールを紹介します。
見える化エンジン
株式会社プラスアルファ・コンサルティング 東証プライム上場
《見える化エンジン》のPOINT
- 顧客接点情報を社内に還流させるプラットフォーム
- コールログ、アンケート、SNS、ネットリサーチまで幅広く分析
- CX向上施策への示唆を導出する直感的なアウトプット
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「見える化エンジン」は、10年連続国内シェアNo.1のテキストマイニングツールです。専門知識がなくても簡単に操作できるシンプルなデザインで、分析結果から新しい発見をしやすいといえるでしょう。ビッグデータ化した顧客の声をプラットフォームに集約し見える化できます。作成したアウトプットを社内で共有しやすい仕組みのため、さまざまな部署で活用できます。
提供形態 |
SaaS / オンプレミス |
参考価格 |
初期費用60万円~ 月額費用15万円~ |
ポイント |
業種・業態を問わない豊富な導入実績から、顧客体験をフィードバックされた機能搭載 |
業種 |
通信サービス |
従業員規模 |
750名以上 1,000名未満 |
見える化エンジンのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
今では、担当者の目検で集計作業(24時間)を行っていましたが、導入してから短時間(2時間)で集計作業を行うことができ、レポート作成も簡単に作成することができ、関係者へ短時間に情報を共有することができるようになりました。
|
業種 |
コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
見える化エンジンの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
特にないが強いて言えば、統計初心者には単語の抽出ルールを理解させるのが難しいと思うので、その辺りのマニュアルなどを具体例を持って作成いただけるとよいかも。
|
《Magic Insight for WEX》のPOINT
- 5GB・10万円で最先端のテキストマイニング環境が使える!
- Wotson Explorerに最適なクラウド環境をご提供!
- セキュリティ環境や各オプションなど安全な運用環境をご提供!
「Magic Insight for WEX」は、株式会社イーネットソリューションズが提供する月額サービスで利用できるテキストマイニングです。メール・文書・画像・動画・音声などあらゆる非構造化データをあつかうプラットフォームです。企業の膨大なデータをAIが理解・推論・学習するため、より確実な仮説を立てられます。テキストマイニング機能を試せるデモも実施しています。
提供形態 |
クラウド / SaaS / ASP / パッケージソフト / サービス |
参考価格 |
【高機能テキストマイニングACサービス】月額100,000円~【統合型検索エンジン FCサービス】月額230,000円 |
ポイント |
文書中からよく利用される言葉を分析し、分類機能をもつ高機能な統合検索エンジンFCサービス |
業種 |
通信サービス |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
Magic Insight for WEXのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
個々のデータにおいて各分類をキーワードで分析できるので、要因分析が詳細にできる。
又特定のデータを時系列、相関関係の分析ができるため傾向ををつかむことができる。
|
業種 |
通信サービス |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
Magic Insight for WEXの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
EXCELデータを読み込むことが多いが、できれば読み込みに適したフォーマットやテンプレがあるとより正確な分析等が可能になると思う。
|
《Text Mining Studio》のPOINT
- No.1テキストマイニングツール(2017年度資料請求数@ITトレンド)
- 特許文章,SNS,コールセンターなどあらゆるテキストデータに適用
- 基本操作はマウスのみ。専門的な知識不要の簡単ツール。
株式会社NTTデータ数理システムが提供する「Text Mining Studio」は、あらゆるテキストデータに対応しているテキストマイニングツールです。製造(特許情報・論文など)・流通・金融・通信などあらゆる分野で活用されています。データマイニングと組み合わせると、必要なデータの前処理から、予測や処理など高度な分析まで可能です。操作性がよく、専門知識のない方でも利用しやすい仕様です。
提供形態 |
パッケージソフト |
参考価格 |
2,300,000円 |
ポイント |
データマイニングツールのVisual Mining Studio (VMS)と組み合わせ行動な分析が可能 |
Text Mining Studioのいい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
|
csvファイルを取り込み、簡単な操作で多量なコメントを色々な分析メニューを使って多角的な視点で分析できる。生成されるレポート内のグラフを加工する必要なく、そのまま報告書に貼れる。
|
業種 |
素材 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
Text Mining Studioの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
作業上の不明点があるときにソフト付属のマニュアルを見てもわかりにくく、独力では解決が困難なところです。ソフトの機能は豊富だが、マニュアルの説明が不足しているように感じています。チャットボットのような機能があれば便利だなと思います。
|
最新の人気製品を知りたい方は、以下のボタンよりテキストマイニングツールの資料請求ランキングをご覧ください。
テキストマイニングの活用ポイント
テキストマイニングを適切に実施しないと、分析結果から効果を得られないなど有効活用ができません。テキストマイニングでは、PDCAを回し、分析精度をあげる必要があります。ここでは、テキストマイニングで効果を実感する目に注意すべきポイントを紹介します。
分析結果をもとにPDCAを回す
テキストマイニングを有効活用するためには、明確な目的が大切です。「データ活用したい」「何か有益な情報を得られるかも」など、漠然とした希望で目的が曖昧だと、データを活用できません。まずテキストマイニングによってどのような課題を解決したいのか、目的の明確化をしましょう。
目的をもち、分析して解決方法が導き出されたら、効果を検証します。期待する効果や変化が得られない場合は、あらためて解決方法を見直しましょう。繰り返しPDCAサイクルを回すことで、目標達成に近づきます。
テキストマイニングによって得た結果を経営に活かすには、結果を共有して組織で解決に臨む姿勢が大切です。
精度を高めるために辞書を作成する
単語や文節ごとに区切ってマイニングするため、テキストマイニングでは単語判定が重要です。複数の読み方や意味をもつ漢字は、辞書に情報を集約することでテキストマイニングの精度をあげられます。また動詞1つに対して、現在形や過去形、未来形などを辞書に登録する必要があります。
さらに、言葉や商品、サービスなど情報が次々と誕生するため、登録して辞書を更新する必要があるでしょう。常に最新の情報が記載された辞書を利用すれば、分析精度が向上しテキストマイニングの最適化が図れます。
テキストマイニングを有効活用して業務改善をしよう
テキストマイニングとは、文字列から有益な情報を抽出するデータマイニングの1種です。アンケート集計やコールセンターの対応ログなど社内外のさまざまな場面において活用されています。顧客ニーズや課題点の発見、将来の予測などを目的として実施している企業が多い傾向にあるでしょう。
テキストマイニングは、データ収集し前処理を実施し、構造化データへ変換し分析します。主な分析手法は、センチメント・共起・対応・主成分分析などがあり、目的にあう方法を採用するのがおすすめです。PDCAを回し、辞書の更新で効果的なテキストマイニングにつながります。テキストマイニングを有効活用し、さまざまな業務に活用しましょう。