テキストマイニングとは?
テキストマイニングとは、自由に書かれた大量のテキストデータを分析する手法のことです。テキストをフレーズや単語に分解(形態素解析)して、どのようなフレーズや単語が、どれくらい出現して、それらの相関関係(共起ネットワーク)や時系列での変化がどのようになっているかを分析します。
テキストマイニングの必要性
例えば、コンタクトセンターなどに蓄積された対応記録であれば、そこには顧客の不満や潜在的ニーズが埋もれています。テキストマイニングによって「顧客の声」を抽出して、顧客インサイト(顧客の深層心理・ホンネ)を発見することができます。そして、その分析から新しい価値の創出をもたらしてくれます。
しかし、通常の文章として書かれた大量のテキストは、定量化や数値化が難しく分析する人間にとっては困難を極めます。そのため、せっかく多くのテキストデータが蓄積されていても、貴重なマーケティング情報はそのまま放置されているのが一般的です。
顧客主導のマーケティングが重要に
モノ不足の時代はメーカー主導のマーケティングが主導でしたが、現代は顧客主導のマーケティングを展開しないと生き残れない時代です。顧客の声が蓄積されているテキストデータ分析の重要性が高まっています。
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テキストマイニングの機能
では、テキストマイニングはどのような機能でテキストを分析しているのでしょうか。簡単にその機能を説明します。テキストマイニングには「形態素解析」「構文解析」などの自然言語処理のための基本機能に加え、「センチメント分析」や「クラスター分析」などの分析機能があります。

1:形態素解析
「形態素解析」では、文章を単語単位に分割し、その品詞を特定します。英語の場合は、もともと単語ごとにスペースで区切られているため、この分割処理は簡単にできますが、日本語の場合は高度な処理を必要としています。
2:構文解析
「構文解析」では、単語の品詞を利用して単語同士の修飾と被修飾の関係(係り受け)を抽出します。これによって「この製品のデザインと機能は良いけど価格は気に入らない」というように一つの文章に相反した評価が書かれていても「デザインと機能」は高評価、「価格」は低評価と自動的に判別してくれます。
3:センチメント分析
「センチメント分析」とは、製品などに関する顧客の感情を分析することです。ポジティブ、中立、ネガティブの3んパターに分けるので「ネガポジ判定」とも呼ばれており、テキストに含まれる単語を高評価から低評価までランキング化して、どの程度の評価かを知ることができます。
例えば、「この製品はやばい」「この製品イケてる」のような曖昧な表現に対して適切に高評価、低評価、どちらでもないと判断します。「この製品やばい」という場合、高齢者は否定的に使うなど辞書登録を行えば、年齢に応じで製品に対する評価を自動的に判断します。
4:その他の分析手法
この他にもテキストマイニングには、クラスター分析や主成分分析などの分析機能を搭載している製品があります。年齢や性別などのデータがあれば、どんな属性の人がどんな意見を持っているか、意見や属性が近いグループに自動的に分類してくれるなど、大量のテキストデータの中から色々なものが見えてくるように分析をしてくれます。
こうして、テキストマイニングで得られたデータは、製品企画やブランドイメージの向上など、いろいろなマーケティング活動に活かすことが可能となります。
テキストマイニングの活用シーン
具体的に企業のどのような場面でテキストマイニングは活用しているのか、その事例を紹介します。
活用事例1:「顧客の声」の分析
ここまで紹介してきた「顧客の声」は、もっとも有用なデータの一つでしょう。なぜなら、全てのビジネスプロセスで活用できるからです。
企業は顧客の満足に応えるために製品やサービスを提供しているので「顧客の声」はすべての企業活動に有益な情報です。具体的な利用シーンは、製品開発、品質向上、解約防止、満足度向上などに分析結果が寄与できます。
アンケートで集計した顧客の声を集計することができます。特に、手作業やエクセルでの集計になりがちな「自由記入欄」の要望やその傾向も簡単につかめるでしょう。さらに近年では、音声認識技術の向上によって、コールセンターやカスタマーサポートの顧客の要望を分析することも可能になってきています。
活用事例2:暗黙知の形式知化
社内には「顧客の声」以外にも多くの有益な情報を含むテキストデータが多く存在します。毎日の営業日報や作業報告書などのデータから、テキストマイニングよって業務上のナレッジを抽出することができます。属人的で暗黙知になっているノウハウを形式知化して、社内に共有することを可能にします。
例えば、成績の良い営業がどのようなトークを行っているのかを分析することで、どんなキーワードが頻出していて、受け答えはどんな回答が好ましいのかという傾向を共有できるようになります。営業の温度感や内容は企業によっても特色があるので、テキストマイニングツールを使えば社内の実績のある営業トークを参考にできます。
活用事例3:ビッグデータによる将来予測
ツイッターなどのソーシャルメディアに大量に投稿される「つぶやき」は入手可能なテキストデータであり、ビッグデータの1つとして注目されています。
この「つぶやき」はそのままでは、構造化されていない、非常に扱いにくいデータですが、テキストマイニングによって分析することで、株価予測や選挙結果予測、インフルエンザ流行予測などに活用する試みがあります。
株価など不規則に変動するものや商品の需要など、「将来の予測」にテキストマイニングが活用できるのです。ビジネスでは、SNSや口コミサイトの書き込みを時系列で分析することで、商品の売れ行きを予測、仕入れの判断に活用するような取組みもあります。
さらに、AI(人工知能)を活用したテキストマイニングツールも登場してきています。以下の記事では、その適用例についてご紹介しているので参考にしてみてください。
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テキストマイニングツールで情報を掘り起こそう!
機能や活用シーンをご紹介しましたが、テキストマイニングツールは導入の目的を明確に持たないと使われないツールとなってしまいます。導入を検討する際には、なんとなく分析するのではなく「どんな分析・結果をだしたいのか」を明確にしましょう。
この機会にテキストマイニングを導入してみてはいかがでしょうか。人気ツールや選定ポイントが気になる方は以下の記事をご覧ください。
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