社員の離職防止に向けて行われた取り組み事例
社員の離職は企業にとって深刻な問題です。そこで、離職防止に向けて行われた取り組みの事例を紹介します。
1.従業員同士の交流活性化に向けた「ピアボーナス」
ピアボーナスとは、従業員同士で感謝の気持ちを伝えるために報酬を送り合うことです。Peer(同僚)とBonus(報酬)からピアボーナスという言葉が生まれました。
報酬は、企業独自のコインやポイントとして付与されます。業務はもちろん、それ以外の出来事も踏まえて同僚同士で評価し合うことで、コミュニケーションが活性化します。
不動産業を営むある企業は、自社の社員がヘッドハンティングなどにより離れていくことに危機感を抱いていました。企業の成長が早く、変化が激しいことが社員の離職を加速させていたと言います。
そんな中、同社はピアボーナスの存在を知ります。すぐに導入した結果、部署横断的な結束が強くなりました。クロスセルなど、部署間で協力して成果を上げることも増え、企業で一体となって成長できるようになったと言います。
2.労働環境の改善に向けた「ノー残業手当」
残業が多いことも、社員が離職する原因になります。そこで、残業を減らして離職防止に努めた企業の事例を2つ紹介します。
紳士服を扱うある企業は、社員の残業を減らすために、ノー残業手当の支給を始めました。これは、1ヶ月の残業時間が一定以下の社員に対して手当を給付する制度です。
同社は、残業を減らすためには社員1人ひとりの意識が大切だと判断。そこで残業をしなかった社員に手当を付与することで、残業減少に対するモチベーションアップを図りました。
あるIT系の企業は、月の残業が60時間を超えていることに悩んでいました。多い月には月100時間を超過することもあったそうです。
そんな中、社長が急遽「晩御飯を家族そろって食べられるように」と、残業時間削減に対する決意を表明。残業時間が20時間未満の社員には一定額の手当てを給付することにしました。結果として、19時にはオフィスに誰もいない状態になったと言います。
3.仕事のやりがいを高める「キャリアチャレンジ制度」
同じ仕事を続けていると、次第に成長を感じられなくなり、モチベーションが下がることがあります。この問題を解決するために取り入れられているのがキャリアチャレンジ制度です。一定期間同じ部署で働いた社員には、希望に応じてほかの部署への異動が認められます。
たとえば、ある総合リース企業は毎年10月に半期を振り返り、翌年3月に異動を決める制度を整えました。社員は異動する部門と直接面談を行うため、所属部署の上司の意見に振り回されることなく、自らの希望を伝えられます。こうして意欲を行動につなげられる体制が整うことで、自分のキャリアを自分でしっかり考える社風が生まれたと言います。
社員の離職防止に向けた取り組みを成功させるポイント
離職防止に向けた取り組みにはさまざまな活動が考えられます。しかし、「これさえやれば良い」という正解はありません。どのような取り組みが有効かは、企業によって異なるのです。
したがって、離職防止の取り組みを行う際には、まず社員のニーズを把握する必要があります。社員が不満を抱いているのは残業時間や報酬なのか、それとも人間関係ややりがいなのか調査しましょう。日頃のコミュニケーションを通じて探っても良いですし、ストレスチェックを始めとしたアンケートから分析する方法もあります。
また、過去に離職した社員の離職理由を分析するのも有効です。同じ理由で離職した人が多ければ、自社が抱えている問題が浮き彫りになります。
社員の離職防止に向けた取り組みを効果的に行う方法
離職防止に向けた取り組みを支援するITツールに、離職防止・定着率向上ツールと呼ばれるものがあります。たとえば、ストレスチェックなどのアンケートを実施し、その集計結果から社員の離職リスクを分析する機能が備わっています。また、過去に離職した人のデータを分析し、自社における離職原因を明らかにする機能を備えたツールもあります。
したがって、離職防止・定着率向上ツールを使えば、先述したポイントを踏まえて離職防止に向けた取り組みを実施できるということです。すべて人力で実行するのは大変ですが、ITツールの力を借りれば効率的に行えます。
離職防止に向けた取り組み事例を知り、実施を検討!
離職防止に向けて行われた取り組みには、以下の事例があります。
- ■従業員同士の交流を活性化するピアボーナス
- ■労働環境を改善する「ノー残業手当」
- ■仕事のやりがいを高める「キャリアチャレンジ制度」
具体的にどのような取り組みが必要なのかは企業によって異なります。社員のニーズを把握して、適切な取り組みを実施しましょう。