VPNの選び方を解説
VPNは、仮想専用線のことで、VPNを活用すればインターネット上に安全なルートを確保して情報のやりとりが可能になります。しかし、VPNにもさまざまな種類の製品があります。
どのようにして自社に合うVPNを選ぶのがよいのか、ポイントを見ていきましょう。具体的なポイントは以下の7つです。
- ●セキュリティの強度
- ●運用管理、保守・サポート体制
- ●通信速度
- ●SLA(サービス品質保証)
- ●スマートデバイス端末への対応
- ●利用料金・コスト
- ●その他(海外利用・必要な機器)
選定ポイント1.セキュリティの強度
VPNの主な種類として、インターネットVPNとIP-VPNがあります。誰でも利用できるという意味での公衆網を利用するインターネットVPNと、通信事業者が保有する閉域IP網をVPNサービスに利用するIP-VPNでは、安全性に大きな違いがあるといわれます。
特にインターネットVPNと比較した場合、閉域IP網を使用するIP-VPNの方が、よりセキュアな回線です。
どのレベルでの安全性を求めるのか、自社のセキュリティポリシーなどに照らし合わせて、求められるセキュリティレベルをよく検討し、各社のVPN製品を比較しましょう。
選定ポイント2.運用管理、保守・サポート体制
社内のネットワーク担当者の運用負荷も考慮しなければなりません。例えば、社内にVPNルーターを設置するインターネットVPNは、安価な反面、管理するためのスキルが求められます。一方、IP-VPNでは、初期設定さえ終われば、事業者に任せられる部分が大きいでしょう。
また、万が一のトラブルの対応も検討しなければなりません。例えば、障害対応を自社で行うのか、すべて提供業者に任せるのか等検討しましょう。任せる場合には問題の切り分けから対策までワンストップでお願いできるのか、対応が迅速か、故障受付が24時間365日体制か、というところまで細かくチェックするようにしましょう。
他にも、死活監視サービス、オンサイト保守サービス、トラフィックレポート、障害発生通知などはその有無を確認します。またトラブル発生のときの対応が自社にとってどのような内容であれば、もっとも適切かを考慮して比較しましょう。
選定ポイント3.通信速度(帯域保証型/ベストエフォート型)
QoS(Quality of Service=サービス品質の水準、または、優先度の高い通信を途切れさせないようにする技術)がどのように実現できるのか、「帯域保証のメニュー」を確認しましょう。安定した通信速度が確保できて、自社のサービスが止まらない帯域を選ぶ必要がありますが、利用料金に比例する場合も多いでしょう。
一般的に提供される通信回線サービスは、通信速度を保証しない「ベストエフォート型」と、通信速度をある程度保証する「帯域保証(確保)型」に大別されます。また、インターネットVPNとIP-VPNなどサービスの種類によっても異なります。
通信速度と負担できるコストとのバランスを踏まえ、慎重に検討しましょう。
選定ポイント4.SLA(サービス品質保証)
通信回線の品質としては、通信速度が重視されることが多いですが、利用しているWebサービスや多拠点を結んで利用しているシステムの内容によっては、速度以外のサービス品質も非常に重要になってきます。
SLAでは「稼働率」「伝送遅延時間」「故障通知時間」「故障回復時間」など、詳細の回線品質、サービス品質が規定され、保証しています。
どの程度の通信トラブルが許容できるかにより選ぶ回線・サービスが変わるため、各社のSLAを確認、比較して選ぶ必要があります。
選定ポイント5.スマートデバイス端末への対応
VPNがスマートデバイスに対応しているかも確認しておきましょう。
特に多様性のある新しい働き方(働き方改革)が話題となる今、VPNは、生産性を落とすことなく、多様な働き方を実現するための通信インフラとなります。
また自社の取り組みや方針によっては、スマートデバイスへの対応は、重要な確認項目の一つとなります。
選定ポイント6.利用料金・コスト
当然ながら、初期導入費用や毎月の利用料金などのコストは重要なチェックポイントでしょう。しかし、単に安いかどうかを考えると本質を見誤ります。あくまで、VPN導入により自社が何を実現すべきなのか、目的を明確にして、必要な項目を検討した上で費用対効果を考えるべきです。
また、ネットワークは一度導入すると複数年、使い続ける製品です。更新にかかるコストも含め、数年間で費用計算することをおすすめします。また月により利用料などの変動が激しい場合や一時的な利用も検討している場合などは、クラウド型のサービスなども検討対象となることでしょう。
選定ポイント7.その他(海外利用・必要な機器)
その他、海外拠点と繋いで利用したい場合や、導入にあたり必要な機器があるか、を確認しておきましょう。
海外利用の可否
海外拠点間でのVPN接続が必要な場合、対象の国と相互接続が可能かを確認します。特に、中国で利用する人は注意が必要です。なぜなら2017年1月以降の中国での規制変更により、いくつものVPNサービスが使えなくなっているからです。
必要な機器の確認
ルーターなどのネットワーク端末機器を自社で購入するのか、レンタルなのか、その保守をどうするのかもチェックしておくことが大切です。いざVPNを導入したものの、端末機器が足りなくて通信できない…というようなことがないように、注意しましょう。
ITトレンド編集部厳選!VPN製品
さて、選び方が分かったところで、実際にいくつか人気のVPNを見てみましょう。気になるものがあれば、ぜひ問い合わせて見てください。
NGN-VPNセキュアアクセスサービス の比較ポイント
- NGN網活用!高速・広帯域・低遅延のVPN構築が可能
- 盗聴やハッキングの脅威から防護する高いセキュリティ
- クラウドインフラへのダイレクト接続が可能
NECネッツエスアイ株式会社が提供する「NGN-VPNセキュアアクセスサービス」は高速・低遅延の自営型VPNが構築可能なVPN製品です。最大の特長は次世代通信網を利用している点で、これにより従来のインターネットVPNでは実現できなかった通信スピードが実現します。
- ・提供形態:サービス
- ・提供価格:別途お問い合わせ
ビジネスセキュリティ(VSR) の比較ポイント
- 【多機能】多彩なセキュリティ機能の中から自由に選択可能!
- 【簡単】1台の専用機器をレンタルにて提供!
- 【安心】ワンストップのサポート体制を実現
「ビジネスセキュリティ(VSR)」は株式会社 USEN ICT Solutions提供、一台の専用機器を無料レンタルで利用できるVPNです。全11種類のセキュリティ機能から自由に選択できるのが特長。24時間体制のサポートもついており、安心して利用できます。
- ・提供形態:オンプレミス
- ・提供価格:別途お問い合わせ
FortiGate の比較ポイント
- コンパクトなボディに先進のセキュリティ機能を統合
- アプリケーションを識別しきめ細かく制御可能
- 高速でセキュアなVPN通信を実現
「FortiGate」は株式会社ピーエスアイが提供している、豊富な機能と高い性能ながらコストパフォーマンスがよいVPNです。VPNだけでなく、UTMとして複合型攻撃にも対応し、セキュリティ担保できるところが特長です。
- ・提供形態:ハードウェア / アプライアンス
- ・提供価格:別途お問い合わせ、ユーザー数無制限ライセンス
日本通信ネットワーク株式会社のVPN の比較ポイント
- コストを抑えながら、品質も担保
- お客様企業のICT環境業務を丸ごとサポート
- 複数キャリアからコスト・品質が最適なものをセットで構築・運用
日本通信ネットワーク株式会社が提供する「VPN」は、ワンストップサポートが特長のVPNです。それぞれの現場にあわせたVPN環境の構築が可能なため、自社に最適な導入のサポートをしてくれるのが特長です。100名以上の企業が対象です。
- ・提供形態:サービス
- ・提供価格:別途お問い合わせ
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