登壇者プロフィール
日本マイクロソフト株式会社
モダンワークプレイスGTM本部 マネージャー
加藤 友哉氏
立教大学観光学部卒業。マイクロソフト入社後、パートナー/アライアンスビジネスの戦略立案部門を経て、現在はAI製品として注目を集める Copilot 及び Microsoft 365 のプロダクトマーケティングを担当。2024年よりアジア部門へ移りアジア6地域向けのグローバル市場戦略も兼務。
その傍らダンサー活動やメディア発信など複数の副業をこなし、自ら多様なワークスタイルを実践。新たな角度から日本社会の働き方改革実現に取り組むZ世代のソートリーダー。
参考:日本マイクロソフト株式会社 会社概要
はじめに
皆さま、こんにちは。日本マイクロソフトでCopilotの製品マーケティングを担当しております加藤友哉と申します。本日は「AI時代の新常識 - Microsoft 365 Copilot で実現する新しい働き方」と題しまして、製品の最新情報やMicrosoft社内での活用事例などについてご紹介させていただきます。
Work Trend Index 2024 レポートからの学び
本題に入る前に、Work Trend Indexという調査をご紹介させていただきたいと思います。これはMicrosoftが31カ国、3万1千人を対象に行ったレポートで、本年度はLinkedInと共同でのリサーチとなっております。Microsoft 365を通した働き方のデータに加えて、労働環境の市場データも含む包括的なデータとなっております。
Work Trend Index2024から示された3つの学びをご紹介します。
- ●従業員は職場でAIを使いたいと強く考えており、データを安全に使うための対策が企業に求められている。
- ●AIパワーユーザー(AIを使いこなすスキルを持ち、日々の業務で多くAIを使うヘビーユーザー)の働き方が、我々の今後の仕事環境を大きく変えていくと示されている。
- ●AIは我々のキャリア設計における可能性を広げ、さまざまなキャリアの選択肢を示してくれる。
参考:Work Trend Index: Microsoft’s latest research on the ways we work.
AIの職場での浸透
調査によると、すでに職場でAIを活用している社員の割合は75%に達しています。ただし、日本に関しては約32%と他国に比べてまだ低い数値にとどまっています。また、AIを使い始めて6ヶ月未満という回答が46%を占めており、この直近半年でAIのモメンタムが職場環境に急速に広がっていることがわかります。
BYOAIの台頭
一つ新しい言葉を持ち帰っていただきたいと思います。それは「BYOAI」(Bring Your Own AI)です。かつて「BYOD」(Bring Your Own Device)という言葉が普及しましたが、今後は自分自身のAIを職場環境で活用していく新しい働き方が普及していくと考えられます。実際、すでに78%のユーザーがBYOAIを実践しているというデータもあります。
興味深いのは、AIの利用が若い世代に限らず、全世代に渡っているという点です。Z世代(10代から20代)、ミレニアルズ(20代後半から40代)、X世代(40代中盤から60代)、そしてブーマー世代(58歳以上)のすべての世代において、組織内でAIが使われています。
現在の仕事環境の課題
一方で、現在の仕事環境には課題も多くあります。約68%の働き手が仕事のペースや量に圧倒されており、46%の方々が燃え尽き感を感じているというリスクのある結果が出ています。また、働く時間の60%をメールやチャット、ミーティングに費やしており、資料作成などのクリエイティブな業務に費やす時間は40%にとどまっています。
AIの導入に関するビジネスリーダーの見解
このような状況を打破すべく、ビジネスリーダーたちは以下のように考えています。
- ●79%のリーダーがビジネスの競争力を維持するためには、AIの導入が必須だと考えている。
- ●一方で、60%以上のリーダーが組織においてAIの導入やビジョン、計画が欠けていると感じている。
- ●約60%のリーダーがAI導入による効果の定量化に悩んでいる。
AIパワーユーザーの台頭
このような状況の中、AIを使いこなす「AIパワーユーザー」が登場しています。彼らはAIを活用することで、膨れ上がった仕事量を軽減したり、クリエイティブな業務に時間を使ったり、重要な仕事の優先度を高めたりすることで、モチベーションを維持しながら効率的に働いています。
雇用市場におけるAIの影響
AIによる雇用喪失の懸念がある一方で、実際には多くのリーダーが重要な役割に対して人材を確保できないことを懸念しています。例えば、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、クリエイティブデザインといった職種では、約60%のリーダーが人材の確保に苦慮しています。
LinkedInのデータによると、AIに関するスキルを追加するプロフェッショナルが昨年末の時点で142倍に増加しています。また、非技術系のプロフェッショナルもAIの適性を高めるためのラーニングコースの受講が160%増加しています。
さらに、66%のリーダーはAIスキルのない人を雇わない可能性があると回答しており、これからの労働環境においてAIスキルが必須になりつつあることがわかります。
このようなトレンドを、Microsoftでは「WorkLab」「Work Trend Index」「How to AI Guides」という形でご提供しております。
Microsoft 365におけるCopilotの位置づけ
ここからは、Copilotについてお話しします。Microsoft 365の歩みを振り返ると、2011年のMicrosoft 365提供開始以来、2017年のTeams、2021年のVivaと製品ラインナップを拡張してきました。Copilotに関しては、2023年2月のBing Chat AI機能搭載を皮切りに、3月のMicrosoft 365 Copilot、5月のWindows Copilot、7月の旧Bing Chat Enterprise、そして9月以降のMicrosoft Copilotと、これまでのスピードに比べて加速的に製品への投資とラインナップの拡張を進めています。
Microsoft 365 Copilotの機能
Microsoft 365 Copilotは、主に4つのコンポーネントから成り立っています。
- ●大規模言語モデル
- ●Microsoft Graph(ユーザーデータを統合的に管理するプラットフォーム)
- ●Microsoft 365のアプリケーション
- ●ウェブ上の情報
これらのコンポーネントを組み合わせることで、Copilot機能は皆さんのお仕事をさまざまな側面からサポートします。
Copilotの活用例
Copilotは個人の生産性向上だけでなく、あらゆる角度から私たちのビジネスを変革しています。マーケティング、ファイナンス、HRなど、職種や業界によって活用方法は異なりますが、それぞれの特性に合わせた活用が可能です。
例えば、マーケティングチームではアイデア創出に、カスタマーサービスではチーム連携強化に活用するなど、様々な使い方があります。
Microsoft TeamsでのCopilot活用
TeamsでのCopilot活用例として、プロジェクトに関する会議の内容を要約したり、次のアクションを抽出したりすることができます。これにより、手動で議事録を取る必要がなくなり、自然に会議を進行しながら重要なポイントを押さえることができます。
OutlookでのCopilot活用
Outlookでは、長文のメールの要約や、効率的な返信作成などが可能です。例えば、音声入力で簡単にメールの下書きを作成し、Copilotを使ってフォーマルな文章に整えるといった使い方ができます。
WordでのCopilot活用
Wordでは、資料の要約や質問への回答、マニュアルや企画書のドラフト作成などが可能です。例えば、3万文字の資料を数点にまとめた要約を作成したり、特定のトピックに関する情報を抽出したりすることができます。
PowerPointでのCopilot活用
PowerPointでは、Wordで作成した文書をベースにプレゼンテーションを自動生成することができます。スライドの作成だけでなく、スピーカーノートも自動で作成してくれるため、資料作成の時間を大幅に短縮できます。
Microsoft社内での活用事例
マイクロソフト社内でも、生成AIは新しい試みです。そのため、全社員による活用促進や、社内事例を発掘するための活用コンテストなど、幅広い取り組みを全社員で実施しております。その結果、社内の各部門で様々な活用事例が生まれ始めています。
サポート部門での活用
サポート部門では、従来は長文のメールも含め、全てマニュアル作業でお客様の問い合わせ内容をまとめていました。しかし、Copilotを活用することで、生産性の向上と精神的な負担の軽減に成功しています。
営業部門での活用
営業部門からは、特に海外本社とのお客様との会議において効果を発揮しているという報告があります。これまでは英語のセッションを人力で議事録にまとめるという時間のかかる作業がありましたが、Copilotを活用することで、英語の会議も効率的に議事録やメモを作成できるようになりました。その結果、社員もお客様もビジネスのディスカッションに集中できるようになったという非常に良いフィードバックをいただいております。
グローバルプロジェクトでの活用
ある社員からは、英語があまり得意ではなかったにもかかわらず、グローバルなプロジェクトに参画しなければならないケースがあったという報告がありました。このような場合でも、TeamsでCopilotを活用することで、会議の内容の理解やキャッチアップの質を高めることができたそうです。
このように、自分の得意領域だけでなく、苦手な領域もCopilotでカバーしていくという取り組みが、社内全体に広がっています。Copilotは、社員のスキルや能力を補完し、より効率的で生産性の高い働き方を実現する強力なツールとなっています。
おわりに
Copilotは、私たちの働き方を大きく変える可能性を秘めています。AIの活用は今後のビジネスにおいて不可欠であり、その効果を最大化するためには戦略的な業務適用と社員のマインドセット改革が重要です。
MicrosoftはAI製品とMicrosoft 365製品を通じて、皆様のビジネスをサポートしていきたいと考えております。今後ともMicrosoftにご期待いただければ幸いです。
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