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【2026年版】eKYCとは?仕組み・法改正(2027年4月)・メリットを簡単に紹介

2026年10月16日 最終更新

【2026年版】eKYCとは?仕組み・法改正(2027年4月)・メリットを簡単に紹介

オンライン上でさまざまな契約や取引が進められるようになった今、注目されるのが「eKYC」です。導入企業が増えているものの、「具体的な内容がわからない」と感じている方もまだまだ多いのではないでしょうか。

この記事では、eKYCの概要や特徴、導入が進む背景などについて、わかりやすく解説します。導入メリットや活用シーンも参考にしてみてください。

なお、2027年4月1日には、本人確認書類の画像と顔の画像で確認する「ホ方式」が廃止されます。法改正のポイントも解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    eKYCとは

    eKYCとは、「electronic Know Your Customer」を省略した言葉です。日本語では「電子本人確認」と訳されます。そのほかにも、「デジタル認証」「オンライン本人確認」などと表現されるケースもあります。

    なんらかの契約を結んだり、個人情報をともなうサービスを利用したりする場合に、求められるのが本人確認(KYC)です。例えば、銀行口座の開設やクレジットカードの契約などがあげられます。

    従来、主な手段として「対面」や「郵送」で遂行されてきました。この「KYC」をベースに「electronic(電子的な)」要素を加え、オンライン上で本人確認を完結できるようにしたのがeKYCです。

    eKYCの歴史

    もともとKYCは、金融業界においてマネーロンダリングやテロ資金流用、贈収賄防止対策として行われてきました。

    インターネットの発達とともに、徐々に非対面でできる方法の需要が増加してきました。対面で確認可能な範囲は限られており、郵送でのやりとりには時間がかかってしまうためです。KYCは、各種手続きの完全オンライン化を阻むボトルネックでもありました。

    こうした状況を受け、2018年11月30日に犯罪収益移転防止法の施行規則が改正されました。オンラインで完結する本人確認の方法が追加され、手もとのスマートフォンから自分の顔や身分証明書を撮影して送ることで、本人確認ができるようになりました。オンライン上での各種申込み・手続きの利便性が大幅に向上したのです。

    参考:「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の公表について|金融庁

    eKYC導入が進む背景

    eKYCの適用範囲が拡大され、現在ではさまざまな業種で活用されています。

    本人確認(取引時確認)が法令で義務付けられている主な事業者は、以下のとおりです。

    • ●銀行などの金融機関、保険会社、金融商品取引業者(証券会社)、暗号資産交換業者など(犯罪収益移転防止法の「特定事業者」)
    • ●携帯電話事業者(携帯電話不正利用防止法)

    金融機関などにとって、「手続きの完全オンライン化の実現」のメリットは非常に大きいものでした。適用範囲の拡大とともに、導入する企業が相次ぎました。

    また、2020年4月1日には、郵送による本人確認の方法も見直されました。オンラインで完結するeKYCの利便性が、あらためて注目されています。

    参考:犯罪による収益の移転防止に関する法律|e-Gov 法令検索

    参考:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律|e-Gov 法令検索

    eKYCによる本人確認の種類とは

    犯罪収益移転防止法の施行規則では、個人顧客がオンラインで行う本人確認の方法として、主に次のものが定められています。

    • ●ホ方式:「写真付き本人確認書類の画像」+「顔の画像」を、事業者が提供するソフトウェアで撮影して送る方法
    • ●ヘ方式:「写真付き本人確認書類のICチップ情報」+「顔の画像」を送る方法
    • ●ト方式:「本人確認書類の画像またはICチップ情報」に加えて、「他の事業者による確認済みであることの確認」か「顧客名義口座への振込み」を使う方法
    • ●カ方式:マイナンバーカードに記録された「公的個人認証サービスの署名用電子証明書」を使う方法

    これまで主流だったのは、ホ方式(「写真付き本人確認書類の画像」+「顔の画像」)です。運転免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類の画像とスマートフォンがあれば、手続きを完了できます。特別な機器を必要とせず、多くのユーザーにとって利便性が高い方法でした。ただし、後述のとおり、ホ方式は2027年4月1日に廃止されます。

    参考:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則|e-Gov 法令検索

    eKYCの仕組み(本人確認の流れ)

    eKYCは、事業者が提供するソフトウェア(アプリなど)を使って進めます。方式によって、利用者が行うことが違います。

    • ●ホ方式:本人確認書類と自分の顔をそのソフトウェアで撮影して送信します。事業者は、書類の記載内容や写真と、顔の画像を確認します。
    • ●ヘ方式:ICチップ付きの本人確認書類のICチップ情報を読み取って送信し、あわせて自分の顔を撮影して送信します。
    • ●カ方式:マイナンバーカードに記録された署名用電子証明書と電子署名にもとづく情報を送信します。

    2027年4月1日に廃止される方式

    2025年6月24日に、犯罪収益移転防止法の施行規則を改正する命令が公布されました。これにより、2027年4月1日から、ホ方式(本人確認書類の画像と顔の画像を送る方法)が廃止されます。あわせて、本人確認書類の写しの送付を受ける方法の一部(リ方式)も廃止されます。ホ方式は偽造や変造によるなりすましのリスクが高く、リ方式もリスクが低いとはいえないと判断されたためです。

    一方で、ICチップ情報を使う方法と、マイナンバーカードの公的個人認証を使う方法は残ります。eKYCそのものがなくなるわけではありません。ホ方式で本人確認を行っている事業者は、2027年4月1日までに、ほかの方式に切り替える準備が必要です。

    参考:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案に対する意見の募集結果について|e-Govパブリック・コメント

    eKYCを導入するメリット

    eKYC導入によって得られるメリットは、以下のとおりです。「費用対効果に見合っているか」「自社の課題解決につながるか」といった点を見極めるためにも、ぜひチェックしてみてください。

    工数削減により業務効率化ができる

    eKYCを導入すれば、本人確認にまつわる業務のすべてをオンライン上で完結できます。必要な情報をデータとしてやりとりするため、以下の業務の削減につながるでしょう。

    • ●必要書類の印刷や準備
    • ●発送
    • ●返送書類の確認
    • ●データ入力
    • ●書類の保管 など

    本人確認完了までに必要な作業が少なくなれば、業務効率化につながります。手続き全体のスピードもアップするでしょう。

    また工数が削減されれば、その分の紙や印刷、郵送料金などのコスト削減も可能です。工数削減にともない、より少ない人員で対応するようになれば、人件費も削減されます。

    顧客の途中離脱を予防できる

    さまざまなサービス・商品がオンライン上で提供される昨今、「利便性」に注目し利用先を決定するユーザーは少なくありません。

    「本人確認に1週間~10日ほどかかる」とわかれば、途中離脱が増える可能性もあります。申込み時にすぐ本人確認を完了できる体制を整えることで、顧客獲得数アップにつなげやすくなります。

    またサービス・商品を比較する際、「利用の流れ」に注目する消費者も多いでしょう。

    • ●eKYCにより即日利用可能なサービス
    • ●本人確認のため、利用開始が数週間後になるサービス

    これら2つのサービスがあれば、前者に惹かれるのは当然のこと。他社との差別化を目的に、eKYC導入を決める事業者も多いようです。

    不正利用防止につながる

    本人確認が必要な事業者にとって、不正利用をどう予防するのかは悩ましいポイントです。このような場面でも、eKYCが役立つでしょう。

    郵送でのKYCで多く報告されていたのが、なりすましによる不正利用です。本人確認書類を入手しても、本当にそれが本人のものかどうかを判断するのは難しいといえます。eKYCを導入すれば、本人確認書類と同時に容貌も確認できます。

    第三者が本人確認書類を不正入手し、別人になりすまして申込み手続きを完了させるのは難しいでしょう。トラブル予防効果とともに、企業としての信頼性アップにもつながります。

    eKYC導入の注意点

    eKYCの導入では、次の点に注意が必要です。

    • ●導入や運用に費用がかかります。システムの利用料のほか、運用の体制づくりも必要です。
    • ●利用者の端末や撮影環境によっては、うまく読み取れず、問い合わせ対応が増えることがあります。
    • ●方式によって、利用者に必要なもの(ICチップ付きの本人確認書類、対応するスマートフォンなど)が違います。自社の利用者に合う方式を選ぶことが大切です。
    • ●現在ホ方式を使っている場合は、2027年4月1日の廃止に向けて、ICチップを使う方式などへの切り替えの準備が必要です。

    eKYCの利用シーン

    eKYCの活用により、多くのメリットを得られる業界は決して少なくありません。具体的な利用シーンを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

    オンラインでの口座開設

    ネットバンクやネット証券の口座開設は、インターネット上で手続きを進めていくのが一般的です。もちろん、本人確認は必須です。eKYCを利用すれば、申込みから取引開始まで、最短即日で対応できます。顧客は必要なタイミングで口座を開設でき、銀行側もより多くの顧客を獲得できるメリットがあります。

    クレジットカードの即日発行

    クレジットカードを新規発行する際にも、本人確認は必須です。従来は「窓口まで直接出向く」もしくは「転送不要郵便を利用する」といった方法で本人確認が行われていました。eKYCを導入する企業が増えるとともに、状況は大きく変化しています。

    オンラインで新規発行申込みをした場合、eKYCを使用すれば別途本人確認の必要はありません。クレジットカードが手元に届くまでに一定の時間はかかりますが、手続きの手間は軽減されるでしょう。

    最近では、デジタルクレジットカード発行により、即日利用を可能とする業者も増加しています。「今日すぐにクレジットカードを利用したい」というユーザーニーズにも応えやすくなるでしょう。

    各種サービスの不正利用防止

    eKYCを導入すれば、オンライン上での本人確認が容易になります。法律で本人確認が義務付けられている業界以外でも、不正利用を防止しやすくなるでしょう。以下のようなサービスでは、導入メリットは特に多いと考えられます。

    • ●チケット購入
    • ●SNS利用登録
    • ●フリマアプリの利用
    • ●シェアリングサービスの利用

    不正利用やなりすましが、深刻なトラブルにつながりやすい業界は決して少なくありません。eKYC導入によってサービスそのものへの信頼性が高まれば、優良顧客獲得にもつなげられるでしょう。

    まとめ

    eKYCとは、オンライン上で本人確認手続きを完了できる画期的なサービスです。すでに多くの業種で導入されており、そのニーズは今後も高まっていくと予想されます。2027年4月1日にはホ方式が廃止され、ICチップやマイナンバーカードを使う方法が中心になる見込みです。法律で義務付けられている場合はもちろん、それ以外でも信頼性アップのために検討してみてはいかがでしょうか。

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