ゲストプロフィール
株式会社UPDATA
代表取締役CEO
岡村 雅信氏
公認会計士を目指し大学へ進学するも、インターネットとアフィリエイトにドハマりする。さまざまなコミュニティに出入りする中で創業メンバーと出会いUPDATAへ参画。デザイナー、ディレクターを経験した後に受託事業責任者に就任。
その後不動産テック事業の立ち上げを行い、事業責任者に就任、複数の不動産テックSaaSを立ち上げる。2014年に取締役就任、2019年に代表取締役CEOに就任。
2021年からは新規事業であるDataMageの事業責任者も兼任し、誰でもデータを簡単に扱える世界を目指して奮闘している。顧客体験やUXへのこだわりが強く、必ず自分でサービスを使い、顧客ヒアリングも行う。
テクノロジーへの関心も強く、ビジネスユーザーとしてはトップレベルの知識を有しており、国内だけでなく海外の情報なども収集しTwitterで日々発信している。
岡村さんが紹介する3つのツールはこちら
はじめに
ーー御社の事業について教えてください。
弊社は2007年に創業して以来、不動産会社向けSaaSの提供を主事業として展開してきました。2021年からは新規事業の開発に着手しています。目をつけたのは、今後、確実にニーズが増え、市場が広がっていくであろうデータマネジメントの領域です。継続している従来の不動産向けSaaSと、新たに開発したデータ活用SaaSである「DataMage」、この2つの異なる事業を現在は展開しています。
ーー岡村さんのミッションについて教えてください。
既存の不動産会社向け事業については別に責任者がいるので、その責任者に多くの部分を任せながら、新しい営業チャネルをつくることなどには私も参加しています。
DataMageは、私自身がプロダクトオーナーを務めているので、要件定義やエンジニアとのQA、営業等々、全体を管轄していますね。コードを書く以外のことは全てやっているようなイメージです。
DataMageの提供を通じて世の中の人全員がデータを操れるようにしたい、というのが私のミッションです。日本だと、データはエンジニアやサイエンティストが触るものであって、一般の人にはあまり関係がないと思われがちですが、それは結構危ういことだと個人的には思っています。
端的に言えば、データを操れるということは、PCを操作できるということと同じレベル感だと思うんです。PCを操作できるのは専門家だけ、という認識でいたら仕事がなくなるのと同じように、これからはデータをちゃんと活用できることが当たり前になってくる。DataMageを通じて、誰でも簡単にデータを操れるようにしていきたいなと思っています。
1Password
弊社ではパスワード管理ツールとして1Passwordを活用しています。ブラウザの機能で「このパスワードを記憶しますか」というメッセージが出るものがありますが、会社としてそれを使うのはリスクが高いので、4~5年前に導入しました。
弊社はISMSも取得していますし、パスワード管理はネックとなる部分でもあるので強化するために活用しています。有料のビジネスプランを導入しており、メンバーは誰でも使えるようにしてありますね。
SaaSなどのログインが必要なサービスで使っていて、個人用のアカウントが発行されている場合は、その個人しか見られない「パーソナル」というところにパスワードが保管されていますし、チームで使う共有のものは「シェア」というところで管理ができています。
ーー1Passwordのメリットについて教えてください。
一番のメリットは、セキュリティが極めて強固だということ。パスワード管理画面に入るためのマスターパスワードを忘れてしまうと、本人でさえ開けなくなるんです。普通は「パスワードをお忘れですか?」という案内が出てきて、再発行の手続きができますが、1Passwordにはそれがありません。自分の別のデバイスから試したり、チームのアカウントで復旧したりなどいくつか方法はあるようですが、もしできない場合は本当に凍結されてしまう(笑)。それくらいセキュリティがしっかりしているということです。
それに、いろいろと便利な機能があって使いやすいですね。ブラウザのエクステンション(拡張機能)として使えたり、iPhoneにアプリとして入れておくこともできます。また、パスワードの自動生成機能も便利です。新しいアカウントを登録するときって、過去に使ってきたパスワードを登録してしまいがちですが、やはりセキュリティ的にはよろしくない。その点、1Passwordは自動的にパスワードをつくってくれて、同時に記憶もされるので、一連の流れの中でセキュリティを強くできるのは良いところだと思います。
- Q.どんなときに使っているか
- 日々の業務の中で、ログインを伴うサービスを利用する際に必ず使っています。
- Q.気に入っている機能
- 1つは、パスワードの自動生成。つい適当なパスワードを登録してしまうことを防いでくれますし、かつ記憶もしてくれるところは気に入っています。もう1つは、指紋認証です。対応したデバイスが必要ですが、パスワードの再入力を求められたときに指紋認証で一発でロックが解除されるのはすごく使いやすいです。
- Q.おすすめの企業
- セキュリティを強化するためのツールは、どの企業でも入れるべきだとは思います。特にスタートアップなどは、ひとまず安いコストでセキュリティを強固にできるという意味でおすすめですね。
1Passwordの公式ページはこちら
https://1password.com/jp/
Gather
Gatherはバーチャルオフィスツールで、2022年の4月から導入しています。弊社は、フルコミットのメンバーもいますが、複業で働いている人のほうが多く、リモートワークが中心です。各メンバー、稼働している間はGatherに常にログインしてもらって活用しています。会議用の部屋もいくつか設けてあり、社内のミーティングは全てGatherの中で行っていますね。社外とのミーティングの場合は、Zoomなどを使うようにしています。
ーーGatherのどんなところが魅力ですか?
やっぱり、話しかけやすいところですね。実際のオフィスでは普通にできる「話しかける」という行為が、リモートではなかなかできませんし、ちょっとしたことでもSlackでやり取りしないと前に進まなかったりする。それがGatherでは、アバターを近づかせることで気軽に声をかけられるのはすごく良いなと思います。
↑実際のUPDATA様のGather画面。中央に岡村さんのアバターも座っています。
もう1つは、デザイン性が弊社とすごく相性が良いと感じています。オフィスのレイアウトやデザインを自分たちでいろいろとカスタマイズできたり、アバターの設定だったり、使っていて「楽しい」という部分も大事な要素です。
弊社の場合だと、忘年会の会場もつくりましたし、屋上にも焚火を囲めるスペースがあります。火のある場所に近づくとパチパチって焚火の音が聞こえてくるなんて、リアルですよね。ほかのバーチャルオフィスツールも試してみましたがGatherのほうが浸透したのは、機能的な差というよりデザインの差かなと思います。
↑リモート忘年会の会場。画面共有で1年の振り返りを報告したり、席を移動して話したりできる
ーーリモートワークが増えたことで、社内コミュニケーションは難しくなっていると感じますか?
難しさは感じますね。特に、テキストコミュニケーションが苦手な人はやりづらくなっていると思います。対面と違って表情やジェスチャーで補うことができない分、何が言いたいのか、うまく伝えられない。そうなるとSlackのスレッドがどんどん伸びていくばかりでお互いにストレスが溜まりますし、その人への評価も下がってしまいます。
そうしたリモートワーク下におけるコミュニケーションの難しさを助けてくれるのが、バーチャルオフィスツールだと思います。「ちょっと話しましょうか」というコミュニケーションができるのは、すごく有効ですよね。
- Q.どんなときに使っているか
- フルコミットメンバーの稼働時には常にログインしています。副業の方も含めた社内でのミーティングもGather内で行っています。
- Q.気に入っている機能
- オフィスのレイアウトやアバターを自由に設定できるところ。用途に合わせて、その都度、新しい部屋をつくっていけるのも良いですね。話しかけにいったときに「ピンポン」を押す機能もあって便利です。
- Q.おすすめの企業
- リモートワーク下で起こりがちなコミュニケーションの問題、雑談が生まれないといった問題に直面している企業におすすめです。スタートアップが好みそうなプロダクトですが、40~50代にも受け入れられやすいデザインだと思いますし、大企業も使えると思います。
Gatherの公式ページはこちら
https://www.gather.town/
DataMage
DataMageは弊社が開発したサービスで、社内に散らばっているデータの集約や可視化、分析等をワンストップで行えるツールです。ノーコードでデータ加工ができるサービスは世界的にも新しいですし、国産のこういったツールはほぼ無いと思います。
企業におけるデータ活用は、分断が生じているケースが非常に多いです。人事、セールス、マーケティング等の部署ごとにデータを持っていたり、場合によっては自社プロダクトを通じて蓄積されたデータもあったりしますよね。
事業責任者がレポートを作成するために各部署からデータ提供を受けようにも、出力の方式等がバラバラで、統合・分析には非常に手間がかかってしまいます。そうした状況を解決できるのがDataMageです。特徴は、あらゆるデータを取り込めること、データ加工がノーコードでできること、またGoogleスプレッドシートをはじめとする使い慣れたツールでアウトプットできることが挙げられます。
例えば、Google AnalyticsのデータをDataMageに取り込むように設定すると、その後は最新データが自動的に入ってくるようになります。さらに、別のデータと組み合わせたい場合、普通であればSQLを使いますが、ノーコードで作業ができます。統合したデータはスプレッドシートやその他のBIツールで出力できる、という流れですね。
ーーより具体的には、どういった場面で活用されていますか?
例えばSaaS系の企業で、自社データベースに入っているデータを取り出すとき、エンジニアにお願いする必要が出てきますよね。でも、依頼する側はエンジニアではないので、どういうデータが欲しいのか、技術的な要件を詰められないことが多々あります。
そうなると、エンジニアは要望を推測しつつデータを出すけど、「何か違うね」と言われてしまう。そういうやり取りが何度も重なるのって、エンジニアとしても全く技術的な成長につながらないですし、すごく不毛です。データを欲している人自身がデータを出せたほうが、絶対に楽なんです。
出てきたデータが自分が求めているものと違うと感じれば、抽出時の計算式を変えたり、すぐに対処もできますし、スピード感がかなり変わってきます。アメリカのように大量のSaaSが企業の中に入っていけばいくほど、DataMageを使うメリットも大きくなり、マネジメントはすごく楽になると思いますよ。
ーー操作自体は簡単なのでしょうか?
めちゃくちゃ簡単ですね。データの加工に関しては、Excelやスプレッドシートをよく使っている人であれば、半日くらいのトレーニングですぐに使えるようになると思いますし、データを出力するのも簡単です。
↑DataMageのデータ加工画面。本来SQLで行うデータの変換もパーツを組み合わせるだけで実現する
DataMageはGoogleのBigQueryというデータウェアハウスサービスを活用していて、要はBigQueryとスプレッドシートがつながった状態になっているわけです。スプレッドシートはデータ数が多くなると動作が重くなるのが難点ですが、DataMageではデータをシートで見られるようにしているだけなので、データ量が多くなっても動作が重くなりません。
また、最新のデータが自動的に加わっていきますし、シートを誰かがいじることで壊れてしまう、ということも起こらないようになっています。
- Q.どんなときに使っているか
- 部署ごとに散らばっているデータを統合して分析・加工したいとき。また、自社DBから、エンジニアを介さずにデータを取り出したいときなどに使っています。
- Q.気に入っている機能
- ノーコードでデータを加工でき、加工したデータをスプレッドシートで見られるところ。スプレッドシートを使っている人は多いので、抵抗感なく導入できるのではないかと思います。
- Q.おすすめの企業
- 専任のデータチームは持てないが、社内のデータを活用していきたい意向がある企業様や、自社のプロダクトを通して貯まっていくデータを活用したいと考えているスタートアップ企業様におすすめしたいです。
日々、データを集計したり加工したりするシーンが多い方にとっては、非常に役立つツールだと思います。
DataMageの公式ページはこちら
https://datamage.com/
編集後記
近年、データの重要性が叫ばれているとはいえ、自分には縁遠いもの、まだまだ大丈夫、と考えている人も多いのではないでしょうか。私もその一人で、岡村さんの「実は、データを扱えることは、PCを操作できるのと同じくらい必要なこと」という発言にはドキッとさせられました。数字を制するものがビジネスを制する。そんな時代にしっかりと備えておかねばならないことを痛感させられました。
副業の方も多いというフレキシブルな社内体制のなかで、コミュニケーションやセキュリティを比較的手軽に向上できるツールも紹介いただきました。リモートワークで生じがちな課題の解決にもつながるため、興味をお持ちの方はぜひ資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
岡村さん、取材にご協力いただきありがとうございました!
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