OLAP分析とは
OLAP分析の概要を解説します。
オンライン分析処理のこと
OLAPとは「Online Analytical Processing」の略で、日本語に訳すと「オンライン分析処理」となります。データを多次元的に分析し、その結果を迅速にユーザーに返す手法あるいはツールのことです。OLAP分析が使われる代表的な例には、市場分析や業績管理などがあります。
ちなみに、OLAPにおける「オンライン」はネットワークにつながっていることを意味するのではありません。リアルタイムに分析結果を返すことを意味します。逆に、あらかじめ決められた時間に処理を行う方式をバッチ処理と呼びます。
3種類の実装方式がある
OLAP分析には3種類の実装方式があります。それぞれ見ていきましょう。
1.MOLAP
MOLAPは「Multi dimensional OLAP」の略です。リレーショナルデータベースに保存されているデータに集計処理を加え、事前にキューブと呼ばれる多次元データベースに投入しておく方式を指します。
事前に処理を行っているため、ユーザーの要求に対するレスポンスが非常に早いのが特徴です。一方、事前の処理を行った段階の情報しか得られないため、最新の情報を知るうえでは難があります。
2.ROLAP
ROLAPは「Relational OLAP」の略です。元データが格納されたリレーショナルデータベース自体を多次元分析のデータベースとして使う方式です。
分析をする際には、その都度リレーショナルデータベースからデータを取り出すことになります。したがって、最新のデータを得られる反面、事前の処理がないためMOLAPよりレスポンス速度は劣ります。
3.HOLAP
HOLAPは「Hybrid OLAP」の略です。その名のとおり、MOLAPとROLAPの特徴をあわせ持つハイブリッドな方式を指します。
基本的に、MOLAPと同じようにリレーショナルデータベースのデータをキューブに格納しておきます。ただし、その対象が集計データのみである点が特徴です。
そのため、集計データのみが必要な場合はMOLAPと同様のレスポンス速度を実現できます。一方、ROLAPと同様に元データをリレーショナルデータベースに要求できるため、最新のデータも得られます。

OLAP分析とOLTPの違い
OLTPは「On Line Transaction Processing」の略で、日本語に訳すと「オンライントランザクション処理」となります。OLAPと同じくデータを処理する手法やツールを指します。
OLAPが大規模なデータの分析を得意とするのに対し、OLTPは小規模なデータを大量に扱うのに秀でた手法です。また、OLTPはトランザクションと呼ばれる不可分な処理をまとめて行うのも特徴です。
たとえば、OLTPはECサイトにおける購買の処理に使われます。商品の購入から料金の支払、発送の手続きなどの不可分な一連の処理を実施できます。
OLAPは、そのような高頻度かつ高速な処理には向いていません。一方で、大量の購買データから売れ筋商品を抽出したり、年ごと・月ごとの売上を示したりといった分析は得意です。
OLAP分析を行う方法
OLAP分析を行うにはBIツールを活用しましょう。BIとは「Business Intelligence」の略で、蓄積されるデータをビジネスに活用する手法や概念を指します。それを円滑にするためのITツールがBIツールで、基本的にはデータ分析の専門知識がなくても利用できるのが特徴です。迅速で確度の高い意思決定を実現するために、多くの企業が利用を始めています。
BIツールには、OLAP分析をはじめレポーティングやデータマイニング、シミュレーションなどビジネスにおける知見を得るための柱となる機能が搭載されています。それぞれの役割は以下のとおりです。
- レポーティング
- データの可視化・共有
- OLAP分析
- 多次元的なデータ分析
- データマイニング
- 統計的データ分析
- シミュレーション
- データや分析結果を踏まえた予測
OLAP分析を行い、各部門の現状を明らかにしよう!
OLAP分析とは、ユーザーの要求に対してリアルタイムにデータの分析結果を返す仕組みやツールのことです。MOLAP・ROLAP・HOLAPの3種類の実装方式があります。なお、OLTPとは適している処理対象が違っています。OLTPは小規模、OLAPは大規模なデータの処理に向きます。
OLAP分析はBIツールを使うことで行えます。以上を踏まえてOLAP分析を行い、データをうまく活用しましょう。
