
業務システムと情報活用の進展
企業の業務システム化は1970年代から本格化します。このころは、手作業で行っていた事務処理を電子計算機で自動化することが目的でした。効率化、省力化、正確化を目指していました。
これが80年代に入って、さまざまなシステムに蓄積されているデータの重要性が注目を集めます。このころから企業の資源「人」「物」「金」の3つに「情報」が加えられるようになります。
蓄積されたデータをビジネスに活用できないか、さまざまな試みが繰り返されました。しかし、この頃はハードディスク(ストレージ)が極めて高価で、多くの容量を提供できず、伝票から入力されたデータは集計され、生データをそのまま残すことは困難。その集計データも1年から2年程度の保存だけで、削除しなければなりませんでした。
90年代になってから低価格なオープン系のサーバやパソコンが登場し、情報が身近になってきました。オープン系の商用RDB(リレーショナルデータベース)も登場し、ビジネスデータの活用が一段と進み「情報武装化」という言葉も聞かれるようになりました。商用RDBとパソコンで情報を操作し、競争力を強化しようとする動きによってようやく情報の「活用」が実現します。
情報活用を目的とした「DWH(データウェアハウス)」
ストレージも低価格化が進み、情報の活用を目的とした「DWH(データウェアハウス)」が登場します。DWHはRDBを大きくしたものととらえている方もいますが、用途が異なります。RDBは業務をシステム化するツールで、その一環としてデータベースに蓄積されたデータを利用します。

DWHとは最初から「活用」を意識したデータ用の大型倉庫のことで、データ活用のための仕組みが用意されています。DWHは目的別にデータが並べられ、明細データをそのまま時系列で蓄積します。データの削除や更新も行わないため、膨大なデータを保持し続けます。
DWHは販売データを数年分保存して、売上の傾向をつかむことができます。有名な例として「おむつを勝った人はビールを買う傾向がある」という分析結果です。一見、相関関係はないですが、「夕刻子どものおむつを買いに来た父親が、ついでにビールを買って帰る」という通常の感覚では思い付かない販売方法がデータから導き出され、売上に繋がりました。
また、保存した販売データにより、この先の販売予想をビジュアルに表示することができます。販売予想は過去データが豊富なほど正確になり、1〜2年程度しか蓄積できない既存の業務システムのRDBでは、正確な予想が不可能です。
分析するデータを抽出する「ETL」
膨大なDWHのデータをもとに、経営層は意思決定に活用したり、部門長は問題の早期発見に利用するようになりました。情報活用のベースとしてDWHが利用されるようになったのです。

しかし、ここで課題として浮かびあがったのがデータの収集です。DWHが必要とするデータを1つのシステムから取り出すシンプルなものならばいいのですが、企業には販売、購買、生産、顧客管理システムなど、多くの基幹システムがあります。
この課題を解決するために開発されたのがETLツールです。ETLツールとは「Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(書き出し)」の略で、企業にある基幹システムなどの複数のシステムからデータを取り出し、受け渡す機能をもったツールです。
データ分析において、最初のハードルはデータの収集であり、ETLはこれに費やす時間を大幅に削減できます。業務システムが複雑になっている現在、データ収集には欠かせないツールです。
BIツールとDWH・ETLの違いは?
それらの情報を活用するために、データを可視化するツールがBIツールです。そもそも、BIツール・DWH・ETLはデータ活用における役割が異なるのです。まとめるとそれぞれ以下のように役割となっています。

ETLの役割
各システムからデータの抽出・変換・書き出しを行う
DWHの役割
ETLが抽出したデータを保管する役割を担う
BIツールの役割
DWHとETLによって集約されたデータの分析を分析・可視化を行う
近年では、BIツールの一部の機能としてDWHやETLのサービスをて供しているBIツールも登場してきています。以下の記事では、BIツールについて詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧になってみてください。
BIツールを導入し真の情報活用を!
蓄積されたビジネスデータを活用するため、さまざまなツールが用意され、BIが身近になっています。さらに、現在ではビッグデータの時代となり、膨大な量のデータの収集と分析を肩代わりするサービスも登場しています。
ビッグデータを活用できないままでは企業の未来は明るくないでしょう。以下の記事を読んで、BIツールの比較と選定方法を理解し、ぜひ導入を検討しましょう。
