物品管理システムが導入される背景
活用場面を見る前に、どのような困りごとが起点になるのかを押さえておきましょう。課題が自社と重なるかどうかが、事例を参考にする際の目安になります。
物品管理で生じやすい課題
台帳を表計算ソフトで管理している場合、更新が追いつかず実際の保有状況とずれていくことがあります。誰かが持ち出したまま記録されていない、廃棄したのに台帳に残っているといった状態が積み重なると、台帳そのものが信頼されなくなります。
その結果、必要な物品を探す時間が増え、すでにあるものを重ねて購入する事態も起こり得ます。棚卸しの際には現物と台帳を突き合わせる作業に人手を要し、期末に負担が集中します。こうした状況が導入を検討する起点になることが多くあります。
システム化で変わる作業
物品管理システムでは、一つひとつの物品にラベルを貼り、読み取ることで所在や状態を記録します。持ち出しと返却の記録が残るため、今どこにあるかを画面上で確認できるようになります。
棚卸しの際は、端末で読み取りながら現物を確認する形になり、台帳との突き合わせを手作業で行う工程を減らせます。購入や廃棄の履歴が残ることで、保有状況を把握したうえで購入を判断できる点も変わる部分です。
管理対象から見た活用場面
事例で扱われている対象は、大きく三つに分かれます。それぞれで求められる管理の細かさが異なります。
備品や什器の管理
机や椅子、キャビネット、会議室の設備といった、設置場所が決まっている物品を対象とする場面です。どのフロアのどの区画に何があるかを記録し、レイアウト変更や移転の際に活用されます。
移動の頻度は高くないものの、数が多く記録が古くなりやすい領域です。ラベルを貼って読み取る運用にしておけば、棚卸しの際の確認を進めやすくなります。設置場所を単位として管理するため、個体ごとの細かい履歴までは求められないことが多い領域です。
貸出品や工具の管理
従業員が持ち出して使う物品を対象とする場面です。測定機器や工具、社用の携帯端末、カメラ、鍵といった品目が該当します。誰がいつ持ち出し、いつ返却したかの記録が中心になります。
返却されないまま所在が分からなくなる、次に使いたい人が空き状況を把握できないといった課題への対応で導入されます。予約の機能や、返却期限が近づいた際に知らせる機能が活用される領域です。校正や点検の期限を管理する用途で使われることもあります。
リース資産や情報機器の管理
パソコンやサーバ、複合機といった情報機器や、リース契約で導入した設備を対象とする場面です。契約の期間や更新の時期、保守の状況まで含めて管理する必要があります。
契約の満了を見落として自動更新されていた、返却期限を過ぎていたといった事態を避けるために導入されます。情報機器では、誰が使用しているか、いつ更新するかの把握が情報セキュリティの管理にもつながります。会計上の資産管理と分けて扱うか、あわせて扱うかは運用によって異なります。
部門から見た活用場面
同じシステムでも、扱う部門によって重視される点が変わります。二つの立場から確認します。
総務部門での活用
全社の物品を把握し、購入や廃棄の判断を行う立場での活用です。どの部署に何がどれだけあるかを一覧で確認でき、購入の要望が上がった際に既存の在庫から回せるかを判断できます。
移転やレイアウト変更の際には、対象となる物品を一覧で抽出できることが計画づくりに役立ちます。棚卸しの実施状況を部署別に確認し、進んでいない部署へ働きかける材料としても使われます。
現場部門での活用
実際に物品を使う立場での活用です。必要な機器がどこにあるか、今使えるかを自分で確認できることが利点になります。持ち出しの手続きが端末の操作で済めば、管理者を探す手間も減ります。
一方で、現場にとっては記録の手間が増える面もあります。読み取りの操作が煩雑だと運用が形骸化するため、実際に使う人が扱える方法を選ぶことが欠かせません。導入前に現場の担当者へ試してもらう進め方が有効です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で物品管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入事例を読み解く際の着眼点
公開されている事例をそのまま自社に当てはめると、想定と異なる結果になることがあります。読む際に確認したい点を二つ挙げます。
導入前の状態と課題の確認
事例で語られる効果は、導入前の状態を前提としています。台帳が長く更新されていなかった組織と、一定の運用ができていた組織では、改善の幅が異なるのは当然です。
自社と比べる際は、対象となる物品の数、管理していた方法、関わる人数を照らし合わせましょう。前提が大きく異なる事例は、参考にする範囲を限定して読むことが求められます。同じ業種や規模の事例があれば、より近い見通しを立てられます。
効果の測り方と前提条件
棚卸しの時間が短縮されたという記述があっても、どの範囲を対象にした比較なのかは事例によって異なります。ラベルの貼付作業や初期のデータ登録にかかった工数が含まれているかも、確認しておきたい点です。
効果は、システムだけでなく運用ルールの見直しによってもたらされている場合があります。何を変えた結果なのかを分けて読むと、自社で再現できる部分が見えてきます。判断に迷う場合は、ベンダーへ前提条件を尋ねてみるとよいでしょう。
自社に当てはめる進め方
事例を踏まえて検討を進める際の手順を整理します。対象を決めるところから始めると、必要な機能も定まります。
対象物品と管理項目の整理
最初に、何を管理対象にするのかを決めます。すべての物品を一度に対象とすると、ラベルの貼付と登録だけで相当の工数がかかります。所在が分からなくなりやすいもの、金額の大きいものから着手する進め方が現実的です。
あわせて、何を記録するのかを整理します。所在だけでよいのか、使用者や貸出の履歴、点検の期限まで必要なのかによって、選ぶ製品が変わります。記録する項目が増えるほど入力の手間も増えるため、活用する場面が定まっている項目に絞りましょう。
現場の運用にあわせた方法の選択
読み取りの方法には、バーコードを読み取る方式や、電波で複数を一度に読み取る方式があります。後者は棚卸しの時間を短縮しやすい一方、機器や媒体の費用が高くなる傾向があります。
使用する場所の環境も影響します。金属製の物品や屋外での利用では、ラベルの種類や読み取りの方式に制約が生じる場合があります。実際の物品と現場で試用し、確実に読み取れるかを確かめてから決めることをおすすめします。
費用とサポート範囲の確認
料金は、利用人数や管理する物品の数に応じた月額制、読み取り機器やラベルの費用、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。ラベルは消耗品として継続的に発生する点も見込んでおきましょう。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、初期のデータ登録やラベルの貼付を支援してもらえるのかは製品ごとに差があります。対象数が多い場合は、この支援の有無が立ち上げの期間を左右します。
物品の所在把握を支えるシステム
管理対象や部門の運用にあわせて検討できる、物品管理システムを紹介します。
Convi.BASE
- 固定資産、IT機器、備品…様々な物品を一元管理・共有が可能
- QRコード、ICタグを使って棚卸しを効率化
- iOS・Androidアプリで誰でも簡単に物品管理が可能
株式会社コンビベースが提供する「Convi.BASE」は、備品や貸出品の所在を管理できるシステムです。ラベルを読み取って持ち出しと返却を記録する運用に対応しており、棚卸しの際の突き合わせ作業を効率化できます。部署をまたいだ物品の共有状況も把握しやすくなります。
Assetment Neo
- 社内のあらゆる資産台帳をまとめて一元管理
- バーコードやRFIDなど、ラベルを活用した棚卸で作業負担を1/5に
- 業務に合わせて選べる、豊富なオプション機能
株式会社アセットメントが提供する「Assetment Neo」は、固定資産と物品の管理をあわせて扱えるシステムです。現物確認の作業を支援する機能を備えており、実地棚卸しにかかる時間を抑えられます。会計上の資産管理と現物管理の両方を一つの仕組みで進めたい場合に活用できます。
ファインアセット
- 利用期限なし!初期費用・月額費用0円の「無料プラン」に対応
- 有償プランは月額1万円から!物品管理に必要な全機能を利用可能
- 使いやすい操作性で台帳管理・棚卸・貸出管理を効率化
中央システム株式会社が提供する「ファインアセット」は、複数拠点の資産をクラウドで一元管理できる物品管理システムです。棚卸の進捗をグラフや一覧で確認できる機能や、貸出状況をカレンダーで管理できる機能を備えています。スマートフォンアプリでバーコードを読み取りながら棚卸を進められる点も特徴です。
MONISTOR (株式会社 東北システムズ・サポート)
- RFID・バーコードで資産の所在や履歴を管理。
- 棚卸や貸出管理のデジタル化で作業負担を軽減。
- 台帳データの一元管理と利用状況の把握
物品管理システムに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 表計算ソフトでの管理から切り替える目安はありますか?
- 一律の基準はありませんが、台帳と現物のずれが日常的に生じている、棚卸しに何日もかかっている、探す時間が業務を圧迫しているといった状況が続く場合は検討の時期といえます。現在の作業時間を測っておくと判断しやすくなります。
- Q2: 管理する物品が少なくても導入する意味はありますか?
- 数が少なくても、貸出の管理や点検期限の把握が必要な物品があれば効果が見込めます。少数向けのプランを用意する製品もあります。まずは対象を絞り、費用の見合いを検討するとよいでしょう。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象とする物品の数と、既存台帳の整備状況によって幅があります。数百点を対象に標準機能で始める場合は短期間で立ち上げられる一方、全社の物品を対象にラベルの貼付から進める場合は数か月を要することもあります。段階的な計画を立てましょう。
- Q4: 固定資産の管理システムとどう使い分けますか?
- 固定資産管理は会計上の処理を主な目的とし、物品管理は現物の所在や利用状況の把握を主な目的とします。対象が重なる場合もあるため、どちらで何を管理するかを整理し、必要に応じて連携できるかを確認しましょう。
まとめ
物品管理システムの導入事例では、備品や什器、貸出品や工具、リース資産や情報機器といった対象ごとに使われ方が分かれます。総務部門と現場部門でも重視される点が異なります。事例を読む際は、導入前の状態と効果の前提条件を確認し、自社と条件が近いかを見極めることが欠かせません。対象物品と管理項目を整理したうえで、読み取り方法や費用、サポートまで比べて選びましょう。まずは資料請求から検討を進めてみてください。

