契約書管理システム導入前に感じる不安の正体
契約書管理システムの導入検討では、機能面だけでなく運用が始まった後のギャップに対する不安が生じやすくなります。まずは不安の中身を整理し、どの条件を確認すれば判断できるのかを明確にすることが出発点になります。
現状の契約書運用が抱える課題を洗い出す
紙やエクセルでの契約書管理を続けている企業では、検索や更新期限の把握に時間がかかる状況が起きやすくなります。担当者ごとに管理方法が異なると、引き継ぎの際に情報が抜け落ちる可能性もあります。
こうした課題を整理せずにシステムを選ぶと、導入後に必要な機能が不足していたと気づくことがあります。契約件数や関係部署の範囲、他システムとの連携有無を事前に洗い出しておくと、比較検討の基準が明確になります。
導入条件を確認しないまま進めるリスク
導入条件を曖昧にしたまま契約を進めると、実際の業務フローに合わない場面が発生する場合があります。特に海外拠点や複数部署が関わる契約では、条件の見落としが後の手戻りにつながりやすくなります。
そのため、対応言語や連携先、承認フローの柔軟性といった条件を、導入前の段階でベンダーに具体的に確認しておく姿勢が有効です。口頭説明だけでなく、資料や設定画面で実際の挙動を確認することも役立ちます。
海外契約書への対応力を見極める
国内向けに開発された契約書管理システムでは、海外契約書の扱いに制限がある場合があります。対応言語や書式の違いがどこまでカバーされているかを、導入前に具体的に確認しておく必要があります。
国産システムにおける多言語対応の現状
国産の契約書管理システムは、日本語での契約書運用を前提に設計されているものが多くあります。英文契約書の取り込みや検索は可能でも、条項単位での多言語検索や自動翻訳の精度には差が見られます。
そのため、海外契約書を頻繁に扱う企業では、対応言語の範囲や文字コードの扱い、検索機能の精度をベンダーに確認しておくことが重要です。実際のデータで動作を試すデモ環境の活用も検討する価値があります。
海外拠点との連携で起こりやすいずれ
海外拠点がある企業では、拠点ごとに異なる契約書フォーマットや承認ルールが存在する場合があります。国内本社のシステムをそのまま適用すると、現地の商習慣に合わず運用が滞ることも考えられます。
この場合、拠点ごとの権限設定やアクセス制御が柔軟に行えるかを確認すると、導入後の混乱を抑えやすくなります。時差を踏まえた承認フローの設計も、合わせて検討しておく観点です。あわせて、締結済み契約書を国内本社と海外拠点のどちらで一元管理するかという方針も、導入前に決めておくと運用がぶれにくくなります。
セキュリティ認証表示と運用実態のギャップを確認する
ISMSなどのセキュリティ認証を取得していると表示するシステムでも、認証範囲や運用体制は製品によって異なります。表示だけで判断せず、実際の運用実態を確認する視点が導入条件の一つになります。
ISMS対応表記が示す範囲を理解する
ISMSは組織の情報セキュリティマネジメント体制に対する認証であり、製品そのものの全機能を保証するものではありません。認証範囲がどの事業所や業務プロセスに及ぶかは、取得企業によって異なります。
そのため、ISMS対応と記載されていても、契約書データの暗号化方式やアクセスログの管理方法、バックアップ体制については別途確認する必要があります。認証範囲の詳細は問い合わせや資料請求で確認できます。
認証の取得時期と運用体制を確認する視点
セキュリティ認証は一度取得すれば終わりではなく、定期的な更新審査を経て維持されるものです。認証の有効期限や直近の更新状況を確認すると、体制が継続的に運用されているかを判断しやすくなります。
加えて、社内の権限管理や退職者アカウントの削除運用など、利用企業側の運用にも情報の取り扱いは左右されます。ベンダー任せにせず、自社の運用ルールも合わせて整備しておくことが望まれます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で契約書管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
電子契約サービスとの連携条件を確認する
電子契約サービスと契約書管理システムを組み合わせて運用する企業は増えています。連携が前提の環境では、API連携の可否や制限事項が業務の柔軟性を左右するため、事前確認が欠かせません。
API連携の可否と制限範囲を把握する
契約書管理システムによっては、特定の電子契約サービスとしか連携できない、あるいはAPI連携自体を提供していない場合があります。連携できても取得できる項目が限定されているケースもあります。
そのため、自社で利用中または導入予定の電子契約サービスと、実際に連携実績があるかを確認することが有効です。連携方式がAPIか、CSVなどのファイル連携かによっても運用の手間は変わります。
複数の連携先がある場合の注意点
電子契約サービスに加えて会計システムや文書管理システムなど、連携先が複数にまたがる場合、契約書管理システム側の対応範囲を超えることがあります。すべての連携を一度に実現できるとは限りません。
優先度の高い連携先から段階的に確認し、対応できない部分は運用でどう補うかを事前に検討しておくと、導入後の混乱を抑えられます。連携先ごとの制限事項は資料や商談で確認できます。連携がうまくいかない場合、原因がシステム側の仕様、利用者側の設定誤り、連携先サービスの仕様変更のいずれにあるかを切り分けて確認する体制も、あわせて整えておくと対応がしやすくなります。
承認フローのカスタマイズと組織変更への対応力
自社独自の承認フローに合わせて契約書管理システムを設定しても、組織変更のたびに設定を見直す必要が生じる場合があります。柔軟性と保守のしやすさを両立できるかが、導入条件の重要な観点です。
独自承認フローを設定する際の利点
部署や決裁金額に応じて承認ルートを細かく設定できると、実際の業務フローに沿った運用が可能になります。承認者の抜け漏れを防ぎ、契約締結までの流れを可視化しやすくなる点も利点です。
ただし、条件分岐を細かく組み込みすぎると、設定が複雑になり管理担当者以外には把握しにくい状態になることがあります。設定内容を文書化し、属人化を防ぐ工夫も合わせて必要です。導入時にどこまでカスタマイズするかは、将来の運用担当者が変わる場面も想定しながら決めておくと、後の見直しがしやすくなります。
組織変更のたびにフローが崩れる要因
人事異動や部署再編が発生すると、承認ルートに紐づく担当者や権限設定を個別に更新する作業が必要になります。更新が追いつかないと、承認が滞ったり誤った担当者に回ったりする可能性があります。
この要因は製品側の設定の複雑さだけでなく、運用側の更新手順が定まっていないことや、担当者間の情報共有が不十分なことも重なって生じます。組織階層に連動して自動更新できる機能があるかを確認しておくと、負担を抑えやすくなります。人事システムと連携できる製品であれば、異動情報を取り込んで承認ルートを見直す手間を減らせる場合もあります。
多言語対応と連携力で選ぶ契約書管理システム
ここまで見てきた海外契約書対応や電子契約サービスとの連携、承認フローの柔軟性といった観点をふまえ、それぞれの条件に関連する契約書管理システムを紹介します。自社の運用条件と照らし合わせながら比較検討する際の参考にしてください。
Docusign CLM
- 手作業で行っていた契約業務を自動化し、ボトルネックを解消
- ニーズに合わせて柔軟にワークフローを構築
- 世界中で利用される電子署名サービスとネイティブ連携
ドキュサイン・ジャパン株式会社が提供する「Docusign CLM」は、契約書のドラフト作成から承認、締結、保管までを一元的に管理できる契約書管理システムです。世界中で利用される電子契約サービスとネイティブに連携できる点が特徴で、海外拠点を含む契約管理体制の整備にも活用できます。承認フローはドラッグ&ドロップのエディターで設計でき、自社の業務プロセスに合わせた条件分岐にも対応しやすい設計になっています。
LIRIS CLM
- 契約書の作成から承認、締結、管理まで一括して管理
- 抜群の操作性で、とにかく使いやすい!
- 業務フローに合わせて画面や権限を柔軟にカスタマイズ
LIRIS株式会社が提供する「LIRIS CLM」は、契約書のドラフト作成から締結後の管理までを支援する契約書管理システムです。他社の電子契約サービスとの連携に対応しており、既存の締結の仕組みを活かしながら管理体制を整えられる点が特徴です。契約書の検索機能や更新期限のアラート通知など、締結後の運用面をサポートする機能も備えています。承認フローの設定にも対応しており、組織内の契約業務プロセスに合わせた運用が可能です。
Contract One
- 契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
Sansan株式会社が提供する「Contract One」は、紙の契約書と電子契約を一元的に管理できる契約書管理システムです。契約書のスキャンやAI-OCRによるデータ化に対応しており、検索性を高めた管理が行えます。複数の電子契約サービスとの連携にも対応しているため、締結方法が混在していても契約書を一つのシステムに集約して管理できる点が特徴です。承認フローの設定機能も備え、契約業務全体の可視化を支援します。
TOKIUM契約管理
- 製本済みの契約書を非破壊でスキャン代行
- あらゆる電子契約サービスから自動取り込み
- AIが契約書の管理台帳を自動作成
株式会社TOKIUMが提供する「TOKIUM契約管理」は、契約書の締結から更新管理までを一元化する契約書管理システムです。契約書のスキャンやOCRによるデータ化のほか、契約更新期限を知らせるアラート通知機能を備えています。ワークフロー管理機能により、承認フローを自社の業務プロセスに合わせて運用できます。電子契約サービスと連携し、締結済みの契約書を集約して管理することにも対応しています。
楽々Document Plus
- 申請~締結・保管まで一気通貫!(電子契約サービス連携)
- 期限管理や(手書きOCR検索可)など豊富な機能でスマートに管理
- AI-OCRによる属性自動入力や、対話型QAのAI-Chatで業務効率向上
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Document Plus」は、契約書をはじめとする各種文書の管理と電子化を支援するシステムです。ワークフロー機能を備えており、部署や決裁金額に応じた承認ルートの設定に対応しています。他システムとの連携機能も用意されており、既存の業務システムと組み合わせた運用がしやすい点が特徴です。文書の検索性向上や保管期限の管理にも活用できます。
Contract Eyes (株式会社ASU)
- 契約管理システム刷新で法務業務を高度化
- 契約管理システムを刷新
- 大企業が導入している。
NEXTDarwin (ネクストソリューション株式会社)
- 文書の部品化で作成・修正を効率化
- 自動組版で工数削減と品質安定化
- ウェブ完結で作成・承認、グループワークを支援。
ConPass (株式会社日本パープル)
- AIが契約管理項目を自動抽出し、入力の手間を削減。
- ワークフローで進捗を可視化。
- 検索、関連リンク、権限設定で安全かつ容易に探せる。
Legaledge (株式会社コスモルート)
- 契約書を条文単位で自動解析・即時検索
- 契約雛形コンポーネント化とナレッジ活用促進
- Wordで契約書レビューを効率化する機能。
契約書管理システムに関するFAQ
導入条件に関わる質問をFAQとして整理しました。検討時の確認事項として参考にしてください。
- Q1:海外契約書に対応しているかはどこで確認できますか
- 対応言語や文字コードの範囲、検索機能の精度は製品ごとに異なります。資料請求やデモ環境で、実際の海外契約書データを使って動作を確認する方法が有効です。
- Q2:ISMS対応と記載があれば安心して任せられますか
- ISMSは組織の管理体制に対する認証であり、製品の全機能を保証するものではありません。認証範囲や更新状況、暗号化方式などは個別に確認する必要があります。
- Q3:電子契約サービスとの連携で失敗しないためには何を確認すべきですか
- 自社が利用するサービスとの連携実績があるか、連携方式がAPIかファイル連携かを確認します。連携できる項目の範囲も事前に把握しておくと運用のずれを防げます。
- Q4:承認フローの設定が組織変更で崩れないようにする方法はありますか
- 組織階層と承認ルートを連動させて自動更新できる機能があるかを確認します。あわせて設定内容を文書化し、担当者以外でも把握できる状態にしておくことが有効です。
まとめ
契約書管理システムの導入条件に対する不安は、海外契約対応やセキュリティ認証の実態、他サービスとの連携範囲、承認フローの維持のしやすさを具体的に確認することで解消しやすくなります。導入前に自社の運用条件を整理し、複数の製品を比較しながら検討を進めましょう。

