メール暗号化ソフトとは?
メール暗号化ソフトとは、メールを送る際に自動でメール本文や添付ファイルを暗号化するセキュリティ対策ソフトです。ビジネスメールでは、貴重な資料や個人情報、企業の機密情報を含むやりとりが行われています。あらかじめメールを暗号化して送信することで、大切なデータや情報を守り情報漏えいを防げるため、セキュリティ対策として取り入れる企業が多くあります。
メール暗号化ソフトのメリット
情報漏えい対策ができるメール暗号化ソフトですが、暗号化の効率化や誤送信対策ができるなどのメリットがあります。
- ・自動暗号化で効率化
- 特定の用語やクレジットカード番号などを認識し、暗号化を行うかどうか自動で判断します。暗号化の要否を個別に精査する必要がなく、効率的かつ的確にメールを暗号化できます。
- ・メール誤送信対策
- 宛先・添付ファイルなどの確認を促すポップアップ表示や、送信を一時保留する機能、自己承認機能などによって、確認漏れによる誤送信を防げます。
- ・電子署名が含まれている
- メール暗号化ソフトには電子署名が標準で付与されているため、安全なメールのやり取りが可能です。電子署名とは、送信者本人が送信していることや、メール内容が改ざんされていないことを証明するものです。電子署名によって、標的型メールやフィッシング詐欺を防止できます。
以下の記事では、メール暗号化の重要性や仕組みについて解説しています。メール暗号化について理解を深めたい方は、参考にしてください。
関連記事
watch_later
2023.05.17
メール暗号化とは?重要性や方式、実施する際の注意点を解説!
続きを読む ≫
メール暗号化ソフトの基本機能
メール暗号化ソフトには、暗号化をはじめさまざまな機能が搭載されています。ここでは、代表的な5つの機能を紹介します。
- ・送信メールの暗号化
- メール本文・添付ファイルを暗号化する機能。暗号化した添付ファイルのパスワードは、自動発行も可能。
- ・Webダウンロード化
- 添付ファイルをクラウドサーバへ自動でアップロードする機能。ダウンロード用URLやパスワードは、メールで自動送信される。
- ・メール誤送信の防止
- 送信一時保留機能や自己承認機能などによるセルフチェック、上長承認によるダブルチェックを設けて、人的ミスによる誤送信を防止。
- ・メールソフトやサービスとの連携
- Gmail・Yahoo! メール・Microsoft Outlookなど、代表的なメールサービスと連携できる機能。
- ・セキュリティポリシーにあわせた設定
- 個人情報や特定の用語など、あらかじめ設定したセキュリティポリシーにあわせて、メール本文や添付ファイルを自動でチェックする機能。
メール暗号化ソフトを導入するときの注意点
メールを暗号化するときには、送信メールサーバから受信メールサーバまでのデータ通信を暗号化する「STARTTLS」などの暗号化方式を使います。
この仕組みは、Microsoft OutlookやYahoo!メール、Gmailなど多くのメールソフトやサービスに使われていますが、すべてに対応している訳ではありません。また、このSTARTTLS方式の場合は、受信者側も対応していなければ暗号化できないため、注意が必要です。
ほかにも自動で暗号化できる製品の導入により、セキュリティに対する社員の意識が下がることも少なくありません。メール暗号化ソフトに頼りきるのではなく、メール送信時の再確認は怠らぬよう注意が必要です。
メール暗号化ソフトを選ぶ際のポイント
メール暗号化ソフトを選定する際は、方式や技術など確認すべき点があります。具体的にどのようなポイントに着目すればよいか解説します。
暗号化方式を選択できるか
一口に暗号化といっても、その方式は「共通鍵暗号方式」と「公開鍵暗号方式」の2つに大別されます。メール暗号化ソフトには、このどちらかを搭載したものと両方に対応したものがあるため、確認しましょう。
「共通鍵暗号方式」は、鍵を送信側と受信側だけで共有する方式です。セキュリティ強度が高いのが長所ですが、送信先ごとに鍵を用意する必要があり、管理が煩雑になります。
一方「公開鍵暗号方式」は、誰もが利用できる公開鍵と、受信側だけが所有する秘密鍵を用いる方法です。共通鍵暗号方式と比べて鍵の管理は簡単ですが、処理速度が遅いのがデメリットです。
このように、どちらにもメリットとデメリットがあります。利用形態によって最適な選択肢は異なるため、よく検討しましょう。
暗号化技術が施されているか
暗号化には鍵の方式とは別に、SSL・TLS方式とPGP・S/MIME方式という、2つの技術があります。
SSL・TLS方式は、メールに限らずネット上で広く使われている技術です。これにより、ローカル環境とネット上のサーバ間における通信の安全性を確保します。一方、PGP・S/MIME方式はメールに特化した暗号化技術です。データそのものを暗号化するため、高いセキュリティ効果が期待できます。
メール暗号化ソフトを選定する際には、どのような技術で暗号化されるのか確認しましょう。セキュリティの強さを重視する場合は、メール暗号化に特化したPGP・S/MIME方式のほうが理想的です。
他ソフトとの連携機能があるか
メール暗号化ソフトが自社で使っているメールサービスと連携可能か、確認しましょう。連携できれば、既存のメールサービスを使い続けられます。
また、自社で使っているもの以外にも、多くのメールに対応した暗号化ツールを選ぶのが理想的です。なぜなら自社が使うメールサービスを変更した際にも、同じツールを継続して使えるためです。新しいツールの導入費用がかからないだけでなく、使い勝手が変わらないのもメリットといえます。
【比較表】おすすめのメール暗号化ソフト
ここからは、おすすめのメール暗号化ソフトを紹介します。まずは、価格や機能などをまとめた比較表で、各製品の特徴を比較してみましょう。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
おすすめのメール暗号化ソフト比較
つづいて、各製品の情報を詳しく見てみましょう。各製品のイチ押しポイントも参考にしてください。
《CipherCraft/Mail》のPOINT
- 添付ファイルやメール本文を自動でパスワード暗号化が可能
- 暗号化方式が選べる!(Camellia (カメリア)/AES/ZIP)
- 送信者や宛先ごとに複数の方式を使い分けることが可能
NTTテクノクロス株式会社が提供する「CipherCraft/Mail」は、添付ファイルやメール全体を暗号化して送信できるメール暗号化ツールです。暗号化対象を選択できるだけでなく、公開鍵暗号方式とパスワード暗号方式を使い分けられるのが特長です。ZIP暗号化にも対応し、相手によってセキュリティ強度を自由に切り替えられます。
参考価格 |
80,000円~/50ユーザー |
対応機能 |
自動暗号化 添付ファイル自動パス |
イチ押しポイント |
メール誤送信防止市場15年連続シェアNo.1 |
業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
5,000名以上 |
CipherCraft/Mailのいい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
|
お客様へ送るメールについて必ず一度は確認できるシステムのため、誤送信チェックが働く前に自然と自分でも何度も確認する癖がつき、誤った内容や細かい記載ミスなども起こすことなくお客さまとメールのやり取りが出来ている。
|
業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
5,000名以上 |
CipherCraft/Mailの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
|
チェックが掛かると保留メールが届き、記載のURLにアクセスする必要があるが、わざわざURLを経由せずともメールの文面で完結するようにしてほしい。
|
《Mail Safe》のPOINT
- ファイル添付するだけでパスワード付き暗号化ファイルへ自動変換
- 添付ファイルの Web ダウンロード化機能を標準提供
- 短期間導入!使いやすいUI・アクセシビリティで管理者負荷も軽減
SBテクノロジー株式会社が提供する「Mail Safe」は、送信内容を精査し、設定に応じて添付ファイルを自動で暗号化ファイルに変換したり、上長の承認を挟んだりできるクラウド型メールセキュリティサービスです。管理者・ユーザーごとに、セキュリティポリシーを設定できます。Office365を利用中の企業は短期導入も可能です。
参考価格 |
ー |
対応機能 |
自動暗号化 添付ファイル自動パス |
イチ押しポイント |
添付ファイルを送るだけで、自動で圧縮・パスワード通知可能 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
業種 |
医療 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
Mail Safeのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
メールセキュリティ機能も万全としており、なおかつ、自身から発信する際も、暗号化などを自動付与してくれたりするため、安心感があるサービスだと思います。
|
業種 |
食品、医薬、化粧品 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
Mail Safeの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
|
社内ルールで外部にメール送付する際は社内のヒトにも同報するという決まりになっていますが、bccだと同報するという条件を満たせず、toもしくはccで社内のヒトに同報しなければいけません。bccでも大丈夫なようにしてほしいです。
|
《Re:lation》のPOINT
- ワンクリックで暗号化
- 添付ファイル忘れの防止機能付き
- 送信予約もかんたんに可能
株式会社インゲージが提供する「Re:lation」は、メール暗号化機能が搭載された顧客対応ツールです。メールはもちろん、LINEやTwitter、電話対応など顧客応対記録を一元管理します。メールに添付されたファイルをワンクリックでパスワード付きZIPファイルへ変換し、解凍用パスワードも自動送信できます。メールの送信予約機能もあるため、送信忘れを防止できるでしょう。
参考価格 |
月額12,800円~ |
対応機能 |
自動暗号化 添付ファイル自動パス |
イチ押しポイント |
グッドデザイン賞を受賞した機能的で使いやすいUIが特長 |
業種 |
その他製造 |
従業員規模 |
100名以上 250名未満 |
Re:lationのいい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
|
簡単な設定。専用アドレスに転送をするか受信設定をするのみで様々なメールアカウントのメールを一元管理できるようになりアカウントを複数発行できるので部署ごとに担当者をつけたり一つのメールボックスを共有可能になる。フィルタ設定も簡単なので自動的に担当者を割り当てなど効率化も進みます。
|
業種 |
卸売・小売業・商業(商社含む) |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
Re:lationの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
ダッシュボードやメール分析、承認依頼の機能など様々なものがあり、最終的にはこのサービスで色々とやっていきたいので、よりチュートリアルやヘルプを充実して欲しいです。
|
《Cloud Mail SECURITYSUITE》のPOINT
- 管理者画面でセキュリティの一元管理が可能
- 多層防御で高いクラウドメールセキュリティレベルを提供
- 必要な機能を選べ、低コスト高セキュリティのオールインワン
サイバーソリューションズ株式会社が提供する「Cloud Mail SECURITYSUITE」は、50名以上の企業向けのメールセキュリティトータルソリューションです。3段階の防御と6種類の機能で、未知の脅威や情報漏えいを防止します。社内外のメールを10年も保存できるため、コンプライアンス対策にも効果的でしょう。ビジネスメール詐欺(BEC)の保護設定で、なりすました偽装メールをブロックします。
参考価格 |
月額200円~ |
対応機能 |
自動暗号化 添付ファイル自動パス |
イチ押しポイント |
シングルサインオン(SSO)機能を搭載 |
業種 |
自動車、輸送機器 |
従業員規模 |
250名以上 500名未満 |
Cloud Mail SECURITYSUITEのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
MailGatesによりMicrosoft365のメールセキュリティを強化でき、ウイルスメール削除、スパムメール隔離、SPF/DKIM,DMARC対応、BEC対策などができます。さらに、容量無制限でメールアーカイブMailBaseが利用可能であり、ユーザーが削除したメールも復元できます。さらに、Cloude Gate UNOというSSOのサービスも付加されており、トータルでコストパフォーマンスに優れています
|
業種 |
自動車、輸送機器 |
従業員規模 |
250名以上 500名未満 |
Cloud Mail SECURITYSUITEの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
MailGatesがスパムと判定したメールを、Microsoft365の迷惑メールフォルダーに配信することができず、ユーザー単位の検疫サイトか、管理者の検疫サイト、そのまま警告メッセージをタイトルに付加して、受信ボックスに配信するしかなく、検疫サイトに入った通知が最低で1時間に一回しかこないので、結局、受信ボックスに配信しているのが困る
|
まるっとメールセキュリティ for Outlook
製品・サービスのPOINT
- チェック機能とガード機能の両方を備えたシンプルで頼もしい設計
- 必要な機能だけを絞り込んだことでリーズナブルな価格を実現
- 社外への送信時は暗号化やパスワード自動生成機能等で誤送信防止
株式会社トインクスが提供する「まるっとメールセキュリティ for Outlook」は、誰でも簡単に利用できるメールセキュリティ対策ツールです。メール誤送信防止と標的型攻撃メール対策の機能が搭載されています。安全なメール送受信に必要な機能だけに絞り込んだシンプルな設計のため、低価格で利用できます。60日間の無料トライアルが可能で、機能性や操作性を十分に試してから導入できる点も魅力です。
参考価格 |
年額75,000円~ |
対応機能 |
ー |
イチ押しポイント |
メールのチェックとガードに対応したシンプルな設計 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
導入製品にお悩みで、ひとまず最新の人気製品から検討してみたいという方は、以下のランキングも参考にしてください。
その他のメール暗号化ソフト比較
上記以外にも、メール暗号化ソフトは数多く提供されています。そのほかの主要な製品を紹介します。
Active!gate SS
「Active!gate SS」は、Office365やGoogle Workspace、LINE WORKSと連携して、クラウドメールのセキュリティ強度を高められるサービスです。添付ファイル暗号化だけでなく、添付せずにWebダウンロードを選択することも可能。送信者がメール本文を確認してから送信する時間差配信によって、誤送信を防止できます。
ESET Endpoint Encryption
「ESET Endpoint Encryption」 は、ハードディスク暗号化に特化したサービスです。メール以外にもファイルやディスク、USBメモリーといったリムーバブルメディアなど、さまざまなものを暗号化できます。メールセキュリティ機能では、添付ファイルや本文を自動的に暗号化。社内のセキュリティ強度を総合的に高めたい企業に適しています。
メールZipper
「メールZipper」は、誤送信対策・情報漏えい対策を行えるメールセキュリティツールです。添付ファイルをクラウド上に自動でアップロードし暗号化。ほかにも、送信一時保留機能や自己承認機能をもちます。自分で確認する工程を設けられるため、確認漏れによる誤送信を防げます。
CWJ Secure One
「CWJ Secure One」は、日本企業向けに使いやすさを追求した高性能なクラウドメールサービスです。 添付ファイルの自動分離や無害化のほか、迷惑メールやウイルス対策といったメール運用に必要な機能を網羅しています。
TERRACE MAIL Security
「TERRACE MAIL Security」は、ウイルス対策や標的型攻撃に対応している総合的なメールセキュリティツールです。メールセキュリティを一元管理することで、担当者の運用負担を軽減します。添付ファイル暗号化だけでなく、送信の一時保留など、誤送信防止機能も充実しています。
Confidential Posting
「Confidential Posting」は、メールの添付ファイルを暗号化して機密性を保持するツールです。独自の暗号化技術を使っており、高いセキュリティレベル環境でメールを利用できます。機能が豊富で、業務にあった仕様にカスタマイズできるのも魅力でしょう。
FENCE-Mail For Gateway
「FENCE-Mail For Gateway」は、暗号化以外にも誤送信対策や個人情報チェック、メール無害化に対応したツールです。メールの誤送信対策だけでなく、受信するメールにもマルウェア対策を実施できます。既存のメール環境やインフラを変更する必要がないため、導入も容易です。
最適なメール暗号化ソフトを導入して安全性を高めよう
IT技術の発展とともに、情報漏えいインシデントの危険性も大きくなっています。その主な事象の一つであるメール事故を防ぐセキュリティ製品が、これまで紹介してきたメール暗号化ソフトです。
メール暗号化製品は情報セキュリティレベルを高めてくれる反面、確認ステップが増えるなど効率化の観点でいえば逆行する部分もあるでしょう。現状の課題と照らし合わせて、自社にとって「ちょうどいい」ソフトを見つけましょう。
まずは各社のメール暗号化ソフトを比較したいという方は、資料請求が無料でできます。また、資料請求した製品すべての価格や機能、特徴などを一覧にまとめた比較表の作成もできますので、社内資料としてお役立てください。