FTPとは
FTPとは「File Transfer Protocol」のことであり、ファイルを転送するための通信規格です。クライアントとサーバ間で、ファイルのアップロードやダウンロードを行うときに使われるプロトコルです。
例えば、Webサイトを公開する際には、画像やテキストなどの「ファイル」をFTPでサーバに転送する必要があります。ファイル転送はFTPソフトを活用し、FTPサーバに接続することで実現します。
他の通信プロトコルとの違い
ファイルを転送する通信プロトコルはFTP以外にも存在します。
例えば、多くの方に馴染みがある「HTTP」は、ブラウザ・Webページを表示する際に利用される通信プロトコルです。HTTPは「HyperText Transfer Protocol」の略であり、HTMLで記述されたファイルをサーバからクライアントに転送します。
FTPとHTTPは両者とも特定の機器間でファイルのやり取りを行いますが、利用するポートが異なります。HTTPの場合は、80番ポートを利用するのに対し、FTPが使うのは20番と21番のポートです。FTPは2つのポートを使用できるため細かな制御が可能で、大きなデータの転送に適しています。
ほかのプロトコルの種類が知りたい方は、以下の記事を御覧ください。
FTPを利用したファイル転送の仕組み

FTPを利用してファイル転送のやり取りを行う場合、サーバ側を「FTPサーバ」、クライアント側を「FTPクライアント」と呼びます。このサーバとクライアント間でコネクションを構築してファイルのやり取りを行います。
FTP通信を支える2つのプログラム
FTPはPIとDTPの2つのプログラムによって構成されます。PIは「Protocol Interpreter」の略で、コマンドの指示をプロトコルに合わせて変換するものです。DTPは「Data Transfer Process」の略で、データを転送するプロセスのことです。
PIとDTPの2つが揃うことでFTPが機能します。
FTPにおける2つのコネクション
FTPでは制御用とデータ転送用の2つのコネクションを使います。制御用のコネクションはコントロールコネクションといい、ログイン情報やコマンドの制御を行うのが役割です。一方でデータ転送用のコネクションはデータコネクションといい、データの送受信のために利用されます。
FTPサーバの種類
FTPサーバには、ユーザー認証が不要なものから、厳密なアクセス制御が設けられているものまで、いくつかの種類があります。利用目的や公開範囲に応じて、適切なサーバを選ぶことが重要です。
- ■anonymous(匿名)サーバ
- 誰でもアクセスできるサーバで、基本的にダウンロード専用です。公共機関などが情報公開に利用しています。
- ■認証が必要なFTPサーバ
- ログインにはIDとパスワードが必要で、制限された権限の範囲内でファイルのアップロードも可能です。
FTPのファイル転送モード
FTPでは、ファイルの種類に応じて適切な転送モードを選択する必要があります。主に「バイナリモード」と「アスキーモード」の2種類があり、それぞれの特性を理解して使い分けることが、データの正確な転送において重要です。
- ■バイナリモード
- 画像や音楽ファイルなど、改行コードの変換が不要なファイルに使用します。ファイル内容がそのまま転送されます。
- ■アスキーモード
- テキストファイルに使われるモードで、文字コードや改行コードを自動変換します。ただし、最近では開発環境の進化により利用頻度は低くなっています。
FTPのデメリット
FTPはクライアントとサーバ間でファイル転送のやり取りを行いますが、その通信は暗号化されていません。つまり、悪意がある第三者に介入されると通信内容が外部に漏れてしまう危険性があります。
例えば、IDやパスワードなどのログイン情報が盗まれれば、不正アクセスに遭うリスクが高まるでしょう。そのため、セキュリティ強度が高い安全な方法を利用するのがおすすめです。
法人向けファイル転送システムとは
FTPは古くから利用されてきた便利なプロトコルですが、セキュリティ面に不安があるため、現在では企業向けに特化した「ファイル転送システム」が数多く提供されています。
ファイル転送システムは、FTPのようにファイルを送受信する機能に加え、次のような機能を備えています
- ●通信経路の暗号化(SSL/TLS、SFTPなど)
- ●ログ管理やユーザー管理などのセキュリティ機能
- ●大容量ファイルの高速転送
- ●送信者・受信者の操作履歴の記録
これらの機能により、情報漏えいや不正アクセスのリスクを抑えつつ、安全・確実なファイルの送受信を実現できます。
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以下の記事では、おすすめのファイル転送サービスを紹介しています。あわせて参考にしてください。
まとめ
FTPはファイル転送を行うプロトコルの一種であり、Webサーバにデータを転送する際に使われます。HTTPと違いポートが2種類あるため、細かい制御が可能なことから、利用される機会が多くありました。
しかし、サーバとクライアント間の通信を暗号化できないため、セキュリティ上の問題が発生しやすいデメリットがあります。暗号化されているSFTPを利用するなど、最適な送信方法を選ぶようにしましょう。