ファイル転送サービスとは
ファイル転送サービスとは、メールで送信できない大容量ファイルを転送するサービスのことです。「ファイル送信サービス」とも呼ばれます。
画像や動画、CADなど、容量の大きなデータをやりとりするケースは多くあるでしょう。送信者がWeb上にファイルデータをアップロードし、受信者がダウンロードすることで、大容量データの受け渡しが可能です。
ファイル転送サービスの代表的な種類は以下のとおりです。
- ■Web上でアクセスすれば誰でも無料で利用できるサービス
- ■オープンソースでカスタマイズできるサービス
- ■セキュリティ対策や機能が充実している有料のサービス
以下の記事では、ファイル転送における課題とともに、ファイル転送サービスの利用でどのように課題を解決できるのか紹介しています。
無償・無料プランのあるファイル転送サービス
まずは、無償提供されているサービスや、無料プランのあるファイル転送サービスを紹介します。
Kozutumi (株式会社ハートビーツ)
- 無駄な項目がなく初心者でも使いやすい直感的なUIで5名まで無料
- 暗号化/ウイルスチェック/誤送信防止で高セキュリティ機能が充実
- 万が一の場合に安心な、サイバーリスク保険とタイムスタンプ付き
楽天ドライブ (Rakuten Symphony Korea, Inc.)
- ファイル数・回数無制限の転送サービス
- 1人最大3TBのクラウドストレージ
- 有効期限日やパスワード設定などファイル管理機能も搭載
Giga File(ギガファイル)便
株式会社ギガファイルが提供する「Giga File(ギガファイル)便」は、データ容量無制限の大容量無料ファイル転送サービスです。1ファイルのサイズが300GBまでであれば、いくつでも転送可能です。アップロードしたファイルデータは、最大100日間保持できます。ユーザー登録不要で使用できるのも特徴です。
データ便
株式会社ファルコが提供する「データ便」は、すぐに利用できる無料プランから、転送容量無制限の有料プランまで用意されているサービスです。会員登録をしない場合は最大500MB、無料会員登録をした場合は2GBまで無料で利用できます。
firestorage
ロジックファクトリー株式会社が提供する「firestorage」は、会員登録なしで1ファイル2GBサイズまで転送が可能なオンラインストレージです。ファイル数に制限はありません。無料の会員登録を行えば、さらに写真管理やストレージ保存機能が使えます。有料版になると、最大10GBのファイルサイズに対応し、ダウンロード追跡などの機能も追加されます。
おくりん坊
ビット・パーク株式会社が提供する「おくりん坊」は、未登録あるいは無料会員登録で利用できるファイル転送サービスです。未登録の場合は500MBまで利用可能です。無料会員登録をすれば2GBまでのファイル送信に対応し、送信履歴の確認もできます。
オープンソースのファイル転送サービス
次に、オープンソースのファイル転送システムやサービスを紹介します。自社の運用にあわせてファイル転送システムを構築したい法人向けとして有効です。
OpenUpload
有限会社ディアイピィが提供する「OpenUpload」は、オープンソースの大容量ファイル転送システムです。PHP(プログラミング言語)のアプリケーションで、コストをかけずにシステムを構築できます。プラグインや禁止IPアドレス設定などの管理機能をはじめ、複数の認証方式やアップロードファイルの圧縮など機能が豊富です。日本語を含めた7か国語に対応しています。
DECO
徳島県庁と株式会社ニューメディア徳島が共同で開発した「DECO」は、大容量のファイル送受信に対応したWebアプリケーションです。オープンソース版のほか、クラウド版と自治体向けLGWAN-ASPサービスの3種類があります。SSL通信暗号化やウイルスチェックなど、セキュリティ機能も充実しています。
CDC File Transfer
Googleが開発した「CDC File Transfer」は、オープンソースの高速ファイル転送ツールです。同期処理を行う「CDC RSync」と、ストリーム転送を行う「CDC Stream」の2つの機能が搭載されています。
無料のファイル転送サービスは危険か
無料のファイル転送サービスは手軽に利用でき、コストを抑えられるのがメリットです。しかし無料のファイル転送サービスは、セキュリティリスクにおける懸念があります。
データ容量が大きく、機密性の高いファイルを送信したい場合、注意したいのは情報漏えいのリスクです。無料のファイル転送サービスのなかには、セキュリティが万全ではないものもあり、過去には悪意ある第三者にサーバのぜい弱性を突かれて、ユーザーの情報を流出させたサービスも存在します。したがって、重要なファイルデータの送信時には、あらかじめ暗号化を施すなどの対策が必要です。
無料のファイル転送サービスで懸念される具体的なセキュリティリスクは、以下のとおりです。
- ■セキュリティレベルの設定が不可
- ファイル転送サービスは、提供会社のサーバにファイルを預ける形で利用するため、サーバはほかの利用者と共用です。自社でセキュリティレベルの設定ができず、提供会社にセキュリティは依存します。
- ■ファイル転送の履歴やログの管理が不可
- 万が一情報が漏れた場合、いつ誰が利用したかの履歴をもとに調査しますが、無料のファイル転送サービスでは、自社で利用履歴やログの管理ができない場合も多くあるでしょう。
無料のファイル転送サービスを利用するには、「通信暗号化機能」「データの改ざん防止機能」「送信履歴の管理機能」が搭載されたサービスを選ぶのがおすすめです。また、共有サーバではなく占有サーバを利用することも対策として有効でしょう。
しかし、対策をしても機密情報の送信に無料サービスの利用は望ましくありません。利用規約には「提供会社は一切責任を負わない」など記載している場合もあるため、企業でファイル転送をする際は、有料の法人向けファイル転送サービスの利用をおすすめします。
有料ファイル転送サービスには、月額3,000円ほどから利用できるものや、無料トライアルを利用できるものもあるため、ぜひ利用を検討してみてください。
以下のボタンより、おすすめのファイル転送サービスの一括資料請求が可能です。各サービスの特徴を知る一助にしてください。
無料でファイル転送サービスを利用する方法
ここでは、ファイル転送サービスを無料で利用する方法をまとめました。3つの利用方法を紹介します。
無料トライアルを利用する
将来的に本格的なファイル転送サービス導入を検討するなら、有料サービスの無料トライアルを利用する方法があるでしょう。機能の確認や使用感を試すことが目的のため、長期的に無料で使用したい場合には適していません。
無償・無料プランのあるサービスを利用する
無償で提供されているサービスや、無料プランのあるファイル転送サービスを選ぶ方法もあります。ただし有料プランと比べて、使用できるデータ容量や機能に制限がある場合が多いでしょう。
オープンソースのシステムを利用する
オープンソース(open source)とは、プログラミングされた言語(source)が公開されたソースコードのことです。ソースコードの編集・加工が可能なので、自社に適した仕様にカスタマイズして独自システムを構築できます。オープンソースのファイル転送システムを利用するメリットとして、以下の点が挙げられます。
- メリット
- ●ライセンス利用料やソフトフェアのコストをかけず無料で利用できる
- ●カスタマイズして独自のソフトウェアを開発できる
- ●ソースが公開されているので、運営会社の倒産やトラブル時でも利用を継続できる
一方で以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。
- デメリット
- ●プログラミングの知識がなければ利用が困難
- ●サポートがなく、トラブル時は自社で対応するか運営会社のコミュニティに依存する
- ●運営会社に定期的なアップデートの義務はないため、バグが発生しても対応されない場合がある
無料トライアルのあるおすすめファイル転送サービス
ここからは、ファイル転送サービス導入前に、無料トライアルで操作性や機能性を試せるおすすめのサービスを紹介します。
クリプト便
- 脱PPAP等、取引先と安全にファイルのやり取りを行いたい企業
- USB運用を廃止、大容量ファイルの受け渡しをサービス上で実現
- Webブラウザとインターネット環境だけでファイル送受信が可能
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が提供する「クリプト便」は、情報セキュリティ専門会社が開発・運用を行うファイル転送サービスです。メールを使ったファイルの送受信やシステム上でのファイル共有、システム連携によるファイル送受信の自動化などの機能があります。情報セキュリティ格付けにおいて最高ランクの「AAAis」を取得済で、利用顧客の4割が銀行や証券などセキュリティ要件の高い業界です。
| 提供形態 | クラウド / SaaS / ASP / サービス | 無料トライアル | 1か月 |
| 価格 | 【エントリプラン】初期費用20,000円、月額20,000円【ライトプラン】初期費用100,000円 、月額50,000円【スタンダードプラン】初期費用100,000円 、月額90,000円 | ||
クリプト便を利用したユーザーの口コミ
ファイル未取得者へのリマインド機能を追加してもらえると、当方からのリマインドが不要になるため、非常にありがたいと思います
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EASY FILE EXPRESS
- 数GBクラスの大容量ファイルを1度に5ファイルまで送受信できる
- 誰でも使いやすい操作性で導入後の社内教育やマニュアルは不要
- Outlookアドインによるファイル転送を実現
トーテックアメニティ株式会社が提供する「EASY FILE EXPRESS」は、2GB超えのファイルを同時に5つまで送受信できる大容量データ転送サービスです。直感的にわかるユーザーインターフェースで、誰でも利用しやすいでしょう。個別カスタマイズも可能なため、他システムとの連携も可能です。
| 提供形態 | オンプレミス / クラウド / パッケージソフト / SaaS / サービス | 無料トライアル | 2週間 |
| 価格 | 月額3,000円~/5ユーザー・ディスクサイズ0.5GB・50送信 | ||
EASY FILE EXPRESSを利用したユーザーの口コミ
業務で通常使用するメールでは10MB以上のデータのやり取りができず、何通かに分けて送信しないといけないのが面倒ですが、このサービスのおかげで図面データ等の大容量ファイルも手軽にやり取りができています。
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クラウド版をブラウザで利用しているのですが、出来ればデスクトップアプリがあるとサービス起動が簡単になるかと思います。
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OKURN(オクルン)
- ファイル転送に最適な機能のみを標準搭載
- 利便性とセキュリティを両立
- 想定外の超過料金発生なし
日本ワムネット株式会社が提供する「OKURN(オクルン)」は、データ送受信に必要な機能を搭載したシンプルなファイル転送サービスです。IDごとに課金され、転送するファイルの量が増加しても、金額の変動はありません。パスワードポリシーの設定や認証パスワードを必須化するなど、セキュリティ対策機能も豊富です。サーバ内や通信経路は暗号化されているため、安心して利用できるでしょう。
| 提供形態 | クラウド / ASP | 無料トライアル | ◯ |
| 価格 | 初期費用50,000円、月額24,500円/10ID | ||
OKURN(オクルン)を利用したユーザーの口コミ
機密性の高い情報を、安全に連携することができます。また、メールでの送付と比較して、手軽にファイル送付することができると感じました。
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メーラーとの互換性を持たせてThunderbirdなどのアドオンとして、手軽に起動して利用できるアプリなどがあるとより便利と思います。(既にあったら申し訳ないです。)
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以下より、ファイル転送サービスの最新ランキングを確認できます。紹介しているサービスの一括資料請求(無料)もできるので、ぜひご利用ください。
DIRECT! EXTREME
- 大容量ファイルの超高速転送を実現
- 1ファイル2TBまでの大容量ファイル転送が可能
- ファイル送受信の自動化に対応
日本ワムネット株式会社が提供する「DIRECT! EXTREME」は、中国・ASEAN地区に大容量データを送るファイル転送システムです。ドラッグ&ドロップによる簡単操作で、従来ハードディスクで物理的に搬送していたサイズのデータを転送できます。データはブロック単位に分けられ、アップロードが完了したファイルからダウンロードが可能です。
| 提供形態 | クラウド | 無料トライアル | あり |
| 価格 | 初期費用50,000円【EXTREME PPU】月額19,800円/従量課金【EXTREME 500】月額73,000円/500GB【EXTREME 1000】月額121,000円/1000GB | ||
eTransporter
- 登録ユーザー数無制限!送受信ファイル容量無制限!
- 充実したセキュリティ機能!送信後でも取消し可能な誤送信対策!
- メール連係オプションで普段のメール送信でファイル転送を実現!
株式会社NSDが提供する「eTransporter」は、登録ユーザー数・送受信ファイル容量無制限のファイル転送システムです。送信後でも取り消し機能を使用できるため、誤送信による情報漏えいを防止できるでしょう。メール連係オプションによって、普段のメール操作で大容量のファイル送信が可能です。
| 提供形態 | オンプレミス / クラウド / パッケージソフト / SaaS | 無料トライアル | あり |
| 価格 | 【クラウドサービス型】月額50,000円~ | ||
eTransporterを利用したユーザーの口コミ
メール送付が難しい大容量ファイルは、無料サイトを利用してきました。ですが、セキュリティ担保に課題がありました。この製品を使えば、安心してファイルを送ることができます。
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細かい設定が可能なのですが、正直難しいため、もう少しわかりやすいマニュアルや操作例などがあると助かります。
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オフィス宅ふぁいる便
- メール添付の代替手段!豊富な機能で情報漏洩対策が可能
- ブラウザを利用せず、Outlookアドインでのファイル送信ができる
- APIでシステムと連携し、ファイル送信の自動化が実現
株式会社オージス総研が提供する「オフィス宅ふぁいる便」は、法人向けのセキュリティ対策機能を搭載したファイル転送サービスです。不正ログイン検知や送信後の自動ファイル削除、IPアドレスによるアクセス制限などのほか、ログ管理や送信時に上長へ通知する機能により、内部統制も強化できます。ISMS認証を取得しており、安心な通信が可能です。
| 提供形態 | クラウド / SaaS / ASP | 無料トライアル | あり |
| 価格 | 【スタンダードプラン】月額3,000円~【プロフェッショナルプラン】月額34,000円~【エンタープライズプラン】月額53,000円~ | ||
オフィス宅ふぁいる便を利用したユーザーの口コミ
ファイル送信サービスはたくさんあるが、その中でも相手方がダウンロードした際に即時通知のメールがきたり、ログインした際にそのIPアドレスの情報も通知されるなど、とにかくセキュリティ面が強固なこと。
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自分の入力したメッセージがどのように反映されて、送信相手にメールとして届くのかを送信前にプレビューとしてみれると良いです。
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IMAGE WORKS (富士フイルムイメージングシステムズ株式会社)
- 1ファイルで最大60GBまで対応可能
- 導入実績 2,000サイト以上
- 自動タグ付けなどAIによる効率化が可能
どこでもキャビネット (株式会社大塚商会)
- 50GBを月額3,000円から利用できる安心感
- ウイルスチェックやIPアドレス制限などセキュリティが充実
- 複合機との連携で名刺管理にも対応
Confidential Posting (富士通Japan 株式会社)
- 金融機関への導入実績が多数
- 高い信頼性を誇る富士通データセンターにデータを保存
- SaaSとパッケージの2種類から選択可能
OneDrive (日本マイクロソフト株式会社)
- バックアップやウイルス対策などセキュリティ機能が充実!
- モバイルアプリで撮影すれば紙文書をPDF化可能!
- Microsoft 365の他アプリと連携してさらに便利に!
SECURE DELIVER (富士フイルム株式会社)
- 転送数に基づく従量課金制
- 承認・監査機能が内部統制を支援
- シングルサインオンに対応
メールdeファイル (株式会社リステック)
- Webメール感覚で使えるのに高いセキュリティ性を実現
- 一時保留機能で誤送信を防止
- ゲストからのファイル受取にも対応
活文 Accelerated File Transfer (株式会社日立ソリューションズ)
- 数百Mbyte~数十Gbyteの大容量に対応!
- 既存のHTTP通信と比較し数倍~十数倍もの高速通信!
- セキュリティ機能も多数!
IBM Aspera (日本アイ・ビー・エム株式会社)
- グローバル単位での共同作業をサポート
- 大容量の動画も遅延なくストリーミング配信
- 帯域幅を自動計算し最大限に活用
デカメール (株式会社シーズ)
- 使いたいときのみ契約するスポットプラン
- 安定して毎月使える月額プラン
- 大容量を複数アカウントでシェアするマネージメントプラン
以下の記事では、おすすめのファイル転送サービスを比較して紹介しています。各サービスの料金や機能などがひと目でわかる比較表もあるため、サービスごとの特徴を把握する際の参考にしてください。
無料ファイル転送サービスのリスクを把握しよう
無料のファイル転送サービスには、会員登録が不要で気軽に利用できる場合が多くあるでしょう。しかし、利用できる容量や機能に制限があります。
また、ビジネスで利用する際には、よりセキュリティに注意しなければなりません。無料のファイル転送サービスは機密情報の流出など、さまざまなトラブルにつながる恐れがあります。
トラブルを回避するために、ファイル転送サービスの安全性を比較しましょう。セキュリティ面や機能性を見比べるために各社の資料請求を行い、自社のセキュリティ要件に沿って安全に運用ができるサービスを見つけてください。



ブラウザを使用してファイルをやり取りする場合、メールソフトを使用する場合よりも簡単に送受信できます。また、ファイルの暗号化技術が高く信頼できるので、機密情報を含むファイルを安全に扱うことができます。月額料金は必要ですが、セキュリティ上のリスクを軽減でき、コスト対効果が高いです。
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