無料のファイル転送サービスは危険?
無料のファイル転送サービスは手軽に利用でき、何よりコストを抑えられます。しかし、無料のファイル転送サービスはセキュリティリスクをはらんでいることをご存知でしょうか。
容量が大きく、機密性の高いファイルを送信したい場合、特に注意したいのは情報漏えいのリスクです。無料のファイル転送サービスの中には、セキュリティが万全でないものもあり、実際悪意ある第三者にサーバの脆弱性を突かれて、ユーザーの情報を流出させたサービスも存在します。したがって、データを送信する際には、重要なデータにはあらかじめ暗号化を施すなどの対策が必要です。
また無料のファイル転送サービスには以下のような点で、セキュリティリスクがあります。
- ■セキュリティレベルの設定が不可
- ファイル転送サービスは、提供会社のサーバにファイルを預ける形で利用するため、サーバは他の利用者と共用になります。したがって、自社でセキュリティレベルの設定ができず、提供会社にセキュリティは依存することになります。
- ■ファイル転送の履歴やログの管理が不可
- 万が一情報漏えいした場合、いつ誰が利用したのかの履歴をもとに調査しますが、無料のファイル転送サービスでは、自社で利用履歴やログの管理ができないことが多いです。
無料のファイル転送サービスを利用するにあたっては、暗号化機能やデータの改ざん防止機能、送信履歴の管理機能搭載のサービスを選んだり、共有ではなく占有サーバを利用したりするなどの対策が必要でしょう。
しかし、それらの対策を行ったとしても機密情報の送信に無料サービスを利用するのは望ましくありません。利用規約には「提供会社は一切責任を負わない」など記載している場合もあるため、企業でファイル転送を行いたい場合は、ビジネスシーンでよく利用される、信頼性の高い有料のファイル転送サービスの利用をおすすめします。
有料版製品のなかには、月3,000円から利用できるものや、無料トライアルを利用できるファイル転送サービスがあるため、ぜひ利用してみてください。
無料でファイル転送サービスを利用する方法
ファイル転送サービスを無料で利用するには3つの方法がありますので、紹介します。
無料トライアルを利用する
将来的に本格導入も検討しているのなら、有料製品の無料トライアルを利用するという方法があるでしょう。あくまで製品の機能確認や使用感を試すことが目的のため、長期的に無料で使用したい場合には適していません。
無償・無料プランのあるサービスを利用する
無償で提供されているサービスや、無料プランのあるサービスを選ぶ方法もあります。ただし有料プランなどと比べて使える容量や機能に制限がある場合がほとんどです。
オープンソースのシステムを利用する
無料で利用できるファイル転送システムの中で、オープンソースのファイル転送システムがあります。そもそもオープンソース(open source)とは、プログラミングされた言語(source)を公開したもののことをいいます。ソースコードが公開されているので、自社に適したものにカスタマイズできるのも特徴の一つです。また、オープンソースのファイル転送システムを利用するメリットとして以下の点が挙げられます。
- メリット
- ●ライセンス利用料やソフトフェアのコストをかけず無料で利用できる
- ●カスタマイズして独自のソフトウェアを開発できる
- ●ソースが公開されているので運営会社の倒産やトラブル時でも利用を継続できる
一方で以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。
- デメリット
- ●ある程度の専門知識がなければ利用しづらいことがある
- ●サポートがないことが多く、トラブル時は自社で対応するか運営会社のコミュニティに依存する
- ●運営会社に定期的なアップデートの義務はないため、バグが発生しても対応されない場合がある
無料トライアルのあるおすすめファイル転送サービス
ここからは実際に、無料トライアルを使って製品を利用できるファイル転送サービスを紹介します。トライアル期間としては、製品によって14日間から90日間まで設定されています。
《クリプト便》のPOINT
- 取引先と安全にファイルのやり取りを行いたい企業
- メールでは送れない大容量のファイルを送付したい企業
- Webブラウザとインターネット環境だけでファイル送受信が可能
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が提供する「クリプト便」は無料トライアルが1か月間用意されたファイル転送サービスです。メールを使ったファイルの送受信やシステム上でのファイル共有、システム連携によるファイル送受信の自動化などの機能があります。情報セキュリティ格付けにおいてSaaSとして最高レベルである「AAAis」を取得済なのでセキュアにデータを送れます。
製品・サービスのPOINT
- Webブラウザーだけで大容量ファイルや機密情報をやり取り可能
- 豊富なセキュリティ機能と可用性
- 月額16,500円(税込)~の定額制で、最大1万人使用可能
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社提供の「ファイルシェア(ファイル授受特化型)」は20万ID以上で利用されているファイル転送サービスで、14日間の無料トライアルが使えます。一度に合計2GBまでのファイルを送受信可能です。同社が提供する国内最大手のインターネット接続サービスである、OCNバックボーンへ直結しているため、安定した通信が魅力です。また、災害に備えたディザスターリカバリー機能が用意されているので安心でしょう。
《TeamFile》のPOINT
- チームのファイル作業を共同で行えるプライベートデータ空間
- 各チームのグループリーダーが所属メンバーを管理
- MS Office(Word・Excel・PowerPoint)を直接編集(排他処理)可能
コンピュータ・ハイテック株式会社提供の「TeamFile」は、WebDAVプロトコルを利用した高セキュアなファイル共有・転送ソフトフェアです。トライアル期間は、90日間設定されており、トライアルでのディスク容量は、10GBで10,000ファイルまでとなっています。IPアドレスによるアクセス制限やアカウントロック機能、パスワードポリシー機能など、万全のセキュリティ機能が魅力でしょう。
以下の記事ではおすすめのファイル転送サービスをランキング順で紹介しています。有料版に興味を持たれた方はぜひご覧ください。
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無償・無料プランのあるファイル転送サービス
無償提供や制限付きプランで利用できるファイル転送サービスを紹介します。
Giga File便
株式会社ギガファイルが提供する「Giga File便」は、容量無制限のファイル転送サービスです。1ファイル200GBまでのサイズであれば、いくつでも転送可能です。また、アップロードしたファイルは最大60日間保持できます。さらにユーザー登録不要で使えるのも特徴です。
データ便
株式会社ファルコが提供する「データ便」はすぐに利用できる無料プランから、転送容量無制限の有料プランまで用意されているサービスです。会員登録をしない場合最大500MB、無料会員登録をした場合は2GBまで無料で利用できます。
firestorage
ロジックファクトリー株式会社が提供する「firestorage」は会員登録なしでも利用できますが、登録すると写真管理やストレージ保存機能が使えます。無料で利用する場合は1ファイル2GB以下のサイズのみ転送可能で、ファイル数に制限はありません。
おくりん坊
「おくりん坊」は、ビット・パーク株式会社が提供するファイル転送サービスで、未登録あるいは無料会員登録で利用できます。未登録の場合は500MBまで、無料会員登録をすれば2GBまで送信可能。さらに送信履歴の確認が可能になります。
オープンソースのファイル転送サービス
オープンソースで構築できるシステムを紹介します。
OpenUpload
有限会社ディアイピィが提供する「OpenUpload」は、オープンソースのファイル転送システムです。多くの無料ファイル転送サービスと同様、アップロードとメール転送という簡単なステップで利用できます。さらに、ソフトウェアのインストール、初期設定作業の代行サービスが用意されています。また、7ヶ国語に対応しているのも特徴です。
無料のファイル転送サービスが不安な場合は有料版の検討を
無料のファイル転送サービスには、会員登録が不要で気軽に利用できるものもあります。容量も大きく、わざわざ有料製品を使う必要はないと感じる人も多いでしょう。
しかし、ビジネスで使う際には特に、セキュリティに注意しなければなりません。有料サービスの利用も視野に入れてサービスを比較検討するといいでしょう。