ホスティングサービス選定前に整理すべきこと
自社に最適なホスティングサービスを導入・運用するためには事前の準備が重要です。では、ホスティングサービスを選定する前に整理しておくべきことを見ていきましょう。
利用目的を明確にする
まず最初にホスティングサービスの利用目的を明確にしましょう。レンタルサーバの用途は非常に広く、ユーザーの個人・法人を問わず、ブログから企業ホームページ、ECサイトなどまで多様です。
レンタルサーバをどのように使いたいかで、適したサービスは変わります。後悔しないために、目的に合ったサービスを選ぶことが必要です。
利用規模を想定する
用途の次に重要なことは、どれくらいのアクセスが集まるかの想定です。レンタルサーバの容量や処理能力によって、耐えられるアクセス量が決まるため注意しましょう。
もし、想定よりもアクセスの量が多くレンタルサーバの性能を上回ってしまえば、エラーが発生してサイトを見られなくなってしまいます。これは安定稼働のためサーバが同時アクセス数に制限を設けているためです。エラーの間は訪問者を失ってしまうことになります。
専用サーバよりも共用サーバの方が制限が厳しくエラーが出やすい傾向があります。自社の想定する同時アクセス数にふさわしいサーバを選びましょう。
必要な機能を洗い出す
例えば、複数のホームページを作成する場合はマルチドメイン対応が必要です。また、自社でWeb開発をするのであれば、自社のエンジニアが開発できる言語に対応したサービスを選ばなければなりません。
複数人でサイトを編集するような場合は、最初からサイトを管理しやすいCMSなどの機能があると便利でしょう。
しかし、機能が充実していても、実際に使わないものが多くあれば無駄になってしまいます。必要以上のコストが発生してしまうため注意してください。
ホスティングサービス選定時に確認すべきポイント
では、ホスティングサービスを実際に選定する際には何が重要なのか、確認すべき点を見ていきましょう。
サーバのスペック
ホスティングサービスで利用するサーバのスペックによって、サイトの使い勝手が左右されます。
例えば、サーバに搭載されているCPUの性能やメモリの量によって、サーバの処理能力は変わってきます。例えばサイズが大きいページでも、サーバのスペックが良ければ素早く表示できるでしょう。
しかし、どんなにスペックが高くても、複数のユーザーが一度に利用する共用サーバであれば、状況によって速度が変わるため注意が必要です。Webサイトや構築したシステムを安定稼働するためにも、自社の目的・規模に合わせたスペックを選んでください。
ネットワーク回線の強さ
ネットワーク回線が弱い、つまり対応できるデータ転送量が小さいと、サイト運営に支障が出るため注意してください。
回線が負担するデータ転送量は、表示するページのサイズとサイトへの同時アクセス数がポイントとなります。データ転送量が回線の許容量を超えてしまうと、Webサイトのページは表示されなくなります。
また、表示速度や許容量は、サーバがユーザーのリクエストを処理できる能力にも大きく関係しています。高性能でネットワークの回線も強いサーバは高価になるため、何が必要なのか優先順位を決めて選択してください。
中にはネットワーク回線が強く、料金が安いレンタルサーバもありますが、そのような場合、月間のデータ転送量に上限を設けていることも少なくありません。
サポート体制
基本的にWebサイトを運営する場合、サーバは24時間365日休まずに稼働することが前提となります。
ホスティングサービスはサービスの事業者がサーバを運営しているため、自社でメンテナンスをすることはほとんどありません。不具合が発生した際は、サービス事業者が対応しますが、そのサポート品質は業者によって変わります。
もしサーバがダウンしてしまえば、自社では対応できない場合がほとんどです。そのため、利用するレンタルサーバにはどのようなサポート体制があるのか確認してください。障害が発生しても迅速に復旧できる体制であれば、安心してサイトを運営できるでしょう。
ホスティングサービス選定で見落としがちなポイント
サイトを運営する場合、ホスティングサービスを長期間利用することになるでしょう。そのため、選定の際に細かいポイントまで注目しておきましょう。ここからはホスティングサービスの選定で、見落としがちなポイントを紹介します。
マルチドメイン対応
マルチドメインとは契約している1台のレンタルサーバで、複数のドメインを使えるということです。そのため、1社で複数のサイトを運営する際に必要な機能となります。
もし、マルチドメインに対応していなければ、2つ以上のサイトを別々のサーバで管理しなければなりません。複数のサーバと契約するとその分固定費がかかるため、マルチドメインに対応していればコスト削減に繋がります。
拡張性・柔軟性の高さ
これからWebサイトを立ち上げる際には、レンタルサーバの拡張性や柔軟性も確認してください。予想以上にアクセス数が増えたとき、低スペックなサーバであれば対応できず、エラーが出てページを表示できなくなります。この状態が続けば、サイトの運営にも支障が出るでしょう。
そのため、急なアクセス数の変化にも対応できるように、CPUやメモリを増強できるかどうかが重要です。サーバの安定性を判断するときは、基本スペックだけでなく拡張性や柔軟性もポイントになることを覚えておきましょう。
安全性・安定性の高さ
サーバを運営する際にもっとも重要なことは安定性です。アクセス数の増加だけでなく、サーバの稼働に影響を与える要因は多くあります。そのすべての要因に対応できるかどうかを確認しなければなりません。
例えば、地震にも耐えられるデータセンターに格納されているか、落雷などにより停電してもサーバを稼働できるかなども重要なポイントです。安価で導入しやすいホスティングサービスもありますが、安定稼働を支える機能やスペック、サポートがないことが多いです。
大手の業者でも深刻なシステム障害を起こしている例があるため油断はできません。安全性・安定性を確保するために、どれくらいの予算を割けるかも検討する必要があります。
目的別!おすすめのホスティングサービスタイプ
最後に、目的に応じたおすすめのホスティングサービスのタイプを見ていきましょう。
小規模なサイト構築なら「共用サーバ」
共用サーバとは1つのサーバを複数人で利用する形式のことです。ほかのユーザーのアクセス負荷が大きくなると、自社サイトの運用に影響が出る場合があります。共用サーバで規模が大きなWebサイトを運営しようとすると、支障が出やすくなります。
しかし、小規模なサイトであれば共用サーバでも影響を受けにくく、費用も抑えられるためおすすめです。
企業サイトを構築するなら「専用サーバ」
専用サーバとは自社専用のレンタルサーバのことであり、共用サーバと違いほかのユーザーが使うことはありません。サーバ1台をまるまる使うため利用料は高くなりますが、自由度が増えます。
一般的に企業サイトやECサイトなど、自社のビジネスの根幹となるようなサイトを構築する際におすすめです。
SaaS事業を展開するなら「クラウドサーバか専用サーバ」
SaaS事業を展開する場合は、クラウドサーバか専用サーバを利用するのがおすすめです。
クラウドサーバとは、名前のとおりクラウド環境上にあるサーバのことであり、ユーザーの自由に使えます。専用サーバも自由度が高いホスティングの種類ですが、サービスの提供者に依存する部分もあります。
一方、クラウドサーバは自由度がもっとも高いかわりに、管理なども自分たちで行わなければならず、利用料が高額になりやすいのもデメリットです。
このように専用サーバとクラウドサーバでは特徴が異なるため、費用や管理面、自由度などの優先順位に従って選ぶようにしましょう。
選び方を押さえて最適なホスティングサービスを導入しよう!
ホスティングサービスを選ぶ際のポイントを紹介しました。
レンタルサーバには提供形態やスペック、機能などさまざまな要素において、サービスごとの特徴があります。まずは、どのような目的でレンタルサーバを利用するのか明確にしてください。利用する目的に応じて適したサーバが変わります。
選び方のポイントを押さえて自社に最適なホスティングサービスを導入しましょう。