DNSサーバとは
DNSサーバの概要を解説します。
ドメインをIPアドレスに紐づける仕組みのこと
DNSサーバとは、ドメインをIPアドレスに変更するものです。インターネットでWebサイトを訪問する際に欠かせません。
本来のIPアドレスは数字の羅列であり、人間には扱いづらいものです。そこで、IPアドレスは人間が管理しやすいドメインに置き換えて使われています。しかし、コンピュータはIPアドレスでなければ理解できません。
つまり、人間がドメインで指示した訪問先をコンピュータが理解するには、IPアドレスに置き換える必要が生じます。その役割を担うのがDNSサーバです。ドメインを人間の言語、IPアドレスを機械の言語にたとえると、DNSサーバは両者を変換する辞書のような存在といえます。
DNSルートサーバとDNSキャッシュサーバで通信を行う
DNSサーバについてより深く理解するために、ユーザーがブラウザでドメインを入力してからWebサイトが表示されるまでの流れを簡単に紹介します。
まず、ユーザーがブラウザで「◇◇.com」のようにドメインを入力します。この時に対応してくれるのがDNSルートサーバです。DNSルートサーバは、次にユーザーが問い合わせるべきDNSサーバを教えてくれます。
続いてユーザーが指示されたDNSサーバに問い合わせると、次に問い合わせるべきDNSサーバが教えられます。これを繰り返すことで、入力したドメインを完全にIPアドレスに置き換えることができ、Webサイトへの訪問が実現するのです。
上記の過程で重要な役割を果たすDNSサーバには、前述したDNSルートサーバのほか、DNSキャッシュサーバと呼ばれるものがあります。この2つについても詳しく見てみましょう。
DNSルートサーバ:ドメイン名の最上位情報を管理する
DNSサーバは役割によっていくつかの種類に分けられます。DNSルートサーバはそのうちの1つで、トップレベルドメインを管理するDNSサーバのIPアドレスを持っています。
トップレベルドメインとは、ドメイン内のピリオドで区切られたもっとも右端の部分です。「com」「jp」などが代表的です。
ドメインをIPアドレスに変換するには、まずトップレベルドメインを管理するDNSサーバに問い合わせなければなりません。そのDNSサーバの所在(IPアドレス)を教えてくれるのがDNSルートサーバです。適切な問い合わせ先を教えてくれる案内役といえます。
ところが、DNSルートサーバは世界に13台しかありません。この13台だけで世界中のアクセスに対応するのは困難です。そこで、DNSキャッシュサーバがDNSルートサーバの補助をしています。
DNSキャッシュサーバ:対応IPアドレスを一時的に保存する
DNSキャッシュサーバは、対応IPアドレスを一時的に保存し、ユーザーに変わって問い合わせを行うサーバです。
ドメインを完全にIPアドレスに置き換えるには多くの段階があります。DNSルートサーバから順にトップレベルドメイン、セカンドレベルドメイン…と、複数のDNSサーバに問い合わせが必要です。
しかし、この処理をユーザーの端末で毎回行うのは非効率です。また、DNSルートサーバの負担が大きくなります。
これらの問題を解決するのがDNSキャッシュサーバです。ユーザーの代わりに一連の問い合わせを行い、結果をユーザーに返します。さらに、問い合わせ結果を一時的に保存するため、同じドメインをIPアドレスに置き換える際は手間がかかりません。
DNSサーバの設定方法
レンタルサーバを利用する際には、ドメインをDNSサーバに登録しなければなりません。登録されていなければユーザーはドメインをIPアドレスに変換できず、訪問できないからです。
設定はレンタルサーバとドメイン事業者の管理画面で行います。レンタルサーバの管理画面でDNSサーバ名を確認し、それをドメイン事業者の管理画面で入力しましょう。これで、レンタルサーバ側のDNSサーバとドメインが紐づけられたことになります。
一方、ドメイン事業者側のDNSサーバを利用する方法もあります。その場合は、レンタルサーバの管理画面でDNSサーバ名をドメイン事業者側のDNSサーバに変更しましょう。
DNSサーバの設定でエラーが発生した際に確認すべき点
続いて、DNSサーバの設定でエラーが発生した際の確認事項を紹介します。
1.ネットワーク機器は動作しているか
DNSエラーとは、DNSサーバにアクセスできないことです。したがって、ネットワーク機器の異常が原因でインターネットにアクセスできない場合もDNSエラーと表示されます。
DNSエラーが出たら、まずルータやアクセスポイントなどの機器が動作しているか確認しましょう。故障のほか、プラグが外れているなど単純な理由で機器が動いていない可能性もあります。
2.ネットワーク構成に異常がないか
機器に異常がなければ、次はネットワーク構成を確認しましょう。DNSエラーが生じるネットワーク構成の異常としてよくあるのが、DHCPの失敗です。
DHCPとは、コンピュータにIPアドレスを自動で割り振りする仕組みですが、これが失敗するとDNSエラーとなります。この問題によるDNSエラーは、DNSサーバアドレスを手動で設定することで解決できます。
3.ネットワーク回線は混雑していないか
DNSサーバにアクセスが集中し、回線が混雑するとDNSエラーが生じることがあります。一定時間内にDNSサーバから返答が返ってこないのが原因です。
これは単にアクセスが集中しているせいで起きるエラーなため、時間が経てば解決します。しばらくしてから再読み込みしましょう。設定の変更などは特に必要ありません。
DNSサーバについて理解し、適切に設定しよう
DNSサーバはドメインをIPアドレスに置き換える仕組みです。この仕組みを使わなければWebサイトに訪問できません。レンタルサーバを使う際にはドメインをDNSサーバに登録しましょう。
また、DNSサーバの設定でエラーが生じた際の確認事項は以下のとおりです。
- ■ネットワーク機器の動作
- ■ネットワーク構成の異常
- ■ネットワーク回線の混雑状況
ネットワークシステムへの理解を深める参考にしてください。