中小企業でIT資産管理が注目される背景
IT資産管理とは、社内で利用するPCやスマートフォン、ソフトウェア、クラウドサービスなどを把握し、適切に管理する取り組みです。中小企業では、限られた人員で端末管理やセキュリティ対応を担うケースが多く、管理の仕組み化が重要になっています。
PCやスマートフォンが増えている
中小企業でも、営業担当者や現場担当者にノートPCやスマートフォンを配布する機会が増えています。端末数が増えると、誰がどの端末を使っているか、OSやソフトウェアが最新かを確認する負担も大きくなります。
IT資産管理ツールを使えば、端末情報を自動で収集し、台帳として整理しやすくなります。退職者の端末回収漏れや、古い端末の放置を防ぎたい中小企業にとって、有効な管理基盤といえるでしょう。
兼任の情報システム担当者が多い
中小企業では、総務や経理、管理部門の担当者が情報システム業務を兼任することがあります。その場合、手作業で端末情報を更新し続けるのは現実的ではありません。
IT資産管理ツールを導入すると、端末情報やソフトウェア情報を自動収集しやすくなります。担当者の経験に頼らず、管理状況を見える化できる点が大きな利点です。
セキュリティ対応が求められている
中小企業でも、取引先からセキュリティ対策の状況を確認される場面があります。管理されていない端末や古いソフトウェアが残っていると、マルウェア感染や情報漏えいのリスクにつながりかねません。
独立行政法人情報処理推進機構は、中小企業向けに情報セキュリティ対策の考え方や実践手順をまとめたガイドラインを公開しています。資産管理台帳のひな形も用意されており、IT資産管理の重要性を整理する際に参考になります。
参考:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン|独立行政法人情報処理推進機構
中小企業がIT資産管理ツールを導入するメリット
IT資産管理ツールのメリットは、管理業務の負担を減らしながら、セキュリティやコスト管理の精度を高められる点です。ここでは、中小企業の実務で効果を感じやすいポイントを整理します。
IT資産台帳の更新を効率化できる
メリットは、端末やソフトウェアの情報を自動で集められる点です。手作業で台帳を更新する場合、利用者変更や端末入れ替えのたびに確認が必要です。
IT資産管理ツールなら、端末名や利用者、OS、インストール済みソフトウェアなどを一覧で把握できます。Excel台帳の更新漏れを減らし、棚卸し作業の負担を軽くしたい企業に向いています。
セキュリティリスクを見つけやすい
メリットは、危険な状態の端末を把握しやすくなる点です。例えば、更新されていないOSや許可していないソフトウェアを見つけられれば、早めに対処できます。
また、外部デバイスの利用状況や操作ログを確認できる製品もあります。情報漏えい対策を強化したい場合は、IT資産管理とログ管理、デバイス制御をあわせて確認しましょう。
ライセンス費用を適正化しやすい
メリットは、ソフトウェアやクラウドサービスの利用状況を把握できる点です。使われていないライセンスが残っていると、不要な費用が発生する可能性があります。
利用者やインストール状況を確認できれば、更新時期に契約数を見直しやすくなります。コスト削減だけでなく、ライセンス違反の防止にもつながります。
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中小企業向けIT資産管理ツールの選び方
中小企業がIT資産管理ツールを選ぶ際は、機能の多さよりも、自社の管理対象や運用体制にあうかを確認することが重要です。導入後に使い続けるため、必要な機能と運用負荷のバランスを見極めましょう。
何を管理したいか
まず確認したいのは、管理対象です。PCだけを管理したいのか、スマートフォンやタブレット、ソフトウェア、SaaSアカウントまで含めたいのかで選ぶ製品は変わります。
| 管理対象 | 確認したい機能 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| PCや周辺機器 | 台帳作成、自動情報収集、棚卸し | 端末の所在や利用者を整理したい企業 |
| ソフトウェア | インストール状況、ライセンス管理 | 契約数や利用状況を見直したい企業 |
| スマートフォン | モバイルデバイス管理、遠隔ロック | 外出先で端末を使う従業員が多い企業 |
| SaaSアカウント | アカウント管理、退職者削除、利用状況確認 | クラウドサービスの利用が増えている企業 |
クラウド型があうか
まず確認したいのは、提供形態が自社の運用にあうかです。クラウド型は社内サーバを用意せずに始めやすく、更新作業の負担も抑えやすい傾向があります。
一方、オンプレミス型は社内ネットワークや既存システムとの連携を重視する場合に候補となります。情報システム担当者が少ない中小企業では、保守や設定の負担まで含めて比較することが大切です。
必要なセキュリティ機能はあるか
まず確認したいのは、IT資産管理とあわせて使えるセキュリティ機能です。端末情報の把握だけでなく、操作ログや外部デバイス制御、アラート通知、遠隔ロックなどを確認しましょう。
特にテレワークや外出先での業務が多い企業では、紛失時の対応が重要です。端末の利用状況を把握し、問題が起きた際にすぐ対応できる仕組みを選びましょう。
サポート体制は十分か
まず確認したいのは、導入後のサポート体制です。中小企業では専任担当者がいない場合もあるため、初期設定や運用相談を受けられるかが重要になります。
問い合わせ方法や対応時間、マニュアルの充実度、導入支援の有無を比較しましょう。トライアルがある製品なら、管理画面の使いやすさも事前に確認できます。
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中小企業がIT資産管理ツールを導入する際の注意点
IT資産管理ツールは導入すれば終わりではありません。管理ルールや社内周知が不十分だと、正確な台帳を維持しにくくなります。ここでは、導入前に押さえたい注意点を解説します。
管理ルールを決めておく
注意点は、誰がどの情報を更新するかを決めておくことです。端末の貸与や返却、修理、廃棄の流れが曖昧だと、ツール上の情報も古くなります。
導入前に、端末の登録タイミングや利用者変更時の手順を整理しましょう。管理ルールを決めておけば、担当者が変わっても運用を引き継ぎやすくなります。
従業員への説明を行う
注意点は、ログ取得や端末管理の目的を従業員に説明することです。目的が伝わらないまま運用を始めると、監視されている印象を与える恐れがあります。
情報漏えい防止や端末紛失時の対応など、会社と従業員を守るための管理であると説明しましょう。就業規則や情報セキュリティ規程との整合性も確認が必要です。
費用の内訳を比較する
注意点は、月額費用だけで判断しないことです。初期費用や利用台数、オプション、サポート費用によって総額は変わります。
最初は小規模で始め、必要に応じて機能を追加できる製品もあります。中小企業では、現在の端末数だけでなく、1年後の増加も見込んで比較すると無駄を抑えやすくなります。
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中小企業がIT資産管理ツールを活用するポイント
IT資産管理ツールを活用するには、定期的な見直しと日常業務への組み込みが欠かせません。台帳を作るだけでなく、棚卸しやアラート対応、入退社手続きと連動させることで効果を高められます。
定期的に棚卸しを行う
活用のポイントは、定期的に実物と台帳を照合することです。ツールで情報を収集していても、破損端末や保管端末、返却待ち端末が残る場合があります。
四半期や半期ごとに棚卸しを行うと、所在不明の端末を早めに見つけられます。棚卸し結果をもとに、不要端末の廃棄や再利用も検討しましょう。
アラートを運用に組み込む
活用のポイントは、アラートを確認する担当者と対応手順を決めることです。未許可ソフトウェアや更新漏れを検知しても、放置すればリスクは残ります。
重要度ごとに対応期限を決め、対応履歴を残すと運用が安定します。小規模な体制でも、通知と対応の流れを決めておくことで管理品質を保ちやすくなります。
入退社手続きと連携する
活用のポイントは、入社時と退職時の手続きにIT資産管理を組み込むことです。入社時には端末やアカウントを登録し、退職時には返却や削除を確認します。
この流れを標準化すると、貸与端末の回収漏れやアカウントの削除漏れを防ぎやすくなります。人事や総務の手続きと連動させると、兼任担当者でも運用しやすいでしょう。
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クラウド型の中小企業向けIT資産管理ツールを比較
ここからは、ITトレンドに掲載されているIT資産管理ツールを紹介します。まずは、クラウド型で始めやすい製品や、SaaSアカウント管理に対応する製品です。管理対象や運用体制にあわせて比較しましょう。
AssetView Cloud +
- ヒトを軸とした人事情報連携による管理でセキュリティ対策
- 業務に必要なプランのみ選択しコスト削減と高効率な運用を実現
- 目的に沿った運用ができるよう導入から運用まで幅広くサポート
株式会社ハンモックが提供する「AssetView Cloud +」は、人事情報と連携しながらIT資産やセキュリティ対策を管理できるツールです。利用者を起点に端末やソフトウェアを整理したい企業に向いています。必要なプランを選びながら、段階的に管理範囲を広げたい場合にも検討しやすい製品です。
LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版
- 使いやすい管理コンソールでPC・スマホ・M365をクラウド一元管理
- IT 資産管理・操作ログ管理など PC 管理に必要な機能を網羅
- Microsoft 365 にアクセスするユーザーの利用状況を見える化
エムオーテックス株式会社が提供する「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」は、PCやスマートフォンをクラウドで一元管理できるIT資産管理ツールです。IT資産管理や操作ログ管理、モバイルデバイス管理をまとめて検討したい企業に適しています。社外利用端末を含めて管理したい場合にも候補です。
ジョーシス
- バラバラだったSaaS・デバイスを一元化管理し、管理工数を削減
- 入退社時のアカウント発行・削除を自動化し、業務の効率化を実現
- シャドーITや削除漏れアカウントを検知し、ITセキュリティを向上
ジョーシス株式会社が提供する「ジョーシス」は、SaaSやデバイスの一元管理に対応するIT資産管理ツールです。入退社時のアカウント発行や削除、利用状況の可視化を進めたい企業に適しています。クラウドサービスの利用が増え、誰が何を使っているか把握しにくい中小企業に向いています。
Watchy
- PC1台100円〜で手軽に始められる
- IT資産管理〜ログ管理まで幅広く管理ができる
- 運用の保守点検負担が少ないクラウドサービス
株式会社スタメンが提供する「Watchy」は、中小企業向けのクラウド型IT資産管理ツールです。PCやソフトウェアの情報を収集し、所有者情報と紐づけて管理できます。端末管理をExcelから移行したい企業や、保守負担を抑えてクラウドで始めたい企業に向いています。
端末管理に強い中小企業向けIT資産管理ツールを比較
PCやスマートフォンの安全な運用を重視する場合は、端末管理やセキュリティ機能に強みをもつ製品が候補です。テレワークや外出先での端末利用が多い中小企業は、紛失時対応やログ確認も比較しましょう。
クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View
- 「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2025-2026」で1位を獲得!
- IT資産情報を自動で収集し安全な運用管理をサポート
- 情報を素早く可視化し管理業務の負荷を軽減
Sky株式会社が提供する「クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View」は、IT資産情報の収集や運用管理を支援するクライアント運用管理ソフトです。クラウドとオンプレミスから運用にあわせて選択できます。PC管理や情報セキュリティ対策をまとめて進めたい中小企業に向いています。
IIJセキュアエンドポイントサービス
- IT資産管理と各種セキュリティ機能をアセットレスに導入
- AIを駆使した「Aurora Protect」で、未知のマルウェアも検知
- 脆弱性の自動抽出から対策までをワンストップで実現
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJセキュアエンドポイントサービス」は、IT資産管理とエンドポイントセキュリティを組みあわせたクラウド型サービスです。端末情報の管理に加えて、外部脅威への備えや内部情報の漏えい対策を検討したい企業に適しています。
SPPM
- 次世代のセキュリティ対策「ゼロトラスト環境」の構築をサポート
- サポート満足度98%!トライアル中から回数無制限でサポート
- 基本プランの料金内で利用できる機能が多数 オプションも充実
株式会社AXSEEDが提供する「SPPM」は、スマートフォンやタブレット、PCの管理に対応するモバイルデバイス管理ツールです。iOSやAndroid、Windows、Macを対象にした端末管理を検討できます。外出先で利用する端末が多く、サポート体制も重視したい中小企業に向いています。
CLOMO MDM
- 盗難・紛失時は遠隔強制ロックやデータ消去でセキュリティ堅持
- パスワードポリシー設定やネットワークの利用制限などを一括適用
- デバイスの様々な情報を取得するため、アセット管理が楽に
株式会社アイキューブドシステムズが提供する「CLOMO MDM」は、クラウド型のモバイルデバイス管理ツールです。スマートフォンやタブレット、Windows端末を管理したい企業に適しています。端末の配布後も利用状況を把握し、紛失時の対応や設定管理を進めたい場合に候補となります。
中小企業のIT資産管理に関するFAQ
IT資産管理ツールを検討する中小企業では、Excel管理との違いや導入タイミング、無料ツールの活用可否などの疑問が出やすいです。ここでは、導入前によくある質問を整理します。
- Q1:ExcelでIT資産管理を続けても問題ありませんか?
- 端末数が少なく、変更も少ない場合はExcelでも管理できます。ただし、入退社や端末入れ替えが増えると更新漏れが起きやすくなります。中小企業でも端末数が増えてきた段階では、IT資産管理ツールの検討がおすすめです。
- Q2:中小企業では何台から導入すべきですか?
- 明確な台数基準はありません。目安として、誰がどの端末を使っているか即答しにくい、ライセンス数を手作業で確認している、退職者の端末回収に不安がある場合は導入を検討しましょう。
- Q3:無料ツールでも対応できますか?
- 小規模な台帳管理や棚卸しであれば、無料ツールやテンプレートで始められる場合があります。一方で、自動情報収集やログ管理、遠隔制御、サポート体制を重視する場合は、有料製品の比較が必要です。
- Q4:クラウド型のセキュリティは不安ありませんか?
- クラウド型でも、通信暗号化やアクセス権限、ログ管理などの対策を備えた製品があります。重要なのは、提供会社のセキュリティ対策やデータ保管場所、管理者権限の設定を事前に確認することです。
- Q5:導入前に準備することは何ですか?
- まず、管理したいIT資産の範囲を決めましょう。次に、現在の台帳や端末一覧、ソフトウェア契約情報を整理します。入退社時の運用や棚卸し頻度も決めておくと、導入後の定着が進みやすくなります。
まとめ
中小企業向けIT資産管理ツールは、PCやスマートフォン、ソフトウェア、SaaSアカウントの管理を効率化し、セキュリティ対策やコスト管理にも役立ちます。選定時は、管理対象や提供形態、セキュリティ機能、サポート体制を比較しましょう。自社にあう製品を見極めたい方は、ITトレンドの一括資料請求を活用してください。



